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犬とあなたと珈琲と。Vol.78 藤沢市南市民図書館

聞逃し配信中(音楽は全てダミーです)収録:レディオ湘南  

宝製菓 presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ『TAKARA CAFÉ』。オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の17歳、愛犬の“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様は藤沢市内に4か所ある市民図書館の一つ『南市民図書館』の責任者太田敦子さん。藤沢駅南口の商業施設に移転後、その立地から他の図書館とは一味違った特徴溢れる図書館として注目され続けています。本好き、活字好きの私にとって宝箱のような図書館。4月23日からはじまる「子供の読書週間」に向けたイベントや南市民図書館の魅力を伺いました。太田さんの宝物はロングセラーの人気児童書「いやいやえん」。大人になっても楽しめる1冊。あなたにもありますか。

図書館のくま

――こんにちは。ようこそお越しくださいました。
太田:こんにちは!お久しぶりです

――いつもお世話になっています。店内にはうり店長と他にもワンちゃんもいますが、ワンコは大丈夫ですか?
太田:うり店長、こんにちは。実家にいた犬にそっくりでびっくりしました。家族みな大の犬好きで、いろいろな犬を飼いましたが、最後に一番長く一緒に暮らしたのが多分雑種の柴犬系で…今も柴犬を見るとすぐ反応してしまいます。

――そうなんですね。可愛かったんでしょうね…。今日は大好きな図書館の話を聞けると楽しみにしていました。
太田:今日はお邪魔させていただきます。

本の貸出につなげる
情報収集や発信も重要


――太田さん。太田敦子さんは藤沢駅南口『ODAKYU湘南GATE』の6階にある図書館、『南市民図書館』の責任者でいらっしゃって、私は去年「ペット防災」のセミナーで講師をさせていただいたのがご縁でした。改めて、お世話になりました。

太田:昨年秋は関東大震災から100年ということで、図書館としても改めて防災への意識を高めるための企画を考えていました。日頃からの防災知識や備えなどについての講演会の準備をしていたときに、当時の犬好き責任者が「何かあったら、私の愛犬はどうしたらいいのだろう」と呟いたことから、話はポンポンと展開し、白田さんへと繋がりました。

――ペット防災はまだまだ知っておくべき注意点がありますので、また違ったカタチでお話できれば嬉しいです。図書館ではそういう様々な企画も開催されていますよね。

太田:図書館としての本来の目的、将来の文化遺産となる様々な出版物を収集・保存し、それらを必要とする方へ手渡したり、調べ物のお手伝いをしたりしていますが、もっと多くの方に図書館を身近に利用してもらうための働きかけも必要と思っています。季節やその時々の話題にアンテナを張って、それらにマッチした資料を展示紹介したり、日常生活に為になる情報を提供したり、さらにいろいろなイベントや講座を開いて、関連本の貸出に繋げています。

みんなでつくろう!
本の木

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太田:近いところでは、市内4つの市民図書館で「みんなでつくろう!本の木」を開催します。これは、4月23日から5月12日までの『こどもの読書週間』に合わせて、毎年行っているものです。

――4つの市民図書館とは、湘南台にある総合市民図書館、湘南大庭市民図書館、辻堂市民図書館ですね。『こどもの読書週間』知りませんでした。そして「みんなでつくろう!本の木」。こちらはどういうものでしょう

太田:葉っぱのカタチをしたカード。図書館によってはリンゴやミカンだったりするかもしれませんが、一枚一枚のカードに「面白かった本」「感動した本」「誰かに教えたい素敵な本」など、とにかく大好きな本の「タイトル」と「好きなところ」を、子どもたちやその保護者の方に書いてもらい、館内の柱に設置された手作りの〝木〟に貼り付けていくというものです。

