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愛犬の死/苦しみの先にあるもの


今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組“宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』”に寄せられたお便りにお答えします。

最期の時は後悔に近い想い

今回のお便り:ハルルンさんからいただきました。
こんにちは。『TAKARA CAFE』でのお話しは素敵で、いつも深く考えさせられています。私は昨年、愛犬のモーちゃんを亡くしました。最期の時「あれで本当にモーちゃんは幸せだったのだろうか」と、今も後悔のようなものを抱いています…。

🐾🐾🐾

愛犬との別れの時の“しこり”のような心の痛み…。「もし、あの時…」という想いは、どのような別れ方をしても思うものなのかもしれません。それは愛情が深いからこそ。

私の場合2頭を見送って…


私はこれまで2頭の愛犬を見送りました。
そのうちの1頭は、私がこの世の中で唯一心を許し、心を通せられる相手。本当にそう思っていました。心底信頼できる相棒で親友で遊び相手で、そして恋人のような、子供のような存在。ワンコと暮らしている方であれば、ご理解いただけるかもしれませんね。

その子は小さい時から体が弱くて、晩年は癌になり、手術と化学療法でなんとか良い状態を保つことができてはいたものの、すぐに全身性エリテマトーゼスという難病を患いました。11月のひんやりとした風が吹く朝「なんだか調子が悪そう」と病院に連れて行ったのが最期です。その日の夕方、冷たい診察台の上で死んでしまいました。

もう1頭を先に失ったとき、最期に何もしてあげられなかったので、「この子には絶対に諦めず、やれることは全てしてあげる」と決めていました。でも、命が尽きるときの状況はそれぞれ違う。そういうことまで考えられなかった。

何本ものチューブやコードに繋がれて、苦しそうにギュッと体をもたげた時、やっと我に返って「全部取ってください!」って叫んで、「もういいよ。ごめんね、ありがとう」って声をかけて、抱きしめようとしたけど…遅かった。

バイタルメーターの「ピー」という音だけが院内に響いていたのを思い出します。

愛する者の死を受け入れた時
生き方が変わる


仏教の考え方で「愛別離苦」というのがあります。

愛する人と別れる苦しみのことです。仏陀は「その痛みを乗り越えて『死』を受け入れることができたとき、『生』が変容する」と言っています。愛するものの死を受けいれたとき、生きること・生き方が様変わりする。そして、それこそが“愛する人の供養”となる。そう言っているんですね。

愛犬を思い出すとき
温かな気持ちになって楽しい場面が思い出されませんか?

本当はちょっと喧嘩したり、悩まされたりしたこともあったのに、「美しい思い出」「楽しい思い出」をチョイスして天から振り撒いてくれているのかもしれません。その「優しさ」や「温かさ」が、私たちのこころの中にカタチ作られていく。

その時、仏陀が言う「生き方が様変わりする」とまではいかなくても、少しだけ“モノの見方”が変わってくるのかもしれません。それが犬からの最後のギフトなのかな…と、私は思っています。

悲しい涙が
感動の涙に変わるように

私たちの選択は、その時はそれがベストだったのではないでしょうか。そして、わたし達が判断し選択したことに、犬たちは疑問も持たず反対もしません。

犬との出会いがハッピーエンドになりますように。「悲しみの涙」が「思い出に感動して流れる涙」に変わっていきますように。そういう日は必ず来るはず。だから、私は辛い別れがあっても「犬と暮らす」ことを続けています。

はるるんさん、どうでしょう。
少しずつ…少しずつ…穏やかになりますように。

関連記事:『愛犬を亡くした友人への声かけ』

この記事はラジオ番組:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(毎週金曜16:00~16:29/FM83.1Mhzレディオ湘南)の2022年11月11日放送分を修正しました。

本記事は「こちら」から視聴可能。後半部分にお便りのコーナーがあります。
レディオ湘南は世界中どこからでもワンクリックで視聴可能です。
番組サイトにもぜひ遊びにきてください→『犬とあなたと珈琲と。』

◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。

文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagramは『こちらから』
ル・ブラン湘南のInstagramは『こちらから』

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中、2022年4月(毎週金曜16:00~16:30)から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。

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