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犬とあなたと珈琲と。Vol.32 岡本 麻里

聞逃し配信中(オープニングや曲はカットされています)
ミキサー:レディオ湘南 高橋優佳

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(毎週金曜 16:00~16:29)放送中

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。ここで“宝物”の話をすると探し物が見つかるとか?…オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の愛犬“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様は女性・小児専門『まり鍼灸院』の院長で鍼灸師の岡本麻里さん。企業や大学に勤務しながら「手に職をつけたいと」漠然と思っていた麻里さん。ある日「自分の近くに職人がいるじゃないか」とお父様の姿と結びつきます。実家は静岡県三島市で3代続く鍼灸院。「素晴らしい恩師と出会えたことで進む方向が定まり、生まれ故郷の三島に戻ってきました」。五感をフル活用して患者さんの身体のバランスを整えていきます。姪っ子が赤ちゃんの時、夕方にお灸をするとその夜はよく眠ったそう。「お子さんの健やかな成長を助ける選択肢の一つとなるよう、もっと多くの人たちにお灸の気持ち良さを経験してもらいたいです」。麻里さんの柔らかな笑顔に心も緩みました。


-こんにちは!麻里さん、ようこそお越しくださいました。

岡本麻里さん(以下 岡本):祐子さん、こんにちは!お久ぶりです!うりちゃんも久しぶりです!

―うりとは2度目ですもんね。初めてお会いした時は私とうりが散歩をしている時でしたね。

岡本:はい。そうでした。こちらのお客様で常連さんだと思いますが『NALUトレーニングスタジオ』の道上香織さんと一緒のときでした。

―そうでしたね。香織さんからご紹介されたのが麻里さんでした。
岡本:はい。素敵な出会いに感謝です。

いつかは“お灸小屋”を。
夢が叶った日


―麻里さんは鍼灸師さん。鍼とお灸の先生でいらっしゃって『まり鍼灸院』を開業されて、もうすぐ4周年でしょうか。

岡本:そうですね。私が生まれ故郷、静岡県の三島に帰郷して個人治療院『まり鍼灸院』を開業したのが2019ですから、丸3年。4年目に入りました。

―去年12月には、白くて清潔でかわいらしい治療院を建てられて、もうすぐ新治療院も開院1周年ですね。おめでとうございます。

岡本:ありがとうございます。とんとん拍子に話が進んで今の場所に治療院を持つことができました。私は鍼灸師の免許を取得したのが40歳を過ぎてからで、職人にしてはかなり遅いスタートだと思いますが、鍼灸学校を卒業してから弟子入りした先で素晴らしい恩師と出会えたことで進む方向が定まって、それで生まれ故郷の三島に戻ってきました。最初の『まり鍼灸院』は築50年の古いアパートの一室からはじまったんですよ。

―築50年のアパート!ある意味貴重な印象もあります。そのアパート時代の患者さんも今の場所に通ってくださっていますか。

岡本:はい。みなさん「新しくて気持ちがいい」って喜んでくれます。「いつかは“お灸小屋”を作りたい」「できれば50までには作りたい」ってずっと思っていましたので、一つの夢が叶ったかなって思っています。

いつか
父の役に立ちたい


―『お灸小屋』って仰っていましたが、麻里さんはお灸をメインでされていらっしゃるんですよね。それには何かこだわりがあってのことですか?

岡本:そうですね…まず私が修行させていただいた先がお灸専門だったということがあります。最初は患者として治療をお願いしました。その時に「こんなに気持ちがいいお灸ってあるの」ってとても感激したんですね。その後、ありがたいことにそちらの先生に研修生として受け入れていただきました。修行中は師匠である先生のお人柄、それから技術と患者さんへの向き合い方に接して、本当に感銘を受けまして「絶対にこのお灸の方法を故郷に持ち帰りたい」と思いました。

それから、実家の家業は祖父の代から鍼灸院なんですね。最初に借りたアパートも今の鍼灸院も実家のそばにあります。父は鍼専門なので「父は鍼」で「私はお灸」。そうやって棲み分けたら「父の役に立てるんじゃないか」。そういう思いがとても大きかったからです。

―「お父様の役に立てるかも」という言葉を度々麻里さんの口から聞きます。お父様が大好きで、尊敬されていらっしゃるというのが伝わってきます。

岡本:言いたい事いいあって、喧嘩もしょっちゅうしているんですけどね(笑)

