困ったとき誰に相談していますか?
今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組“宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』”に寄せられたお便りのご相談にお答えします。
親友と呼べる人もいません…
今回のお便り:I・Jさんからいただきました。
いつも愛犬のお悩み相談をした人に専門的な視点で優しく、時には面白くアドバイスをしてもらえるのがとても羨ましいと思って聞いています。私も日常生活などで気軽に誰かに相談してみたいと思う事があります。でも、否定的な意見や単に根性論で「頑張れ」と言われたりすることもあり、話さなきゃよかったと思うこともあります。今はSNSなどで多くの人と繋がれる時代ですが、私はSNSはやっていませんし親友と呼べる人もいません。心理士の祐子さんは困った時、誰に相談しますか?
🐾🐾🐾
お便りありがとうございます。悩み相談の相手ですね。これは犬を飼っている人が犬の事で相談する相手探しとしても聞くことがあります。
親身になってくれる人は
突然現れない
確かに、普段あまり会話をしない人に突然悩みを聞いてもらおうと思っても、真剣に聞いてくれる人はなかなかいないかもしれませんよね。上辺の言葉だけを掬って“一般論”でまとめられたり、個人的な感情や経験などから結論だけを言う。
相談された側は「アドバイスをしてあげた」「相談にのってあげた」と感じるかもしれませんが、本当であれば、もっと深く相手の考えや気持ち、そしてその悩みの背景を聞いてあげられるといいですよね。ただ、そこまでしてくれる相談相手というのは、突然現れるものではありません。普段から繋がりがないと難しいと思います。
ですから、誰とどう繋がり、関係性を深めていくのかが大切になるのではないでしょうか。
15人を超えると
深く繋がれない?
I.Jさんが言うように、今はSNSなどで沢山の人と繋がり、メッセージや「いいね」のやりとりをしているかもしれません。でも、15人を超える人と同時に繋がりをつくることは、心理学的・社会学的には不可能と考えられているようです。
社会学やソーシャルメディアに関する研究もしているSNSデザインの第一人者であるポール・アダムスという人の研究では人間関係は「8つのタイプ」に分類できるそうです。
円の中に自分がいます。
自分を中心に円を広げていって、一番近い場所に「親友」と「相談相手」がいます。円は多重になっていて、2重目には「癒し手」。3重目に「仲間」「協力者」、4重目が「遊び相手」や「情報源」、そして一番外側5重目が「知り合い」。
自分(中心)に近づくほど繋がりは「強く」、繋がれる人数は少なくなっていきます。
1重目の「親友」と「相談相手」は5人以下、2重目の「癒し手」を含めても15人以下。ここまでが「強い絆」で繋がれるとポール・アダムスは言っています。因みに3重目の「仲間」「協力者」までで50人。「遊び相手」や「情報源」までで150人、「知り合い」まで入れても500人。概ね、それくらいまでなら人間関係を保てるそうです。
私はとても納得のいく数字だと思いました。
困った時に
助けてくれる人は誰?
最も繋がりの強い「親友」
その解釈や使い方に関しては、個人個人で受け止め方が違うように思います。
すぐに「親友だから」という人もいますし、実際は貴重な友人がいても「親友かな?」と難しく考える人もいますよね。私はどちらかというと後者です。 でも、親友というのは「困った時に親身に話を聞いてくれて、助けになってくれる人」。そう考えると、一人、二人といるのではないでしょうか。
最優先すべき
相手を大切に
多くの人と繋がって、例えば、100人の人と1回ずつ会うよりも、強い繋がりの人10人と10回会う。私はその事の方が大事だと思っています。限られた時間を一緒に過ごす相手、最優先すべき相手を大切にしていくことで、関係性は深まり、自然と相談できる間柄になっていくのではないでしょうか。
因みに私はプライベートと仕事。それぞれ信頼できて、私の事を理解してくれていると思える人。そういう人にだけ「困った時」「悲しい時」「辛い時」相談しています。
どうでしょう。I.Jさん少しは参考になったでしょうか。
秋の空と風が爽やかになってきましたね。公園にでも行って、一息ついて、頭の中を空っぽにしてみる。一番癒してくれるのはそんな自然の景色と空気かもしれませんよ。
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この記事はラジオ番組:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(毎週金曜16:00~16:29/FM83.1Mhzレディオ湘南)の2022年9月30送分の内容を修正しました。
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◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。
文:白田祐子(しらたゆうこ)
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白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中、2022年4月(毎週金曜16:00~16:30)から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。