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犬とあなたと珈琲と。Vol.19 米田 順二

聞逃し配信中
ミキサー:レディオ湘南 高橋優佳

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(毎週金曜 16:00~16:29)放送中

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。ここで“宝物”の話をすると探し物が見つかるとか?…オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の愛犬“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様は隠れ家的な人気店“腰越珈琲”オーナーの米田順二さん。米田さんの宝物は「家族」。『小学生の頃はサッカー選手になりたくて「ブラジルに行くんだ!」と言い、20代の頃は出世やお金のことしか考えてない….。当時の自分はそういう奴でした』と語る米田さん。でも、10年間サイパンで暮らし、現地の人がいかに家族を大事にしているかを目の当りにすることで価値観が変わりました。「今の自分が好き」と言い切る米田さん。“なんでもあり”のゆるくて温かなお店『腰越珈琲』の原点が見えた気がしました。


――こんにちは。順さん、ようこそお越しくださいました。
米田順二さん(以下 米田):こちらこそお久しぶりです。うり店長もお久しぶりですお元気そうで。

――はい。ありがとうございます。なんとかやっています(笑)順さん今日お店は?
米田:今日は夜からなので昼は休みなので大丈夫です。

――わざわざありがとうございます。嬉しいです。
米田:こちらこそ。

目立たない。
そこにある価値


――順さんのお店『腰越珈琲』に通い始めたのは、オープンしてからあまり経っていない頃だったと思います。店内は靴を脱いであがり、リビング・和室・個室があって、ちょっと素敵なお友達の家にお邪魔しているような、そんな落ち着く店ですよね。もうどの位経ちましたか?

米田:7年半位やっています。8年目ですね。

――友達に教えても「見つけられなかった」という人も多いです。

米田:そうですよね。“目立たない所でひっそりやっている”というお店なので、まだまだ知らない方沢山なので、まぁそこが面白いかなというところはあります。

――最初の頃は文字通り『隠れ家』的存在でしたが、すぐに人気店になって満席の事も多くなりました。

米田:おかげ様で人が人を呼んでくださっているような、そんな感じはしています。

――一時私の中では幻の店になっていました。
米田:いつもやっているんですけどね(笑)

――行くときは「予約してから」と思いつつも、うりと一緒だと、なかなか時間が読めないっていうのがありました。
米田:そうですよね。

こだわりの無さが
特徴

――そもそも『腰越珈琲』を始めたきっかけは?

米田:腰越という町が好きだったのと「腰越に珈琲屋さんがなかった」というのが一番大きなところだと思います。僕はサイパンという南の島で10年程過ごした後「どこかの街で何かをしよう」という感じで日本に帰ってきたんですけど、「住む場所を選ぶ」というのはとても重要でした。その中で腰越という町がとても気に入って移り住もうと思ったんです。

でも当時、磯料理屋さんとかは沢山あったんですけど、お昼ご飯を食べた後にお茶する場所、珈琲を飲みたい時に飲める場所がとても少なかったので「じゃあ町にないものをしょう」と珈琲屋さんをやることにしました。

――本当にコーヒー専門店という感じですよね。今は色々なメニューもありますけど「食べ物の持ち込みOK」とか「出前OK」とかはちょっと珍しいですよね。

米田:そうですね。割とこだわりのなかった人間と言ったら変ですけども、珈琲屋さんになりたくて珈琲を学んだり、どこかでシェフとして修業をしてきて自分の腕を振るいたい、というようなスタートではなかったものですから、こだわりって言うのがなくて「なんでもいい」っていうお店に自然になったような気がします。「なんでもいい」って言うのって、日本には案外ないですが、実はみなさん「嫌いじゃないのかな?」って。「なんでもOKにしてみたらどんな店になるのかな」っていうのもあったのかもしれません。

サイパンでの
カルチャーショック


――サイパン暮らしはどうでしたか。自分に合っていると思いましたか。

米田:思いました。サイパンは小さくて多国籍で何よりも“家族を大事にしている”島でした。隣近所との生活がすごく密接していてーまぁ村社会と言ってしまったらそうなのかもしれないですけどー人と人との繋がりがとても深いというか強い。最初の頃はそれがカルチャーショックな部分でもありましたが、住めば住むほど自分に馴染んできて、それが性に合っているんだって思うようになりました。

――例えばどんな時にカルチャーショックを?

米田:仕事をしていてローカル達が来ないとか、ドタキャンとか平気である島なんです。今は多分ちゃんとしていると思いたいですけど(笑)。その理由が「母親の誕生日だから」とか「奥さんを空港に迎えに行かなきゃいけないから」とか、それをその場で言って休んじゃう。“家族の方が仕事よりも何においても大事”っていうのが、当時の自分には信じられなかったです。

カルチャーショックが
自分の宝物に


――サイパンに行く前と帰ってきてからでは、考えや行動に変化みたいなものはありましたか。

米田:はい。サイパンに行く前は企業で営業をしていましたが、当然仕事優先で、出世だったりお金だったり、そういう事が生活において大きなウェイトを占めていたんです。でも、サイパンに行ってローカル達が本当に家族を大切にしていて、家族が生活の中心であるっていうことを知ったことで、都会ではなく昔の日本に近いような場所、自分が子供の時の日本って言うんですかね。そういう懐かしさも残っているような、変わらないものがあるような、そういう町に住んでその感覚を持ち続けたい。そう思っています。

――順さんのそういう想いが「腰越珈琲」から自然に滲みでているんでしょうね。だから、家族的で「ただいま」「お帰り」って感じがするんだと思います。

米田:腰越っていう町には本当に感謝しかないですし、出会えてよかったなと思っています。


米田:ところで、このお店の名前はどうして「TAKARA CAFÉ」なんですか?

