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犬とあなたと珈琲と。Vol.14 草薙 徹

聞逃し配信中
ミキサー:レディオ湘南 高橋優佳

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1Mhz レディオ湘南(毎週金曜 16:00~16:29)放送中

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。ここで“宝物”の話をすると探し物が見つかるとか?…オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の愛犬“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様はサンドアーティスト“江ノ島イルカ部”の草薙徹さん。子供の頃の宝物は“ボーイスカウトの装備品”。「ナイフを携帯していてそれがカッコよくて好きだった」。今は金属のヘラを相棒に毎週末片瀬西浜や東浜などで“砂イルカ”を制作。10数年前から一人で作りはじめた砂イルカも今は仲間たちと共に制作し、様々なコラボ企画も大人気です。「きれいな海でこの先も子供たちが砂イルカを作り続けていってほしい。そのためにも度肝を抜くような作品を作りたい」。砂イルカが還る海の先には大きな希望が輝いていました。


――こんにちは。草薙さん、ようこそお越しくださいました。

草薙徹さん(以下 草薙):このお店ずっと気になっていたんですよね。そうしたら白田さんのお店だって聞いて、本当かなって思ってちょっと寄ってみました。

――ありがとうございます。うり店長がやってきましたね。草薙さんはワンちゃんと暮らしたことはないと仰っていましたが、「江ノ島イルカ部」にはダックスフントの会長犬がいますよね。

草薙:よくご存じですね。メンバーに佐々木さんという方がおられて、こじろう君っていうワンちゃんがいるんですね。なので毎週会っています。

――明日も西浜ですか。
草薙:そうですね、雨が降らなければ行く予定でいます。

SNSの海を泳ぎ回る
砂イルカ


――以前は週末になると海岸に突如現れる砂イルカに本当に驚きました。今では多くの方が楽しみにしていますね。

草薙:そうですね。今は「江ノ島イルカ部」として自然に集まったメンバー10人位でイルカなどのサンドアートを作っています。もともとは自分ひとりで作っていたので「いつの間にか増えてしまった」という感じです。

――今ではすっかり有名になりました。

草薙:これだけ人気がでるとは全く予期していなかったので本当に驚いています。サンドアートは時間が立てば崩れたり、波にのまれたりして消えていきますが「海に還っていった砂のイルカがSNSの海を泳ぎまわっている」そんな風に思っています。どこまで泳いでいくのか全く見当がつかないですね。今のところ。

――SNSの海を自由に泳ぎ回っている砂イルカ。ロマンチックですね。ここまで人気がでたのは「師匠」と親しまれている“人間草薙”さんの魅力にもあると思います。

草薙:いやぁ、もう還暦過ぎていますので…なんでしょうね、そう言っていただけると本当に嬉しく思いますけれど。

――最初に砂イルカを作ったきっかけは10数年前に伊豆に遊びに行ったら台風に見舞われて、やることもないなか「たまたま、イルカに見える砂山」があって、それでイルカを作ってみたら注目された。という話はあちこちのメディアで見聞きしています。その時に私が思ったのは“あえてイルカ”じゃなく“偶然イルカ”なんだ…でした(笑)

草薙:そうですね。最初は偶然だったんですよね。本当に偶然、カタチがイルカのように見えたので。その時がきっかけでもうちょっと巧く作りたいな、上手に作りたいな、リアルに作りたいなって思ってイルカの画像などをよく見るようになったんです。そしてYouTubeとか見ているうちに「愛情や遊び心がある生き物なんだなぁ」と、ちょっと興味が沸いて来てだんだん好きになりましたね。

愛・優しさ・
思いやりを込めて


――好きじゃないと、あそこまで“愛を感じる”作品は作れないと思います。私は特に、2頭のイルカがキスするように抱き合っている「cheek cheek」という作品が大好きです。

草薙:あー、そうですか。ありがとうございます。あれはエノスイのイルカショーのパフォーマンスの名称で、画像を見かけて「作ってみたいなー」と思ったんですね。愛とか優しさ、思いやりというメッセージを込めて作っているのでそれを感じてもらえたならとても嬉しいです。

――作品のインスピレーションは写真や絵などからもらうことが多いですか。

草薙:そうですね、画像を見るのはやっぱりビビッとくるものはあります。あと海に向かう車の中とか作っている最中に閃いたりしますね。以前はずっとイルカの体を真っすぐに作っていたんですけど、ふと“バナナのような曲線”を持たせたてみたらとても自然に見えるようになったんですよ。動きが出るような作品ができたので、本当にちょっとした閃きというか、突然閃くような感じになりますね。あと、愛とか優しさとか思いやりの正反対のことがあった時に感じますね。

