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犬とあなたと珈琲と。Vol.15 犬丸 美絵

聞逃し配信中
ミキサー:レディオ湘南 高橋優佳

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1Mhz レディオ湘南(毎週金曜 16:00~16:29)放送中

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。ここで“宝物”の話をすると探し物が見つかるとか?…オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の愛犬“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様は人と犬のフォトグラファーinu*maruこと犬丸美絵さん。犬丸さんは犬関連の雑誌や書籍の表紙を飾り、写真展などもされる一方、2016年から神奈川県動物愛護センターの登録ボランティアカメラマンとしての活動もされています。センターに収容され心を閉ざした犬たちが笑顔に変わる。多くの言葉で語るよりもたった1枚の写真から伝わるストーリーがそこにはあります。“人と犬との出会い”が宝物と語る犬丸さん。ふとした出会いが25年来の夢を叶える出来事に!そして愛犬“Danbow”君の名前に込められた想いとは…。


――犬丸さん!こんにちは。
犬丸美絵さん(以下 犬丸):こんにちは。中山さんに聞いてきちゃいました。

――『イヌと暮らす』の中山ゆきさんですね。よくいらっしゃるんですよ。
犬丸:聞いています。今日は“Danbow”も一緒に連れてきました。

――Danbow君、よろしくお願いします。

捨てられた犬たちの
再出発

――先日お会いしたときは「葉山で6歳の男の子のバースデー撮影していた」と仰っていましたね。独学で写真を学び始めたのが25年位前とのことですが、今では“犬丸”さんの名前にピッタリ、犬と人を中心とした人気のフォトグラファーです。

犬丸:ありがとうございます。犬丸ってね、本名なんですよ。ありがたいことに犬関連の雑誌や書籍の表紙や紙面のお仕事をしたり、犬の写真展の展示会に声を掛けていただいたりしています。あとは2016年から神奈川県の動物愛護センターの登録ボランティアカメラマンの活動もしています。今もセンターに旧センターの写真を掲示してもらっています。祐子さんも県のセンターには関わりがありますよね。

――私は10年ほど神奈川県の動物愛護推進員をしていますので、センターに行くと犬丸さんのパネル写真はいつも拝見しています。保護された犬たちの悲しみから笑顔まで心を動かされる写真。とても素敵だと思っていつも見ていました。

犬丸:ありがとうございます。7年ぐらい前の冬ですか…旧センターは昭和47年に創設された古い建物で、それが今の新しい施設に変わることが決まり「古い建物を残すために撮ってほしい」と友達を通してセンターからお話をいただきました。それまでも何回かお話はいただいていましたが、色々と感じやすい質というか弱虫で…犬たちが悲しんでいたり、辛い場所なのだろうと分かっていたので何となく行けなかったんです。でも、今回「行く時が来たな」と思って行きましたが、やっぱり前日は全然眠れませんでした。

当日はセンターの職員さんの案内で半日ぐらいかけて撮影しましたが、施設と動物たちを撮っていくうちに「犬たちがきちんと生活していること」や「職員さんが犬によくしていること」にとても驚いたんです。今まで私がネットや紙媒体などで見てきた“悲壮なイメージ”とは違っていて、犬たちが「しっかりと生きて」いたんです。

でも、それは神奈川県動物保護センター(当時)が犬の処分をしなくなって2年目だったんです。だからの空気感だとは思いました。今は『殺処分0』ですが、それは「センターに犬がいない」ということではなく『殺処分0』だからこそ「犬はセンターで生きている」「再出発に向けてきちんと生きている」ということです。 そういう犬たちの姿を「おもてに見せてあげたい」。そう思ったのが通い始めたきっかけでした。そうして何だかんだやってるうちに「登録ボランティアになりませんか」って仰っていただいて、何か流れでそうなったっていう感じなんです。


