心理士が解説*犬に好かれる人の特徴3つ#1
「あの人といるとホッとする」「一緒にいると楽しい」「また会いたくなる」など、特別な関係でなくても不思議とそう思える人がいますよね。反対に“少し苦手”と感じる人もまたいるのではないでしょうか。
実は、犬も私たち人間と一緒にいるときに同じように感じるといわれています。犬が好きな人なら、犬にとって一緒にいて安心できる存在になりたいもの。飼い主さんであればなおさらですね。でもその思いとは裏腹に犬にとって少し苦手な存在になっている可能性もあるかもしれません。
今回は【犬に好かれる人の特徴3つ】を“犬から苦手に思われる人”と照らし合わせながらお話します。毎回1つ、3回に分けてお伝えしますので「今日はこれができたかな?」と日々意識しながら、愛犬とのコミュニケーションにご活用いただけたら嬉しいです。
特徴1:穏やかに話す人
声は感情の出口
犬に好かれる人の特徴は声にあるといわれています。犬は話しかけられる時やそばにいる時に ゆったりと優しさに満ちた、穏やかな声で話す人を好む 傾向にあります。
わたし達の声はとても感情が現れやすいものです。例えば、どんなに「ありがとう」と言われても、形式的な挨拶であればそこから気持ちは伝わりません。笑顔であれば笑声(えごえ)になり、気持ちが穏やかであればゆったりとした声になりますよね。逆に緊張していればどうでしょう?イライラしていれば?
声は感情の出口です。ヒトの感情に影響されやすく、ヒトの感情に敏感な犬を安心させるためには、言葉の内容ではなく穏やかな感情が滲み出る声の調子が大切なのです。
声の大きさや高低差を意識しよう
犬がヒトとの居心地良さを判断するのに声はとても大切な要素の一つです。
でも、良かれと思って出した声があまりに高すぎると、犬を興奮させたり不安にさせたりすることもあります。「かわいい!」と愛情たっぷりに近づいても、それが高めの勢いのある声であれば、犬に「ワンツ!」と一喝されるかもしれません。
「犬好きなのに犬に嫌われちゃうのはなぜでしょうか」と悩まれている方を観察していると、このようなことを気づかないうちにしていることが多いものです。
逆に低すぎる声や強い口調、大きな声は犬を怖がらせます。
犬は聞こえていても無視をする
犬はとても耳が良い動物です。でも名前を呼んだり「こんにちは」「かわいいね」と声をかけたりしても、こちらを見てくれないことってありますよね。これは聞こえていない、気付いていないからではありません。実は「あまりしつこくしないでね」の合図です。こちらを見てもらおうと、何度も声をかけると吠えられるかもしれません。吠えることもなく大人しくしていたとしても、犬は大きなストレスを感じていることを察してあげることが大切です。
犬に指示を出すときにも大きな声を出す必要はありません。犬は私たちの声にいつでも耳を傾けとてもよく反応します。寝ていても耳だけは動いていたり、背中を向けていても耳の向きは横や後ろに向いていたりすることはありませんか。いつでもあなたからのメッセージを受け取る準備ができている証拠です。
もしあなたが指示を出しても気付いていない様子の時は、声が届いていないのではなく、原因はもっと違うところにあるのかもしれません。
何度も大きな声で指示したり、注意をしたりすると犬にとっては「ママも興奮している!」と益々パワーアップしたり「いろいろ言われて理解不能!」とパニックになって落ち着くことができなくなり、逆効果になる可能性は高まります。
犬を落ち着かせたいときは “自分が落ち着いた声で話しかける” よう、気を付けたいですね。
まとめ
私たちが発する声にはとても多くの感情が含まれていて、犬はそれを敏感に感じ取ります。穏やかな話し方から滲み出る感情エネルギーを犬は好みますから、穏やかに話す人は犬から好かれることが多いようです。
「犬に好かれる人の特徴3つ」の2つ目は「犬は落ち着いた振る舞いが好き」です。ぜひ続きをお読みください。
◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。
文:白田祐子(しらたゆうこ)
この記事は初出2017年3月9日『心理士が解説!犬に好かれる特徴3つ』(「犬のココカラ」掲載)を加筆・修正しました。
Instagram:@doggy_uri
@ル・ブラン湘南
白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:公益社団法人日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ、ル・ブラン湘南代表。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した犬のしつけ相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師、2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中。