――正反対のことがあったとき…
草薙:お互いに尊重しあえるということに気付いてほしいなぁって、そういう願いを込めて作っていますね。


草薙:最初にこのお店が気になったのは『TAKARA CAFÉ』って書かれた小さな看板だったんですよね。面白い名前だなって思って。

――そうだったんですね。ここで宝物の話をしたら失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする。そんな場所になるといいなと思って『TAKARA CAFÉ』にしたんです。もしよかったら、宝物の話、きかせてください。

装備品と
大切な相棒


――草薙さんの宝物はなんですか。

草薙:子供の頃、ボーイスカウトをやっていたんです。その頃の装備品がものすごく好きで、アルミでできている食器や水筒やシュラフ。あとナイフとか携帯していたんですよね。それがカッコよくて好きでした。ボーイスカウトの先輩から“野営で生きていく方法”みたいなものを教えてもらっているような気がしていましたね。

――サンドアートの時も見ていたら、腰に道具入れを巻き付けてヘラをスッと取り出して。ヘラはなくてはならない装備品、相棒という感じに見えました。

草薙:あの道具はもう何個目だろう…。金属なんですけど砂を削っているとどんどん薄っぺらくなっていくんですよ。で、薄くなって最後には折れるんです。そこまで使い込む道具なので本当に大事な相棒ですね。

――自然の中で活動したり、体を動かしたりすることは子供の頃から好きだったんですね。
草薙:そうですね。小学生の頃は野球小僧でしたし中学では陸上をやっていました。大学時代は友達とサーフィンをしたりしていました。

――今はキャンプが流行っていますが、野営にはチャレンジはしないんですか。
草薙:そういう状況になったらですね(笑)

――アート系はどうでしたか。
草薙:子供の頃から本当に好きでしたね。小学校の家庭科の授業に“刺繍”があって夢中になってやっていました。あと模写が好きでしたね。油絵もやっていました。

――お仕事はそういう関係に進まれたのですか。

草薙:最初はコンピュータ関係の仕事をしていたんです。生産物が目に見えてこないので不満がつのっちゃって…。そんな時、色々な出会いが重なって休日に看板広告の仕事を手伝うようになったんですよ。そしたら、それが面白いなって思って会社を辞めて本業にしてしまいました。

――看板広告ですか。だから『TAKARA CAFÉ 』の看板も目に入ったのかもしれないですね。
草薙:そうですね。普段から本当に看板はあちこち見て歩いてますね。

最後の目入れで
命が宿る


――私は草薙さんがお一人で作っている時から、創作過程を見させていただいています。だいたい最後に目を入れていますね。

草薙:そうですね。以前テレビを見ていたら龍の墨絵を描く画家さんが出ていたんですね。おそらく何ヵ月もかけた細かい作業の最後の最後に目を入れる作業をしていたんです。ただの黒い丸だったんですけど、それをじっくりと描いた後…その瞬間ですよね「命が宿った」ように見えたんですね。それで、砂イルカも同じと言ったら本当におこがましいですけど、目がやっぱり1番大事だと思っています。

――全体もツルっとしていてピチピチとハリがあり、目も本当にリアルです。眼窩を掘って眼球を入れて、というと生々しいですね、穴を掘って泥玉を入れて、そして瞼を被せて作るんですよね。

草薙:最初の頃は目が作れなくてペットボトルの蓋とか入れていたんです。でも、どうしてもそれが許せなくなって「なんとか作れないか」と思っていたら、ちょっとしたきっかけで閃いたんです。経験を重ねていくうちにしか、多分思いつかなったと思うんですけど、水分の含み具合によってくっつく砂とくっつかない砂があるんだってことがわかったんです。

それで、ちょっと水分の多い砂玉を作って入れて、ちょっと乾き気味の砂を瞼として被せてあげると簡単に取り除くことができたんですよね。それで思いついたんですよ。

砂イルカmeets
天の川


――夕陽や青空をバックにした写真はどれも感動的ですが、一番驚いたのは満天の星空“天の川”をバックに、宇宙を飛んでいるような「cheek cheek」でした。

草薙:その当時はいろんなアイディアを絞っていて、Instagramにいいヒントがないかなって観ていたんです。そうしたら天の川のpostを見かけたんです。天の川は簡単に見られないことは知っていたんですけど、宮古島弾丸ツアーに出ました。天の川をバックに砂イルカの写真が撮れるものなのかを検証しに行ったんです。

