犬の名前でみんなハッピー
みんなが「うり」の名前を呼んでくれる
「あら、うりちゃん」「うりー!」
茨城の大洗海岸で保護されたうり。季節は春。生後5か月位かな。まだまだ幼い体形と生え変わり始めた乳歯から誕生日を12月1日に決めました。
うりは男性と年配の女性、頭上に差し出す手、傘などの長い物を怖がり、外ではすぐに車や垣根の下に潜り込み隠れた。何度、地面に這いつくばり、車の下からうりを引き出したことか…。野犬狩りにあっていたことは一目瞭然。
うりの外見は柴犬に狼を足した感じで、やはり柴犬や秋田犬などの日本犬が色濃く持つ「狼遺伝子」が強いのか、嬉しい時も悲しいときも遠吠えをし、他人に撫でられることに、あまりポジティブな反応は見せませんでした。
それでも、人間社会に溶け込むうちに「うりちゃん」と呼ばれると、尻尾に力が宿り、耳や背中、瞳や足取り、溢れる喜びを全身で表現するようになりました。
「呼んだ?」「あたし?」「みんな笑ってる」「嬉しい!」
みんなに名前を呼ばれるたびに、笑顔と愛情が貯蓄されていくかのように、優しく微笑み、堂々と悠々と、人と犬の友達を増やしていきました。
笑顔は『ネガティブな気分をポジティブに切り替えるスイッチ』
みなさん、鏡に向かって「うり」って、ゆっくりハッキリ言ってみてください。
「う」。女の子が言うととっても可愛い。口をすぼめて、KISSするときの顔。
「り」。老若男女幸せの顔。口角があがって少し見える前歯はにっこりスマイル。
人間は楽しいとき自然に口角が上がり、気分が落ち込んでいると下がるよね。
でも、気分が落ち込んでいるときも、あえて、口角をあげて笑顔をつくると、脳は「あれ、今楽しいのかな?」って勘違いして、脳内に快楽ホルモンが分泌されて、本当にハッピーな気分になることがわかっています。これは「スマイルセラピー」と呼ばれています。
呼んでハッピー、呼ばれてハッピー
だから、「うり」って、呼んでくれる人たちは、表情も自然に笑顔になって、気分も明るくなるのでしょう。そして、人は他人の笑顔を見ると、自分自身も笑顔になる「ミラー効果」と呼ばれる心理作用もあるから、笑顔の人には笑顔で応え、笑顔で話している人の周りには、笑顔が溢れ、どんどん『笑顔は笑顔を呼ぶ』のです。
なにより一番大事なのは『犬は人間の笑顔が大好き』ってこと。
犬は「私たちの笑顔が見たくて、行動している」と言っても、言い過ぎじゃありません。今日も世界中の犬たちに笑顔が届くといいな。
すぐに垣根や植え込みに潜って隠れていたうり。でも、みんなに笑顔をいっぱいもらって、今ではみんなを笑顔にするうり。名前に込めた幸せマジック。
ただ、そこにいるだけで。幸せのしるし。いつもありがとう。
文と写真:白田祐子