ブログ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. ラジオカフェ
  4. 犬とあなたと珈琲と。Vol.34

犬とあなたと珈琲と。Vol.34

聞逃し配信中(オープニングや曲はカットされています)
ミキサー:レディオ湘南 高橋優佳

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』

FM83.1MHz レディオ湘南(毎週金曜 16:00~16:29)放送中

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。
ここで“宝物”の話をすると探し物が見つかるとか?…
オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。
店長はカフェオレ色の愛犬“うり”。
美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様は社中『一期一会』茶道家の伊藤眞理子さん。茶道教室の他、外国人観光客や企業研修などでも茶道を教えています。実家は小田原の和菓子屋さんでした。「和菓子は子供の頃から見てきたものですが、毎日見るものが美しいものだったからこそ、美に対しての眼は育てられたのかもしれません。茶道は総合芸術であり、和菓子はそのなかのひとつです。父が亡くなり、実家の和菓子屋は閉めてしまいましたが、“和菓子を日本から絶やさない”という想いは心の底にあります」。ビジネスマンの顔も持ち、現在は茶道を通した日本文化普及活動をしています。交通事故に遭いで九死に一生を得たとき「私に何かをさせるため、父がこの世に戻したんだと思いました」。お父様が大切にした和菓子を守り続けるため、今日もスーツから着物に着替え、未来へ歩むのでした。

-こんにちは!眞理子さん、ようこそお越しくださいました。

祐子さんこんにちは!お久しぶりです。うり店長もいますか?

―はい。今昼寝中なんですけど、もう少しで起きると思います(笑)

茶道を通じて日本文化を学ぶ

―眞理子さんは様々な顏をお持ちの“輝く女性”のお手本のような方だと私は思っていますが、そのいくつかの顏の中の一つに茶道家というのがありますよね。裏千家のご師範でいらっしゃって、多くのお弟子さんをお持ちだと聞きました。

はい。茶道を始めて25年位でしょうか。
師範となって4年ほどですね。祐天寺や鎌倉でお稽古をしていて、私の茶名は宗眞(そうしん)、社中の名前は「一期一会」と言います。現在28名のお弟子さんが通ってくださっています。

―28名とは大人気ですね。お弟子さんにはどのような方が多いですか?

茶道って聞くとシニア層のお稽古と思われる方も多いんですが、私の社中はおもしろいことに、半分位は20代のお弟子さんなんです。

―実は私も20代の前半お茶を習っていたことがあるんです。盆手前で終わってしまいましたが。

それは残念!
茶道を始められる方は色々な理由がありますよね。着物を着る機会にしたいとか、落ち着いてホッとしたい、お菓子を食べたいからとか、お茶だけをメインにするのではなく、その全体を楽しみに来るという方が多いように思います。

私のところに入門される若手の方は「日本文化について知りたい」「日本文化について仕事で外国人に聞かれて答えられなかった」といった理由から、「茶道を通じて日本文化を学びたい」と仰る方が多いですね。なので、フランスの会社にお勤めという男性の方もいらっしゃいますし、マレーシアや韓国の方もいらっしゃいますよ。

―それはワールドワイドで楽しそうです。日本文化の発信ですね。

実家は小田原の和菓子屋

―そもそも、眞理子さんが茶道を始められたきっかけは?

子供の頃から、茶道には興味はあったんです。
茶道はカタチの世界ですよね。型通りにきっちりやるというのが好きなんです。それも、誰よりもより美しく、極めていく。そういうことにとても魅力を感じるんです。でも「茶道を始めるなら自分でお稽古代を払えるようになってから、独立してからにしてくれ」と父に言われていたんですね。

同じくカタチの世界でもある「書道」も大好きで、子供の頃から習っていてやはりこちらも師範を持っているんですよ。茶道に関しては、父の言いつけを守って30歳の頃からはじめました。

―様式美の魅力。それを極めてより美しく表現していく。とても美意識の高さを感じる言葉です。お父様はなぜ茶道に関しては反対というか期限を設けたのでしょう。

なかなかいい質問です。
私の実家は小田原で40年続く「鳳月」という和菓子屋だったんです。2014年に父の他界とともに残念ながら閉店しましたが、父は和菓子職人だったんです(写真上:和菓子職人の道具。お父様が50年以上使用していたもの)。

和菓子と聞くと、お団子やお饅頭を想像される方は多いと思いますが、そういう日常的にいただくおやつではなく「上生菓子」と呼ばれる方です。茶道にはつきものですよね。ですから、お店のお菓子は近所の茶道教室や社中に納品していたんですね。

