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犬とあなたと珈琲と。Vol.16 かおかおパンダ

聞逃し配信中
ミキサー:レディオ湘南 高橋優佳

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(毎週金曜 16:00~16:29)放送中

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。ここで“宝物”の話をすると探し物が見つかるとか?…オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の愛犬“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様はアーティストかおかおパンダさん。小さなステッカーからシンボリックな壁画まで、かおさんの描く作品はいつでも湘南の空と海のように笑顔で元気。子供の頃の宝物は「不思議な石」。遠くに住む大好きな叔母さんと会うたびに“宝物の石”を受け渡していて「どうしてそんな事思いついたのでしょう」と語るかおさん。でも、お話しを伺うなかで、かおさんの中心にあるのは「分かち合い」の心なのではないかと感じました。かおさんの分かち合いの精神はさまざまなシーン、想い、そして作品からじんわりと伝わってくるのです。


――こんにちは!かおさん。ようこそいらっしゃいました。

かおかおパンダさん(以下 かおパン ):こんにちはー! 

――ありがとうございます。勇気をだして「こんな店やってます」と声をかけた、自分を褒めてあげたいです。嬉しいです。

かおパン:かわいいお店ですね。うりちゃんも可愛いですね。こんにちは。はじめまして。

江ノ電と
空飛ぶパンダ

――図々しく“かおさん”なんてお呼びしていますが、私は20年来の“かおかおパンダ”さんファンで「湘南で一番有名な絵描き、アーティストは誰?」と聞かれたら「かおさん!」って即答します。実績を並べたらきりがないですが、私がかおさんファンになったきっかけは、江ノ電ユーザーになったちょうど20年前『江の電100周年記念』の“看板アート”です。各駅に貼られていた作品は全駅見て周りました。かおさんもこの制作がきっかけで鎌倉腰越に引っ越してきたと聞いています。

かおパン:その通りですね。だから、ほぼ一緒、同時期に引っ越してきたかなと思います。江ノ電の15駅分を以前住んでいた町から通って描いていて、途中で引っ越してきたんです。私も20年目ですね、腰越に住んで。

――江ノ電の看板アートはどういうきっかけで制作に至ったのですか。

かおパン:制作の前年に由比ガ浜の海の家で壁画を書かせていただいていたんです。その時に、たまたま、ちょっとしたきっかけで江ノ電さんとお話する機会があったんです。私はいつも自分のシールとか持ち歩いていたので、江ノ電のおじさまたちにあげたりしていたんですよね。そうしたら、いろいろ盛り上がって「来年が100周年」という話になって「何か一緒にやろうよ!」って。そんな流れでしたね。

――それはミラクルですよね。

かおパン:そうですよね。そんなきっかけでまさかね。壁画書いている時だったので。

――江ノ電に引き続き、湘南モノレールも去年(2021年)12月から2か月間、かおさんのラッピング車両が走行していました。ダイナミックでハッピーな空飛ぶパンダでした!

かおパン:あれは、車両に広告を載せていた広告主の方たちからのオファーだったんです。モノレールさんから直接ではなかったんですけど、その広告主さんは前にもお会いしたことのある方で、個展にもいらして下さったりしていて「イメージがすごく合うから、ぜひ」っていうことだったんです。

でも、その時はたまたますごく忙しい時だったんです。何件も仕事を抱えていて、さらに恒例でクリスマスに個展をやるんですけど、それの制作に「ちょうどもう入る」っていうタイミング。なので、実は2度ほどお断りしたんです。「ちょっと難しいと思う」って。でもすごく熱いオファーをいただき、やらせていただきました。

――ファンにとってはもうそれは感動しました。次は飛行機や旅客船とか大きなものに描いてもらいたいです!

