呼び鈴のピンポンに吠える愛犬!困った
今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組“宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』”に寄せられたお便りにお答えします。
最近は宅配便の
エンジン音にも反応…
今回のお便り:猫も好きさんからいただきました。
祐子さん、うり店長こんにちは。可愛いうちのこ(トイプードル2歳)は呼び鈴にとても反応して困っています。吠えて教えてくれているつもりなのかもしれませんが、すぐに鳴きやまないので困ります。玄関まで人が来てしまえば、完全に興味を失い静かになります。最近は宅配便のトラックのエンジン音が聞こえるだけで吠えるようになりました。どうしてなんでしょう。原因を知りたいです。
🐾🐾🐾
猫も好きさん。ありがとうございます。呼び鈴と宅配トラックへの反応ですね。これは、私のところにご相談に来る方々のお悩みの中でも一番多い、お悩みかもしれません。
呼び鈴が鳴ると誰か来る。確かに、犬にしてみると「誰か来たぞ!ワンワン」って教えてあげるのは、本能の一つとも言えます。ただ、ワンワンだけではなく、いつまでも吠え続けることは、ちょっと問題。これは、どこかで「呼び鈴」と「快」あるいは「不快」が関連付けられてしまった結果と想像できます。
音そのものではなく
空気の変化に反応
そもそも、何故、呼び鈴に反応するようになったのでしょう。
呼び鈴が鳴った時、「それまでの空気が一変する」こと「家族の発するエネルギーが変わる」こと。それに対しての反応(吠え)の場合が多いように思います。
どういうことかというと、呼び鈴がなると私たちは「ハッ」としますよね。それまで、のんびりTVを見たり、本を読んだり仕事をしていても、突然のピンポン音にドキッとしますよね。そして多くの場合、慌てて立ち上がって、インターフォンや玄関に小走りで向かう。ついでに「はーい」など大きな声を出すかもしれません。
これなんですね。
緩んでいた空気がパッとエネルギーの高いものに変化する。これに犬は敏感に反応してしまうのです。
特に、生活に変化や刺激の少ない暮らしをしている犬の場合は反応しやすい傾向にあるように思います。あるいは、環境の変化に敏感な犬は緊張感や不安感から反応します。
同じ電子音であっても、炊飯器や洗濯機、お風呂が沸いたと知らせる音に吠えるわんこは少ないのではないでしょうか。これらのお知らせに対して、私たちは慌てて立ち上がったり、「ハッ」としたりしないでしょ?
最初の反応への対応で
その後の行動が決まる
はじめの何度かの反応に対して、私たちがどう対応したか。それが、それ以降の分かれ目になります。
たとえば、反応して怒られれば「呼び鈴=嫌なコト」って関連づけられ、呼び鈴が鳴るたびに、嫌な気分になって吠えるようになります。場合によっては「嫌な気分の元は、この人が呼び鈴を鳴らしたことにある」と、来訪者に攻撃をしかけることもあります。
逆に静かにさせるためにおやつをあげたとしたら、「呼び鈴に吠える=得をする」と関連付けられて、おやつをもらうために吠えることが繰り返されます。
そして、宅配便のトラックのエンジン音は乗用車とは違いますから、耳のいい犬には遠くからでも簡単に聞き分けられます。「宅配便のトラックの音」=「もうすぐ呼び鈴がなる前兆」。呼び鈴が鳴る前からエンジン音に反応することは、一連の学習の結果と言えるでしょう。
全ての関連付けを
リセットしよう
呼び鈴に吠えなくするには、一旦すべての関連付けをリセットさせる必要があります。
たとえば、何度も呼び鈴を聞かせます。録音してきかせれば簡単ですよね。でも、家族は反応しない。その繰り返しです。もっと短期的に改善したい場合は、呼び鈴を違う音色に代えてしまうことです。ただし、これまでと同じ反応をすれば、またすぐに吠えるようになりますから、呼び鈴がなっても、バタバタと慌てないよう努力をすることが大事です。
ゆっくりしていたら、訪問者が帰ってしまう。インターフォンの応答時間が切れてしまうと心配でしたら、玄関や郵便受けに「出るまで時間がかかります」と貼り紙をしたり、荷物は最初から置き配を指定するなど、工夫することもできますよね。そうやって、多方面から解決に向けて準備をするコトが大切です。
どうでしょう。猫も好きさん。
少しは参考になったでしょうか。私たちが少しの努力と練習をして、犬のストレス原因を取り除いてあげる。そのような視点を持つことも大切ですよね。これからも素敵なドッグライフを楽しんでください。
この記事はFM831レディオ湘南:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(第1.第3土曜16:00~16:29放送)2023年4月1日放送分を修正しました。
本記事は「こちら」から視聴可能。後半部分にお便りのコーナーがあります。
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◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。
文:白田祐子(しらたゆうこ)
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白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。