――どうでしたか。
草薙:あの写真は全く予期していなかったんです。実は島んちゅのカメラマンが真夜中に撮ってくれたものなんですよ。写真が真夜中に送られてきて、見た瞬間に胸がキューってなって涙が出ました。おそらくお会いしたのは2回目位の方だったんですけど、「なんでこんなことまでしてくれるんだろう」っていう気持ちでね。本当に感動しました。

君にもできる!
一緒に作ろう


――色々な思いや人生の深みが込められた砂イルカ。見る人によっても感じ方は違うと思います。以前は無情にも蹴ったりする人の姿も目にしましたが最近は見かけなくなりましたね。

草薙:それでもやっぱりおられますよね。子供は「砂はもろい素材」だってことを知らないで、扱い方が分からないだけかもしれないんですけど、乱暴に掴んだりして崩してしまったりがよくありますね。

――扱い方がわからない

草薙:はい。いつも手にしているものとは材質が違って脆弱ですぐに壊れるということを自分で作って知ってもらいたいと思います。そして自分で作ることで作った人の気持ちもわかるようになると思うんです。

――本当にそうですね。江ノ島イルカ部さんは色々な団体とコラボして制作イベントなども積極的に行っています。そういう理由もありますか。

草薙:そうです。作って見てもらうだけじゃなくて「一緒に作る」のが好きです。そういうイベントに親子で参加されると、結構、両親の方が夢中になっちゃってね。お子さんほったらかしになっちゃって(笑)。でもね、そういう姿をお子さんに見てもらう機会を作ってほしいなと思います。そして子供たちにも「本気で作ればできるんだ」「君にも作れる」って、そういう気にさせてあげたいんですよね。

――かっこいい!


――休日などのお家時間は、どのように過ごされているんですか。

草薙:家では古いレコードプレーヤーがあるのでレコードを聴いたりしています。

――それは素敵ですね。ここにレコードはありませんが、なにかお好きな曲をおかけしましょうか。

草薙:じゃあ、ピアノの音色が好きなのでショパンの『ノクターン』をお願いします(楽曲はYouTubeにリンクしています)。

後世へ残すための
鍵を探して


――今探している宝物はなんですか。

草薙:砂イルカを後世に残すための、何か鍵を探しています。人の度肝を抜くようなインパクトのある砂イルカを作る技術とひらめきとかも必要だし、キレイな海も必要です。ゴミだらけの砂浜じゃ作る気もなくなるので。そんな中で砂イルカを見て成長した子供たちに今度は自分たちで真似して作ってほしい。そうやって繋がっていってほしいなって思うんです。

――もう伝説は始まっていると思います。毎週出会えるところも大好きですが、「あっ!」と驚くサプライズも期待しています。イルカ部会長のこじろう君にもよろしく伝えてください。
草薙:はい。ありがとうございます。

――今日はお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか。
草薙:いただきます。

――ごゆっくりお過ごしくださいませ。
草薙:今日はもうこのまま帰るので、ゆっくりさせていただきます。

草薙さんの番外編!


イメージの具現化

――お仕事は看板広告業だそうですが、デザインや設置をされているのですか。

草薙:そうです。交通広告とか商業施設の広告とかの制作や交換とか、あとマーキングっていうんですけど、トラックの車両に広告を貼り付けたりしています。

――面白そうな仕事ですね。サンドアートには設計図のようなものはないと聞きました。看板広告は平面だと思いますが、立体物のデザイン感覚はどこで培われていったのでしょう。

草薙:広告を作成するときはクライアントさんの望むものを汲み取らなくてはいけません。相手の望みをイメージし具現化していく。看板や広告は図柄のパーツや文字位置のバランスがとても大事で、イメージしたものをバランスをとりながら具現化していくんです。そういうことが習慣づいているんですよね。このイメージの具現化が役立っているのかもしれないです。


イルカの瞼と瞳孔

――イルカの瞳孔は犬のまん丸、猫の縦型、ヤギの横長とはまた違って、下向きに弧を描く三日月型なので薄暗いと瞳孔が開いてちょっとハート型に見えたりもします。今度ハート形の瞳をしたイルカも作っていただけますか。
草薙:やってみたいですね。

――あと瞼に線は入っている“二重瞼のイルカ”もいるんですよ。
草薙:知ってます!

――二重ちゃんも今度作ってください(笑)
草薙:やってみます!

草薙徹さんのInstagramは「こちら」
番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』

インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)

Instagram:@doggy_uri
      @ル・ブラン湘南

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中。

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