子供の頃の夢は
ピアノ奏者

―ご実家が代々続く鍼灸院で、でも麻里さんが鍼灸の世界に入ったのは、ご自身でも「遅いスタート」と仰ってましたが、その間は長い道のりでしたか。

岡本:そうですね。親も「いつかは鍼灸師に」とは思っていなかったからというのもあると思います。私は子供の頃からピアノが大好きで演奏家を目指しましたので、親も応援してくれていました。ピアノのお稽古のために中学受験をして地元から片道1時間半もかかる隣町の学校まで通っていたんですよ。

中学から大学までエスカレーター式に進学できれば、ピアノの練習もできるし、なにより三島は中学に入ると全員が部活に入らなくてはいけなくて、それも同曜日も練習のあるスポーツ部しかなくて指を痛めたらもう終わりなので、それで遠くの学校まで通っていました。ただ、中学高校で興味の幅もだいぶ広がって、結局高校の途中でピアノから離れてしまいました。今はもっぱら聴いて楽しんでいます。

開業するときは
三島でと決めていた

水と緑の町三島

―どこかで鍼灸というのが頭をよぎったんですね。

岡本:はいそうです。大学進学をきっかけに東京に出てからは一般企業や大学院の研究所に勤めていたんですが頭の中では、ぼんやりと「手に職をつけたい」と思っていたんです。一人で生きていくためのものですよね。そんな中で「そうだ!自分の近くに職人がいるじゃないか!」って父の姿と結びついたんです。

親が歳をとれば三島に戻ろうと思っていたので、開業するときは三島でと最初から思っていました。ただ、そのためには専門学校の入学金を貯めなくちゃいけない。まとまったお金を貯めるために働いていた、というと失礼な言い方ですが、学費を準備することはとても大切でした。

岡本:『TAKARA CAFÉ』素敵な名前だと思ったんですけど、何かここでこうやって一息ついていると、この時間と空間が宝物だなって感じがします。

―ありがとうございます。『TAKARA CAFÉ』はここで宝物の話をしたら、失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする。そんな場所になるといいなと思って付けた名前なんです。
岡本:素敵です。

―もしよかったら麻里さんも宝物の話きかせてください。

人との繋がりに
気付けたことが宝物

―麻里さんの宝物はなんですか。

岡本:そうですね、こうやって自分の歴史を話してみると、今の自分がある、それまでの過程に気づけたこと。「気づき」だと思います。

―「気づき」。例えばどのような。

岡本:まず、「一人で生きているのではない」ということですね。当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、様々な出会いがあって“今がある”と実感しています。鍼灸の恩師に出会えたことで私の人生は変わりましたし、日々出会う患者さんもそうですね。私のところはHP もなくて宣伝らしいことはしていませんが、患者さんのご紹介でまた新たな患者さんがご来院していただくなど、人の繋がりがあって、今も治療院を続けていられます。そういうことに気付けたことが宝物です。

―気づき…哲学的ですね…。口コミで患者さんが繋がっているって仰ってましたものね
岡本:はい。

五感をフル活用して
全身を診る


―『まり鍼灸院』は「女性・小児専門」なんですよね。

岡本:はい。女性の患者さんが女性しかいない場所で女性の鍼灸師に診てもらう。それが安心感にも通じると思っています。

―最初のカウンセリングというか問診に時間をかけてくれるのが麻里先生の特徴と聞きました。

岡本:達人になれば「パッ!」と見ただけで分かるのでしょうけれども、私は必死なだけなんです。腰が痛い、肩が痛いと言っても、どこかに痛みがでるのは少しバランスが悪いからなので、五感をフル活用して全身を診ていきます。日頃から集中力を高めて色んなことに取り組む方なので一日が終わるとぐったりしちゃいます。

―丁寧に話を聞いてくれて、先生自身が疲れるまで集中して自分の体に向き合ってくれる。それは信頼できます。五感をフル活用するというのは?