――面白そうですね「本の木」。葉っぱがどんどん増えて大きな木になると楽しいですね。

太田:そうですね。この期間はGWも挟みますので「本の木」だけでなく、各図書館で「おはなし会」なども開催されて、児童コーナーは多くの家族連れで大変賑わいます。イベント終了後は「本の木」に寄せられたカードを職員が集計して「本の木ランキング」を後日発表しています。

――「本の木ランキング」。それは結果も楽しみです。

お買い物ついでや
通勤通学に便利


――図書館員さん、スタッフの方は何名くらい、いらっしゃるんですか

太田:南市民図書館では44人が働いています。休館日は基本的に第2月曜日と年末年始だけなので、メンバーを交代しながら、毎日ほぼ15-16人で回している感じです。利用者さんから見るとカウンターと館内の書架整理をしている職員しか目に入らないと思いますが、あとは事務室で本や雑誌の装備、修理、行事の準備、電話による予約受付など、いろんな業務を行っています。

――本の装備や修理…。お休みが他の図書館より少ないんですよね。開いている時間も長いと聞きました。

太田:はい。平日は10時から20時まで、土日祝日は10時から18時まで利用できますので、通勤通学されている方も利用しやすいと思いますよ。

――確かに!借りるのは、休日に自宅近くの図書館でゆっくり選らんで、返却は電車の乗り換え時にちょっと寄る。理想的です。

太田:なかなか面白いですね!読書家で、お仕事柄行動範囲の広い白田さんならではの発想ですよ。2022年11月より、市内の図書館・図書室はオンラインで繋がりましたので、一枚の図書館カードでどこでも貸出・返却ができるようになりました。さらに利用しやすくなったと思います。

窓際の閲覧席は時間指定制

大島渚監督の
ゆかりのコーナー


――エレベーターで上がっていくと、すぐ左側には「大島渚監督ゆかりのコーナー」があります。

太田:あそこにあるテーブルと椅子は映画監督、故大島渚さんのご家族から寄贈いただいたものです。このテーブルは奥様の小山明子さんには内緒で大島さんがオークヴィレッジに特注し、ある日突然大島家のリビングにやってきたものらしいです。イギリスではロイヤルオーク(英国王室の樹)とも呼ばれる楢の木の一枚板でできています。

――立派ですもんね。どっしりとしたテーブルと椅子で見るからに立派ですが、みなさん自由に座っていますよね。あの一角はちょっと一風変わっていて、珈琲でも飲んでいそうな雰囲気です。大島渚監督のファンの方は特に座ってみたいと思うでしょう。

太田:さすが白田さんですね。あのテーブルで珈琲を飲めたら最高でしょうね。テーブルの横の書架には「大島渚コーナー」を設けて、関連書籍を置いていますので、どうぞ今度手に取ってみてくださいね。

――はい。いつも通り過ぎるだけでしたが、次回はしっかり立ち止まって見てみたいと思います。

音楽:Bee Gees『How Deep Is Your』(楽曲はYouTubeにリンクしています)

かこさとしさんの
原画を探す図書館巡り


――藤沢にゆかりのある方と言えば、「からすのパンやさん」や「だるまちゃん」シリーズで有名な絵本作家のかこさとしさんのコーナーもあります。

太田:南市民図書館と総合市民図書館に専用のコーナーがあります。絵本だけではなく、加古さんの創作活動に関する書籍も並んでいるんです。昨年の秋から藤沢市の4市民図書館では『加古総合研究所』が所蔵する、かこさとしさんの複製原画を展示しているので、4市民図書館を巡っていろいろな原画を楽しんではいかがでしょう。白田さん、絵本や児童書も読んだりするんですか?

