飼いやすい犬種ランキング…?
今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組、宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』に寄せられたお便りにお答えします。
目次
はじめてで、
飼いやすい犬は?
今回は「夏休みの自由研究!こども特集」からご紹介します。『はじめて犬を飼う時、飼いやすい犬ってなんですか?』。関連した質問『のんびりした性格なので、のんびりした犬を飼いたいです。どんな犬がいいですか』
ありがとうございます。簡単なワードに聞こえますが、実はこれ、とても深い質問。全てをお答えしようとすると、どんどん深みへとハマっていきますので、「自由研究のテーマ」として、どのような視点で調べて行くとより正確な答えに辿りつけるか。そのヒントをご紹介します。
回答者はわたし、心理士で犬とヒトの関係を研究しているドッグカウンセラーのしらたゆうこと、保護犬猫のシェルター付きトリミングサロン『イヌと暮らす』の代表取締役社長の中山ゆきさんです。
ランキングは誰が決めた?
祐子 「飼いやすい犬なんていません!」って、いつも話している、ゆきちゃんどうですか。
ゆき こういうのってネットで調べてみるとランキングで、トイプードル、チワワ、柴犬、ダックスとか色々でてきますけど、どういうことなんでしょうね…。私は「高齢犬」が飼いやすいと思っています。
祐子 私も大賛成。犬初心者には落ち着きのある成犬を勧めたいと思っています。あと、保護団体から「この子はどうですか」って、提案してもらったり、仔犬であれば、しっかりブリーダーに見学に行くとか、「どこから犬を手に入れるか」。そういう事が、本来大切なのではと思います。それらは、一緒に暮らしてから「困った行動」と思える行動の頻出度合の違いや、犬とヒトの関係性にとても影響してきます。なので、ちょっと視点を変えるといいかもしれません。そもそも「飼いやすさ」は、人それぞれ違うと思います。
ゆき そうそう。だから「のんびりした性格だから、のんびりした犬ってどれですか」っていう、考え方の方がいいかもしれない。そうやって、まずは自分のタイプを知ること。たとえば、アウトドア派なのか、インドア派なのかとか、「自分を知ること」が、犬を選ぶ手掛かりになっていくと思いますね。
祐子 ねっ。たとえば、犬と一緒にカフェでゆっくりした時間を過ごしたい人が、野山を駆け回る猟犬を選らんでしまうと、タイプが違うから、犬も人も苦しむことになるかもしれない。でも、アウトドア派で運動好きなら、犬も人も一緒に楽しむことができる。
ゆき 犬と「どんな暮らしをしたいか」で変わってきますよね。
自分のタイプや暮らしを
知ること
祐子 タイトルを『飼いやすい犬』ではなく、『人気犬種の特長:自分に合った犬を見つけよう!』などにするとどうでしょう。そして、研究目的に『犬と暮らす時、自分や家族の性格にあった犬を選ぶことが、犬や人もずっと幸せに暮らせると思ったから』みたいな。
ゆき それすごくいいですね。あと、こんなのはどうでしょう。『あなたのタイプに合った“犬種”簡単早わかり』。Q&Aで進んでいくと何通りかに分かれていて、最終的に「Aを選んだあなたは一緒に走り回るダックスタイプ…」とか。自分の事と犬種の特徴を一緒に考えちゃうみたいな。
祐子 なかなか上級者向けっぽいけど面白い。研究方法はどうしますか。
ゆき まずは犬種の特性を本などで調べて、それを表にする。学校や藤沢市の図書館にもありますよね。百科事典とかね。
祐子 表に盛り込む項目には、例えば『体の大きさ』。大きな犬がいると部屋の広さもそうだし、体力も必要。大きい分、ご飯もいっぱい食べるから必須項目。それから、どんな『役割や仕事』をする犬だったのか。それで「よく吠える」とか「走り回るのが好き」とか「抱っこされるのが好き」とか、特徴もわかる。
ゆき おもしろい。あと。抜け毛とかシャンプーの回数とか『手入れ』の難易度。絶対に美容院に通わないといけない犬種がいるから。そこも欠かせないですね。
祐子 さすがトリマーさん。
ゆき そういう情報を一覧にして「自分にはどの犬が向いているか」って考えるのが面白いと思いますね。
祐子 そうそう。そして『でも、育て方で性格は変わるので、仔犬の時から色々な経験をさせてあげることが大切』って、考察に書きくわえてほしい。
ゆき それは、ぜひ加えてほしい。
のんびり屋さんに
あいそうな犬は?
ゆき 因みに祐子さん。のんびり屋さんが選ぶ犬「ヒントだけでもください」って言われたら、どの犬を勧めるんですか?
祐子 シーズーとかペキニーズを勧めることが多いかな。
ゆき なるほど!さすがですね。5段階評価でいうと、シーズーは「吠える=1」「走り回る=2」「抱っこ=5」「手入れ=5」って、とこでしょうか(笑)
祐子 そうだね(笑)その5段階評価があると、特長が分かりやすいね。自分はこれから「犬との暮らし」に何を求めているのかを考えながら犬種を選ぶ。とっても参考になるかもしれません。
補足とまとめ:
飼いやすい犬とは
「身体の大きさ」や「運動量」「動くものへの反応」「好奇心の高さ」など、犬種による特性はとても大切です。でも、犬も人間同様、大きな個体差が存在します。引き継がれている特性だけでは、犬の性格を語ることはできません。
ただ、多くの人が求める「飼いやすい犬」とは「穏やかな犬」のことかもしれません。穏やかさは、産まれた時の環境や母犬との関係性や母犬の状態。そして、家族に迎えてから、子犬時代をどのように過ごし、私たちが接していったかで変わっていきます。
犬がもともと持つものだけでは「決定づけられない」という点に、犬の面白さがあるのですね。言い換えれば「人次第」なのです。
参考記事⇒『怖いの心理とストレス耐性』
互いにストレスなく
穏やかに暮らすために
①環境のよい場所で産まれた犬を選ぶ
②自分の性格や体力・時間の余裕や経済力を見極める
③犬とどのような暮らしをしたいのかの目標を決める
④自分の性格や暮らしに合った特徴を持つ犬を選ぶ
⑤伸ばしたい特性を褒める
⑥伸ばしたくない特性はその代わりになるもので発散させる
⑦多くの経験をさせる
今、目の前にいるその子は、先天的なものと後天的なもの、遺伝と環境の両方が組み合わさった状態。そのことを忘れずに、最期まで幸せなドッグライフを過ごしていければと願います。
この記事はFM831レディオ湘南:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(第1.第3土曜16:00~16:29放送)2023年8月19日放送分を加筆修正しました。
本記事は「こちら」から視聴可能。
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番組サイトにもぜひ遊びにきてください→『犬とあなたと珈琲と。』
◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。
文:白田祐子(しらたゆうこ)
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白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。