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犬とあなたと珈琲と。Vol.58

聞逃し配信中(オープニングや曲はカットされています)
ミキサー:レディオ湘南 高橋優佳

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の17歳。愛犬の“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様は小田急善行駅からすぐ『駅前直売所八〇八(やおや)』を経営する株式会社八〇八の代表取締役中越節生さん。中越さんが藤沢市に移住してきたのは2012年。80種類の野菜を栽培していた農園がなぜ全てを菊芋に転換し、菊芋を使った加工食品を開発・販売し、店舗を構え、食堂まで併設させたのか。それは計画と不運の絡み合いでした。「農業は宝の山」「全ては肥し」と常に前進していく中越さん。私もスーパーフード菊芋を日常に取り入れていこう!と思うのでした。


―こんにちは、中越さん。ようこそお越しくださいました。
中越:どうも、こんにちは。お邪魔します。あっ、噂のうり店長がいますねー。

―そうなんです。うり店長17歳と6か月。よろしくお願いします。
中越:すごい長寿ですよね。でも元気で。

―はい。まだまだ元気でボーイフレンドもいます(笑)
中越:素晴らしいですね(笑)

―楽しくやっております。ワンちゃんは大丈夫ですか?
中越:ワンちゃんは大好きで、特に柴ちゃんの雑種みたいな雰囲気の子が好きで、藤沢に移住してくる前までは保護犬の柴犬の雑種の「ハチ」という名前のワンちゃんと暮らしていました。また機会があればワンコと暮らしたいなと思っています。

―それは、ぜひぜひ!
中越:ぜひ、保護犬を紹介してもらえれば。

―いいですね。

農業一本では
立ちいかないこともある


―中越さんは、小田急線の善行駅からすぐですよね、「駅前直売所八〇八」を経営されていらっしゃって。行ったことはなくても「その名前は聞いたことあるよ」っていう方は多いと思います。直売所には野菜や加工品などを販売するだけではなく、お野菜を中心としたお料理もいただける食堂も併設していて、私も何度かランチにお邪魔しています。とても楽しめますよね。オープンしてどのくらい経ちますか。

中越:「駅前直売所八〇八」をはじめたのは2014年ですので、今年で9年目です。2012年に藤沢に移住してきて、その前は千葉で5年程、農園を経営していたんです。なので、藤沢でも野菜作りからスタートしたいと思って、今やっています。ただ「リスクを分散する」という考えもあってお店も始めました。

―リスクの分散。農園だけではやっぱり難しいものですか。

中越:そうですね。藤沢に来る前は千葉の流山で会員制の畑を運営したり「健康野菜」と呼ばれる野菜、例えば、菊芋とかケールなどを栽培していたんです。「軌道に乗って来たな」と思っていたときに、東日本大震災が発生して、うちの畑が放射能汚染重点調査地域に指定されてしまったんですよ。

それで、もうそこでは農家を続けることはできなくなったんで、滋賀県に一時避難をしたんですが、農家を辞めるつもりはなかったので「家庭の事情」と「畑」、そのどちらの条件にも対応できるところを探していたら、翌年、巡り合ったのが藤沢だったんです。そういう「農業一本では立ちいかないこともある」という、経験からくるものが大きいですね。

世界三大健康野菜
菊芋とは


―「野菜直売所」は駅から1分。いいですよね。ピチピチの野菜たちが並んでいて私も買いましたが、中越さんの農園はちょっと珍しい「菊芋」が中心なんですよね。

中越:そうですね。まだまだ知らない方多いと思うんですけど、菊芋は「世界三大健康野菜」と言われていまして、見た目は生姜みたいで、味はゴボウに似た風味なんです。

芋は芋なんですが、キク科の野菜なので、でんぷん質はほとんど含まれていないんですね。主な成分はイヌリンという食物繊維でイヌリンには血糖値を下げて、糖の吸収を抑えるという効果があるので、菊芋を食べ始めてから「糖尿病の薬をやめたと」いうお客さんは多いんですよ。腸内のデトックス効果もあるので、ダイエットはもちろん、便秘や肌荒れも解消してくれるような野菜ですね。

―いわゆる「スーパーフード」なんですね。それは取り入れたいと思う人が多いと思います。

プロジェクトで
全ての畑を菊芋に!

イメージ:マーライコウ(マーラーカオ)

ー最初から「菊芋」をと計画していたんですか?

