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犬とあなたと珈琲と。Vol.25 鈴木 敏男

聞逃し配信中
ミキサー:レディオ湘南 高橋優佳

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(毎週金曜 16:00~16:29)放送中

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。ここで“宝物”の話をすると探し物が見つかるとか?…オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の愛犬“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様はアスベスト分析ラボ『イナラブジャパン株式会社』代表取締役の鈴木敏男さん。子供の頃から「どったことない」を信条に、現在の会社設立までの道のりもまさにそうだとか。『ポイントポイントでラッキーが起こるんです。最初はラッキーかどうか分からないけれど、流れに乗ってみるんです』。流れに乗って専門性を高め、順風満帆できたある日「どうしてこんなことになったんだ」と人生を振り返るできごとが。その時、ふと思い出した小学校の”卒業文集”。そこに書かれていた将来の夢とは…。忘れていた子供の頃の夢が現実になっていたというのですから驚きです。


――こんにちは!鈴木さん、ようこそお越しくださいました。
鈴木敏男さん(以下 鈴木):こんにちは。久しぶりです。

――本当にお久しぶりです。お待ちしておりました。いらっしゃいませ。
鈴木:あっ、うりちゃんも出勤しているんだね。今もこんなに元気とはびっくり!

――そうなんです。若い時は鈴木さんにプレゼントしていただいた、おもちゃを追いかけ回していました。あのボールは我が家では「鈴木ボール」って呼んでいました。あの時はありがとうございました。

鈴木:あぁ、懐かしいね。

奇跡の鉱物
アスベストの欠点


――鈴木さんはアスベストの調査分析をする会社『イナラブジャパン株式会社』を経営されていますよね。アスベスト、石綿ですが、その健康被害は大きな社会問題になりましたね。あれはいつ頃でしたか。

鈴木:アスベストは細かな繊維状をしている天然の鉱物です(写真上参照)。「奇跡の鉱物」と呼ばれるほど耐熱性などに優れていて、建築材料や自動車の部品、家庭用品など、様々なものに使用されてきました。でも、この「奇跡の鉱物」には唯一欠点があった。それが、空中に飛散した目に見えない石綿繊維を長期間吸い続けると、深刻な健康被害が発生すること。それが1970年頃に判明して法律で規制されることになりました。

――「中皮腫」という言葉はアスベスト関連で聞くようになりました。発がん性も高いので法規制は直ちに使用中止でしたか。

鈴木:いえ、それが直ちにというわけにはいきませんでした。含有されている材料の種類や用途、そして含有量などを線引きしながら、段階的に規制していったので、完全に石綿製品が製造されなくなったのは2006年以降なんです。それと「中皮腫」についても、以前は他の要因でも発症する場合もあると言われてきましたが、今はアスベスト由来・特有のがんというのが定説になっています。

語源は「永遠」
今でも近隣国では使用


――2006年ですか、割りと最近まで使用されていたんですね。驚きです。

鈴木:はい。しかも、世界的に見ると法整備がされているのは欧米先進国だけですから、例えば、中国やインド、ロシア、そのほかの新興国や発展途上の国などでは今も使用されています。国内でも、ごく最近バスマット問題などが報道されていましたよね。

―はい。珪藻土の製品でありましたね。石綿の耐火性については古代の人も注目していて、ミイラを包む布やランプの芯に使用されていたと聞いたことがあります。

鈴木:アスベストの語源は「永遠」を意味するギリシャ語と言われていますからね。そんな古代から有効な材料として認識されてきたのはびっくりですよね。わたし達も理科の実験で使っていましたよね。アルコールランプの上に乗せる石綿の金網。身近な存在でしたね。

――私が通っていた中学校はとても古い校舎でしたのでアスベストの吹き付け天井でした。見た目がすごく気持ち悪かったのでよく覚えています。多分、先生に触ったら危険と言われていた気もします。

鈴木:アスベストの潜伏期間はとても長くて、10年から30年、50年と言われています。なので、最初にケアすべきなのは子供たち、若い人たちということで、学校などの公共施設は各自治体がすぐに問題視したようです。それが1987年頃だと思います。確か藤沢市とかはかなり早い段階で対応していたと記憶していますよ。

その後、順次法改正が行われ、現在は一定規模以上の建築物を解体や改修する場合は必ず事前にアスベストが含まれているかどうかの調査。そしてその報告が義務付けられています。今後は資格要件も追加されていく予定です。そしてもちろん除去等の作業時は、従来から細かな規制があります。

――少しずつ変わってきているんですね。

鈴木:そうですね。私は建材メーカーのアスベスト除去部門で9年勤めて、除去工事を専門とする会社に13年、そして分析会社に独立して13年。アスベストに関わってもうすぐ35年ですから、その変化をずっと見てきました。

アスベスト分析。
まずは人の目で確認


――どんどん専門性を高めていっているんですね。アスベストの分析はどのように行われるのですか?大きな装置とかあるんですか?
鈴木:基本的に顕微鏡で見るんです。

――顕微鏡ですか!鈴木さんが見るんですか?