お店はAとBとCのお店に卸しているのに、私がAのお教室にだけ通う。それはちょっと困るんだよねというのが父の考えだったのではないでしょうか。

―なるほど。納得ですね。ご商売柄ということだったんですね。

そうですね。小田原は「お茶の町・お菓子の町」とも言われていて、とても多くの和菓子屋さんがあったんです。今はパッと思いつくのは…わずか2軒位でしょうか…(写真下:お父様が作った上生菓子)。

外国人向け茶道体験が教えるきっかけに

―眞理子さんは海外の方にも茶道を教える機会が多いと聞きました。先ほども海外のお弟子さんがいると仰ってましたが、それとはまた別の機会があるんですよね。

はい。実は海外の方に教えたのが、人に教えたはじまりです。そして、それをきっかけにお教室を持って、お弟子さんを持つようになったんです。

―それはどのような機会だったんですか。

大企業のヴァイスプレジデント以上の企業研修でした。
日本の企業ですが、世界中に拠点を持っていて、ヴァイスプレジデント以上になると日本で1週間研修を行い、そのうち一日は「お茶」「書道」「おりがみ」を体験するというプログラムが組まれていました。私が担当した時はなんと16か国から参加されたヴァイスプレジデント以上の方々でした。

―海外の偉い人向けの研修。茶道には伝統的な作法なども含めてたくさんの日本的要素が詰まっていますものね。そういう研修を担当されたのは、お茶の世界とは別の眞理子さんの顏と大きく繋がりますね。

そうなんでしょうね。
私は以前、外資系のコンサルタント会社に勤めていましたので「コンサルやってました」×「外資系にいました」×「茶道師範」ですという掛け算ですよね。ビジネス×英語×茶道というところから白羽の矢が当たったんだと思います。

この研修はイベントや研修などを企画する企業が仲介したものですが、私に直接声をかけてくださったのは、コンサル会社時代の先輩でしたので、縁・ご縁というのはわからないものです。

―それをきっかけに海外向けの茶道プログラムでの先生やお教室も持つようになったんですね。

そうです。鎌倉でインバウンドとして外国人観光客向けに茶道体験をお引き受けすることもあります。
(写真上:外国人旅行者向け茶道体験)

日本文化体験教室で茶道教室開講中

―お教室の方は?

先ほどの企業研修をプロデュースしている企業の担当者さんが「私もやりたい」と言ったのがきっかけです。

ちょうどそのタイミングで祐天寺にある、日本文化体験教室『和みハウス』という所に月1でお教室の空きがあるというお話しをいただいていたので、そちらのお教室を借りて始めました。

他には裏千家の鎌倉支部に所属して役員も務めておりますので、鎌倉のお茶室などでもお稽古をしています。それらを始めたのが4年前ですね。

―わずか4年でお弟子さんがそこまで増えてというのはスゴイですね!

はい。私は茶道を職業にしている訳ではなくビジネスを展開していますので「お茶を教えよう」「先生になろう」とは、もともと思っていなかったんです。ですから、自分で選らんだのではなく、お引き受けして行ったら今に至ったという感じで、面白いですよね。

―人生どのような縁があるのかわからないですね。

ところで…『TAKARA CAFÉ』って面白い名前ですがお宝探しの何かですか?

―『TAKARA CAFÉ』は失くした宝物、忘れていた宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする、そんな場所になるといいなと思って付けた名前です。

なるほど。宝探しの場所なんですね。今日はいいところに来たかもしれません。

―もしよかったら眞理子さんも宝物の話きかせてください。

九死に一生を得て「生きていること」が宝物

ー眞理子さんの宝物はなんですか。

そうですね。二つあります。一つは「今、生きていること」。そしてもう一つは「和菓子」です。

―今、生きていられること…それは…?

私は2014年8月20日に交通事故に遭ったんです。
青信号を渡って歩いている所を右折してきた車に轢かれたんですが、頭からの出血がひどくて、開頭手術を受けたんです。生存率はわずか10%だったと後から聞きました。

執刀医からも「生きられたとしても、言葉が話せないかもしれないし、仕事もできないかもしれない」と家族は言われたそうです。脳挫傷の箇所が言語と記憶をつかさどるところに近い場所で、あとほんの数ミリずれていたとしたら、言葉が話せず、こうやって祐子さんとも話をする機会はなかったと思います。

―それは九死に一生を得たんですね。大手術を受けられて…

入院は2カ月半に及びました…。
その間にお見舞いにいらしてくださった方は延べ 250人以上だったんです。毎日誰がしか 3 人以上がお見舞いにきてくれたことになりますよね。毎日、皆と話すことで、頭がフル活動していましたから、とてもいいリハビリになっていたと思います。

