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犬がボールを見失うのはなぜ?

今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組“宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』”に寄せられたお便りのご相談にお答えします。

目が悪いのでしょうか?

ご質問内容:文太の母ちゃんさんからいただきました。
祐子さん、うり店長こんにちは。我が家の文太は外でボール遊びをしていると、しばしばボールを見失います。ボールの場所まで行ってキョロキョロ。目が悪いのかなと心配になります。そうかと思ったら私が手から落としてしまったおやつは瞬時にGETします。食いしん坊だからでしょうか。この違いってなんなのでしょう。

犬の視覚についてのご質問ですね。
ボールはキョロキョロ探すのに、手から落としたおやつはばっちり見えている…。「なんとなくわかる…」って頷いた方もいるかもしれませんね。

犬の視力って?目は悪い?良い?

まず犬の視力について考えてみましょう。

犬の視力は人間の視力に換算すると、概ね「0.27だった」という実験結果があります。

そもそも犬の視力ってあまりよくないんですね。視力とはどこまで細かなディティールまで見えているかです。

それに対して、動体視力はずば抜けています。
狩猟犬の場合、一般的な人間に比べると「4倍以上の能力」だそうです。だいたい900m離れていても動いているモノであれば確実に目視できるそう。

ハイビジョンテレビがコマ送りや単なる光の点滅に見えるほどの動体視力というのですから、人間との違いに驚きですよね。

視力はちょっと悪くても、投げた(動く)ボールはよく見える。だから、上手にボールをキャッチしたり、追いかけたり、落下地点まで行くことができるんですね。

犬の色の世界

文太君のように、近くまで行ったらキョロキョロ。

ボールが止まってしまうと一気に見えにくくなるという理由もありますが、犬の色彩、犬の色の世界も人間とは異なる。そういう理由もあるかもしれません。

色の見え方。
犬は人間に比べると、鮮やかさがやや劣り、見える色の数がはるかに少ないようです。

色だけで分類すると、青とグレーと黄色の3色だけとか。ただ、そこに濃淡が加わりますので、バリエーションはあるようです。

例えば、虹の七色。レインボーカラーは人間の場合、一般的に、紫、藍色、青、緑、黄色、オレンジ、赤に見えますが、犬には、暗い青、濃い青、明るい青、グレーっぽいくすんだ黄色、薄い黄色、濃い黄色、グレーに見えるそうです。

緑の芝生はグレーっぽいくすんだ黄色。
そこに赤いボールなら濃いグレー、黄色なら薄い黄色に見えるので、犬には少し見分けが付かないかもしれませんね。

青いボールなら青、オレンジなら濃い黄色に見るので、メリハリがあるかもしれません。芝生が枯れた茶色や砂浜のグレーでも青は見えやすいので、止まったボールを探すには、色合いも大切な要素、なんですね。

犬は正面の近くは見えづらい

最後に死角について。
犬は人間よりも目と目の間が離れていますよね。

人間の視野は180~200度位ですが、柴犬位の顔の長さの犬だと250度位、もっと顏の細長い犬はさらに広範囲が見渡せるそうです。

でも、その分、真正面には死角がある。だから、ボールに限らず、目の前にあるものに気付かないという現象が起こってしまうんですね。

ヨコはよく見えても正面は見えにくい。

おやつのようにニオイの手がかりがあったり、目の前で落下したものは目測で場所がわかるけど、人間とは全く違う視覚世界で犬は生きているようです。

文太の母ちゃんさん、どうでしょう。
少しは参考になったでしょうか。これからはワンコを思いっきり走らせても安心な季節ですよね。ワンコとのアウトドア、ますます楽しんくださいね。

関連記事⇒『INUBITO Diary 犬の視力の話』

この記事はラジオ番組:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(毎週金曜16:00~16:29/FM83.1Mhzレディオ湘南)の2022年10月28日放送分を修正しました。

本記事は「こちら」から視聴可能。後半部分にお便りのコーナーがあります。
レディオ湘南は世界中どこからでもワンクリックで視聴可能です。
番組サイトにもぜひ遊びにきてください→『犬とあなたと珈琲と。』

◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。

文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagramは『こちらから』
ル・ブラン湘南のInstagramは『こちらから』

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中、2022年4月(毎週金曜16:00~16:30)から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。

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