――ここで宝物の話をしたら失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする、そんな場所になるといいなと思って付けたんです。

米田:いいですね。素敵な店名ですね。

――ありがとうございます。もしよかったら順さんも宝物の話きかせてください。

サッカー一筋の
少年時代


――順さんの宝物はなんですか。

米田:そうですね。思いつくのはサッカーボールですね。子供の頃からずっとサッカー一筋で、サッカーばっかりやっていました。中学の時も小学校の時もそうですけど、みんなでサッカーやったり、部活が終わってからも一人近所でずっとボールを蹴っていたような気がします。そのサッカーボールは両親に買ってもらったんですけど、当時は何よりも大切なものだったように思いますし、毎日毎日一緒にいたような気がします。

――サッカーですか。店内には本がいっぱいあるので順さんは文学青年だと勝手に思っていました。

米田:本も好きですけどね。小学校の時にサッカーが好き過ぎて、両親に本気で「小学校卒業したらブラジルに行かせてほしい」と直談判していたんです。そのエピソードっていうのが『キャプテン翼』っていう、大人気サッカー漫画があるんですけど、その主人公の大空翼君、翼選手が「小学校卒業したらブラジルに行きたい」「小学校卒業したらブラジルに行く」って言っていたんです。

それを自分も真に受けて「ブラジルに行くんだ」って、親にずっと話していました。親も冗談半分だったんだと思うんですけど「いいよ」と言ってくれていたので、僕は友達には「ブラジルに行く」ってずっと言っていたなぁと。

――サッカーはその後は?小学校の時はサッカーチームみたいのには入っていたんですか?

米田:小学校の時は大学生とかが教えてくれるようなスクールに行っていました。その後は中学、高校、大学とずっとサッカー部でボール蹴っていました。

今の自分が好き”と
伝えたい


――大空翼君が「ブラジルに行きたい」って言っていたからとはいえ、小学生のときに親元を離れることは、既に自立心が芽生えていたのかと思いますが。

米田:親と離れることは頭に全くなかったんだと思います。サッカーのことしか考えていなかったんじゃないかなと。今言われて「その歳で行ってたら寂しかったんだろうな」とか「行けたのかな本当に」と思いますけど、当時は全く考えてなかったです。多分、ただただサッカーがしたくて「ブラジルに行きたい」「ブラジルでプロになるんだ」みたいなことしか考えていなかった子供だったんだと思います。

でも、サイパンに住んで、そういった意味では価値観変えてもらいましたね。だから、今の宝物って言われたら、やっぱり「家族」になるって感じています。妻や2歳の息子もそうですし、もちろん自分の両親や兄、妻の両親やおじいちゃんおばあちゃんと言った、皆さん全てが今の僕の宝物だなって思っています。

――昔の自分に今の順さんが何か教えてあげる、何か伝えたいことはありますか。

米田:教えたいことはあるんですけれども、あの頃の僕はきっと聞く耳を持っていなかったと思います。そういう奴だったんです。「奴」って自分で自分のことを言うのもなんですけど、20代の彼は多分何もわかってなかったという風に思うんです。「今の自分の方が好きだな」って思えるので「これから気付くよ」「あなたここから10年どっかで過ごしているうちに、今の自分みたいになれるから」と。それ以外は何も言うことはないかなと思います。

心に染みたことば
「そのままでいい」


――お店をはじめると色々なアドバイスをもらうと思います。順さんの中で「これはいいアドバイスだったな」と思ったアドバイスはありましたか。

米田:「そのままでいい」って言われたのが一番良かったなと思っています。珈琲のおかわりを自由にやっていまして「おかわりができる店なんてあり得ない」とか、飲食経営者の方たちからすると「考えられない、絶対にやっちゃいけないことだ」ってすごく言われました。自分はそういう店をしたくてやっていたんですけど、1年目の時にちょっと、ブレた時があったんです。

その時に、あまり自分のことは相談しないんですけども、ある方にポロって話をしたら「そのままでいいんだよ」って言われました。「あんたのことは何にも知らないけれど、そのままでいいと思うよ」って。それは多分アドバイスになるのか分かりませんが、一番有難かったし、スッと心に入ってきた言葉でした。

――その言葉がすごく心強かったっていうのは、私なりにですが…わかる気がします。さて、ここで何かお好きな曲をおかけしましょうか。

米田:ありがとうございます。そうですね…僕が生まれて初めて買ったシングルCD、昔シングルCDってあったんですけど、Ray Charlesの『Ellie My Love』(楽曲はYouTubeにリンクされています)。

終の棲家を探す旅。
計画中


――今探している宝物はありますか。

米田:ずっと探しているのが、僕ら家族にとって“終の住処”になるような場所です。終の住処を探す旅に出ようと家族で話していて、実は5年位前から計画を練っているんです。終の棲家になる素敵な場所、自分たちに本当に合う場所が見つかるかどうかは分からないんですけど、まぁ、その探す過程も大切になればいいなと思っています。

―終の棲家…。見つかっても見つからなくても、家族と共に生きた証がその旅から生まれるんでしょうね。素敵な計画実現するといいですね。今日はお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか。

米田:ありがとうございます。

腰越珈琲のFacebookは『こちら』Instagramは『こちら』
番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』

インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagram:@doggy_uri  @ル・ブラン湘南

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中。

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