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野良犬の多い国と日本の違いって?


今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組、宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』に寄せられたお便りにお答えします。

野良犬が幸せそうに
見えます

今回のお便り:鵠沼タッチさんからいただきました。
祐子さん、うり店長こんにちは。ふと疑問に思ったのですが、家庭犬として暮らしている、あるいは、家庭犬として暮らすために新しい家族を募集している犬の多い日本に対し、野良犬がたくさんいる国もありますよね。野良犬が多い国をいいとは言いませんが、町の中でのんびりと人々に愛されながら暮らしている地域犬のような存在として、なんだか幸せそうにも見えます。このような文化の違いってどう思いますか? ちょっとモヤモヤ案件じゃないですか。

🐾🐾🐾

鵠沼タッチさんありがとうございます。世界の野良犬事情の違いにモヤモヤ…そんな感じでしょうか。

世界の犬は10億頭?
飼い犬はその1/4


地球上にいる犬は、だいたい10億頭程度と推定されていて、そのうちペットとして飼われている犬は1/4程と言われています。確かに、東南アジア諸国、特に仏教国のタイ、ラオス、ミャンマーなどでは、そこいらじゅうに、ちょっと大きめのサイズの犬がゴロゴロいて、誰かがご飯をあげていたり、道の真ん中やお店の出入り口で寝ていても邪魔者扱いされず、日常生活に溶け込んでいますよね

「ストリートドッグ」や「コミュニティドッグ」と言われています。

恐ろしい感染症。
狂犬病の壁


野良犬と殺処分は表裏一体の問題ですので、これはとっても深いモヤモヤです。いつか時間をかけて考えていきたいなと思いますが、まず、知っておくべきこととしては「狂犬病」です。

狂犬病はウイルス性の人獣共通感染症(人畜共通感染症)で、例えば、狂犬病に罹患した犬に噛まれて、一度発症すると、ほぼ100%の確率で死に至る。そういう恐ろしい病気です。統計がとれる範囲になりますが、毎年世界中で狂犬病による死者が約6万人出ていて、そのうち95%以上がアフリカとアジアで発生しています。

日本では1956年(昭和31年)に犬、翌年に猫を最後に終息しています。「狂犬病」といっても、犬以外の全ての哺乳類に病気を引き起こす可能性がありますが、最初に「犬」から発見されたので「狂犬病」と呼ばれるようになりました。狂犬病は撲滅された日本。そこに至るまでには、やはり残忍なこともあったようです。

野良犬と殺処分は
表裏一体の問題

イメージ写真につき内容と画像の関係はありません

今は「狂犬病予防法」に基づいて、犬の所有者は犬の登録と狂犬病の予防注射、そして必ず繫いで飼う義務があります。ですから、街中をうろうろしている犬がいた場合、管理者(多くは保健所職員)は犬を抑留しなくてはいけない。日本の法律上、本来、所有者がいて管理されている犬以外は存在してはいけない。そういう仕組みなんですね。だから、捕獲する。そういう事情があるんです。

ストリートドッグの多い、インドネシアのバリ島では2008年に狂犬病が大流行して、150,000頭近い野良犬や放し飼いの犬(バリでは家庭犬でも放し飼いがスタンダード)が処分されたと聞いています。そしてタイでも「野良犬の個体数をコントロールしながら、狂犬病の発生を制御するアプローチには困難を極めている」と、多くの論文や地元のWebメディアで伝えられています。

穏やかで幸せそう。だけど、視点を変えれば全く違う世界もある…。でも、もし日本に犬の保護区のような場所があれば、無理に野犬を捕まえる必要はないのに…と個人的には思っています…。

どうでしょう。鵠沼タッチさん、少しは参考になったでしょうか。犬と人のナチュラルな共生がいつか訪れる日、「そんな歴史もあったんだね」って言える時代が世界中に訪れますように。

*この記事はFM831レディオ湘南:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(第1.第3土曜16:00~16:29放送)2024年4月6日放送分を加筆修正しました。

本記事は「こちら」から視聴可能。
レディオ湘南は世界中どこからでもワンクリックで視聴可能です。
番組サイトにもぜひ遊びにきてください『犬とあなたと珈琲と。』

◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。

文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagram 
ル・ブラン湘南のInstagram

白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。

1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。パートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。

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