――そうですね。本屋さんや図書館に行くと手に取ってはみますね。アートとして楽しむ感じでしょうか。子供の頃に持っていた本を探したり、図書館は思い出も発見もある「宝箱」だと、私は思っています。

太田:そう!図書館にはいろいろな本があります。絵画や写真集、地図など眺めるだけでも、いいと思いますよ。いろいろなことを想像したり夢が広がったりして、何かその日、図書館に来たことによって得られる「宝」があるかもしれませんね。そういえば、このお店の名前『TAKARA CAFÉ』ですよね。名前の由来は何でしょう。

――『TAKARA CAFÉ』は、ここで宝物の話をすると、失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする。そんな場所になるといいなと思って付けた名前なんです。
太田:ほう!そういうことだったのですね。

――もしよかったら、太田さんも宝物の話聞かせてください。

いつも本棚の片隅に。
振り返ると大切な1冊


――太田さんの宝物はなんですか。

太田:うーん…改めて考えたことがないし、今まで、そういう質問をされたことないですからね…。でも、さきほど絵本の話をして、ふと思い出したのが赤い表紙の『いやいやえん』っていう児童書です。物心ついたころから記憶に残っている本で、いつも本棚の片隅にありました。おそらく母が買ってくれたものでしょう。読んでもらったり、なんとか自力で読もうとしたりしていたのかもしれません。どんなに本棚の模様替えをしても、手放すことができなかった本で、ある意味「大切なもの」「宝物的なもの」だと思います。

――わかります!男の子と赤いバケツを持ったクマさんの表紙ですよね。短編集っていうんでしょうか。わたしはクマさんが出てくる話がその中でも一番好きでした。太田さんはなにが好きでしたか。

太田:どの短編も子供のなかにある”困ったちゃん”が、色々な騒動を引き起こして、それぞれに面白かったり、ハラハラさせられたりするんですが、私はやはり「いやいやえん」っていうお話が好きです。

――男の子がわがままを言うというか…なんでも「いやいや」って言う。イヤイヤ期の頃の話なのかなぁ…
太田:そうですね。子供らしい(笑)

――あの本は絵が主体の「絵本」から、文章の多い「児童書」の間くらいの本でしょうか
太田:そうですね。ちょうど絵本から物語へ移り変わるときの。そういう本だと思います。主人公たちも、ちょうど、そういう年ごろじゃないでしょうかね。

――私も「そう!」とか、思ったんでしょうか…あの本を読んで。赤い車は嫌だって言ったら、青ばかりの世界の幼稚園に行く…そういう話でしたよね。
太田:そうです。反抗・反発・戸惑い…。「いやいやえん」に行って、だんだん不安になって、最後はやっぱりお母さんにおんぶしてもらって帰って。やっぱり、子供らしくて温かい気持ちになりますね。

――本当にそうですよね。『いやいやえん』は図書館の児童書コーナーには必ず並んでいそうですね。
太田:はい。児童書の定番ですから、どこの図書館にもありますよ。

赤ちゃんや幼児連れでも
安心で快適


太田:図書館では、子どもの成長に合わせて3種類の読みつがれた本のリストを用意しています。その中の「はじめて出会う物語」というリストに、この『いやいやえん』は掲載されています。他にも「赤ちゃんと楽しむ絵本の時間」「子どもと楽しむ絵本の時間」というリストがありますので、何を読んであげようかなと思ったら、是非このリストを活用してください。

――そういうのがあるんですね。子育て中のお友達に教えてあげたい情報です。『南市民図書館』は小さなお子さんを連れた方にも優しい図書館だと思います。

太田:はい。児童フロア。特に絵本の棚で囲まれた絨毯コーナーは江ノ電や江の島、イルカやクジラやヨットなど、かわいいイラストが壁から天井にかけて描かれていて、子どもたちにとって、きっと楽しい空間となっているのではないでしょうか。すぐ近くには幼児用の「キッズトイレ」や「授乳ブース」もあります。

――とにかく、清潔で明るくて、居心地もよさげ…というか、絶対にいい

太田:ありがとうございます。もう一つ、さきほど話題になった大島渚さんのテーブル近くにある「海の本」コーナー。ぜひ、こちらにも注目してもらえると嬉しいです。海に関する資料を収集するのは、南市民図書館の特色にもなっているんです。


