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犬とあなたと珈琲と。Vol.55-デザインドッグについて考える

聞逃し配信中(オープニングや曲はカットされています)
ミキサー:レディオ湘南 高橋優佳

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』

FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」
オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。
店長はカフェオレ色の17歳。愛犬の“うり”。
美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様は常連客のゆきさん(株式会社イヌと暮らす代表取締役)。一部ではデザインドッグと呼ばれるミックス犬。物珍しさや唯一無二の可愛さを求め、現在人気が高まっています。でも、体格や特性など、あまりにかけ離れた交配に問題はないのでしょうか。さらに、ミックス犬にも血統書がついていた?そんな疑問にトリマーのゆきさん、ドッグカウンセラーの白田祐子が、それぞれの目線で考えていきます。

祐子:いらっしゃいませ。ゆきちゃん、今日はちょっと早いですね。

ゆき:こんにちは、祐子さん。今日は用事があって、猫ちゃんもいっぱいいる団体さんにお邪魔してきてその帰りです。

祐子:それはお疲れ様でした。車でビュンビュン?

ゆき:そうですビュンビュン(笑)。あっ、いつものカフェオレで!

ミックス犬に
血統書がついていた⁉

ゆき:そう…それでね、ちょっと驚いたことがあったんですよ、今日。

そのお邪魔した団体さんに、シニアクラス入りの年齢の成犬でとってもかわいい子がいたんです。顔が濃くって何とも言えない可愛げのある子で、もう何度も見ちゃうような。

その子は所有権放棄の犬なんですけど、その犬のことを「この子は“しばわ”っていう犬種なんですよ。血統書にそう書いてありました」って紹介されたんですね。

それで、「えっ?」って思ったけど、他のコトに気を取られていたんでそのまま「あーそうですか」ってスルーしちゃったんですけど…。なにか聞いた事あります?

祐子:「しばわ」って柴犬とチワワの掛け合わせなのかな。いわゆる「デザインドッグ」って一部では呼ばれているミックス犬で、「チワ柴」とか「柴チワ」とか呼ばれることの方が多いように思います。オリジナル名的に使っているのかしら。

ゆき:あーなるほどね。
結局、JKCに登録されている犬種ではないから、正式な犬種名ではないってことですよね。だから、なんと呼ぼうと自由で、それなのに「血統書」ってどういうことなんですかね。

祐子:当然それはニセモノですよね。
JKC(Japanケンネルクラブ)の方にも、偽造の血統書は出回っているって聞いています。血統書は「純血種」にしか発行されないですものね。ミックス犬の「血統書」は100%偽造って言いきれます。

一般の方ならまだしも、保護団体の方が何も疑問も持たずに「こういう犬種なんです」って口にするのはちょっと勉強不足過ぎるかなって印象かな…。その子を新しい家族に託す時、「血統書付きの“しばわ”っていう犬種なんです」なんて言ったら、ちょっとね…。

ゆき:そもそも、血統書の意味を理解していないってことですよね。そして、なんというか、所有権放棄した人も「この犬は血統書付きです」みたいな感じで、ちょっとでもよく見せたいというか「いいものを譲ります」みたいな、そういう風に聞こえました。

祐子:「いいものです」と。そういう発想は私にはなかったけど、本当にそういう心理なのかもしれないね。

血統書の本来の意味と
ブリーダーの役割

ゆき:保護団体さんも「ちょっと珍しい犬なんです」みたいな…。血統書がついていると見る目って変わるんですかね。

祐子:そう、2か月位前かな。『TAKARA CAFÉ』にも似たような相談がありました。内容はこんな感じ。「先日散歩をしていたら「お利口ですね」と声をかけられて、そこから何犬かという話になって“雑種です”と答えたら『じゃあ血統書がないの?こんなにお利口なのに』って言われて、モヤっとした」っていう。

ゆき:「モヤっとする系」ですね(笑)。モヤっとすることって多いですよね。それに対して祐子さんはなんて答えたんですか?