鈴木:今は専門の社員がやっていますが、私も今から25-26年前、ハワイにあるアスベストの分析所で顕微鏡による分析法を学びました。それとシカゴにある民間の資格学校などにも通って、アメリカの法律に則って発行される許可証や国際基準の認証を受けて、今の分析所を経営しています。

――日本の資格ではなく、アメリカの資格が必要だったということですか?

鈴木:そうですね。資格取得した時に在籍していた会社のお客さんのほとんどが、米軍基地やアメリカ大使館だったからですね。独立した今も8割は米軍基地のお客さんです。

――それはますます専門的ですね。
鈴木:ありがとうございます。


鈴木:甘いもの大好きなのでビスケットいただきます。確かになんだか、懐かしい感じがしますね。お店もホッとする雰囲気ですね。うりちゃんもいるし。

――ここTAKARA CAFÉでは、子供の頃の思い出話をされる方が多くいらしゃいますので、もしかすると懐かしい空気を含んでいるのかもしれません。
鈴木:思い出話?

――そうなんです。子供の頃にタイムスリップして宝物の話をする。そうしたら失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりするかもしれません。
鈴木:宝物ね。実は最近ちょっとそんな事を思い出しているんですよ。

――そうなんですか?もしよかったら鈴木さんも宝物の話きかせてください。

部分的な
形状へのこだわり


――鈴木さんの宝物はなんですか。

鈴木:小学生の頃は図鑑が宝物でしたね。特に空の雲や鳥、飛行機や宇宙にはすごく興味があっていつも見ていました。鳥にはすごく興味があって家でもセキセイインコを飼っていましたし、雲もすごく好きで夏休みの自由研究は「雲の観察日記」でした。

――少年鈴木君は雲や鳥のどこに魅力を感じていたのでしょう。

鈴木:んー…どうしてですかね‥‥。飛行機や宇宙もそうだけど、きっと空にあるものに興味を持ったというか、間近で見られない手が届かないモノに憧れみたいなものがあったのかもしれないですね。それと多分ディティールにこだわる方なんだと思います。図鑑以外では飛行機や車のプラモデルが好きだったし、今でもシルエットとかライトとかの部分的な形状で、なんの飛行機なのか、なんの車なのか分かっちゃいますからね。

――部分的な形状…顕微鏡を覗いて分析する今の仕事は向いているんですね。

鈴木:今思うと、そうかもしれないですね。実は建材メーカーに転職したのは先輩に「人を募集している会社があるけど、転職したらどう?」って声をかけられたんです。その後も「アスベスト除去専門の会社に移籍しないか?」とか、同時に「分析業の為の顕微鏡の勉強もしたらどう?」と誘われて、顕微鏡の世界に入り込むことになったんです。更に「分社化・独立しなさい」と言われて現職となりました。という訳で、どちらかというと「流れに逆らわず」にいたら、今に至った感じなので振り返ってみるとびっくりですよね。

人生は
どったことない⁈

――それはとてもいい流れを掴んだんですね。流れに乗る前の、図鑑を眺めていた少年の夢はなんだったんですか?

鈴木:それが子供の頃からずっと「何かしたい」とか、あまりなかったように思うんですよね。もちろん、子供がする遊びや当時流行っていたものとか、興味のあるものは沢山あったけど…なんとなく本番に強いというか、高校も大学もそれまでの成績では「難しい」と言われていたのに合格しちゃったりして、その後は怠けて2年間も留年してしまったけど。でも特に挽回しようと躍起になった訳じゃなくて、小さなころから「どったことな~い」が信条でしたね。

――「どったことない?」鈴木さんは小樽生まれ小樽育ちですよね。
鈴木:そうです。

――私も札幌ですけど「どったことない」ですか?「どってことない」ですか!「どうってことない」の。
鈴木:そうです、そうです。「なんもなんも、どったことない」って言っていました。

――「なんもさぁー」ってね(笑)

鈴木:子供の頃からそうやってきたけど、ポイントポイントでラッキーが起こる訳ですよ。その時はラッキーかどうかわからないんです。でも、声をかけられたり、誘われたりしたことに挑戦してみる。流れに乗ってみるんですね。そして、目の前のことを一生懸命やることが大事だと思います。

――声を掛けてもらえるというのは鈴木さんの人間性なのでしょうね。そうして、自然に良い方向に向いて行った…。
鈴木:んー、どうなんでしょうね。そうなのかもしれませんね。

ふと卒業文集を見て
ドキリ!


