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犬とあなたと珈琲と。Vol.135 保護犬・譲渡犬ビジネスにご用心!

聞逃し配信中(音楽は著作権の関係で全てダミーです)
収録:レディオ湘南 

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。2代目店長はカフェオレ色の愛犬うるる。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

8月15日のお客様は常連客のゆきさん(株式会社イヌと暮らす 代表取締役)。今回のテーマは、保護犬・譲渡犬ビジネスにご用心!~保護犬だから安心。ではありません!~。「保護犬を迎えたい」「かわいそうな犬を助けたい」。そんな優しい気持ちが、思わぬビジネスに利用されることがあります。「保護犬」という言葉だけでは、その子や譲渡の仕組みの安心が保証されているわけではありません。番組では、命を大切にしているかを見極めるための「3つの確認ポイント」をご紹介します。さらに後半では、「保護犬を応援したい」という人は多いのに、実際に迎える人はなぜ少ないのか?次回につながるお話も。今回も、保護活動をしながらトリミングサロンを経営するゆきさんと、人と犬の関わりを探究するドッグカウンセラー白田祐子が、それぞれの視点から一緒に考えます。犬と人の幸せについて、一緒に考えてみませんか?


白田祐子(以下:祐子) こんにちは。ゆきちゃん。いらっしゃいませ。いつもありがとうございます。

中山友紀(以下:ゆき) 祐子さん、こんにちはー。今日はよっちゃんと来ましたー(写真は本文最後)。

祐子 よっちゃん、こんにちわんこ!イングリッシュブルドッグの美子(よしこ)ちゃん。

ゆき はい。美子ちゃん。暑いからね。なかなか、お外遊びもできないので、退屈してる子を連れてきました。

祐子 カフェへのお出掛けくらいがちょうどいいね。鼻ぺちゃ族は本当、命取りの暑さ。最近、なんだか、ブル多め?

ゆき まぁ、2匹めですけどねー(笑)

*中山ゆきさんが所属する保護団体の譲渡会の情報は「PAK」(Paws Adoption かながわ)

譲渡条件の
フード定期購入とは…

ゆき 祐子さん聞いてくださいよー。うちにトリミングに来ているお客さまなんですけど。また、ペットフード縛りの件でお悩みの方でしたー…これもう、どうにもならないんですかね?

祐子 あー。今ではペットショップ業界では最大手になった、あのショップだね。国内の店舗数が200以上あるから、みんなどこかで目にしたことはあるはず。この会社は、以前から、飼育環境や労働環境、販売後の対応などなど、数多くの告発がされていて…。特に、自前の繁殖場があるから、そこでの劣悪な繁殖と劣悪な飼育環境。それによる感染症の蔓延や虐待疑惑。そして、死亡率の高さ。深刻な闇の部分が様々なメディアで取り上げられてきた。それから、最近はその話。長期契約を強いる『譲渡ビジネス』。一部の生体販売を“譲渡”と称して、これまた自社で製造販売しているペットフードの長期(3〜5年)の定期購入を譲渡条件にしている。しかも、途中解約はほぼ不可能。

ゆき いやぁすごい…。200店舗もあるんですね。そんなにあったら「大手さんだから」って、安心したり、説明されたことも「ふむふむ」ってなってしまうかぁ。無理はないかもー。ただ、ほとんどの人が後から「おかしいな」って気づくのが、フードの長期定期購入。やっぱり「解約はできない」って思った方がいいんですね。

祐子 そうだね。以前はその子が死んじゃっても解約はできなかったらしい。でも、消費者団体が再三の申し入れをして、今は、『診断書などで死亡が確認できた場合』は解約可能になった。あと、獣医師等が「このフードはこの子には望ましくないです」って判断された場合も可能。なんだけど、フードのラインナップが結構幅広いから、「じゃあ、こっちの商品をお試しください」って、そのループがはじまる。消費者団体も『一部の改訂はされたけど、ペットフードを長期にわたって定期購入することによるリスクはあるため、当該リスクを十分に考え、利用するよう心がけてください』って呼びかけている。現段階では、ここ止まり。法的に不備はないので、サインしたら、残念ながら自己責任…。

