愛犬のその行動「人間だと思っている」から?
今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組、宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』に寄せられたお便りにお答えします。
犬が苦手なのも、
人間だと思っているから⁈
今回のお便り:レイニーブルーさんからいただきました。
祐子さん、うり店長、こんにちは。実家の両親が飼っている犬(小型犬の成犬)は他の犬を見るだけでひどく吠えるので散歩には行っていません。子犬の時に社会化ができなかったんだと思います。とてもかわいがっているし、家の中だけでも楽しそうに過ごしていて、時々行く旅行先では歩かせているようなので、今は「仕方ないかな」って思っています。ただ、全てにおいて「〇〇ちゃんは人間だと思ってるから」という親の言葉にモヤモヤして、時々言い合いにもなります。祐子さんはどう思いますか。
🐾🐾🐾
レイニーブルーさんお便りありがとうございます。「人間だと思ってる…」ですね…わかります。
私も耳にする言葉です。実際、犬は人間の真似をするし社会性にとても富んでいるので、私たちに似た仕草や表情や行動をとりますよね。そんな姿を見ると「うちの子まるで人間」って思うこと、あると思います。でも、一方で「無責任な言い訳」になっている場合も否めません。
愛情表現の一つなら
微笑ましい
「うちの子は人間だと思ってるから」というセリフは、一般的に愛情表現の一つとして使われることが多いように思います。人も犬も心身ともに健康で「楽しいね」「幸せだね」って、言い合える関係ができているなら、それは「言葉のあや」だと理解します。
特に犬を人間の赤ちゃんのように擬人的に扱ったり「人っぽいこと」をする動物は優れている、或いは、人っぽいことをできるのは優れた能力だと無意識化に感じている人ほど使う傾向が高い印象です。
未経験・未学習の結果を
犬のせいにしない!
ただ、今回のお便りにある、他の犬を見て吠えるのは「自分は人間だから」と思っているからではありませんよね。「社会化不足」が原因なのは明らかです。もしかするとご両親も「こんなはずではなかった」と残念に思っている可能性はないでしょうか。
愛犬とお散歩を楽しみたかったのに、ある時期から他の犬に吠える行動をうまくコントロールできず、専門家に相談することもなく諦めてしまった。或いは、吠える原因は経験不足や交流不足、ハンドリングの間違いなど、自分たちが学べば改善されることに気付かなかったかもしれません。
人は理由や原因のわからないものに対して理由付けがほしくなります。そういうとき「人間だと思っているから」という言葉が生まれます。吠え行動が改善されれば、もっとお散歩を楽しみたいと思っているのでしたら、ぜひ専門家に相談してほしいと思います。
回避するのもアリ。でも、
本来の原因を知ること
お散歩をしないのは、自由な行動や欲求を奪うことになりますので、犬の福祉を満たしているとはいえません。散歩のとき以外でストレスや精神的な問題がひき起こされていないか、しっかり向き合ってみましょう。
その上で、ある程度の年齢に達してしまっていて、今から生活習慣を変えるのは困難だと感じるようでしたら、刺激のない生活を回避するためにも、室内で様々な遊びにチャレンジしながら、カラダだけではなく心や脳の満足度を上げてあげる。そして、旅先ではお散歩をさせて、欲求を満たしてあげる。そこまで決めて実践していくのでしたら、それもアリだと私は思います。少しご両親とお話をする時間を持つことが必要かもしれませんね。
どうでしょう。レイニーブルーさん少しは参考になったでしょうか。「その言葉、あまり好きじゃないから言わないで」って、はっきり伝えてみるのもいいと思います。そこから、何か違う展開が生まれるかもしれません。モヤモヤワード、イライラワードって本当にやっかい。えいっ!と吹き飛ばせるといいですね。 応援しています!
この記事はFM831レディオ湘南:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(第1.第3土曜16:00~16:29放送)2024年7月6日放送分を加筆修正しました。本記事は「こちら」から視聴可能(後半20分以降です)
レディオ湘南は世界中どこからでもワンクリックで視聴可能です。
番組サイトにもぜひ遊びにきてください→『犬とあなたと珈琲と。』
◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。
文:白田祐子(しらたゆうこ)
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白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。パートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
保護犬猫の譲渡会開催や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。