犬とあなたと珈琲と。Vol.30 藤平 稚子
宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(毎週金曜 16:00~16:29)放送中
湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。ここで“宝物”の話をすると探し物が見つかるとか?…オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の愛犬“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。
今回のお客様はミュージカル『アニー』制作スタッフの藤平稚子さん。劇中歌の「Tomorrow」は多くの人が知る大人気ミュージカル。稚子さんは今年から制作として参加。100名近いスタッフのホテルやお弁当の手配から子役のサポートまで、舞台がスムーズに回るように奮闘しました。もともとは舞台などに立つ側の稚子さん。お母様譲りのチャレンジ精神で10代から役者を目指しお稽古を続けいまは、フリーで活動中。今は特に先の見えない時代。立ち止まって考えるより「まずはやってみよう!」は大切な原動力だと実感しました。
――こんにちは!稚子さん、いらっしゃいませ。
藤平稚子さん(以下 稚子):祐子さん、こんにちは。近所まで来たのでちょっと寄りました。
――ありがとうございます。今日はトイプードルの波琉ちゃんは一緒じゃないんですか?
稚子:そうなんです、今日はお留守番させてます。うりちゃん、こんにちは。あっ、寝てますね(笑)
目次
大成功ミュージカル
「アニー」
――稚子さん、改めてになりますが、8月はお疲れ様でした。そしてミュージカル『アニー』の大成功おめでとうございます。
稚子:ありがとうございます。本当に貴重な1か月でした。今年から初めてミュージカル『アニー』の制作に携わったので本当に緊張の連続でした。
――「アニー」って聞くと、詳しいストーリーを知らなくても、赤いワンピースをきたクリクリヘアーの子が主役でモップみたいな犬が登場して、「Tomorrow tomorrow」と唄うフレーズは誰でも知っている。大人気のミュージカルですよね。
稚子:本当、誰でも歌えるってすごいですよね。日本では1986年から日本テレビ主催の公演で、もともとは⻘山劇場でスタートして現在に至っているんですけど、今年はまた生オーケストラが復活したんです。脇で見ていても本当感動しました。
――生オーケストラとは迫力満点ですね。
稚子:そうですね。本当に鳥肌が立つ感じですね。
アニーとの出会い
――そもそも、どういう経緯で今回制作に携わることになったんですか?
稚子:そうですね、私はもともと芸能事務所にも所属していたことがあるんですけど、今はフリーになって、モデルや司会業など幅広い活動をしています。でも、コロナ渦でフリーのダンサーや俳優さんが全く仕事がない状態になることがあって、表現活動が減少した「アーティストをサポート」する。そういうオンラインのグループ立ち上がったんです。私のフリーダンサーをやってるお友達がそこに所属していて「わかちゃんもやってみれば」って声をかけていただいたんですね。そこで、そのグループを主宰している門脇幸さんという方の面談を受けたときに「制作とかできるんじゃない?」っていう事になったんです。「ちょっと制作やらない?」って声を掛けてもらったのがはじまりです。
――制作はもともと経験されていたんですか?
稚子:いえ、全然ないです。「経験はないです」って伝えましたが「一緒にやっていくし、教えるから大丈夫だよ」って言われたので、一応1週間くらい考える時間をいただいて引き受けることにしてみました。それで「引き受けます」って言ったら、門脇さんから「実はミュージカル『アニー』なんだよね」って聞かされて、「えー、そんな大きい舞台!」っていう感じでしたね。実は門脇さんご自身が14歳のときにミュージカル『アニー』のジュリー役で舞台デビューをされた方なんです。その後、フリーで活動して、一時期は劇団四季にも入ってられた舞台役者さんなんです。
朝晩のお弁当と
コロナ対策
――いきなり大きな舞台の制作部に入ってどうでしたか?
稚子:大変でした。春の東京公演と夏は宮城・大阪・金沢・名古屋って廻ったんですけど、最初の宮城公演へ8月3日に出発してから、大阪の8月15日の終演までは、ずっとホテル暮らしをして結構ハードでしたね。
――ツアー中はどんな役割をされていたんですか?
