散歩が嫌い?すぐに帰ろうとする愛犬なぜ?
今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組、宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』に寄せられたお便りにお答えします。
これからゆっくり
散歩を楽しみたいのに
今回のお便り:スカイブルーさんからいただきました。
祐子さん、うり店長こんにちは。うちの子(1歳の豆しばの男の子)はあまり散歩に行きたがりません。玄関までは喜んで来ますが、外に出るとすぐに帰ろうとします。この春に長年勤めた会社を辞め、これまであまりしてこれなかったお散歩をゆっくり楽しみたいと思っていました。どうすると散歩が好きになりますか。
🐾🐾🐾
スカイブルーさんお便りありがとうございます。お仕事お疲れ様でした。気持ちのいいこの季節、ゆっくりお散歩を楽しみたいですよね。でも、お散歩が嫌い…
経験不足から
恐怖心が原因かも
まだ1歳ということですので、どこかが「痛い」とか「体調不良」がないのであれば、お散歩を嫌がるのは「恐怖心」が原因のことが多いです。
いつもの繰り返しになりますが、犬にとって、生後3週から12週までは、自分を取り巻く環境に慣れていく「社会化期」と呼ばれる時期です。家から一歩出ると、そこは未知の世界。多くの人や犬やモノ、聞いたことのない大きな音や複雑なニオイなど、五感全てに刺激があります。この時期に多くのことを経験することで「これは怖がる必要がないんだ」「こういう時はこうすればいいんだ」と学んでいきます。
でも、社会化期に家の中にばかりいたり、色々な経験やチャレンジをする機会が少なければ、外を怖がるようになってしまいます。だから「お散歩が嫌」。本来楽しいはずの外での活動をストレスに感じてしまうのは悲しいことですよね。
お便りにも「これまであまりお散歩をしてこられなかった」とありますので、スカイブルーさんの豆しば君も「経験不足」からの「恐怖心」が原因かもしれません。
行きたい気持ちはある。
リードしてあげよう
ただ、玄関までは喜んでくるということですので、「外に出たい気持ち」があることは伝わってきています。今がチャンス!ぜひ、その気持ちに答えてあげましょう。そのためにも、スカイブルーさんが「強い気持ち」でワンコをリードしてあげることが大切です。
たとえば、「大丈夫だよ」「怖くないよ」と、優しくなだめるような声かけをするはNGです。犬は言葉そのものではなく、声に含まれる感情やトーンを読み取りますので、なだめるような声のトーンは往々にして「そのままでいい」と〝褒められた“と勘違いさせてしまいます。
さらにそこに「怖いよねー」と同情心が含まれれば、「やっぱり外は怖いんだ」と〝不安感”をより増幅させてしまいます。
逆に「ほら歩きなさい」「怖くないから!」とイライラしたり、イライラを含んだ声かけは、犬をネガティブな気持ちにさせるので、「お散歩」=「イヤなもの」と関連付けてしまいます。
ですから、散歩に出るときは「私に任せれば大丈夫」という強い気持ちが必要。イライラせず同情もせず、悠々と笑顔で行きましょう。楽しそうな様子を見せて「怖くないんだ」「なんだかワクワクしてきた!」と犬に感じてもらうこと。それが需要なポイントです。
テンションアップ!
楽しい気持ちを伝えよう
もう一つ大切なポイント、コツは、自分の太ももなどをポンポンと叩いて、しっかり誘導しながら歩き始めること。歩き始めは勢いよく出ることです。犬は動くものに反応します。そして、2歩でも3歩でも、歩けたら褒めてあげます。公園など目的地を決めて、着いたらおやつをあげたり、一緒に遊んだり、撫でてあげたりして、歩く以外の楽しみを与えてあげること。
そうやって、楽しい気持ちを伝えながら、外の世界に慣れさせていきましょう。慌てず急かさず、諦めずに取り組めば、必ずお散歩を楽しんでもらえるようになるはず。ぜひ、今日から初めてみてください。
どうでしょう。スカイブルーさん、少しは参考になったでしょうか。犬と一緒だとこれまで出会えなかったお友達ができたり、これまで気付かなかった発見など、今までとは違う豊かな時間が流れるものです。楽しみですね。またお便りお待ちしております。
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この記事はFM831レディオ湘南:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(第1.第3土曜16:00~16:29放送)2024年5月4日放送分を加筆修正しました。
本記事は「こちら」から視聴可能。
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◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。
文:白田祐子(しらたゆうこ)
白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。パートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。