中越:それがですね、違うんです。最初は80種類くらいの野菜を栽培していたんですが、お店の運営をやっていると栽培にあてる時間が足りなくて、正直、肥料をまく時間もとれなかったんですね。でも、肥料を与えない状態でも「いい野菜」が作れたんですよ。

特に菊芋は害虫に強いし、生命力がとても強い野菜なので「無農薬・無化学肥料」でも立派に育つんです。やることと言ったら、草刈り程度。手がかからないので、藤沢の畑でも隅の方で栽培していたら、中華街の飲食店の方が「菊芋を使って『マーライコウ』を作りたい」って尋ねてきたんです。

―『マーライコウ』はカステラみたいなお菓子ですね(注:「蒸しパン」のイメージです)。

中越:はい。それで「マーライコウ」を作るプロジェクトが始まって、このプロジェクトは大きく発展しました。2017年に農水省と経済産業省の農商工連携事業にも認可されて「じゃあ、畑を全部菊芋にしよう」って思い切って全ての畑を菊芋にしました。

―それはすごい運命的な出会いですね。忙しくて野菜たちにあまり手をかけられない。でも、菊芋なら自然栽培でも順調に成長する。しかも需要も確保できた。「よし!菊芋でいこう!」と。

中越:はい。そうですよね。そんな感じで思っていたら、その中華街のお店のプロジェクト担当者が退職しちゃって…それも収穫前です。オーナーは中国人で、日本語があまり喋れないのでプロジェクトはストップしちゃったんです。

行先のない菊芋をどう
循環させるか


―えー!それはショックですよね。普通でしたら倒産しかねない事態ですよね。

中越:本当そうなんですよ!神様はなんで試練ばかり与えるんだろうと思っていましたけど…。でも、これは必ず次へのステップで「試されているのかなぁ」なんて思いました。それで、菊芋の本場というか、長野県が盛んなんですが、そことも繋がりを持ちながら、菊芋を使った商品の企画から販売まで、すべて自分たちで行って2018年に「キクイモのチカラ」を販売開始しました。

今では「八〇八と言えば菊芋」と覚えていただいておりますけど、商品化は自分からやりたかったわけではないんです。話がきて、受けて、頓挫して。でも、それを「どうにか活かそう」「循環させていこう」。そう考えた結果なんですね。

―循環させていこう…。これ中越さんのテーマですよね。

農業は宝の山

―ところで、中越さんの経営する『株式会社八〇八』。「はち・まる・はち」って書くんですよね。音で聴くと、野菜を販売する「八百屋さん」なんだなっていうのがすぐにわかりますし、見た目にも「〇」が可愛らしくて、覚えやすいし、とてもいいネーミングだなって思います。

中越:ありがとうございます。野菜を作っている農家が八百屋をやったり、野菜料理を作ったら一番いいよね!という理由で「やおや」という呼び名にしたかったというのと、「八〇八」の「八」は末広がり「〇」は循環を意味しています。また愛犬ハチの弔いの意味も込もっています。


―「〇」は循環…中越さんのテーマ。そうかぁ、ハチ君も喜んでいますね。

中越:ねっ。そうだといいですね。このお店は『TAKARA CAFÉ 』って言うんですよね。農業は「宝の山」だと思っていますので、なんだかまた、新たな宝が見つかりそうな名前です。

―農業は宝の山!農業に関わっている人も、そうでない人にも通じるいい言葉ですね。深い…。そう、『TAKARA CAFÉ 』はここで宝物の話をしたら、失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする。そういう場所になるといいなと思って付けた名前なんです。

中越:素晴らしいですね。また、新たな宝が見つかりそうな気がしてきました(笑)

―さすが!ポジティブ思考!もしよかったら、中越さんも宝物の話きかせてください。

サッカーと
自転車で駆け抜ける


―中越さんの宝物はなんですか。

中越:一番の「宝物」は娘ですね。でも、そう改めて聞かれると…中学生の頃『カリフォルニアロード』っていう自転車があって、それに憧れて、赤いカリフォルニアロードを買ってもらったことを思い出しました。嬉しくて、大切にしていましたね。

―カリフォルニアロード…それは、どんな自転車だったんですか?

中越:今では当たり前に走っているんですけど、当時は競輪の選手が乗ってるようなフォルム、スタイルの自転車はあまりなくて、スポーティーで速そうな自転車ですよね。しかも、16段か18段ギアが搭載されていて、そのメカニックに惹かれましたね。しかも、「赤」が自分の中では勝手にカリフォルニアっぽくて憧れていましたね。

―「赤がカルフォルニア」ってなんかわかります(笑)。私がまだ小学生ぐらいの時、ギア付きの自転車が流行って、まだ2段変速とか3段だったんですけど、男子が目の前を通り過ぎるときにギアチェンして、恰好をつけるというのが流行ってた気がします(笑)。その自転車でどこかに行ったりしていたんですか?

中越:当時は東京北区の王子と言う所に住んでいたんですけど、よく池袋サンシャインのゲームセンタ―とか新宿、上野、赤羽などに行って絡まれていましたね(笑)。普段はサッカー部で朝から晩までサッカー漬けの生活をしていましたけど。マラドーナやキャプテン翼を目指した世代なんでね、はい(笑)

ランニングが
農業をはじめたきっかけ⁈


―今でも中越さん見るからに体育会系ですよね。体が引き締まって。そう…農業をはじめたのも、ランニング中に休耕地が多いのが目についたのがきっかけだって聞きました。

中越:そうなんですよね。流山で中古の戸建て物件を購入して、それを「一度壊して、自力で家を建て直す」という作業をしていました。それで、時間のある時に近くの土手をランニングしていたら、休耕地や休耕田が目に付いたのがはじまりですね。だから、ランニングしていなかったら、農業はやってなかったですね!