もしも、お見舞い客がいらしてくださらなかったら、今の私はなかったかもしれない。本当にそのように思っています。

―何か人生観など変わったことはありしましたか。

事故にあった同じ年の春、4月7日に父が亡くなったんですね。お葬式を終えた わずか4 か月 13 日後の事故でした。そこに何か感じるものがありました。

父が「まだ早い」って私をこの世に戻したのかもしれないと思います。きっと、神様というか、父なのかな…私に何かをさせるため、するために、この世に戻したと思います。だから、「人に頼まれたらどんなことでも断らずに引き受ける」というのが、その後の私の信条となりました。

―人からの頼まれごとがある。もしかするとそれをするためにこの世に戻したのかもしれない…。

そうですね。

和菓子を日本の文化から絶やさない

―もう一つの和菓子は、ご実家の家業からですか。

子供の頃から生活の中で毎日見てきたものなので、あえて、和菓子を宝物だと思ったことはなかったんですけど、今、こうやって話をしていたら、毎日見るものが美しいものだったからこそ、美に対して自分の眼は育てられたのかもしれないなって思いました。

―和菓子、上生菓子は本当に芸術品ですよね。食べるのがもったいない位で、しっかり眺めてからいただきます。日本人ってすごいですよね。

本当にそうだと思います。
茶道は日本文化の総合芸術ですが、そのなかのひとつに和菓子があります。父が亡くなり、実家の和菓子屋は残念ながら閉めてしまいましたが、「和菓子を日本から絶やさない」という想いは心の底にあります。

和菓子業界は斜陽産業ですので、ずいぶん考えた結果、事業承継をして第二創業という形を取って、今は和菓子を使うビジネスをしています。それが、茶道を通した日本文化普及活動なんです。

―会社は、Alternatives Growth Partners 合同会社。そこの事業の一つが日本文化普及活動ですね。
(写真上:インバウンドのお菓子作り体験)

茶道は総合芸術!芸術が山盛り

―茶道は禅の精神性やおもてなしの心など内面的なものもありますが、眞理子さんは「茶道は総合芸術」といつも仰っていますよね。

その通りです。茶道では和菓子以外にも、書道や華道、香で演出する香道、焼き物や懐石料理、竹細工、金工、着物、茶庭、茶室建築等々、芸術がなんと山盛りの世界なんですよ(写真上:茶道は五感の世界でもある)。

―茶道は家業だった和菓子をはじめ、日本の芸術を絶やさないためのものでもある。シンプルなのに奥深くて、ピタッと胸に収まります。

今、ふと思い出したんですが、小学校の高学年の時の担任の先生に「朗読がうまい」と言われたことがありました。朗読は書いてあることを読み上げるだけです。そこに形があって、でもそれを誰よりも上手に読む。それで本が好きになりました。

普段、親に何か買ってもらおうと思ったら商売家ですから、しっかり交渉をしなくてはならなかったんですけど、なぜか本だけは交渉なしでも買い与えてくれましたので、小さい頃、本も宝物でした。

―子供の頃、どういうものを好んで読んでいたんですか?

小説が多かったと思います。日本・海外両方の小説ですが「新潮文庫の百冊」を夏休み中に全て読むと決める感じでしょうか。

―町の本屋さんもどんどんなくなっていっていくのが残念ですよね…。何か、思い出の曲でも、おかけしましょうか。 ぜひお願いしたいと思います。中学生の時に初めてできた彼氏から誕生日プレゼントでもらったLPの中に入っていた曲で、彼の手書きの歌詞が入っていたことを思い出します。Journeyの『Faithfully』(楽曲はYouTubeにリンクされています)。

キラキラする日本を目指して!

―今探してる宝物はなんですか

キラキラする日本です。
和菓子や茶道を通じて、日本の文化を世界へ発信できるように、そういった場所や機会を増やして行ければいいなと思っています。

―うん、素敵。今度何かイベントなどがある時誘ってください。今日はお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか。

では、もう一杯お願いします。

―ごゆっくりお過ごしくださいませ。

はい。のんびりして行こうと思います。

日本文化体験教室『和みハウス』のHPは「こちら」

番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』

インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagramは『こちら』
ル・ブラン湘南のInstagramは『こちら』

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1MHzレディオ湘南に出演中。

関連記事

カテゴリー

  • うりパイセンの独り言
  • 湘南しっぽラジオ
  • 犬の心理
  • ラジオカフェ
  • 犬と暮らす
  • 講演・イベントレポート
  • 日々のあれこれ