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強い犬ってどんな犬?

黒背景に真っ黒のスムースヘアの大型犬のアップ


今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組、宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』に寄せられたお便りにお答えします。

強い犬ってどんな犬?
闘犬っているの?

今回も「夏休みの自由研究!こども特集」からご紹介します。質問は『一番強い犬ってなんですか』。関連した質問『闘犬っているんですか?試合をするの?』

ありがとうございます。ネット検索すると「強い犬ランキング」というのが存在します。でも、「一番強い犬」を決めるには、実際に闘わせて、データをとらないと言い切れない部分がありますよね。なので、色々なスペックやそれまでの出来事などから「予想」したものです。

それであれば「一番強い犬はこれだ!」と自分ランキングを考えるのもあり。「自由研究のテーマ」として、どのような視点で調べて行くと、犬のことや犬の置かれた世界をより知ることができるのか。そんなヒントをお伝えします。 回答者はわたし、心理士で犬とヒトの関係を研究しているドッグカウンセラーのしらたゆうこと、保護犬猫のシェルター付きトリミングサロン『イヌと暮らす』の代表取締役社長の中山ゆきさんです。

ピットブルと
カンガールドッグ


祐子 質問は『一番強い犬ってなに?』

ゆき あー、これはうちの男子高校生も聞いてきましたね

祐子 へー、そうなんだ。「強い犬」っていうのは、生命力とかじゃなくて「ファイト(闘う)」っていう意味だよね?これも、ネットのランキングを見たら答えはさまざまなんだけど、概ね一致している犬種は「ピットブル」「ロットワイラー」「ドーベルマン」「ブルマスティフ」「チベタンマスティフ」「ウルフハイブリッド(オオカミ犬)」「グレートデーン」「カンガールドッグ」、そして「土佐闘犬」。

選ばれた理由は「噛まれて命を落とした人が何人いるか」など、事件性から考えたものもあって、その場合1位になるのは「ピットブル」

でも「身体の大きさ」や「噛む力」などの「身体能力」で選ばれた場合の1位はトルコの「カンガールドッグ」。カンガルーじゃないよ(笑)。日本ではあまり馴染みがないけど、噛む力が340㌔で、これはなんとライオンに匹敵する力なんですって。走れば時速50㌔、4.5tトラックを引っ張れるパワーもある。犬界のハルク!

ゆき わー、事件性となると「ピリッ」としちゃうけど、それを知るのも大事なことですね。「噛む強さ」ってところもおもしろい。

「強さ」の要素を
考えてみる


ゆき でも、強さって、攻撃性や体の大きさだけで決まるわけじゃないですよね。

祐子 そこだよね。「俊敏性」や「的確さ」や「物おじしない勇敢さ」。あとは「小回りがきく」とか「皮膚のたるみ」などの防衛力も大切。面倒臭いことを言うと、大人しい大型犬に攻撃的なチワワが噛みついて放さなければ、場所によっては致命傷になるかもしれないし。

ゆき じゃあ「強い犬」と考えらえる要素はなにかを項目別の表にするといいかも。「顔」とか入れたりして(笑)

祐子 どの犬が強いか実際に試すことはできないし、統計がある訳じゃないから、自分で「強そう」と思った犬種を選べばいい。だから「顏」もあり(笑)。答えは一つじゃないので、どういう視点で自分なりの答えを導き出すかが、自由研究の大事なところだと思います。

ゆき なるほど。これもとっても面白そう。

闘犬は日本にもいる?


ゆき さっきの強い犬の代表に日本の「土佐犬」も入っていましたよね。

祐子 そうそう。「土佐犬」で思いだした『強い犬ってどれ』に似たような質問もあって…『闘犬っているんですか?試合をするの?』

ゆき 私も知りたいです。話では聞いたことがあるけど、実際にところはどうなんだろう。

祐子 ねっ。今「土佐犬」って言っちゃったけど、私たちがイメージする、横綱みたいな茶色の犬ね。あれは、今は『土佐闘犬』って呼ばれていて、もともとの「土佐犬」、今は四国犬って呼ばれているんだけど、その犬にブルドッグとかマスティフとかグレートデーンなどを混ぜて改良しているのね。名前もそのまま、「土佐闘犬」。だから、闘犬は日本にもいるし、顏も強め(笑)。

ゆき へえええ。「強い犬」に選ばれた犬たちも、ほとんど「闘犬」ですよね。特に、アメリカンピットブルは、闘犬用に最強となるべく交配を繰り返して作られた犬って聞きました。なので、飼育自体を禁止する国もありますよね。

祐子 うん。そういうのを調べるのもいいよね。

闘犬の歴史にも
注目してほしい


祐子 「闘犬競技」なんだけど、犬同士を檻の中に閉じ込めて1対1で闘わせるそうです。積極的に戦いにいかないと負けになるので、より攻撃的になるように育てているんですって。かなり怖いよね。そんな、闘犬の歴史は古くて、18世紀~19世紀のヨーロッパでは「ライオン」や「熊」「牛」とも闘わせていて、「ブルテリア」とか「ブルドッグ」とか「ブル」ってつく犬は、「牛」相手の闘犬として改良された犬です。

 でも、「ピットブル」や「ブルテリア」も、家庭犬として暮らしているからね。これも、タイトルを『闘犬の歴史』に、しちゃうといいんじゃないかな。

ゆき うん、そうですね。『闘犬の歴史』なら「競技を禁止している国」や「どうして禁止したのか」まで調べると、闘犬の闇の部分も見えてくるかも。

祐子 うん。闘犬は声を出したら負けになるので、痛くても我慢する様に訓練されているらしい。ひどい話だよ…。犬って本来、争うことが嫌いな平和的な生き物だよね。それが、人間の遊びのために改良されて、闘いで命を落としたり、痛い目にあわされる。それってどういうことか、考えるのもいいんじゃないかな。

ゆき うわぁ。本当にその通りですね。私たち人間は「闘う犬」や「勝つこと」をかっこいいと思ってしまうところもあるけれど、果たしてそれでいいのか。って、ところを考察するといいですね。

祐子 うん。いいテーマだね。頑張って調べて考えてほしい。

この記事はFM831レディオ湘南:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(第1.第3土曜16:00~16:29放送)2023年8月19日放送分を加筆修正しました。

本記事は「こちら」から視聴可能。
レディオ湘南は世界中どこからでもワンクリックで視聴可能です。
番組サイトにもぜひ遊びにきてください→『犬とあなたと珈琲と。』

◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。

文:白田祐子(しらたゆうこ)

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白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。

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