鈴木:でも、独立すると決まったときは、「どうしてこんなに人に翻弄されるんだよ!」って悩みましたけどね…実は自分で進んで独立した訳ではなくて、そこに至るまでには色々な事情があったんですよ。それで「どうしてこんなことになったんだろう」って人生を振り返ってみたのが、ちょうど今から10年くらい前です。それでその後「図鑑を見るの好きだったな」とか「雲が好きだったよな」とか、段々思い出してきて、空を見上げたりするようになりました。それで、最近ふと、小学校の卒業文集のことを突然思いだしたんですよ。

――なんとなく人生を振り返っていて、卒業文集のことを思い出した。

鈴木:ちょっと恥ずかしいんですけど、将来の夢は「公害除去装置を発明する科学者」って!

――えー!まさに今の仕事じゃないですか。

鈴木:自分でもちょっとハッとしましたね。当時は学校の授業やTVで「イタイイタイ病」や「四日市ぜんそく」とか、公害問題がクローズアップされていましたから、地球環境が侵される危機を感じていたんでしょうね。自然や生物が好きでしたから。まぁ、科学者とは言えないけど、近いモノがあるよなって。

――そうやって考えると、今の自分が誇らしいですね。子供の頃の自分に何か声をかけるとしたらなんて声をかけますか。

鈴木:やっぱり「どったことない」ですかね。人生山あり谷ありだから頑張れかな。あの、お話していて思ったのですが、私が言う「どったことない」には「気にしない気にしない、気楽に行こうぜ!」っていうのが普通の意味ですけど、「過去は気にするな、今から頑張ればいいさ!明日はなんとかなる!明けない夜はない」という意味も含まれている気がしてきましたね。

――「どったことない」いい言葉ですね。

保護猫との暮らし


――自然や生き物が好きだった少年。今は猫と暮らしているんですよね。

鈴木:そうです。妻がもともと猫好きでずっと猫と暮らしてきました。先代はアメショとスコティでしたが、今は千葉の動物愛護センターから譲り受けたキジトラの兄妹猫「こはく(男の子写真右)」と「ひすい(女の子同左)」の2頭と暮らしています。私は元々犬派なんですけど、かわいいですよ。

――甘えてきます?
鈴木:全然懐いてくれないです…(笑)

――そうなんですね(笑)でも、そこも猫の魅力の一つってよく聞きます。さて、何かお好きな曲をおかけしましょうか。

鈴木:大学時代、テニス部の練習が雨で休みになった午後、同期のみんなと小樽市内の喫茶店に繰り出して、コーヒーとスイーツを食べながら見たレーザーディスクがあるんですけど、特にこの曲は音楽も映像も鮮烈で今でもあの時の記憶が蘇ってきます。Earth, Wind & Fireの『宇宙のファンタジー』(楽曲はYouTubeにリンクされています)。

これからも
「どったことないさ」と言いながら


――今探している宝物はなんですか。

鈴木:月並みですけど、まずはやはり社員やお客様、関わっていただいている全ての方々です。社長が「どったことない」でも、社員やお客様あってのイナラブジャパンですからね。それと何といっても、大学時代のテニス部の仲間は、今までも、これからも大切な宝物です。この仲間のおかげで「どったことない」私がマトモでいられます。これからも「どったことないさ」って言いながら、趣味のテニスやドライブをして、今の流れに乗って生きていきたいと思いますね。

――もし流れに変化が起きた時は、また誰かが「こっちに来ない?」って、誘ってくれるかもしれませんね。今日は楽しいお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか。

鈴木:そうですね、いただきます。

――ごゆっくりお過ごしくださいませ。
鈴木:はい。じゃあ、遠慮なく。


イナラブジャパン株式会社のホームページは『こちら』
番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』

インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagramは『こちら』
ル・ブラン湘南のInstagramは『こちら』

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中。

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