愛犬とゆっくりカフェを楽しむコツ
今回は、愛犬とカフェでゆっくり過ごすコツをいくつかご紹介します。
「犬も同伴できるお洒落なカフェでゆっくり過ごしたい…」そう思って入ったのに全然落ち着かない。「もう少しノンビリしたかったのに…」と、少しガッカリした気持ちでお店をあとにした経験はありませんか?
このようなことになってしまうと、楽しむどころか人も犬もストレスを抱えてしまいますよね。
目次
愛犬のストレスをためないために
できるだけエネルギーを発散させてから
カフェでゆっくりした時を過ごすには、犬のニーズを充たしておく必要があります。
リードを装着した犬は「やったー散歩だ!」と、エネルギーが外へ向かっているものです。
今日のお散歩はカフェメインなので「すぐにGO!」では、犬のエネルギーが溢れたままのため、「えっ!散歩もう終わり?」と、納得がいかず、「もっと歩こうよ」と落ち着きのない状態になる可能性は高まります。
カフェへ向かう前に散歩をする、遠回りをして行くなど、ある程度のニーズを先に満足させてあげることが大切です。
うっかりしがち。トイレは済ませて
人も犬も生理現象を我慢していては落ち着くことはできません。
当たり前の事と思うかもしれませんが、いつもの散歩とは違う“お出掛け”などの時は、意外と忘れがちになってしまうのが排泄のタイミングです。
一旦、外に出ると自然と排泄が促されてしまう犬は多いもの。排泄の我慢からくる“落ち着きのなさ”は、どんなに注意しても改善はされませんよね。
犬の苦痛にもなりますので、必ず先に済ましておきましょう。
状況を把握させる心の余裕をもつ
入店から着席まで
愛犬がいつもとは違う行動をするのは“困った行動”とは違います。
たとえば、「ここはどこ?」と立ち止まったり、「楽しいことがあるかも!」とワクワクして突進したり、見慣れないモノや音に「ちょっと怖いな」と腰が引けるかもしれません。はじめての場所や見慣れないものを警戒するのは当然の心理です。そして、辺りの匂いを嗅ぎ始めるのも必然的な行動です。
私たちが真っ先に目で見て状況を確認するのと同じで、犬はニオイの情報から安全確認や状況判断をします。ですから、安全確認をさせないで着席してしまうのは“不安の火種が残ったまま”と同じこと。とても落ち着ける状況ではないですよね。
犬を無理に引き、慌てて着席する必要はありません。少し時間を与えてあげてみましょう。
店内を無闇にうろつくのはいけませんが、入り口周辺など、お店や他のお客様の迷惑にならない範囲であれば、ニオイを確認することは許されると思います。お店の方はそんなお客様を毎日のように見ているのですから、多少時間をかけてゆっくり着席しても、きっと微笑ましく見守ってくれるでしょう。
大切なのは〝これから過ごす場の雰囲気を乱さない“ことなのです。
他の犬がいたら?