稚子:色々制作業務はあるんですけど、小さなことから言えば、稽古場の鍵の開け閉めからはじまって、移動の交通手段の手配ですとか、ホテルの手配、あとお弁当の手配ですね。それから『アニー』は子供が多いので子役のサポートとかです。稽古スケジュールを組んだりなど、役者さんやスタッフさんがうまく舞台が回るように段取りを組む。そういう仕事が主でした。
――お弁当の手配とか、それは何人分くらいなんですか?
稚子:スタッフと役者を入れると総勢約90から100人ですね。演者はリハーサルの段階から合流をしてくるんですけど、裏方、大道具さんとかは前日、前々日から舞台を作るので、スタッフは90人位がいっぺんに新幹線に乗るので結構手配が大変でした。
――丸っとごそっと乗るんですね。それは大変!ツアー中に一番大変だったことはどんなことですか?
稚子:やっぱりコロナ禍なので感染対策が一番大変でした。一昨年は全公演中止になって、去年は東京公演1公演やったらその後は中止になってしまい、地方公演も大阪と東京の凱旋公演のみでした。なので、主催者側は「今年こそは全公演は走り抜けたい!」っていう気合も入っていましたし、子役の子たちは親御さんも含め「外に遊びに行かない」とか、気を付けてくれていました。幸い本番は誰一人欠けることなく全員揃って、そして全公演開幕できました。
――それは良かったですね。ツアー中の感染対策はどうしていたんですか。限界はありますよね。
稚子:そうですね。ツアーってお昼はお弁当出していたりするんですけど、今年は夜もお弁当で「ホテルで食べてください」っていうことにしました。
――一日二日じゃないので大変ですよね。
稚子:本当大変でした!毎回100個近いお弁当を昼と夜。そして、それに対応できるお弁当屋さんが地方になるとなかなかないので、現地のプロモーターさんの協力も得て手配しました。でも、特に名物が入っているわけではなくどこに行ってもそんなに代わり映えのないものだったので、結構悲しかったですね。
――せめて名物の駅弁の駅弁だったらよかったんでしょうけど、なかなか数揃わないですものね。
稚子:そうですね。
稚子:そういえば『TAKARA CAFÉ』って名前なんですよね、このカフェ。その由来ってなんかあるんですか?
――『TAKARA CAFÉ』はここで宝物の話をしたら、失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする、そんな場所になるといいなと思って付けた名前なんです。
稚子:へ―素敵ですね。宝物か…普段そんなに深く考えないですけど、宝物って考えてみると色々でてきそうでいいですね。
――もしよかったら稚子さんも宝物の話きかせてください。
やりたいことはやる!
芸能事務所へ
――稚子さんの宝物はなんですか。
稚子:私は「やりたいことをやるっていう」精神ですかね。
――やりたいことをやる。それは、本業の芸能のお仕事にも関係ありますか。
稚子:そうですね。私がもともと芸能界に入ったのは、幼馴染が児童劇団に入っていて「芸能事務所受けてみたいんだけど、一緒に応募しようよ」って誘われたのがきっかけなんですね。私もそういう世界に少し憧れていたので「じゃあ一緒にやってみようか」って応募したのがはじめでした。
――はじめて応募して、結果はどうだったんですか?
稚子:第一次審査の書類審査が合格して、事務所にオーディションに来てくださいということになりました。
――お友達も一緒に行かれたんですか?
稚子:いえ、それが実は私だけだったんです。でも、友達も笑顔で「頑張って」って言ってくれました。
――ずっと児童劇団に入っていたからその世界の色々は経験してきたって感じなのかな。
稚子:そうですね。幼馴染で、色々あっても応援してくれる子でした。私は結局その事務所には入らなかったんですけど「もっとやってみたいな」とか「やっぱり気になるな」ってなってきてましたね。でも、中3年の受験の前だったので、高校に入ってすぐ違う事務所のオーディションを受けて、そこの事務所の研究生になりました。
母譲り?