祐子:私も何度も経験があります。「雑種です」って答えた後の相手のリアクション。「雑種なのにこんなにきれいなんですね」とかってね。「んー…それは?…はて?」ってなっちゃう。

それで、この時は「血統書の本来の意味」についてお話しをしました。まずは、血統書の意味を知らなくては、いつまでたっても「血統書のない犬は残念」というような、間違ったイメージが払拭されないかなって思ったから。

ゆき:確かに。血統書の本来の意味…。

祐子:ゆきちゃんは「血統書の意味は?」って聞かれたらなんて答えますか。

ゆき:私は「純血種とか血統を守るためのもの」ですかね。それぞれの血統を守っていくのは素晴らしいことで守ってもらいたいなと思っているので、血統を守るために必要な書類。

祐子:そうよね。純血種が良いとか雑種が悪いとかではなくて、純血種においては、しっかりその血統を守ることが大事ってことですよね。私もそう思います。

血統書の一番わかりやすい存在意味は純血種を販売するときに「他の犬種は混じっていません」と、証明する書類ですよね。でも、証明書としてだけではなく「ブリーダーの本来の役割」を果たすためにも使われているって聞いています。

ゆき:ブリーダーの本来の役割は「血統を守る」こと。そして「健康な子を繁殖させる」こと。血統書を見て内容を理解できるのはブリーダーさんですもんね。最近では上手に利用している人もいるらしいけど。

祐子:今、一般の方は兄弟犬を探す検索システムみたいなアプリがあるみたいですね。

ゆき:うんうん。それも面白いかも。

祐子:オフ会みたいな(笑)。
ブリーダーはスタンダードを守って、心身共に健全な子犬が産まれるように繁殖させていくこと。そのためにも、世代を遡っていって「どの犬同士を掛け合わせるとベストなのか」って、体格や性格まで、産まれてくる子犬を予測するのがプロの技だと思うのね。

そこで出番となるのが、「家系図」というか「戸籍謄本」、「繁殖管理台帳」みたいな?血統書はそういう役割が大きいって、私は認識しています。

ゆき:確かに。わたしが初めて働いていたショップは、きちんと血統書の意味を理解していたし、ブリーダーもそれをしっかり伝えてくれましたね。

そこのブリーダーさんはJKCの支部もしていたので、一度、ドッグショーのお手伝いに駆り出されたこともあるんだけど、その時に感じたのは「純血種の素晴らしさ」なんですね。

その子が遺伝子レベルでその犬種らしい面、例えば、健康面や被毛やサイズが保証されていることを実感しました。わかりやすくいうと、そこのブリーダーの子は、遺伝疾患の代表と言ってもいい、ダックスだったらヘルニアとか、レトリバーだったら膝蓋骨の外れやすさとか、そういう犬はいなかったように思うんです。そして、見た目も、みんなあるべきところに立派な飾り毛を持っていたし。

なので、最初の話に戻ると、デザインドッグとも呼ばれるミックス犬を見ていると「こんなのと、こんなのを掛けたの?」って、違和感というか、びっくりしちゃうことがありますね。

音楽:Stevie Wonder『You Are The Sunshine Of My Life』(楽曲はYouTubeにリンクされています)

心配なのは特性や
特徴の違い過ぎる交配

祐子:ゆきちゃんは、トリマーさんとして働いていて、私たちが外見だけを見て感じること以外にミックス犬で気になることってありますか。

ゆき:ありますね。
ミックス犬って何とも言えない唯一無二の可愛さがあるんですよね。

だけど、正直言うと体形とか被毛とか、気になることがありますね。例えば「こんなに足が細くて大丈夫かな」とか、毛が抜けないシングルコートとダブルコートで毛の抜けやすい…「プードル」と「コッカー」とかの「コッカープー」とかですよね。なんかもう、被毛的には「複雑になっちゃったな」って思いますよね。祐子さん目線では?

