ブログ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 犬の心理
  4. 犬の社会化・犬を甘えさせて育てる技術#1

犬の社会化・犬を甘えさせて育てる技術#1

犬を抱いてベッドで眠る女性

今回は「甘え」と「甘やかす」の違いの話です。

犬が甘えてくるのは至福の時間。
でも、愛犬の困った行動を「甘やかしてしまったから?」と、思っている方もいるのではないでしょうか。あるいは、他人から「甘やかしているから…」と、心ない言葉を言われて、傷ついている方もいるかもしれません。

犬は物理的にも精神的にも人間を頼りに生きています。ですから“甘えさせること”は決して悪いことではなく、むしろ、とても大切なこと

ただ“甘えさせる”“甘やかす”は違います。

間違わないためにも、犬の成長による「甘えの違い」を理解しておくことが大切です。

甘えは“安心感”の源

甘えは一言でいうと“相手に愛情を求める”こと
甘えが満たされたとき、自分は大事にされていると安心できるものです。

犬の脳や社会性の発達、情緒や情動行動の安定など、気持ちが豊かで落ち着きを持って育つには、遺伝的要素だけでなく“母犬が子犬の世話をどれだけしたか”という、母子間の<愛着関係>が非常に重要であることが科学的に解明されています。

子犬が鳴くのは生理的欲求(空腹、眠いなど)が満たされないときだけではなく、不安な気持ち、寂しい気持ちを表現するサインでもあります。そのとき、母犬が寄り添い、舐めてあげると子犬は安心できます。

その後、子犬は時間と共に成長し、母犬から離れて動きまわる時間が増え、甘えることは減っていきます。でも、時々、子犬のように母犬の胸に飛び込み”甘える行動”が見られます。

これは、母犬から離れることではじめて経験する、外の世界など、目には見えない漠然とした不安感からくる行動です。未成熟な犬は不安対象を限定したり、不安要因を断定したりする方法までは知りませんから、母犬から得られる安心感で心のバランスを保ちながら、自信を身につけていくのです。

白い毛に茶色が混じったハスキー犬の子犬

社会化への感情サイクル

犬の心は『安心・不自由・意欲』など、幾つかの“感情サイクル”を繰り返しながら、段階的に成熟していくと考えられます。そして、それらすべての感情の出発点となるのが「甘え」です。

子犬は生後すぐに母犬から“安心感”をもらいますが、やがて、その依存状態を「不自由」と感じる心が芽生えてきます。このとき、自由を求めて動こうとする気持ちが“意欲”です。

意欲はとても高いエネルギーです。運動機能や知的能力、好奇心を「試したい!」という欲求から、自主的な活動が活発になります。でも、自由な活動を満喫していると、これまでに経験したことのない“不安(漠然とした不安)”が訪れ、また“甘え”の世界へと戻ります。

安心感をもらうと再び「チェレンジしたい」「欲求を満たしたい」と意欲がわき、自主的な世界へと向かいます。このようなサイクルを何度も繰り返し成長していきます。

自主性と依存をめぐる感情サイクルの図

社会に適合するための“自主性のめばえ”には意欲が必要ですが、意欲の元にあるのは安心感です。安心感はどこからくるのかというと十分な甘えからです。

甘えから得られる「安心感」こそが<社会化に必要な心の土台>となるのです。

成長による“不安”の変化

前述した“感情サイクル”は、さらに成長すると、違うサイクルへと変化します。

新しい体験からくる「何だか不安」という漠然とした不安から、次は「社会に馴染めない」「自分の欲求をうまく表現できない」など、具体的な不安へと変わっていきます。

この不安の変化が訪れた時、これまでの甘えさせて安心感を与えることで“成長”するという、サイクルは乱れていきます。私たちがこれまでと同じ方法で接していると社会化が適切に行われず、「困った行動」や「問題行動」が起こりはじめる可能性が高まるのです。

不安が変化すると、なぜこれまでのサイクルが乱れるのでしょう。また、“甘え”に変えて、何を与えてあげると、社会化が適切に行われ、感情豊かで落ち着いた犬へと成長してくれるのでしょう。

続きはこちら→『犬の社会化・犬を甘えさせて育てる技術#2』

◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。
この記事は初出2017年11月10日『犬の心を育む8~「甘え」から生まれる信頼関係と社会性の発達』(「犬のココカラ」掲載)を大幅に修正しました。

Instagram:@doggy_uri
      @ル・ブラン湘南

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。ラジオパーソナリティ。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中、2022年4月(毎週金曜16:00~16:30)から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。

関連記事

カテゴリー

  • うりパイセンの独り言
  • 湘南しっぽラジオ
  • 犬の心理
  • ラジオカフェ
  • 犬と暮らす
  • 日々のあれこれ