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犬の心理*犬の欲求と自律#2

犬の感情や欲求はわたし達が思う以上に複雑です。

また程度の差はあれども、犬は犬同士でしか満たされない欲求もあります。それはわたし達がどんなに努力しても満たしてあげることはできません。

犬同士の欲求を満たすためには犬が〝自らの行動“で解消していくことが必要です。

今回は犬が〝自ら適切な行動をとれるようになるため”のポイントを見ていきます。

心の不均衡

本能的な欲求

例えば、個体差はありますが犬は同族種である、他の犬に対して「近づきたい」「ニオイを嗅ぎたい」という本能的な欲求を持っています。でも、成長過程で何らかの齟齬が起きたり、ストレスがかかってしまったりすると、他の犬に対して“吠える”“怯える”などの行動が現れてきます。

これは本来持ち合わせた欲求と感情、あるいは感情と行動がアンビバレントな心理状態に陥っていると言えます。

※何らかの齟齬については前回の記事を参照→『犬の心理*犬の欲求と自律#1』

アンビバレントな心理状態

 アンビバレントな心理状態とは、例えば、ポジティブとネガティブ、好きと嫌いなどの真逆の感情が同じ対象に対して同時に覚えている状態です。

今回の話の場合は「他の犬に近づきたい」という自然に湧きあがるポジティブな感情に対して「交流経験が少ないので怖い」という“自信のなさ”などのネガティブ感情が同時に起こっている状態です。

◆アンビバレントな状態でどちらかの感情を優先させるとどうでしょう。

◎「近づく」を優先:緊張や不安が増し動けない・吠えるなど。
       結果:欲求は満たされない

◎「怖い」を優先:近づくことができない
      結果:欲求は満たされない

アンビバレントな状態では欲求は満たされることはないため、このような状態が続くと心の乱れや負担などから心が不安定になり、人間から見ると「問題行動」と呼ばれる“困った行動”“不適切な行動”が起こりやすくなります。

自律

犬が欲求を満たすためには*心と行動をうまくコントロールして安定させること*が必要です。

それを「自律(セルフコントロール)」と呼びます。

自律しながら状況に応じた行動が取れるようになると様々な感情世界が満たされ“幸福感”を得られる。人間が犬の成長をサポートする目的はそこにあるのではないかと私は考えています。

自律に必要な要素3つ

✓我慢(諦め)

はっきりと拒否されたことで自分の思い通りにはいかないこともあることを学ぶ。

✓限度

ある一線を越えたときに注意されたことで「ここまでは大丈夫」「これ以上はダメ」と行動の境界や限度を学ぶ。

✓判断能力

家族は遊びや甘えの対象で「いつでも許される」という価値基準から、自分の行動に問題がある場合は「遊んでもらうことはできない」という新たな価値基準を身につける。

子犬は本来母犬や兄弟犬など家族や群れとの交流を通じて自律を学んでいきます。

例えば、子犬が母犬や兄弟犬などの体をうっかり強く噛んでしまったり、相手の気分や状況に構わずじゃれようとしたとき、母犬や兄弟犬は遊びを中断したり、マズルを子犬の首に当てるなどして注意をする様子を見ることがあります。そのとき、子犬は希望通りにいかない(欲求が叶わない)ことで、「どうして?」「なんで?」と心の葛藤が起きます。

そこで同じ行動を繰り返し行い、自分の動きと結果の因果関係に気付き「我慢・限度・判断能力」を身につけていくのです。

経験と結果とそこで起こる葛藤が自律の萌芽となるのです。

では、自律した犬の行動とはどのようなものなのでしょう。その点を次回お伝えしたいと思います。

◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。

文:白田祐子(しらたゆうこ)
この記事は初出2017年5月18日『犬の心を育む2~ニーズとセルフコントロール』(「犬のココカラ」掲載)を大幅に加筆・修正しました。

Instagram:@doggy_uri
      @ル・ブラン湘南

白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:公益社団法人日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ、ル・ブラン湘南代表。

1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。

大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した犬のしつけ相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師、2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中。

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