ピンときたらやってみる
――すごいトントン拍子でお芝居を初めてどうでしたか?
稚子:事務所の養成所に入って佐藤重直さんという映画監督に出会い、30年位指導を受けてきました。芝居を始めたばかりの頃は本当難しくて、沢山“ダメ出し”もされました。すごく怒られたりもして、家でよく泣いていました。
――でも、くじけずに頑張れたんですね。フォローとかあったんですか?
稚子:そうですね。家で悔しくて泣いていたら、母親が「怒られることはいいことなんだよ」って、「目をかけてくれている証拠だから。何も言われないで、あーいいよいいよ、って言ってくれるよりも、声掛けられることの方がいいコトなんじゃない」って言ってくれて、本当にそうだなって思えたんです。
――お母さんの言葉がすっと入ったんですね。
稚子:そうですね。母はいつでも協力的に応援してくれていたので、素直に聴くことができたんだと思います。
――お母様も「やりたいことはやればいい」精神の持ち主だったのかしら
稚子:そうですね。60歳過ぎくらいから手に職を受けた方がいいって整体師の資格をとって、70を超えた今でも整体師として活躍しています。
――すごいパワフル!稚子さんの宝物の「やりたいことをやる精神」はお母様譲りなんですね。
稚子:そうかもしれません。あまり深く考えないで「面白そう」って思ったらやってみる。「ピンと来たらなんでもやってみる」というのは母親譲りかもしれません。「とりあえずやってみて、わからなければそこで考えればいいかな」って思っています。そうやってチャンスを掴むのは大切だと思って、今も仕事をしています。
――本当ですね。先に色々考えちゃうとそこで止まってしまいますよね。ピンと来たらやってみる、それを実行できる人って尊敬します。
犬役者は家康君と
メープルちゃん
――アニーと言えば、ワンコのサンディ。サンディといえばオールドイングリッシュシープドッグでしたが、今年の写真をみたらトイプードルになっていました! (写真は丸美屋食品ミュージカルアニー公式ホームページより引用)
稚子:そうですね。多分、ここ3-4年、演出家さんが代わったときに、ちっこいワンコに代わりました。Wキャストで1頭目が祐子さんが言っていたトイプードルの家康君。もう1頭が小型犬のミックスでメープルちゃん。家康はトイプードルなので、わざと毛を伸ばして、ちょっとNYの野良犬風にブラシで毛をボサボサ感を出して出演していて、大変そうでした。
――そうよね。クルクルヘアーのフランスの小型犬はちょっとね「違うな」って思いました。
稚子:その辺はちょっと目を瞑っといてください(笑)
――では、ここで一息、何か一曲、お好きな曲をおかけしましょうか。
稚子:じゃあ、私の思い出の曲。20歳の頃、芸能界目指して頑張っていた時にスタイルが良くて可愛いくて、歌声が素敵で良く聴いていた、マライアキャリーの『HERO』をお願いします(楽曲はYouTubeにリンクしています)。
齢を重ねても
輝く女性でいたい
――今探してる宝物はなんですか。
稚子:齢を重ねても素敵な耀く女性でいたいと思っています。これからも、自分がやりたい!と思ったことにどんどん挑戦していきながら、耀いていきたいなって思っています。
――稚子さんの表情や姿勢などから感じるエネルギーは、周りを明るくしますし、信頼も感じます。今日はお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか。
稚子:ありがとうございます。そしたら、遠慮なくいただきます。
――ごゆっくりお過ごしください。
稚子:はい、ありがとうございます。もう少しここでゆっくりさせていただきます。
藤平稚子さんのInstagramは「こちら」HPはこちら「こちら」
お手紙コーナーも
稚子さん登場!