ゆき なるほど…。“荒手の詐欺”や“巧妙につくられた詐欺”と思いきや、「法的に不備はない」となると、“上手なビジネス”っていうだけなのか…。フードも「みんな同じなのって、全然、犬想いじゃない」って思っていたんですけど、ちゃんとラインナップが用意されてるんですね。で、一番怖いなって思ったのは、「フラっと寄ったら」じゃなくて、「保護犬を探していて、そこに行き着いた」って言ってたことですね。しかも、ホームページで「お見合い」の予約をしたら、その子犬はなんと九州にいて、すぐにこっちに移されて、そのまま「契約」になったって。その時「“譲渡犬”とは、父親のわからない犬です」って、説明されたらしいです。しかも、感染症をもっていたー。

祐子 うわぁ、なにからなにまで、問題は山積みだね…。最初は「フードはどうせ必要だし、生体も正規の価格で購入するより安いし、なにより“保護犬”だから助けたい」ってなるのかぁ…。あとから、「その支払いもあるの?」「変更はできないの?」「やめられないの?」「えー、困ったー!」ってなるパターンは、もう何十件と見てきたね…。

ゆき そうなんですよねー。安く手に入るっていうのも、魅力の一つなのかもしれないけど、やっぱり心にひっかかるのが、「保護犬」を想像させる、新たな言葉「譲渡犬」ってワードを新しく作っていること。それと、月齢が2.3ヶ月の子も多いらしくて、これって、子犬好きの日本人には魅力的だから、「譲渡犬」として売るための繁殖もしてるんじゃないかなって、思っちゃう。

祐子 確かに。

保護犬を助けたい…。
待って!その子、本当に保護犬?


祐子 さらに、もう一つ、怖いことがあるのよ。国内に10カ所以上の自前の繁殖場(パピーミル)を持っているのに、大々的に、契約ブリーダーを募集していて…。これは、自前以外の繁殖場で不要になった犬たちも、「うちで“譲渡犬“として販売しましょう」って、なってるんじゃない?って…。そうなったら、もはや…

ゆき 引取り屋ですね。また変なルートを確立してたんだー。私たち保護団体は、閉鎖する繁殖場の犬たちをなんとかしようって、日々奮闘しているんですけど、こんなビジネスを始められたら、「閉鎖」どころか「拡大」しているところもあるってことですよね。なんだか、涙がでてきます…。複雑な思いです…。

祐子 ねー。消費者には、こういう「引取り屋」とか「繁殖場」とか、「譲渡犬」って言われても、理解が難しかったり、深い関心はなかったりするかもしれない。でも、契約する時に「あれ?この契約内容ってすごく一方的じゃない?」「解約できないってどういうこと?」って、疑問を持つことはできるはず。特に、ペットフードの縛りは、自分ごととして疑問に感じやすいと思う。なので、目の前のかわいいワンコのその先、できれば、その前にも目を向ける人達が、もっと増えていくといいなぁ。あっ、フードの縛りからの解放は「違約金」を払う。そうすれば、縁を切ることはできる。結局、お金。

ゆき そうなんですね。深い関心かぁ…。保護犬に関心を持ってもらえても、こうやって、その関心を操る、新たな悪徳ビジネスが生まれて…。どうしたらいいんでしょうね。やっぱり、いい意味でも悪い意味でも「保護犬」ってワードは特別なんでしょうかねー…

祐子 そうだね。じゃあ、今日は「保護犬」って聞くと、どんなイメージを持ちますか?優しい活動。命を救う活動。きっと安心できるところ。そんなイメージを持つ方が多いと思う。でも「保護犬」に公的な定義はありません。だから、保護犬という言葉だけで、その団体や譲渡の仕組みが信頼できるとは限りません!題して『保護犬だから安心。ではありません!』をテーマに話してみようか。


音楽:Jonas Brothers『Summer Baby』(楽曲はYouTubeにリンクしています)

保護犬に興味はあるけど…
現実とのギャップ


ゆき 祐子さん。最近は保護犬を飼ってる人も随分身近に増えたなって感じるけど、それは自分が関わっているから、そう感じるだけなのか…。大前提として、実際はどうなんでしょうね。

