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近所の犬が声帯手術。どう思う?

白と黒の大型犬のアップ。モノクロ写真。

今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組、宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』に寄せられたお便りにお答えします。

手を振る飼い主。
モヤモヤします

今回のお便り:“秋の気配感じたい”さんからいただきました。
祐子さん、うり店長こんにちは。祐子さん!私のモヤモヤを聞いてください。

近所によく吠える7-8歳の小型犬がいます。その方は以前も同じ犬種を飼っていて、しかも同じ状態。「いけない」と怒ったり、口を掴んだりと注意をしている姿を見ますが効果はないようです。

ところが、先日、そのワンコが吠えている様子なのに声がせず「声帯を切った」と知りました。いつも申し訳なそうにする飼い主さんは、ニコニコと手を振ってきます。そこから、言葉にできないモヤモヤが続いています。祐子さんはどう思いますか。

声帯手術の依頼を
獣医は受けるか

“秋の気配を感じたい”さん、ありがとうございます。

声帯手術をすると「ハフハフ」「ハウハウ」と空気の流れる音しか聞こえないので、よく吠えるワンちゃんですと、声が正常に出ていないことに気づきますよね。

今、声を小さくすることを目的とした声帯手術は麻酔をかけてから口を大きく開けて、そこから声帯の全部、またはひだの一部を切り取る『口腔アプローチ法』と言われる方法が主流だそうです。この手術痕が再生して、かすれ声ではあるものの、また声がでるようになる。そういうこともあると聞きました。

そんな話をしてくれた知り合いの獣医さんに、「声を小さくするための、声帯手術依頼は受けますか?」と質問したところ、実際相談されたケースは1件で、その時は「しつけで充分解決できるレベルだと感じたので、専門家に相談するように勧めた」と言っていました。

ただ、その後どうなったかはわからず、気になっている様子でした。

飼い主の苦痛が
大きいと感じたら?

これまで、多くのカウンセリングを行ってきた中で思うのは、吠える犬、そして吠えに悩む家族の状態が様々なのはもちろんですが、「吠え」そのものよりも、そこから波及して巻き起こる幾つもの問題に心を痛めている方が多いということです。

もし、動物病院の外来で「自分なりに努力をして、専門家にも見てもらい、それでもどうにもならず、近隣から苦情が来ていて悩んでいる」と飼い主さんに告げられたら、どうでしょう。その精神的負担がとても大きそうに感じられたら。

或いは「もう苦情に耐えられず、保健所に出すしかない」と言われたらどうでしょう。

当然、スッキリした気持ちはしないでしょうが、獣医さんの返答は変わっていたかもしれませんよね。

とてもナイーブな問題です。

改善策は他にもあるはず

ただ、今回のご相談は前のワンちゃんも同じ状態だったとのこと。

お便りを読む限り感じたのは、2代目は以前の経験を踏まえて勉強をし、自信がなければ早い段階から専門家をつけて育てていく。そういう対策や成長も必要だったはず。

そして、鳴き声は静かになったとしても、犬が「ストレスから解放される」という一番大切な根本的な解決には至っていないということです。

1代目から続く生活環境や生活習慣、犬への接し方や注意の仕方など、今からでも見直すことはありそうです。

例えば「いけない」という言葉で犬は注意されていると気づくでしょうか。また、口を掴むのも良い方法とはいえません。

ぜひ、今からでも、もう一度スタートしていただきたい。私はそう強く感じました。

どうでしょう。秋の気配を感じたいさん。
飼い主の方は愛犬が静かになったことで気持ちが和らいで、手を振る余裕が生まれたのかもしれませんね。でも、本当は吠えている。

そういう、犬と人がちぐはぐで乖離している状態。人と犬が一対に見えない。そこに何とも言えない違和感を覚えたのかな…と、ちょっと思いました。

私も早く秋の気配を感じたいです。涼しくなったら、またお便りください。

この記事はFM831レディオ湘南:radio café『犬とあなたと珈琲と。』
(第1.第3土曜16:00~16:29放送)2023年9月2日放送分を加筆修正しました。

本記事は「こちら」から視聴可能。
レディオ湘南は世界中どこからでもワンクリックで視聴可能です。
番組サイトにもぜひ遊びにきてください→『犬とあなたと珈琲と。』

◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。

文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagram
ル・ブラン湘南のInstagram

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。

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