――始めて行ったその日に『ここの犬たちを撮り続けたい』と思った1頭の犬と出会ったそうですね。

犬丸:本当に初めて行った時でしたね。駐車場の隣に軽自動車が止まって、その中にすごくかわいくてきれいな“スタッフォードシャーブルテリア”っていうアメリカのちょっと闘犬っぽい犬が乗っていたんですね。「まさかこの犬捨てる訳ないよね」って思って半日ぐらい撮影した後、最後の“収容房”っていう犬たちがいる個室部屋に行ったら、その子が入っていたんです。

さっきまで、車の後ろでニコニコ笑っていた犬が、もう言葉にならないような姿で個室で悲しい顔をしていて、もうびっくりして…何も言葉にならなくて… “犬を捨てる”ってこういうことなんだと思いました。それで、この子が幸せになっていく姿を追いたい、最後まで見ていきたいと思って通い始めた。そういう理由もあります。

――そのスタッフィーはどうなったんですか?

犬丸:センターで3ヵ月位過ごした後、保護団体を通して預かりさんのお宅で1年半位の家庭生活を送りながら里親さんを探して、そして新しい家族と暮らし始めました。

――よかった。犬丸さんが撮影したそのスタッフィーの表情の変化は色々な媒体でも目にしています。写真を見るだけで多くのストーリーが伝わってくる、そういうエネルギーのある作品が多いと思います。

犬丸:センターは令和元年に建て替えられてキレイで清潔な場所になりました。でも、スタッフィーみたいに「捨てられた時の感情」というのは何も変わりませんから、これからも伝えていきたいと思います。そして最近は「保護犬」って括りだけじゃなく、一般家庭に飼われている犬たち全てが楽しく暮らせるよう、自分にできることはないかなと思い、啓発もしかりですが色々な活動をしています。

犬と一緒に
自然に還ろう!


――私は犬丸さんの犬だけではなくて、家族と犬、子供と犬の写真も大好きです。とくに屋外でイキイキとした表情の写真が多いですね。

犬丸:スタジオを持っていないというのもありますが、私はもともと九州出身の田舎暮らしで、ずっと自然の中で育ってきたんですね。だから自然の中で遊ぶのが昔から好きだったんです。今は葉山で暮らしていますが、海にいると寝たきりだった子が立ち上がったり、走れないっていうシニアの子が急に走り出したり、そういう不思議っていうか信じられない奇跡みたいなことがあって“自然の奇跡”をいっぱい目の当たりにして感動しました。

それで5年ぐらい前から、“犬と一緒に自然に還ろう”というコンセプトでネイチャースクールを開催しているんです。撮影するにしろ犬と活動するにしろ、自然の中って子供も犬もとてもいい表情するなって思います。

――動いている犬を撮影するのは大変ではないですか。

犬丸:いえいえ、犬は日本の場合、基本リードを付けなきゃいけないじゃないですか。動ける範囲ってある程度限られているんですね。でも、お子さんって“オールフリー”で(笑)それでいて「はい。ポーズ」とか言うとピースするじゃないですか。それで自然な写真が撮れなかったりする。だから、犬って思いのほかそんなに大変じゃないです。

――子供の方がむしろ大変…
犬丸:ですね(笑)

こどもを撮るコツ


――オールフリーのこどもたちを撮る攻略法はありますか。

犬丸:私の場合は基本的に子供扱いはせずに、これは犬もなんですけど、対等の人間として話をするんです。話しかけて、その子の「好きなこと」や「興味あること」を引っ張り出したり、お話を聞いてみたり、「子供が考えるような質問」をしてみたり。で、どんどん仲良くなっていくんですね。そうやって撮っていくんです。

そして、今はデジカメなので後ろのモニターで撮った写真を見せてあげられるので「見てみて!かっこよくない?」とかって言うと「おっ格好いい!」とか、だんだん盛り上がってきて。で、子供達も結構楽しそうに撮影をする。そんな感じです。


犬丸:家族と犬の写真の話に戻るんですけど、私も家族と一緒に撮った写真ってすごいいいなと思ってるんですね。私もずっと犬と暮らしてきましたが、犬はどうしても人間よりも寿命が短くて、どうしても先に旅立つことになっちゃいますよね。私も経験しました。