―休耕地や休耕田が目について「これはどういうことだろう」と思ったんですね。

中越:はい。当時は内装仕事…大工をやっていたので、時間に余裕があったんですよ。それで、地元の図書館に行って農業の本を片っ端から読んだらですね、休耕地の多さとか、農業の高齢化、あと、跡継ぎ問題がありました。それ以外にも農薬汚染や日本の食糧自給率の低さとか「これは本当に大変なことだな」と思ったので、さっそく地元の市役所の農政課、農業をやるところですよね、そこに行って「農業やるにはどうしたらいいですか?」と聞きに行ったんですよ。

そうしたら「農家じゃなければできない」とか「機械が必要なので何千万なければできない」とか「貸せる農地はない」とか。こんな状況なのに、農業を普及していくどころか、農業を衰退させていくような対応に本当飽きれてしまって、そのうち、僕が相談しに行くと農業課の職員がさーっといなくなるという状況になって「もうこいつらには頼らない。いつか農家になって見返してやろう!」なんて思ったんですよね。

―疑問が危機感になって、しかるべく所に話を聞きに行ったら、想定外の対応だった。その時の「怒り」のようなものが、ハートに火をつけたのですね。

土に種を蒔けば
野菜はできる


―でも、そこからどうやって実現に結びつけていったんですか?

中越:ある環境保全活動をしているおばちゃんと知り合ったんです。その方に畑の師匠を紹介してもらいました。師匠は有機農法をやっている、長い髭を生やした仙人みたいな人で、畑から田んぼはもちろん「味噌」や「どぶろく」なども手作りしていて、古民家みたいな家に子沢山で、たまに家の中にネズミや蛇が出没するという、とてもファンキーな人でした(笑)

そこで1年学ばせてもらいました。なんでもやらせてくれたんです。というか、何でもやらないと追いつかないほど忙しかったので、逆にそれでいろいろ学べて、今では感謝しています。

―1年で独立したんですよね。不安はなかったんですか?

中越:「不安はない」ってことはないんですが、八〇八のうちのこのチラシにも「土に種を蒔いて、雨が降って、お日様が照らしたら美味しい野菜ができました。そこに、農薬や化学肥料はいりませんでした」と書いてあるんですが、基本「土に種を蒔けば、野菜はできるんだな」というのが分かったんですよね。野菜作りに正解はないっていうことを学んだんです。正解がないなら「自分はこうやりたい」っていうようにやればいいなって。

それから、親父が他界しておふくろが流山に来たので、ボケ防止のために草むしりをやらせようと思ったのも、独立を決意するきっかけになったと思います。まぁ、農業と出会って今に至るまでは、色々ありましたけど、自分の“格言”っぽく言えば、今までの経歴は「すべては肥し」として形成されてきましたね。

―「すべては肥し!」農家の「格言」ですね(笑)

中越:そうですね(笑)

ーここで、何か思い出の曲でもおかけしましょうか。

中越:じゃあ、中学の時の「赤いカリフォルニアロード」を思い出して「ホテルカリフォルニア」も久しぶりに聴きたなと思ったんだけど、でも、当時よく聴いていた曲にします。カルチャ―・クラブの『カーマは気まぐれ』(楽曲はYouTubeにリンクしています)

キクイモコーヒー開発中!


―今探している宝物はなんですか。

中越:それはもう「健康」です!
年を重ねるに連れて、健康が一番の「宝物」だと感じています。健康であれば、夢に向かって突き進むことができますし、自分ではどうしようもない障害にぶつかった時もチャレンジしていけると思っていますね。

―農業は「宝の山」。宝の山から収穫した菊芋を使ったコーヒーも開発中と聞きました。『菊芋コーヒー』を飲んで、健康維持!ぜひ、私も味わいたいですので、販売が決定したら連絡ください!
中越:ぜひ!もちろんです!

―そう、最近うちの近所に引っ越してきたんですよね。
中越:そうなんですよね。是非、うり店長も一緒に飲みに行きましょう!

―はい。早い時間じゃないと眠ってしまいます(笑)今日はお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか。
中越:ありがとうございます。遠慮なくいただきます。

―ごゆっくりお過ごしくださいませ。
中越:今日は時間が余裕あるので、もう少し居させてもらいます。

中越さんの番外編


―藤沢に来てどうですか?新しい課題が見つかったり、夢が膨らんだりしていますか?

中越:今は「株式会社」の「代表取締役」としてやっていますが、自分が会社員として働いていた時は、常に会社からノルマを課されて「クリア」をしたら、またその何倍ものノルマを課されて、それを達成するために毎日仕事をこなしていくという、天井知らずのやり方だったんです。

でも、これじゃあ「みんな不幸だよね」と感じていたので、今、自分が社長として、皆に実践してほしいのは、お給料や休日、仕事のやり方などを自分で構築して、「自分と会社」の両方に利益を出す仕組みをとことん考えてもらいたいです。そして、それに共感して楽しんで、頑張ってくれる仲間が増えたらいいなと思っています。

株式会社八〇八のホームページ⇒「こちら」

番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』 

インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagramは『こちら』
ル・ブラン湘南のInstagramは『こちら』

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1MHzレディオ湘南に出演中。

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