かおパン:どんどん大きなものに行けたらいいです(笑)

直接ふれることのできる
アート


――「かおかおパンダさん」というアーティスト名を聞いてもすぐにピント来ない人も、作品を見るとすぐに「あっ!太陽の人ね!」とわかる。それほど、かおさんの作品は湘南に溶け込んでいます。特に街角でも見られて、商店街のシャッターや民家の塀、建物の壁。直接手で触れることのできる距離感などもかおさんのスペシャルな部分だと思います。

かおパン:嬉しいですね。私もすごく壁画が好きです。大きさも好きですけど、個展のように「何日間だけで終わり」というのとは違って、いつでも好きな時に行けば会えて、そして触れられますよね。そういう所がすごく好きです。「絵描きをやりたい」っていう頃から、「壁画をやりたい、やりたい!」って言ってきたんです。で、『言うと叶う』というじゃないですか。それで本当にまだ”駆け出し”というか、最初の頃からちょこちょこ描かせていただいてきました。

――街中かおさんの絵でいっぱいにしてもらいたいです!

シンボルツリーのよう。
カフェの壁画


かおパン:私、珈琲が大好きで珈琲にはチョコとかクッキーの甘いものが最高で、ビールには枝豆が大好きなんですけど。そういう組み合わせがあるんです(笑)。で、ちょうど1年前にすごく仲良くしている『7325COFEE』というお店の移転をきっかけに、壁画を描かせてもらっているんですよね。

――私もお邪魔して見ています。黄色い太陽と赤い珈琲の実がなった大きな木。そして鳥がいて、とても素敵な作品でした。『TAKARA CAFÉ』にも描いてもらいたいですが、ちょっとスペースがないですね。

かおパン:よければいつでも描きますけど。

――天井にでも

かおパン:天井と床ですかね(笑)。ところで『TAKARA CAFÉ』って何か意味があるんですか?

――ここで宝物の話をしたら、失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする、そんな場所になるといいなと思って名付けたんです。

かおパン:なんかユニークで縁起が良さそうな名前ですね。

――ありがとうございます。もしよかったら“かおさん”も宝物の話きかせてください。

宝物を大好きな人に
渡す喜び


――かおさんの宝物はなんですか。

かおパン:子供の頃って思い返すと、ごくごく普通に道に落ちていた『石』があって、その石はちょっと変わっていたんです。軽石のように軽いんだけど軽石ではなくて、ちょっと表面がメタリックなシルバーの色をしている面とかがあって。それは小学生の頃で「これは宇宙から落ちてきたんだな」って思って大事に持ち帰って宝物にしたんです。

私は北海道に住んでいたんですけど、東京から大好きな叔母が遊びに来てくれることがすごく嬉しくて、すごく楽しみにしていて、叔母が来るとその石を渡していたんです。叔母はそれを東京に持って帰る。また来た時に持ってきてくれて「次は私の番だね」ってもらう。“交換”じゃないけど、お互いに持っているものを会えたときに渡す。それを続けていました。ずっと宝物だったはずなんですが、どこにいっちゃったんだろ。

――へーー!大切な石の受け渡しは信頼の証でもありますよね。時間とか想いの共有というような印象もあります。

かおパン:なんでそんな事思いついたんでしょうね。きっと嬉しかったんでしょうね。それができていることが。その大好きな叔母さんは人形を作ったり絵を描いたり、モノづくりをしていた方で特に私が会う時は一緒に絵を描いて遊ぶのが定番になっていました。私は三姉妹で上の姉とは歳が近くて、姉と二人で叔母に会うと必ず「お絵描きしよう!お絵描きしよう」って感じだったんです。

私が絵を好きになった根源は「そこにあるかな」ってずっと思っています。すごく上手だったので憧れてもいたし、叔母が書いてくれた絵を“ぬり絵”したり、真似して描いたり。私が絵を好きになったきっかけはすごくそこにあったなって思っています。

元気に憧れる。
ちょっと病弱な子供時代


かおパン:あともう一つ。私は小学校1-2年生の頃にすごく病気がちな子で-今は全然そうは見えないと思いますけど-学校になかなか行けない時期があったんです。入院ばかりしていて。それで、すごく『体も強くて元気な子』に憧れていたんです。たまにしか学校に行けなかったけど行ったとき、元気に走り回っていたり、先生にすごく怒られるような子を見て「ちょっといいな」って思っていたんですよね。それで、そういう子に「なりたい、なりたい」って思って強く願っていたら、すごく健康で元気な人になれたみたいです。

――なったんですね
かおパン:はい。なったんです!

