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ある時から他の犬に吠えることが…

今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組“宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』”に寄せられたお便りのご相談にお答えします。

仲良しの犬には平気です

ご質問内容:7歳のオスのシーズーを飼っています。 3歳頃までは、どんな犬とでも仲良くなれたのに、4歳頃からたまに吠えて相手の犬に向かって行くことがあります。向かっていくだけで、噛みついたりはしません。同じ犬の場合もあれば、前回は吠えず今回は吠えるという時もあります。顔見知りの仲の良い犬には吠えません。なぜ吠えるようになったのでしょう。レモングラスより

はい。他の犬に対する行動の変化についてのご相談ですね。

これは、レモングラスさんと愛犬、両方の様子を観察してからではないと、なかなか答えるのが難しい質問ですので、一度直接ご相談いただければと思います。でも今回は少しは参考になるかなと思う話しをしたいと思います。

パピーライセンスを知っていますか?

これまで他の犬に吠えることはなかったのに、ある時期から吠えるようになった。或いは、なぜか他の犬に吠えられるようになり、それがきっかけで吠えるようになった。

そういう話しはよく耳にします。
そしてその時期はだいたい1歳前後···。実はこれ「パピーライセンス」と呼ばれる期間が過ぎたことが原因かもしれません。

パピーライセンスとは、子犬にだけ与えられた“特権期間”です。

パピーライセンスの間は、犬同士のルールやマナーを守らず他の犬に近づいたり、ちょっと乱暴な行動をとっても、多くの場合「子どもだから仕方ない」と許してもらえます。

ですから、概ね生後半年位までのこの間に、自由闊達に他の犬と交流し、許され、可愛がられながら、心身共に健やかに成長していくことができるのです。

でも徐々に成長していくと、マナーのなっていない行動に対しては「そういうやり方は嫌」「それは違うでしょ」「失礼だよ」と示されるようになります。例えば、目線を外したり、顔を横に向たり、無視をするなどです。それでも通じない場合は、首元に鼻先や口を当てたり、「来るな!」と吠えて伝えます。

このように、相手に「嫌だよ」という意思表示をされることで「このやり方はダメなんだ」「じゃあ、これはどうだろう」と試行錯誤し、失敗や成功体験を積み、他の犬への接し方を獲得していくのですね。

保護よりサポートが必要なことも

でも、このような“犬独特の学習の仕方”を私たち飼い主が知らないと、「大切な愛犬が吠えられた」「怖い目にあった」と不安になり、上手に挨拶ができるようにサポートするのではなく、保護に偏っていってしまいます。

結果、先輩犬から学ぶべきことが学べなくなり「他の犬に近づきたいのに方法がわからない!」「先手必勝。吠えられる前に吠える!」など、吠えたり暴れたりする可能性が高まります。

このような行動がはっきりでてくるのが1歳頃なのです。

レモングラスさんのワンチャンは4歳頃からという話ですが、年齢に関係なく、環境の変化や犬の友達が変わったなど、このようなことに近い出来事はなかったでしょうか。

自己主張の強さも原因に

自己主張の強さも関係します。

先ほど話ししたように、挨拶のマナーが悪いと相手の犬は「嫌だな」という態度を示します。さらに、犬にも好き嫌いはあり、交流や挨拶をしたくない気分の時だってありますよね。そのような時に相手の犬が示す「嫌だな」という態度に対して「なんだよ!」と主張していることも考えられます。

日頃からマウンティングや必要以上の要求吠えがあれば、お散歩の時以外の行動から見直していく必要があるかもしれません。

スルーすることも大切

犬も好き嫌いはあるし、その日の気分もあります。

「誰とでも仲良くする」というのは人間側の理想が高すぎるのかもしれません。仲良し以外の子は何事もなく通りすぎる“スルー”する。そういう練習を繰り返す事で犬も人も穏やかにいられるのではないかと思います。

どうでしょう。レモングラスさん参考になったでしょうか。一緒に遊んだりできる仲のいい犬が1-2頭いる。それだけで充分幸せだと思います。毎日のお散歩楽しんでくださいね。

関連記事⇒『犬の欲求と自律』

この記事はラジオ番組:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(毎週金曜16:00~16:29/FM83.1Mhzレディオ湘南)の2022年7月1日放送分の内容を修正しました。

本記事は「こちら」から視聴可能。後半部分にお便りのコーナーがあります。
レディオ湘南は世界中どこからでもワンクリックで視聴可能です。
番組サイトにもぜひ遊びにきてください→『犬とあなたと珈琲と。』

◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。

文:白田祐子(しらたゆうこ)

Instagram:@doggy_uri
      @ル・ブラン湘南

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中、2022年4月(毎週金曜16:00~16:30)から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。

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