祐子:確かに被毛の問題。なんか換毛がうまくいかなくて、ムズムズ痒くなりそう(笑)

私は、ゆきちゃんが言ったように「足が細い」とか、骨格の問題はすごく大きいと思います。特に「身体能力」と「骨格」が合わない子は可哀想だなって思います。例えば、片方の親から「素晴らしい身体能力」を受け継いだのに、もう片方の親からは「華奢な骨格」を受け継いでいると、ヘルニアや骨折とか外科的な問題が発生しやすくなりますよね。

私の感じる問題はそこにあって「骨格」と「身体能力」が合わない場合、怪我や病気を防ぐにはどうするか。

ゆき:運動をあまりさせないとか。

祐子:そうそう。運動制限をさせるしかなくて、多分、飼い主さんも華奢な体を見て「危ない、危ない」って保護をすると思うんだけど。飛んだり跳ねたり、走り回ったりするのが大好き子に運動を制限されるということはどういうことか。

ゆき:はいはい。それは、もう、ストレスですよね。

祐子:そうですよね。「自分のレベルに合わせて自由に体を動かしたい」っていう、“基本のき”の欲求が叶わないなんて「ストレスが溜まる」っていうレベルを超えてしまうと思います。

欲求不満の犬はどうしても吠えやすくなることが多いし、「どうして自分の気持ちをわかってくれないんだ!」って飼い主さんと信頼関係を結べなくて、常に不安感を抱いたり、突然攻撃性を現わしたり、逆に抑うつ傾向になってとても静かとか。

そういう精神的ダメージも大きくなるから、人も犬もアンハッピーになる危険が高まるかなって、ちょっと心配です。

個体差はあれ、
犬種の特性を把握

ゆき:人も犬もアンハッピー。それだけは避けたいですね。だとすると、これから犬を飼おうとする人は何に注意注目して選んだらいいんでしょうね。

祐子:はぁ、難しい質問(笑)
でも、いつも私が伝えているのは、犬種の特性…っていうのかな。

もちろん個体によってその差はあるけれど、やっぱり基本的な特性って受け継がれていると思います。だから、最初から「伸ばしてあげるといい面」と「なるべく発現させないよう抑えておきたい面」を予測して、それに合わせた育て方をしていく。

もっと言うなら、自分のライフスタイルや性格に合った犬を最初から選ぶ。

ゆき:なるほど。「予測」して「選ぶ」ですね。
あるシェパードのブリーダーさんが「よくCMとかでもあるけれど、目が合って寄ってきたから運命だ!っていう、それは本当に危険です」って、言っていたことあって。やっぱり、ある程度、見極めて予測できる方に相談するということですね。

祐子:大切なことだと思います。まぁ人間も「ビビビと来た」ってあるけど…どうなんだろうね(笑)。今のブリーダーがあまりにも千差万別すぎるから、犬種の特性をしっかり残しながら、家庭犬として暮らしやすいように交配したり、子育てをさせてあげているブリーダーは本当に尊敬します。

ゆき:あるブリーダーさんは本当に素晴らしくって、性格もとても穏やかで明るい子にこだわって繁殖していて、そこで産まれた子は飼うに困るような子はいなかったと思いますね。

ただ、その方も高齢になってしまって、後を継ぐ人に、すべての意思判断を任せているから、当時のようにはいかないのが現実かもしれません。私が話を聞いた頃でアメリカチャンピオンの血統を350万とかでアメリカに買い付けに行っていましたが「もうできないし」って。

だから、ブリーダー引退を考えていて、その犬たちの第二の犬生へ繋げるお手伝いをしたことがありますね。

祐子:そう言う子たちいましたね。

ゆき:はい。素晴らしい子たちだったし、繁殖させている人は「とても少ない犬種で、この血統の犬がいなくなっちゃうのはもったいない。そして寂しい」って仰っていて…でも「仕方ない」って。

そういうことだよなぁ、ブリーダーは「血統を世に残していく」「種の保存をしているんだな」って感じた一言でしたね。もう、惚れ込んで、惚れ込んでその血を守り続けているんですよね。

