一人暮らしの母が犬と暮すための必要なこと
今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組、宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』に寄せられたお便りにお答えします。
目次
母に犬と暮らすことを
進めたい
今回のお便り:湘南ロコさんからいただきました。
祐子さん、こんにちは。いつも楽しく拝聴しています。近所に住む母のことです。昨年父が亡くなってから、すっかり気力の抜けた様子なので「犬を飼うこと」をススメようと思います。母は犬好きで私が小さい頃も飼っていました。年齢が65歳なので保護犬は無理かなと思いますが、なにより犬と暮らすと健康にいいことも分かっていますよね。祐子さんはどう思いますか?どう実現させていけばいいのか、アドバイスをいただきたいです。よろしくお願いします。
🐾🐾🐾
はい。湘南ロコさん、ありがとうございます。1人暮らしのお母様とワンちゃんとの暮らしを実現させたい…。私の近所の犬友さんにも65歳オーバーでワンコと二人暮らしをしている方は沢山いますし、みなさんイキイキとして犬たちも幸せそうに見えます。
犬がもたらす
健康効果は実証済み
どう実現させていけばいいのか。湘南ロコさんがお話しする通り、犬がもたらす健康効果については多くの実験データがあり、各国で追跡調査も行われています。
その結果は素晴らしく、高齢者を対象とした調査では身体活動が多くなることでお医者さんにかかる回数が減少したり、減量やリハビリのモチベーションの維持が安定したりするため、心筋梗塞後の生存率が高いという驚きの報告もあります。
犬の世話=健康。
それが条件
でも「犬を飼えば健康が手に入るのか」といえば、そうではありませんよね。
犬のお世話をしっかりすることで、健康に結びついていることが同時にわかっています。お母様はお世話をしっかりできそうですか?
朝晩のお散歩は必要不可欠ですし、室内外で安全を確保しながら活動ができるよう気を配り、ルールやマナーを守ることも大切です。それから、しつけに悩んでしまうと犬の存在自体がストレス…という悲しい結果もあり得ます。犬と暮らすには時間と知識・体力と覚悟が必要ですよね。
住環境と生活習慣を
チェックする
お母様と犬との暮らしを「どう実現させていけばいいのか」。そういうご質問ですので、最初に住環境と生活習慣をチェックすることをおススメします。
お家の中の環境はどうでしょう。
ケージやサークル、ベッドを置くために必要なスペースは確保できますか。目に入る範囲で静かに過ごせる場所がいいでしょう。トイレを置くスペースも必要です。もし、モノが散乱していれば犬の手の届かないところに整理するなど、片付ける習慣も必要です。
生活習慣や社会性はどうですか。
散歩やご飯の時間を守れるタイムスケジュールで生活していますか。お散歩中は知らない人に声をかけられることもあります。外に出ることへの抵抗感や不安感はありませんか。また、医療費や通院時の交通手段なども確保しておく必要があります。
このような、犬と暮らすために必要なベースを確認してみましょう。
慎重な犬選びと
専門家との繋がりが大切
次に「しつけ」です。
犬とハッピーに暮らすために必要な基礎知識を事前に学んでおくと、あとから「困った」ということが減るかもしれません。困った時には専門家に相談するよう頭に入れておくといいでしょう。
長時間の留守や体調がすぐれないとき、病気やケガなどで長期的に面倒を見られなくなったときはどうするか。色々なシナリオを考えて、お世話や預かり先を確保しておくことも大切です。湘南ロコさんが最後まで責任を持って見守る覚悟も必要ですよね。
お母様は現在65歳ですので、今から子犬を育て始めると15年後は80歳です。
今後の暮らしや体力を考えると、犬の大きさや体重はとても重要な問題です。ライフスタイルに見合った特性を持つ犬を選ぶことも、犬と人の双方の幸せに関係してきます。できれば、早い段階で専門家との繋がり持っておくと、いざという時に心強いと思います。
成犬を迎えるのがベスト。
諦めずご相談ください
将来を見据えた条件や課題が整い、お母様自身が「犬と暮らしたい」という気持ちをお持ちでしたら、とても楽しい暮らしが待っていると思います。
その気持ちこそが「犬と暮らす幸せ」や「健康」に直結するのではないでしょうか。
どうでしょう。湘南ロコさん、少しは参考になったでしょうか。
65歳でも条件によっては保護犬を迎えることは可能です。落ち着いた成犬を迎えるのもいいと思いますので、お母様が「ワンコに会おうかな」と仰ったときには、ぜひご連絡くださいね。お待ちしております。
この記事はFM831レディオ湘南:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(第1.第3土曜16:00~16:29放送)2023年10月7日放送分を加筆修正しました。
本記事は「こちら」から視聴可能。
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番組サイトにもぜひ遊びにきてください『犬とあなたと珈琲と。』
◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。
文:白田祐子(しらたゆうこ)
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白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。