――ブルーのコーナーですね。あそこの棚はとても目立ちます。

太田:ありがとうございます。南市民図書館以外の図書館にもそれぞれに特色があります。辻堂市民図書館には「環境問題図書」コーナー、湘南大庭市民図書館には「みどりの本」コーナー、総合市民図書館には調査研究室や子ども図書館が設置されています。

――それは注目して見てみたいです。

読書スタイルも
選べる時代


――普段本を読む機会や時間がないという方も、図書館に足を踏み入れてみると、自然に本を読みたくなるかもしれないです。

太田:そうですね。そうなると嬉しいです。市民向けのアンケート結果からも、まだまだ図書館に行く時間がない方がどの世代においても半数近くおられるので、図書館の魅力や利用方法をもっとアピールしていかないといけないと思います。一方で、これからの読書活動は電子メディアを用いた読書も必然となってきていますね。

――確かに、紙の本離れと言われていますが、読書スタイルも選べる時代

太田:そう思います。とはいえ、カウンターに座っていますと、幼稚園児や小学生が自分で選んだ本を持って、嬉しそうに手続きにきてくれると、やはり私たちはとてもやりがいを感じます。嬉しくなります。

――あーいいですね…。そういう場面を見ると私もほっこりします。さて、ここで一息。何か、お好きな曲をおかけしましょうか

太田:では、私はミュージカルが好きなので「RENT」から『Seasons of Love』をお願いします(楽曲はYouTubeにリンクしています)

ゆっくり本に向き合う。
時間と場所がほしい

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――今、探している宝物はなんですか

太田:私自身、もう少しゆっくりと本を読む時間を作りたいです。気になる本が溜まりに溜まって、積み重なった「本のタワー」が数本というか、何本も立ってしまいました。今は隙間時間でのちょこちょこ読書しかできていませんので、今、探している宝物といえば、ゆっくり本に向き合う時間とその場所でしょうか。

――その願いがぜひ叶いますように
太田:ありがとうございます。

――今日は楽しいお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか
太田:それでは、遠慮なくいただきます。

――ごゆっくりお過ごしくださいませ。
太田:ありがとうございます。しばらく、ここからの景色も楽しみたいと思っております。

くまちゃんの話と
番外編


――太田さんが普段の業務の中で、特に「これは注意している」というのは、どういうものでしょう

太田:当たり前のことですけれど、図書館に来られた方が必ず目にする「書架」や「展示ブース」の整理整頓でしょうか。特に初めて来館された方にとって、図書館全体が醸し出す雰囲気・空気というのは全身で感じられるもの。棚にちゃんと本が並んでいるからこそ、そこにある本に手が伸びて、人と本が出会っていくものだと思います。

――図書館のキャラクター的なくまちゃん。名前はあるんですか。

太田:いえ、時に名前はなく「図書館のくま」とシンプルに呼んでいます。あのくまは藤沢市図書館のシンボルマークなんです。1986年6月、総合市民図書館開館に先立ち市民から公募されたもので、市内在住の女性の作品だったそうです。「いつの時代にも子どもから大人まで多くの人々に愛されてきた『テディ・ベア』を、新しい図書館のイメージにして絵にしてみた」とのことだったそうです。

――図書館のくまちゃんくま
太田:「図書館ぐま」とかね(笑)

――「ふじさわ電子図書サービス」には、タブレットを見ているくまちゃんがいました
太田:よく気づかれましたね。図書館のホームページをぜひご覧ください。色々なところに、いろんな世代のくまちゃんが、いろんな恰好をしてちょこんと出ておりますので「くまちゃん探し」。ぜひ、ホームページを覗いてみてください。

藤沢市図書館のホームページ⇒「こちら」
番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』 

インタビュー・構成・文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagram 
ル・ブラン湘南のInstagram


白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。

1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。パートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。

愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。

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