今回のお便り:葉山行きたいなぁさんよりいただきました。
祐子さん、うり店長こんにちは。先日うり店長のInstagramを見ていたら、10月30日に葉山でイベントを開くと言う投稿がありました。譲渡会やマーケット、それから祐子さんのセミナーもあるということでぜひ参加したいと思っています。それで色々な出店者さんを見ていたら「TAKARA CAFÉ 」に来店した方々が多い!って気付いてしまいました。TAKARA CAFÉはやっぱり宝物が見つかる場所なんですね。
祐子:そうなんです。イベントを開催します!会場になる「仙光院」さんも、いつも遊びに来てくださっているご住職さんのお寺です。お寺で犬猫の譲渡会を開くと「命についてより深く考えてもらえるのでは」と、ずっと思っていました。それで、ご住職に相談してみたら「いいね、やろう」って仰ってくださり、こちらも常連のお客様で保護活動をしながらトリミングサロンを経営されている中山さんに相談してみたら「やろう!面白そう」ってお返事をいただいて、すぐに企画がスタートしました。沢山の方が楽しめるように「マルシェもやりたいね」って話をしていたら、今日遊びにきてくださっている稚子さんをご住職が紹介してくださったという縁なんです。稚子さん!ごめんなさい、ゆっくりしているところ。
稚子:いえいえ。
――ちょうど10月30日のイベントについてのお手紙が来ていたので伝えたくなっちゃいました。
稚子:30日のイベント。本当に楽しみですよね。実は私と開催場所の住職とは小学校からの同級生なので今回声をかけてくれました。発起人が成井住職で、祐子さんが実行委員長。本当に面白い縁ですよね。
――本当にこんなミラクルってあるのって思いました。イベントのタイトルも~人、まちペット、繋がる!お祭り~『お寺でわんにゃん縁結び』。
稚子:かわいいネーミングになりましたよね。当日は自信を持って私がお勧めする葉山の美味しいデリやカレー屋さん、それとパン屋さんと珈琲屋さんを揃えてみました。それからリラクゼーションでは耳つぼと私のハンドトリートメントも出店します。
――稚子さんはハンドマッサージもできるんですよね。多才!
稚子:興味を持つとすぐにやってしまうんです。ハンドトリートメントは学校に通って資格をとったんです。それでセラピストとして今はマルシェなどで出店したり、私自身でもマルシェを企画しています。
――今回はマルシェの責任者になっていただきました。ありがとうございます。
稚子:いえいえ。30日の日曜日ですからもうすぐですね。祐子さんがマッチングしてくださった、出店者さんや本堂で行うプログラムも本当に充実していて「他にはないな」って思えるくらいです。みんなのワクワク感が伝わってきて、私もやりがいを感じています。
――ありがとうございます。沢山の方が遊びに来て下さるよう、私も頑張りますので。一緒にがんばりましょう。
稚子:はい。よろしくお願いします。
祐子:イベントではコーヒー屋さんやテイクアウトできる食べ物屋さんの他には、こちらも宝caféの常連さんの、「結び屋虹園」さんの水引作品や「Lani&Kai Mood」さんのキャンドル、それからアーティスト「かおかおパンダさん」のオリジナルグッズの出店があったり、本堂では写真展や「いのちをつなぐ。動物の福祉と保護活動について」というセミナーを開きます。
ちょっと固めのタイトルですが、動物が好きな方。ペットを取り巻く社会や保護活動に興味のある方。これからわんにゃんと暮らしたいと思っている方など、幅広い方々と一緒に身近な動物のことを考える機会になればいいなと思っています。セミナーは1時から2時半まで本堂で開催します。講師は私白田祐子(しらたゆうこ)です。わんにゃんも3つの保護団体が参加しますので、ぜひ、美味しいものを堪能しに、ブラリと遊びにきてくださると嬉しいです。イベントは10時から午後3時まで。わんにゃんがいるのは2時までとなります。
詳しくは、HPまたはInstagramで随時告知していますのでチェックしてみてください。同じ日に森戸神社でもMarketが開催される予定ですので、ぜひ30日は葉山で楽しんでいただければと思います。
10月30日のイベント『お寺でわんにゃん縁結び』の詳細は「こちら」
番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』
インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)
うり店長のInstagramは『こちら』
ル・ブラン湘南のInstagramは『こちら』
白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1MHzレディオ湘南に出演中。