心理士が解説＊犬に好かれる人の特徴３つ ＃２
前回に引き続き【犬に好かれる人の特徴３つ】を“犬から苦手に思われる人”と照らし合わせながらお話します。
毎回１つ、3回に分けてお伝えしていますので「今日はこれができたかな？」と日々意識しながら、愛犬とのコミュニケーションにご活用いただけたら嬉しいです。
特徴２：落ち着いた振る舞い
緊張と不安は伝播する
犬に好かれる人には落ち着いた振る舞いの人が多いもの。いつでも悠々としている人は不安や緊張が少なく、それが犬に安心感を与えるからです。
犬は群れで暮らす動物ですからいつでも群れの安定を保ち、平和に穏やかに暮らしたいと思っています。群れが不安定になり協力関係が得られなくなれば、群れの存続だけではなく生命の危機に立たされるからです。
犬は私たちの心の揺れをすぐに察知する動物です。散歩中に他の犬が来るのを見たときに、わたし達が「ちょっと嫌だな」「吠えるかも」と不安や緊張を感じると、犬はあなたの不安を感じとり吠える確率は高まります。また、犬を撫でようとするとき「大丈夫かな」と不安感を持ったまま手を出すと、犬は「危険だ！何かされる！」と感じて吠えたり、飛びついたりします。
あなたの言動が「吠えろ！」の合図になっているかもしれません。
犬はわたし達をよく見ている
犬は穏やかなエネルギーを好みますので犬と向き合うときはリラックスすることが大切です。でもわたし達の感情は揺れ動きやすく、それに犬が反応することも多いもの。
例えば、お散歩で「次の用事があるから急がなきゃ！」と思っているときに限って愛犬はゆっくり歩いたり、「なんだかイライラする」という時に限ってしつこく鼻を鳴らして何かを訴えてきたり、イタズラをしたり！
これらは「もう少し落ち着きなよ」「嫌な空気だから気分を変えたい」の合図かもしれません。わたし達が想像する以上に犬はヒトの心の動きを敏感に感じる生き物なのです。
また、緊張や不安は他の犬にも影響を及ぼし場の空気が乱れることもあります。
犬同士が友好的に挨拶をしようとしていても、もしあなたの心のどこかに「怖さ」があれば、それはリードを引く手や動きなどの振る舞いに現れます。それが相手の犬を緊張させ吠えさせ、結果、あなたの犬が怯えたり、吠えたりしてしまい挨拶の失敗に繋がることもあるのです。
「今の気持ちは」と自問しよう
トレーニングの前に「今の気持ちは？」と質問をすると「落ち着いています」と答える人は多いです。でも肩の張りや目の動きを観察すると緊張していることが読み取れます。どんなに平静を装っても犬はわたし達の感情に反応するので“取り繕い”は通用しません。
犬に何かを伝えたいときやお散歩をするとき、犬が苦手なのに犬が近くにいるときは「今の気持ちは」と自問して、緊張しているのならその気持ちを認め「大丈夫」と深呼吸する。気持ちを一旦リセットしフラットにすることも大切です。
“犬にとって落ち着いた態度をとっているか” というのは、簡単そうで案外むずかしいもののようです。
「犬に好かれる人の特徴３つ」の３つ目は「待つことができる人が好き」です。ぜひ続きをお読みください。
◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。
文：白田祐子（しらたゆうこ）
この記事は初出2017年3月9日『心理士が解説！犬に好かれる特徴３つ』（「犬のココカラ」掲載）を加筆・修正しました。
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@ル・ブラン湘南
白田祐子（しらたゆうこ）
プロフィール：公益社団法人日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ、ル・ブラン湘南代表。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した犬のしつけ相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師、2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中。
