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犬の認知症の症状と予防法って?

今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組“宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』”に寄せられたお便りにお答えします。

壁をジッと見つめる…
それ以外の症状は?

今回のお便り:シマウマさんからいただきました。
祐子さん、うり店長こんにちは。以前の放送で愛犬の柴犬が認知症っぽいという話をしていましたね。壁をジッと見つめているとか。犬の認知症の症状は他にどのようなものがあるのでしょう。そして、予防法やなにか対策などはあるのでしょうか。

はい。シマウマさん、ありがとうございます。15歳になるジョン君が最近ずっと壁を見つめていて…って『劇団フルタ丸』を主宰されているフルタジュンさんが仰ってましたよね。

そう…認知症。
認知症は老化とともに認知機能が徐々に低下していって、その結果いくつかの特徴的な行動が現れてくる。そういう病態のことですよね。

脳の萎縮や特定のタンパク質の蓄積が原因と考えられていますが、犬の場合はまだ詳しく解明されていないそうです。

大きく分けると
症状は5つ


症状としては、大きく5つに分けられようです。

1つ目:周囲の環境や空間認識、自分の居場所が把握できなくなる「見当識障害」

例えば、家族など親しい人や仲間を認識できなくなったり、障害物を避けられない、角を曲がれない、狭い隙間に入り込む、壁の前でぼんやり立ち尽くすなどです。ジョン君はこの壁の前でぼんやり症状ですね。

2つ目:「社会的交流の変化」

例えば、帰宅しても出迎えに来なくなったり、撫でても喜ばなくなったり、家族に攻撃的になったり、とくに反応しなくなるなどです。

3つ目:昼と夜が逆転する「睡眠サイクルの変化」

これはご家族が一番大変な症状ですよね。
はじめは「寝ていることが多いな」って感じる程度だったのが、症状が進むと、昼は寝て、夜中から明け方にかけて覚醒してしまい、夜鳴きやウロウロ歩き回るなど、コントロールが効かない状態になります。

4つ目:粗相が増える「不適切な排泄」
トイレの場所を忘れてしまったり、失禁や寝たまま排泄するなどですね。

そして最後は「活動の変化」
なんとなく無気力や無関心になったり、逆に目的のない行動が増えたりします。

例えば、最初のうちは「落ち着きがないなぁ」とか「寝てばっかりだな」という印象だったのが、常に家の中を歩き回ったり、「グル活」って呼ばれることもありますが、円を描くようにグルグル回る旋回行動。それから鳴き続けるなどです。

特に柴犬などの日本犬がなりやすい傾向にあるようです。日本国内だけの統計ですが、認知症と診断された犬のうち83%が日本犬だった。そういう報告もあります。

これは感覚的にも納得できますよね。

予防につながる
生活習慣


人も犬も防ぎようのない認知症。
でも、犬の場合「予防に繋がる」と言われていることがあるのでご紹介します。

それは『静かに過ごさせすぎないこと』

積極的に外に連れ出してあげることが、とっても効果的だとわかっていますよ。例えば、日光を浴びることで、体内時計が整って睡眠サイクルが整いますし、匂いや音などの適度な刺激を受けることで脳の老化が緩やかになるそうです。大切ですよね。

ですから、自力歩行が難しくてもカートに乗せて、外気浴をさせてあげましょう。

それから「ぼんやりしてる」「いつも寝ているから」といって、一緒にいる時間が減ってきちゃうかもしれませんが、これまで以上にスキンシップの時間を増やす事も大切だそうです。

うりもお散歩が大好きで、毎日長い時間外にいますから、17歳、少しは予防効果がでているのかもしれません。

疲れたら
助けて!と言おう


犬が認知症になると体力的にも精神的にも辛くなりますよね。

私も実感しはじめていますし、周りの人達を見ていてもそのご苦労は伝わってきます。でも、家族で協力しながら、少しでも長く楽しく快適に過ごしてもらうよう努力をしている。その様子に心がギュッとなります。

どうでしょう。シマウマさん。
少しは参考になったでしょうか。人と犬、似ている症状もあるし、犬特有の症状もありますよね。疲れた時、困った時には助けてと声をあげる。そうやって助け合うことができればいいですよね。

この記事はラジオ番組:radio café『犬とあなたと珈琲と。』
(第1.第3土曜16:00~16:29/FM83.1Mhzレディオ湘南)の2023年3月3日放送分を修正しました。

本記事は「こちら」から視聴可能。後半部分にお便りのコーナーがあります。
レディオ湘南は世界中どこからでもワンクリックで視聴可能です。
番組サイトにもぜひ遊びにきてください→『犬とあなたと珈琲と。』

◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。

文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagramは『こちらから』
ル・ブラン湘南のInstagramは『こちらから』

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中、2022年4月(毎週金曜16:00~16:30)から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。

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