――ペットの保険会社やマース ジャパン リミテッドのアンケート調査を見ると、保護犬・保護猫に対しては「助けたい」「できることをしたい」という好意的な印象を持つ人が多い一方で、犬を迎えるときに、保護施設・シェルターを検討していますか?という質問に「はい」と答えたのは17%程度。実際、犬の入手先は「ペットショップ」が4割超えの現状。保護施設などからは1割以下。“保護犬は応援したい。でも、自分が迎えるとなると別”というギャップがよく見えるデータだよね。

ゆき なるほど!とても興味深いですね。

――日本リサーチセンターの調査では、「保護施設や譲渡会から迎えない理由」の約半数が『手順がわからない』。他には『審査などが手間』『施設情報がない』などが2割強。こういう理由を見ると、商業施設に入っていたり、町を歩いたり、車に乗っていると看板を見かけるペットショップは、やっぱり身近だし、さらに「犬を見ようかな」って入店した時に、興味関心のある「保護犬」って文字があれば、気持ちはグッと高まってしまうかもしれない。ゆきちゃんがさっき言ったように、どうしても「保護犬」っていう言葉に大きな特別感を抱かせてしまう側面はある。

ゆき 助けてあげたいっていう、善意の気持ちですよね。「次に迎える時は保護犬を」って言葉をよく聞くんですけど、「譲渡ビジネス」もそういう心理的なところについてきた感じかぁ。

――だから許せないんだよね。アンケート結果でも『保護犬を迎える理由』について「動物を助けたい」が半数以上の最多。「社会貢献や責任感」というのも(13.5%)ある。ただ、保護犬を迎えることは、とてもすてきな選択肢の一つで、興味・関心が向く入口は多様な価値観が必要だけど、「保護犬だから優しくしよう」とか、「かわいそう」とか「助けたい」だけじゃなく、もう、次のステップに移る時代だってことなんだよね。例えば、この命をどんな人たちが、どんな思いで繋いできたのか。とか、そういう視点も必要。以前、“犬友さんの複雑な関係”を話題にしたときにも出てきたけど、“人は、善意のときほど、疑わなくなる”ことは、心理学的にもわかっている。「保護犬」「譲渡」「命を救う」。この言葉を聞くとどうしても警戒心が下がる。だからこそ、ちょっと違う視点を持って、一度立ち止まることが、求められてきた。「保護犬」の言葉に気を付けて!

ゆき はい。保護犬の言葉に気をつけて!!って、私が「保護犬という選択肢を!」って、何年も煽っていたのに…。人は善意の時ほど疑わなくなる。すごく良くわかります。でも、それを利用したビジネスは多いし、騙される人もいる。

譲る側の信頼性は?
確認ポイント3つ

ゆき 「じゃあ、気持ちを新たに!」とは言え、しっかり判断するために、どんなことに注意するといいんでしょう。

――うんうん、そうだよね。私なら次の『3つの確認』をすすめるかな。まず、「この犬は、どこから来ましたか?」って、経緯を確認すること。例えば?

ゆき 一般的には、行政から引き取った、野犬、一般家庭からの相談、繁殖場の縮小や崩壊、それから不要になった繁殖犬…とかですね。「売れ残り」とか「譲渡犬」って言葉は要注意!

――要注意!ね。そこをちゃんと説明してくれるかどうか。曖昧な回答だったら黄色信号。二つ目は「譲渡条件や契約内容が書かれたものを持ち帰れますか?」って確認すること。自宅に持ち帰って?

ゆき 高額な定期購入や長期契約はないかをゆっくり確認して、わからなければ、家族や知人、できれば詳しい人に見てもらう。あっ、「契約を急かされた」という話も聞きました。

――もし、契約を急かされたら、それは、ほぼ赤信号。そして、最後は 、目の前の「犬」もうそうだけど、それ以上に「私」と「私たち」を大切にしているかどうか。も、見てほしい。本当に命を大切にする団体や人や企業は「犬を渡す」「契約を結ぶ」より、希望者さんを知ることを大切にしているはず。もう少し、あなたのことを知りたいので、少しお話を聞かせてもらえますか?っていう流れが、譲渡までには必ずあるよね。「じゃあ、契約書にサインします」「はい。どうぞ」って、犬を渡されるだけの関係には「責任」の所在が見えないよね。もし、そういう場合は「保護犬」「譲渡犬」っていう言葉、「助けたい」とか「かわいそうな犬のために」という感情を、一旦、置いて、冷静に考えること。

