顔をしつこく舐めてくる愛犬。どうすればいい?
今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組、宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』に寄せられたお便りにお答えします。
全面拒否で
嫌われたくはない
今回のお便り:ココアママさんからいただきました。
祐子さん、うり店長こんにちは。うちの子はわたしの鼻や口を舐めてくるのですが、少々しつこくて困っています。ほどほどであれば可愛いし、全面拒否をして、嫌われるようなことはしたくありません。どう対応するといいのでしょう。
🐾🐾🐾
ココアママさんありがとうございます。お化粧をしている時はワンコのお口に化学物質が入らないように注意が必要ですが、優しくペロっとされると「わぁ♡」って、温かい気持ちになりますよね。でもその「ペロッ」が「ベロベロ」といつまでも続くと、ちょっと困ってしまう。わかります。
顔舐めの心理背景は
さまざま
わんこが顔を舐めてくる回数や勢いも色々あるように、その時の心理背景はさまざまです。なので「なぜ、顔を舐めてくるのか」。そこから考えていく必要があります。
よくある理由は大きく分けて6つあります。
①「愛情」や「友情」「信頼関係」を示すもの
②「甘え」
③「要求」
④「カーミングシグナル」(リラックスして!など)
⑤「もうやめて」の合図
⑥「塩分摂取」(顔の汗など)
ネガティブな理由からポジティブなものまであり、「塩気が美味しい」以外は、「気持ち」を伝えてきていることがわかると思います。
顔を舐めてくるには、さまざまな理由があるので、その理由(気持ち)に答えてあげることが「おわり」に繋がります。
例えば、穏やかに「愛情」や「友情」を示してくれた時は、しっかり目を見て「ありがとう」と、答えてあげる。私は笑顔でギュッとハグで返します。少し興奮気味にベロベロしてくるときは、こちらも少し荒めにワシャワシャしてあげます。感情の「共有」ですよね。それが「もうおわり」の合図です。
「甘え行動」と感じる場合は、撫でたり、話しかけたりして安心感を与えてあげましょう。「要求」は“退屈”の場合が多いので、ちょっと遊ぶなど気分転換をしてあげます。
四つ目の「カーミングシグナル」ですが、これは、例えば、私たちがイライラしたり、悲しみや辛さなど、ストレスを感じているときに「リラックスして」とサインを送ってくれているんですね。私たちの気持ちに切り替えが大切です。そして「もう大丈夫だよ」と笑顔で安心させてあげましょう。
このように、まずは顔を舐めてくる理由はなにか、心当たりを探ってみましょう。もし、解消できそうなものや、今以上に与えてあげられるものがあるなら、先回りして与えてあげることで、口を舐めてくることを減らす期待ができます。
はっきり
限度を教えてあげる
顔を舐められたときの、ココアママさんのリアクションも大切です。「喜んでくれた!」「かまってくれた!」と、ワンちゃん的にプラスに繋がっている可能性はありませんか?笑いながら「やめて」と言っても、こちらの意思は正確には伝わりません。
しつこく舐めてきた時は、顔を覆って「おわり」と言って立ち上がるなど、ハッキリ「それ以上はイヤ」と教えてあげることも必要です。母犬もそうやって子犬に「限度」を教えてあげますから、その程度で嫌われることはないと思います。安心してください。もし注意をして、よそよそしい態度をとられるようになったら、それは、もっと奥深いところ、違うところに理由があるのだと思います。
どうでしょう。ココアママさん、少しは参考になったでしょうか。しつこい顔舐め。案外、気になっている方もいるのではないでしょうか。「気持ちの共有」に満足していなかったり、「間違った関連付け」がされていたり、「塩分不足」の場合は、しつこく舐めてくる傾向にあります。「何を求められているか」を見直すきっかけの一つになるかもしれませんね。また、お便りお待ちしております。
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この記事はFM831レディオ湘南:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(第1.第3土曜16:00~16:29放送)2024年4月20日放送分を加筆修正しました。
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◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。
文:白田祐子(しらたゆうこ)
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白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。パートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。