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愛犬と信頼関係を高めるルール作りのヒント

テーブルの下で伏せるピットブル犬

あなたとあなたの愛犬は、ルールを決めていますか?
ここでいうルールとは、愛犬との間の約束事です。約束事は“習慣化”すると、“行動規範(振る舞い)”となります。ルールは〝その犬がどんな時にどんな行動をとるのか″を決定づける大切な“慣わし”なのです。

家族全員が一定のルールを作り、守っていくことで、犬ははじめて“何を求められているのか”を理解していきます。お互いにルールを守るためのプロセスこそが、「しつけ」と呼ばれるものだと思います。

ルールを作るために必要な5ステップ

人と犬が幸せに暮らすためのルールはどのように決めていくとよいのでしょう。
今回はほんの一例ですがルールのステップを見ていきたいと思います。

実際にルールを作る時は、紙に書き出して「見える化」することをおススメします。そして、出来上がったら家族全員がいつでも見ることのできる場所に貼っておくとよいかもしれません。あとでお話ししますが、ルールを守るには家族全員の協力が必要になるからです。

STEP1:目標の明確化

あなたは最初に犬を迎えたと時、どのような暮らしを思い描いていましたか?

ルールを作るには、最初にあなたがどのようなスタイルで暮らしたいのか、犬と一緒にどのような活動や日常生活を送りたいのかなど、“あなたの価値観や目標をはっきりさせることが大切”です。価値観や目標をゴールにすることで、スタート地点(現状)からゴールまでの道筋をイメージしやすくなります。
ルールを作った後も、そのルールが「なぜ必要なのか」を意識することができるので、いつでも一貫した態度を示す事の意味を感じることができるはずです。

「愛犬と一緒にこんなことができたらいいなぁ」という漠然とした思いを、「一緒に頑張ろう」と心から思える“目標”に変えることが第一歩です。

さぁ、あなたと愛犬の暮らしの理想はどのようなものですか?
紙にどんどん書いていきましょう!

STEP2:現状の把握

思い描いた暮らしと、今のライフスタイルや愛犬の行動にズレはありませんか。

もし、違っているようなら、どの点が違っているかを客観的に捉え、具体的に現状を書き出していきます。そうすることで、特に注意すべき点やルールに盛り込まなくてはならない点が見えてくるはずです。

まだ犬を迎えたばかりの方は犬種による犬の特性を参考にしてみるのもよいかもしれません。もちろん個体差がありますが、犬種の特性の中で“あなたがあまり助長させたくない特性”と“より伸ばしてもらいたい特性”に注目することで、今は気づきにくい点も将来の課題として見えてくるものです。

雑種やミックス犬の場合は、最も近いだろうと感じる犬種の特性を参考にすることで、具体的なイメージが沸いてくると思います。

STEP3:具体的なアクションを決める

愛犬に必要な学びや、わたし達が注意すべき点はなんでしょう。

目標に向かって、愛犬にどのようなことを守らせたり、学ばせたりする必要があるか。それに対して、どのような具体的なアクション(行動)をとればよいのかを、あなたが思い描く理想のシーンに合わせて考えていきます。

例1:一緒にキャンプやアウトドアスポーツを楽しみたい
①人に飛びつかない ②「止まれ」などの呼び戻しコマンドに従う等
このような、安全面や活動面にルールを中心に考えるといいでしょう。
そして、呼び戻しを可能にするためには
 ①コマンドは家族で統一する ②普段から名前で叱らない ③イライラや怒り口調で呼ばない ④戻って来たら必ず褒める等
イメージを膨らませながら具体的なルールを決めていきます。

例2:一緒にカフェで静かな時間を過ごしたり、お出掛けを楽しみたい
①人や他の犬に吠えない ②テーブルに手をかけない ③食べ物への要求吠えをしない等
食事のマナーや日常生活に関するルールに注目して決めていくとよいですよね。

ルールがあまり多すぎると、実行することは難しく、また、人も犬も自由な気持ちを失いかねません。肝心なポイントだけ5つ位にまとめるといいですね。

参考記事→「犬に伝わる注意の仕方と教え方のコツ6つ#2」

コーヒーカップの置いたテーブルの下で伏せる犬のしっぽ

STEP4:バランスを整える

ルールは犬を束縛して、思い通りに動かすためのものではありません。

あなたとあなたの愛犬が、長く楽しく暮らすための習慣を身につけるためのものです。ですから、どんなに素晴らしいルールでも、犬の習性や自分自身の性格にそぐわないものであっては、お互いに苦しむことになってしまいます。

このステップでは、ルール内容を確認していきます。
例えば、カフェで過ごすのが目標で、静かに過ごすためのルールが多くなった場合は、“自由行動や運動の時間”をしっかり設けることも忘れてはいけませんよね。

静と動のどちらのルールに傾くかは、それぞれ異なっていても、バランスを保てるようにしなくては、心身にきしみが現れストレスを溜めかねません。
ルールを確認しながら“予想される障害や問題点”を見据え、犬の活動が偏り過ぎないための対策を考えておくことも大切です。

参考記事→「愛犬とカフェでのんびり過ごすコツ」近日公開予定

STEP5:習慣化への努力

ルールが決まったら、最後は習慣化できるよう心がけます。

ルールは犬にだけ課されたものではありません。むしろ、人が守らなくては目標地点への到達はありません。そのためにも、ルールを作るときは、家族全員で話し合い、みんなが納得することが大事です。
あなたは注意をするのに、他の家族は笑って許すなどしていては、犬は混乱してしまい、家族全員が信頼を失う原因となります。

共通認識があるから初めて、そこから外れた時に「ダメだよ」と言えるのではないでしょうか。その時の気分や感情で注意をしたり、しなかったりを避けるために必要なのが”ルール”なのです。

関連記事→「犬と信頼関係を築くポイント3つ」

おわりに

ルールを決めることは簡単にできても、それを守り続けることはとても大変なことです。

1年の始まりに決意する“今年の目標”や、健康のため、仕事の効率化のために決心したルールも、なかなか守れないものですよね。愛犬との約束事もうまくいかなくて、ついイライラしたり、ガッカリして諦めたくなることもあるかもしれません。

そういうとき、わたしは“できたこと”や”良かったこと”など、些細なことでもいいから、目を向けるようにしています。小さな成功体験の積み重ねこそ「信頼関係を高めるチャンスだ」と前向きに切り替えてやってみるのです。その結果、案外新たな発見もあるものです。

成功体験が犬の心の成長に大切な自信を生み出す源流となり、ポジティブなエネルギーを循環させる原動力にもなります。
ルールの先にあるもの、それは“あなたとあなたの愛犬の幸福な未来”だと信じています。

まとめ

ルール作りは
1.理想の愛犬ライフを思い描く
2.現状との違いを書き出す
3.問題解決にはどんな行動が必要か書き出す
4.犬に望む行動に偏りや無理はないか確認する
5.5つ位に絞った、家族共通のルールを作る
6.壁に貼りだす
7.ルールを外れた時だけ注意をすることを習慣化する

文:白田祐子(しらたゆうこ)

Instagram:@doggy_uri
      @ル・ブラン湘南

白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師、2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中。


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