ゆき 冷静に!「信頼して譲ります」とか「信頼して受けとります」。これが一番重要かもですね。本当に命を大切に思うなら、“焦り”とか“縛り”とかじゃなくて、その子のことを思って自分でご飯を選びたいし、もしも、自分のところに来れなくても、「この子に合う家族に、絶対出会えるから大丈夫」って思えるはずですね。祐子さんの言うように『譲渡後も、人も犬も幸せに暮らしていくこと』が重要視されるべきですね。 ――ね。いいこと言った!うちには来れなくても、うちには合わなくても「どこかで幸せになれる」ってね。「保護犬だから」とかじゃなくて、困ったときに「相談してよかった」と、思える人と出会ってほしい。納得できるまで話を聞いて、きちんと対話ができるかどうか。その時間もまた、“一つの命を大切にする行動”だと私は思っています。以上3つ!

ゆき はい!納得できるまで話を聞いてください!その子のためにも。

保護団体は色々聞かれて
面倒くさい…の壁


ゆき はい!納得できるまで話を聞いてください!その子のためにも。ただ、その対話が「難しい」となることもあるみたいで…。それってなんなんですかね。さっき、「保護施設や譲渡会から迎えない理由」の代表的な回答あったじゃないですか。結局、「色々聞かれるのが面倒くさい」とか…。

――確かにね。応援はしたいけど、実際は保護犬の選択はしないという、「意識」と「現実」のギャップ。そこには、譲渡条件のハードルや保護犬に対するイメージの誤解もあると思う。でも、その話をしたら、閉店時間になっちゃうから、次回は…保護犬のイメージってどんなの?と「審査」ではなく「伴走」するための保護団体。みたいな感じの話しをしようか。

ゆき なるほど!是非お願いします。保護団体側も譲渡される側も、納得・安心するために。

音楽: Maroon 5『Sunday Morning (Acoustic)』(楽曲はYouTubeにリンクしています)

祐子 今日は常連客で保護犬猫シェルター付きトリミングサロン『イヌと暮らす』のオーナーのゆきちゃんと『保護犬だから安心。ではありません!』について話してきました。

ゆき はい。今は「保護犬」という言葉で、お客様の良心を惹きつけ離さないビジネスもあるので、「命を大切にしているか」を確認する3つのポイント。大切でした。「どうして保護犬になったのかを聞くこと」「契約書を持ち帰れるか確認すること」。そして、持ち帰ったら、いろんな人に相談すること。「信頼して譲渡する・信頼して譲り受ける関係になれるか、話しをよくすること」。そうして、その中に笑いがあると、もっといいですね!「信頼できないので、あなたとは契約しません」と言える、賢い飼い主さんになりましょう!って、みんなに伝えたいです。

祐子 伝えよう!本当に悩んでいる人たちが沢山いるから、「譲渡ビジネス」のことを、もっと知ってもらいたい。さて、時間は大丈夫ですか?

ゆき はい、大丈夫です。
祐子 では、今日も楽しい犬談義のお礼に私からもう一杯…
ゆき ありがとうございます。いただきます。

祐子 よっちゃんは、まだ寝てるかなぁ…さっき、ブヒブヒ聞こえていたけど…

ゆき あっ、起きた、起きた(笑)寝てるだけでも、お腹すいちゃったかなぁ(笑)


今回のお便り:うちの子は人の言葉を理解している!でも、科学では否定されますよね。科学とファンタジーの間の祐子さんのご意見をお聞かせください。みなさんからのお便りもお待ちしております。

番組サイト『犬とあなたと珈琲と。』  
保護犬猫支援店/トリミングサロン『イヌと暮らす』 

放送構成と文:白田祐子(しらたゆうこ)

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白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬のカウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは沖永良部島出身で雑種の女の子。名前はうるる(うりはお空組2005-2023)。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の社会心理学が専門。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に共感される。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合う。講師、専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1MHzレディオ湘南に出演中。神奈川県三浦郡葉山町にて『お寺でわんにゃん縁結び』を主催

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