岡本:東洋医学の診察法に「四診(ししん)」というのがあるんですね。

・望診(ぼうしん)患者さんの見た目や視覚から診断します。
・聞診(ぶんしん)ニオイだったり、その患者さんの呼吸や声で状態を探っていきます。
・問診(もんしん)こちらはお分かりかと思いますが、患者さんに色々質問して言葉を引き出していく、インタビューですね。
・切診(せっしん)こちらは脈です。患者さんの脈状がどのような状態かというのを探っていきます。

それ以外にも私は話ながら表情を診たり、皮膚の状態やお腹を触ったりする触診など、五感の全て、自分が持っているものは全て使って診ていきます。

熱くないお灸で
全身ポカポカ


―五感を使って診立てて…全身に対応していく。

岡本:そうです。治療は患部だけではなく全身に行います。私がしているお灸は熱くないお灸ですから耳や目の周りにもするんですよ。治療後は、お風呂に入ったように全身がポカポカするのが特徴のようです。そうやって緊張を緩めて、バランスを整えていくやり方です。鍼灸治療は痛みや急性症状だけではなくて、内科的な疾患や慢性疾患にも適応するので、冷え性の祐子さんにもぜひ試してもらいたいです。

―興味津々です。心も体もポカポカ気持ちよく緩みそうです。

あたりを強くせず
副反応を抑える鍼治療


―鍼はどうですか?なんだかちょっと怖くて勇気が出ない方もいるかと思います。

岡本:そういう方もいらっしゃいます。鍼灸で使う鍼は髪の毛よりも細いんですね。それでも体に異物が入っていく訳ですから副反応がでる場合もあります。例えば、いつまでも鍼が残っているような違感覚だとか、だるさを感じる方もいらっしゃるようです。

私の場合はなるべくそういった副反応がでないように深くしない、刺激をあまり与えない方法でやりますので、副反応があったとしても長引くことはありません。中には「ズン」と響く感じを好む方もいらっしゃって、そういう方には遠慮なくそのように対応ていしますが、基本的には1回のアタリを強くせず、何度か重ねていくことが大事だと私は思っています。薄紙を一枚一枚剥がしていくような引き算の治療ですね。なので、まずは3回。「3回通ってみてください」とお伝えしています。

赤ちゃんや授乳中のママにも
優しいお灸

お灸に使うもぐさ

―小児専門というのは。

岡本:実は私自身、子供の頃「ちょっと風邪気味だな」とか「お腹が痛い」とかいう時に父に鍼をしてもらうと治っていたので病院に行った記憶がないんですよね。それから、妹の子供、姪が二人いるんですけど、彼女たちはベイビーの時からお灸をしています。今は12歳と8歳なんですけど、今もお灸が大好きです。妹が子育て中、子供の寝つきが悪い時に夕方にお灸をすると夜ぐっすり眠ってくれると言って喜んでいました。

―それは最高にありがたいじゃないですか!ベイビーが眠れずに苦しんでいるママさんたちに教えてあげたいです。

岡本:そういえば、思い出しました。出産後に乳腺炎でお乳がでないって来院された方がいらっしゃいました。お乳の横に温度が上がらないようなお灸をしたらすぐ詰まりがとれたんですね。待合室には赤ちゃんを抱いたパパが待っていましたから「早く赤ちゃんにあげて」って。その時は本当にとっても嬉しかったです。

―目の前が一瞬で幸せに包まれる。本当にママさんもパパさんも嬉しかったでしょうね。さてさて、ゆるっとしたところで、何かゆるッとできる曲おかけしましょうか。

岡本:ありがとうございます。それでは、カーペンターズの曲をお願いします。『Close To You』を藤井風さんがカバーしています。そちらをリクエストさせてください。(楽曲はYouTubeにリンクされています)。

健やかな成長を助ける
鍼灸治療を広めたい

―今探してる宝物はなんですか?

岡本:たくさんの人たちに鍼灸と出会ってほしいです。特に、お子さんの諸症状に鍼灸が適応するということはあまり認知されていないので、お子さんの健やかな成長を助ける選択肢の一つとして鍼灸治療が広がるよう、お灸の気持ち良さを経験してもらう機会を増やしていければと思います。長い歴史のある治療法ですが、まだまだ新たな発見が起こりそうな分野ですよね。

ーとても勉強になりました。今日はお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか。
岡本:ありがとうございます。ではもう一杯、TAKARAスペシャルブレンドをお願いします。

まり鍼灸院の情報は『こちら』
番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』

インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)

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白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1MHzレディオ湘南に出演中。

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