祐子:うん。ぜひ、その方に今のブリーディングの在り方についてお話しを聞いてみたいです。

ゆき:うん。確かに。いつか話をきける機会を作れたらいいですね。

音楽:LA LA LAND『Another Day Of Sun』(楽曲はYouTubeにリンクされています)

体格差のある犬の
交配の危険性

祐子:デザインドッグやミックス犬って売られているのは、野犬の子のように、何代にもわたってランダムに混ざり合った「生粋の雑種」「真の雑種」とは違って、とても狭い範囲でブリーディングされた純犬種同士の掛け合わせなので、慎重に行わないといけない部分も多いと思います。

その証拠にミックス犬同士の交配はしない「一代限り」がセオリーって言われているよね。

ゆき:へー、そうなんですね。生きていく上で弱いところが強調されるってことですね。

祐子:優位な部分だけが受け継がれる訳じゃないものね。あと、日本人は割と小さな犬を好む傾向にあるから「チワワ」掛けがとても目につくのも気になるかな。骨格の問題を通り過ぎて、「チワスキー」ってチワワにハスキーとか「ポメスキー」とか。

ゆき:はいはい。んー、無理がある気がしますが産めるんですかね?

祐子:小ささを求める交配なら「母犬が小さい方」っていうのは大いにあり得るけど、そうした場合、母犬も子犬も命を落とす危険性は目に見えていますよね。でも、そういう情報は公開されていない。

ゆき:プードルの場合は、サイズ別間同志の繁殖は認められていて、ただ、そこにもルールがあって「必ず母犬のほうが大きいサイズであること」ってことが条件にあるんですって。だからスタンダードプードルがママでトイプードルがパパとか。

祐子:だから、大きめのトイプーがいたりするよね。

繁殖や流通のあり方に
もっと目を向けて!


祐子:私たちは犬猫と暮らしたいと思ったら、ペットショップで買う前に保護動物をという選択肢を持ってもらいたい。そういう想いから譲渡会を開いたり、保護活動や啓発活動をしているけど、どこかで線引きをしている訳ではないんだよね。ただ、繁殖の仕方や流通の在り方に大きな疑問を持っているだけ。

ゆき:はい。その通りです。純血種も1種同志のミックス犬も嫌いな訳ではないんです。

祐子:私もゆきちゃんも、純血種と暮らしていたコトもあるしね。私はシェルティとミニピンと暮らしていたし。

ゆき:私はスタンプ―とケリーブルーテリアっていうテリアと暮らしていました。

祐子:両親の体格差や犬種の特性の差。それをあまりに無視した掛け合わせは、簡単にいうと不健康で見た目があまりかわいくない、商品としては失敗作。そういう流通に乗らない、パンドラの箱をあけたような子犬たちも大量に生み出される可能性が高くて、その子たちは果たしてどうなるのか。

そういうことまで、みんなが考えられるようになるといいなって。色々な意見や考え方はあると思いますけど、デザイン犬の話をするときは、いつも私はそう思ってしまいます。

ゆき:うん。悲しいけどパンドラ犬。いますね。パンドラの箱を開けたのは好奇心と高値への追及した供給者のほうですが「消費者もそういうことまで考えてもらえるといいな」って、私も祐子さんが言うように、そう思います。

祐子:なんだかちょっとディープになっちゃったけど…。

ゆき:今日もモヤっとしたことがひとつ取れました(笑)ありがとうございました。

祐子:それなら嬉しいです。すっかり熱弁しちゃってごめんなさい(笑)まだお時間ありますか。

ゆき:はい、あります。

祐子:じゃあ、ワンコ談義を一緒にしてくれたお礼のもう1杯をどうぞ。

ゆき:ありがとうございます。

祐子:ごゆっくりお過ごしくださいませ。

ゆき:はい。いただきます。

(文中の写真は全てイメージです)

番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』
放送構成と文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagramは『こちら』
ル・ブラン湘南のInstagramは『こちら』

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1MHzレディオ湘南に出演中。

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