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犬が散歩で歩かないのはなぜ?


今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組 宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』に寄せられたお便りのご相談にお答えします。

お出掛け先では歩きます…

今回のお便り:ひろこさんからいただきました。
我が家のミニチュアダックスのさくらは外を歩きたがりません。すぐに立ち止まったり、お座りをして抵抗します。それなのに、車で出かけるとスタスタ歩きます。怯えたり、他の犬に吠えることはありません。どういうことなのでしょう。

🐾🐾🐾

お散歩でなかなか歩いてくれないというご質問ですね。外の世界を怖がっているのではなさそうですので、すぐに思いつく理由は大きく2つあります。

歩くテンポを
変えてみよう!

一つ目は歩きやすさです。

私もトレーニング先で「うちの子全然歩かないんです」って伝えられることはよくあります。でも、外に連れ出してみると「歩くの大好き!」ってことがあります。犬が感じる歩きやすさは、そのとき一緒にいる人への信頼感や安心感などメンタル面も大きく影響します。

ただ、今回のご相談で注目すべきは歩く“テンポ”かもしれません。たとえば、歩かせたい思いから、ぐーっと前へ引っ張ると犬は反発して後ろに体重をかけます。体の小さな犬の場合、より反発するために座って抵抗します。

あるいは、カーミングシグナルの可能性もあります。カーミングシグナルは自分や相手を落ち着かせる犬特有の行動で、こっちが急かすと、わざとゆっくり動いたり、立ち止まったりします。「ちょっとちょっと!焦らないで落ち着いて」というメッセージです。

色々な場所を
歩くのもいいかも

前述した2つの理由だとした場合、解決策は「犬よりも先に歩かない」こと。犬が歩き出すのを待って、こちらがコントロールしないように意識すると、案外トコトコ歩きだします。私も「はじめまして」のわんこと歩くとき、私が少しでも前に出るとピタッと歩くのをやめる子がいます。そういう場合、一歩下がって振り出しに戻るとまた歩き出してくれます。

ここまで聞いて、「えー、車で出かけた先ではスタスタ歩くんだから、違うような気がする」と感じた方もいるかもしれませんね。

でも、同じ人間でもお出掛けの時は気持ちに余裕があって、あまり急かさなかったり、景色を楽しんだり、周囲を気にかけたりして、いつものテンポと変わることってありませんか。そういう環境や心持ちの変化というのは、案外歩くスピードや行動に影響を与えるものなのです。

楽しい!
との関連付けをしよう

もう一つ、考えられるのは散歩コースとネガティブ要素の関連付けです。たとえば、いつもの散歩コースに嫌いな何かがある、ちょっと苦手な人や犬に会う確率が高い。嫌なことをされたなど。わたし達が気付いていないだけで何か嫌なことがあったのかもしれません。こういう場合は、おやつやおもちゃを見せながら、楽しく誘導してみましょう。嫌なことを忘れさせる作戦です。

それでも、関心を示してくれなければ、公園などまで抱いて行き、着いたらおやつを食べる。そうして楽しいコトと関連付けをしていきます。たぶん、帰り道は「帰りたい気持ち」から歩くでしょうから、歩きながら明るく声をかけたり、笑いかけたりする。「歩いて当たり前」ではなく、歩いたら褒める事で気持ちを盛り上げてあげましょう。

歩くと褒められて「楽しい!」を繰り返すことで、目的地の公園まで歩いていけるようになっていくはずです。実際にそういうワンコを何匹も見てきました。「楽しいコト」「いいこと」が多ければ多い程、ネガティブな関連付けは薄れていきます。

ひろこさん、どうでしょう。少しは参考になったでしょうか。さくらちゃんの様子をよく観察して、ぜひ試してみてくださいね。

この記事はラジオ番組:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(毎週金曜16:00~16:29/FM83.1Mhzレディオ湘南)の2022年5月27日放送分の内容を一部修正したものです。

本記事は「こちら」から視聴可能。後半部分にお便りのコーナーがあります。
レディオ湘南は世界中どこからでもワンクリックで視聴可能です。
番組サイトにもぜひ遊びにきてください→『犬とあなたと珈琲と。』

◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。

文:白田祐子(しらたゆうこ)

Instagram:@doggy_uri
      @ル・ブラン湘南

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中、2022年4月(毎週金曜16:00~16:30)から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。

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