――元気な子に憧れるというのは「丈夫な体を持つ」だけではなく、「みんなとワイワイ楽しくやる」ことに対する憧れでもあったのでしょうか。

かおパン:そこもあったと思います。

返ってくるものを
受け取る幸せ

――かおさんはイベントにも直接ご本人がお店に立っていますよね。仲間とイベントを開催したり一緒に出店したりするとことへのこだわりみたいなものはありますか。

かおパン:たぶん私は人が好きなんです。ただ絵を並べて、私が居なくても「いつでもどうぞ見てください」というのでもいいんですけど、直接お話ししたり、意見とか感想が聞けたり。あと、すごく感動されて涙を流されている方も今までいたんです。やっぱりすごく嬉しいじゃないですか。

私はそうやって“返ってくるもの”を直接受け取れる方が「幸せだなー」と思っているので、できる限り個展会場には居るようにしているし、それが一つの愉しみでもあります。

空と海に挟まれて
エネルギーを注入


――絵を描くときの気持ちは、どういうところから生まれるのでしょう。

かおパン:サーフィンに出会ったことが大きいです。札幌出身なのでその頃は海に行く機会は「ひと夏に1回あるかな?」くらいだったし、海に何か“感情”を持つこともあまりありませんでした。でも、湘南エリアに住んでサーファーたちを見て「なんだこれは!」って思って、仲間内でサーフィンやってる人がどんどん増えてきた時期だったので、ついて行くようになりました。

最初は見ているだけでしたが、もともと“体育会系”で体を動かすのが好きなので、「見るだけじゃなくてやってみたい!」になって、やってみるとものすごいエネルギーを貰えるんですよ。体を動かすという理由もありますが、自然の中でやるスポーツで「空と海に挟まれているような感覚」。私はそういうところでエネルギーをいっぱい入れて、お家に帰って絵を描くときにそれを使って描く。もしサーフィンがなかったら「この派手な色もなかったかなぁ」とか思っているんです。

――では湘南に暮らす前の作風は?

かおパン:私の中では「ここで」って変えた気持ちはないんです。でも、周りの人から見ると海のそばに住んでから「より派手になった」とは言われるんですよ。多分描いているアイテムとしては動物とか自然とか太陽や海とか基本は変わっていないです。

――よりエネルギーを感じられる作品になっていったということ…

かおパン:そうですね。より“喜んでいる”のだと思います…。自分が!(笑)

小さな頃は獣医師に?


――かおさんは「札幌出身」と仰っていました。私も札幌出身で同郷なんですよね。しかも、ご実家は有名な動物病院(写真上:かおかおパンダがイラストを描いたパンフレットと診察券)。獣医さんになろうと思ったことは?

かおパン:動物は大好きだったので、保育園から小学校いっぱいくらいは「私は獣医になる」と言っていました。それで、お父さん喜ばせちゃって。でも、中学に入った頃からスポーツばかりして、ちょっと勉強がおろそかになったのもあります。それと何というか…お父さんと同じ職業をずっとやっていくことがいいのかな?みたいな。そこにちょっと嬉しさがなくなっちゃったんですよね…。

周りからの期待や、三姉妹だったので私がなれば「跡継ぎだね」みたいな。そういうプレッシャーにもちょっと負けたかなって言う感じです。動物は大好きなのですごく素敵な職業だと思っています。

――47都道府県の中で『動物愛護センター』がないのは北海道だけで、今『みんなで北海道愛護センターを作ろうプロジェクト』が始動しています。このチラシ(写真下)のイラストもかおさんが描いていますよね。

かおパン:そうなんです。割と最近描かせていただきました。

――可愛いですよね。このもしかしてモチーフのワンちゃんは今ご実家で飼われている愛犬ですか?