でも、犬と一緒に写っている写真が意外に少なかったりするんですね。亡くなった後って一緒に存在しているっていうのを見たいような気持ちになるので、一緒に写っている写真って本当に宝物になるんですよ。

――本当にそう思います。私も愛犬と一緒の写真が全然ないことに愕然としました。もしも可愛いツーショットがあったら絶対に宝物になると思います。
犬丸:そういえば、このお店って宝カフェって言うんですよね。

――はい。
犬丸:先代の愛犬が「たからちゃん」とかなんですか。

――残念ながら違います(笑)でも、その名前かわいいですね。このお店は宝物の話をしたら、失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする、そういう場所になるといいなと思って付けた名前なんです。もしよかったら犬丸さんも宝物の話きかせてください。

人との縁が
25年来の夢を実現!


――犬丸さんの宝物はなんですか。
犬丸:人との出会いですね。

――これまで人生のターニングポイントとなるような出会いはありましたか。

犬丸:いっぱいあるんですけど…例えば、私はいま『Photorip(フォトリップ)』って、犬と一緒に写真を楽しみながら小旅行をするイベントとかも開催しているんです。そして、昔から「犬と一緒にいつか列車で旅したいな」って夢がありました。そうしたら本当に数か月前になんと!JR東日本さんとペトコトさんが『ペット専用新幹線』の実証実験を日本で初めて行うことになって、その専属カメラマンとしてお声がけいただいたんです!

――それ新聞やネットニュースでも見ました!軽井沢へ行くペットルーリズム企画ですよね。「あぁ時代が動いた」って思いました。それはどういう縁だったんですか。

犬丸:これはさき程もお話した“ネイチャースクール”を一緒にやっているトレーナーさんがいて、その方がお客さんとしてお友達を連れて来てくださったんです。そのお友達というのがペトコトの方だったんです。フェイスブックで繋がってはいるものの、お会いしたのはその時だけだったんですが、今回の企画の「専属カメラマンを探す」となった時に私の顔がひょっこり浮かんだそうです。

――それは最高の出会いですね。列車と犬の旅をずっと夢見ていたということですから、本当に嬉しかったのでは?

犬丸:もう夢のようでした。お話しをいただいた時はキャーキャー喜んで Danbowがドン引きするぐらいでした。私はJR九州で働いていたことがあって、その時からの夢だったのでもう25年位前からの夢だったんです。

――JRにお勤めだったんですか!

犬丸:はい。勤めたのは5年程ですけど運輸部というところでは女性2人目の社員だったので「日本で2人目の女性車掌」の仕事や「日本初の女性輸送指令員」の仕事などもさせていただけたんです。

――かなりびっくりの経歴です。私は列車好きなんですけど「列車が好き」だったんですか。

犬丸:好きですね。列車が好きだったし、特にJR九州の列車は夢があってとても好きなんです。
私は地元の九州が本当に大好きで「九州を楽しく元気にする仕事」がしたいなってずっと思っていたんです。それで、好き過ぎて、好き過ぎて、私が就活する時に全然ルートもないので人事部宛に何通も何通も手紙を送って口説き落としました(笑)。

――大学生の犬丸さんが一生懸命ラブレターを送っていた熱意は今の姿からもすごく想像がつきます。その情熱が伝わって採用されたってすごいですね。

犬丸:もう本当に嬉しかったですね。私は情報工学部で理系出身なので、憧れの企画系のお仕事には付けなかったです。でも、運輸部に配属されたからこそ、普通だとできない車掌さんとか運輸指令などの体験をできたり、色んな縁が繋がったので「本当に良かった」と今となっては思います。全てなんですけども、人と犬との出会いですよね。人と犬との縁がこれまで私の人生を全部作ってくれているような気がするので、やっぱり宝物は出会いとか仲間ですね。

愛犬の名に
込めた想い


――Danbow君の名前は“人との出会い”を繋げてくれるような気がして、名付けたと聞きました。

犬丸:Danbowは本当にいまどき珍しく、多摩川に段ボールに入って捨てられていたんです。
そのせっかくの昭和感を個性として残してあげようと思って、段ボールの「ダンボ―」と段ボールから幸せな人生、犬生になる“虹の架け橋”になってほしいと思いrainbowの「bow」。それを足して“Danbow”にしたんです。

でね、名は体を表すっていうかDanbowだから暖房好きになっちゃって(笑)それで暖房器具といっぱい一緒に写真を撮っていたら、その会社のホームページに載せてもらったり。だからすごく色々持っている人(犬)で、私の人生の相棒でもあり、今は仕事も一緒にしてくれている本当にいい子です!