自分の席に向かうまでの間に他の犬がいると、ちょっとドキっとしますね。
もちろん、そのまま通り過ぎて良いのですが、愛犬や他の犬たちの様子どうでしょう。
犬同士が近付きたがるのは本能です。近付きたがっているのを無理に引き離すと、落ち着きをなくす可能性が高くなります。相手の飼い主さんがこちらに気付いていない場合もあります。周りの様子を見ながら「こんにちは」と声をかけて進むとよいでしょう。
犬と犬の挨拶は人と人の挨拶でもあります。
自分から先に声をかけられるように心の余裕をもって、慎重かつ穏やかに振る舞えるといいですね。
大切なのは一呼吸
ここで違うタイプの2人を比べてみましょう。
Aさんの場合
(愛犬が落ち着かないので「いつもリラックスできない」と溜息をつく)
・着席すると同時にカバンをゴソゴソ探り、スマホを取り出しました。
・メニューを広げ、友達と会話をしながら、お店の人を呼び、その合間に「お座り」と何度も号令をかけますが、犬は落ち着いてくれません。
Bさんの場合
(いつもカフェを楽しんでいる)
・着席すると愛犬とアイコンタクトを取り一息つきました。
・犬用の水を出します(日頃から散歩の途中に「休憩と水飲み」をセットにした習慣をもつと、「水=休憩(リラックス)」が結びつくようになります)。
・座席の周囲を歩いても「お座り」の指示はせず見守っています。
・愛犬が落ち着いてきたのを見て、ご褒美のおやつをあげました。
・メニューを手にとると、愛犬も自然にリラックスしました。
ワン!ポイントアドバイス
1.愛犬が落ち着いてから、初めて自分の番がくる。
慌ただしくオーダーをして急いでコーヒーを飲み干すよりも、一呼吸置き“気持ちをリセット”するように心がけましょう。慣れない場所で愛犬が緊張や興奮、不安を覚えているときに、人間が慌ただしくしていると犬も“落ち着くタイミング”がわからないものなのです。
2.「お座り」させる必要はない。
お行儀よくするようにと「お座り」をさせても、犬の“気持ち”が落ち着いていなくては、またすぐに腰をあげてしまいます。立ち姿勢でも“動きが止まっていれば”よいのです。気持ちが落ち着いたら、自らの判断で「お座り」や「伏せ」をするでしょう。
自分で先に体験してみる
「カフェデビューしたいけれどなんだか心配」と言う人は多いと思います。
そんな方には「知っている店から始める」ことをおススメします。あるいは、自分だけ先に行ってみるのもいい方法です。わたし達がゆったりと構えていると犬は落ち着いていられます。そのためにも、お店の様子やメニューやシステムを知っておくとスムーズで安心ですよね。
チェックポイント
・愛犬同伴は店内も可かテラスのみか
・犬が伏せても充分なスペースはあるか
・オーダー方式はセルフ式か客席か
・混雑具合 など
このようなことを事前に確認しておくと「どこに座るの?」「オーダーはどこでするの?」など、ソワソワ、キョロキョロしなくてすみますよね。そうすると、注意すべきは自分の犬の様子だけです。
人の動きに敏感な犬なら混雑した店は避ける、あなたが少しでも離れると反応するならセルフオーダー式は避けるなど、愛犬の普段の様子を知っているからこそ、どのようなお店を選択すればいいのか想像がつきますよね。
参考記事→「犬と信頼関係を築くポイント3つ」
おわりに
カフェでの経験は愛犬の自信にも繋がります。それは、他の様々なシーンでも良い結果を生み出すことになるはずです。同時にわたし達は、自分の犬を穏やかに誘導し、落ち着かせる“心の持ちよう”を身につける機会にもなるでしょう。
また、家の中で許していることをカフェでは注意をしたり、家の中でできない事をカフェでやらせようとしても、それは「とても難しいこと」と、気づくはずです。
同時に愛犬は「ここにくると注意ばかりされる」と「カフェ=嫌な場所」と関連づけてしまったり、同じ行動が“許されたり、注意されたり”では、あなたに対して不信感を抱くことも。
愛犬を混乱させないために〝日頃のルールを見直すきっかけ“にするのもいいかもしれませんね。
まとめ
1.自分が行き慣れたお店からはじめるのがベスト
2.スペースやオーダー方式など事前に確認しておくと安心
3.散歩とトイレは済ませてから
4.入店時は許される範囲でクンクンさせよう
5.他の犬と挨拶をしたがり、相手もOKなら挨拶を
6.着席したらすぐに動かず一呼吸
7.水を飲ませるなど、気持ちを一旦リセットするのが大切
8.犬が落ち着いたのを確認してからオーダーしよう
9.愛犬とのルールを見直してみる機会になるかも
Instagram:@doggy_uri
@ル・ブラン湘南
白田祐子(しらたゆうこ) プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師、2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中。