かおパン:あー!そうですね。フォルムはそうだと思います。色は変えちゃってますけど。

亡き愛犬が
さよならを言いに

――ご実家ではずっとワンちゃんと暮らしてきて、東京に出てきたときに最後に暮らしていたワンちゃんと不思議な別れがあったという話を聞きました。

かおパン:そうですね。「別れ」というか…私がこっちに出てきている時に亡くなっちゃったんです。
しかも私が東京からちょっと絵のことでニューヨークに行っている数週間のうちに…。鎌倉に帰ってきて、親から「実は…」って聞いたときに「なんで教えてくれなかったの!」って。私がニューヨークに行っていたから、親は黙っていたようです。その話を聞いた夜に人生で初めて金縛りにあったんです。「これが金縛りか!」ってビビったし、変な空気がふわーっとかかったりして「超怖い」って。

そうしたら、スルッと何かの物体が私の腕の中に入ってきて、触るとそのワンちゃんだってわかったんです。撫でているとカタチでわかって。多分、最初そばにいて、私に鼻息をかけたけど気付いてくれないから腕の中に入ってきた。そう思いました。しばらく撫でていたんですけど消えちゃって…。私が海外から戻ってくるのを待って「会いに来たのかなぁ」っていう不思議な出来事でした。

――シーズーでしたよね。名前は?
かおパン:シーズーのココアです。

――ココアちゃん。今のかおさんの雰囲気にぴったりの名前ですね。
かおパン:それは肌の色ですね(笑)

――私もそういうことがあるって信じています。さて、ここで一息、何かお好きな曲をおかけしましょうか。

かおパン:ありがとうございます。音楽は自分ではそんなにできないんですけど、ギターの音とかこの曲が好きなんです。ジョンバトラーの『OCEAN』(楽曲はYouTubeにリンクされています)。

これからは自分が真ん中を歩く。
人生の道へ


――今探している宝物はなんですか。

かおパン:継続する人生です。私の「人生」という「道」の真ん中に、今11歳の娘(写真上右)が急に登場して歩き始めました。娘中心の人生を送って11年目ですけど「いつかまた“私中心の道”に戻るんだろう」って、考えることがよくあるんです。その時に“こういう人生でありたいな”って思うのは「信頼しあえて、同じ気持ちや時間を共有できる友達や仲間たちがずっと傍にいてくれて、ずっと一緒に笑っていられるような人生」なんですよね。

今も多分、私はそれを持っているとは思うんですけど、それを続けること、続けることができること。そういう友達たちも含め、絵を描くことも、波に乗ることも続けていく。それが私の宝物だと思っています。

――これからもずっと、かおさんワールドを見せてください。ずっと応援しています。

かおパン:ありがとうございます。

――今日はお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか。
かおパン:いいんですか。じゃあ遠慮なくいただきます。

――ごゆっくりお過ごしくださいませ。
かおパン:ありがとうございます。


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かおかおパンダさんの番外編!

――かおさんの作品を直接見られる今後の予定を教えてください。

かおパン:8月1日から8月31日まで 沖縄のホテル『THE BUSENA TERRACE』で個展を開催します。13日と14日は夏休み企画でワークショップも開催します。
詳しくは⇒https://www.terrace.co.jp/busena/news/post_42508.php


2022年9月7日から9月25日は 鎌倉山のギャラリー『YAMA Gallery招山』で個展を開催します。
詳しくは⇒https://www.shouzan.org/

番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』

インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)

Instagram:@doggy_uri
      @ル・ブラン湘南

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中。

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