自然な表情は
盗撮がおすすめ

――今日はせっかくなので写真家犬丸さんに聞いちゃいます。犬を上手に撮影したいと思っている人にコツを教えるとしたらなんて答えますか。それも犬と二人で散歩中にスマホで撮るというシチュエーションです。

犬丸:コツは山のようにあるんですけど…。一つ言うのであれば最近のスマホは犬でさえ“顔認証”してくれるじゃないですか。それにピントが深いんですよ。どこにでもピントが合うので「犬たちの自然な表情を撮りたいな」と思ったら犬を盗撮するんです。歩きながら、走りながら、サクッと撮るんです。それも声をかけずに「撮るよ!」とか言わずに撮る。そうすることで自然な表情が撮れるし“楽しく撮る”のが一番ですよね。

――なるほど。ここで一息、何かお好きな曲をおかけしましょうか。

犬丸:曲の美しさと、何といっても「世界を癒そう」と言う歌詞が大好きな、マイケルジャクソンの『Heal the World』をお願いします。

人と犬との縁と
豊かな自然が宝物


――今探している宝物はなんですか。

犬丸:犬と一緒に楽しめる場とともに、笑い合う仲間たち、そして豊かな自然です。写真家という本業と個人でいろんな活動をしてきましたが一人ではできないことってたくさんあって『一般社団法人One for Wan』を立ち上げたんです。犬と一緒に“あったらいいな”を形にしたり、犬と一緒に“とことん楽しく”をコンセプトに「一生涯犬と一緒に暮らしていけるよう、大きな家族をつくる」。それが夢です。そのためにはやはり人と犬と縁とそして豊かな自然が宝です。

――すてきな宝物。ぜひ、私もその仲間に入れていただきたいと思います。
犬丸:ぜひぜひ、よろしくお願いします。

――今日はお話を聞かせていただいたお礼にもう1杯いかがでしょうか。
犬丸:いただきます。

――ごゆっくりお過ごしくださいませ。Danbow君ももう少しゆっくりして行ってくださいね。
犬丸:はい。うりちゃんと遊んでいきます。


犬丸美絵さんの
『ホームページ』『ブログ』『Facebook』『Instagram』『(一社)One for Wan』

犬丸さんの番外編!


――JR九州『ななつぼし』の写真集に犬丸さんの写真が採用されていましたね。

犬丸:あれも本当に偶然なんです。JR時代の上司の方と縁あって久しぶりにお会いした時に『ななつぼし』の話題になって「知ってる?」って聞かれたんですけど、私そのとき知らなかったんですね。それで、いろんな話を伺ったら、もう夢のようなクルーズトレインで「すごいすごい!」ってなって、「じゃあ九州帰ったときに撮る?」って。

それで実家に帰ったときに「1時間だけ撮っていいよ」って仰っていただいたので、車両区で清掃中の列車に乗せていただいて撮影したんです。嬉しくてお礼を兼ねて元上司の方に撮影した写真をプレゼントしたら、ちょうどその時、公式写真集を作っていたらしく担当部署にその写真を見せてくれたんですよ。そうしたら「これいいね」ってなって掲載していただいたんです。

――それもすごい出会いですよね。JRの採用から元上司との再会、奇跡の連発みたいな出会いのループですね。

犬丸:これまで私の人生の全部が人や犬との縁が作ってくれているような気がします。

番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』
インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)

Instagram:@doggy_uri
      @ル・ブラン湘南

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中。

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