犬とあなたと珈琲と。Vol.37 松鷹 俊彰
宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(毎週金曜 16:00~16:29)放送中
湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。ここで“宝物”の話をすると探し物が見つかるとか?…オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の愛犬“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。
今回のお客様は『株式会社食品新聞社』記者の松鷹俊彰さん。「食品新聞」は加工食品を取材対象とした業界専門紙です。そこでコーヒーと清涼飲料を担当して14年!「取材や記事を通じて喜んでもらえる。それがとても嬉しいです」と語る、松鷹さんの宝物は“仕事を通じた出会い”。生産者やメーカーから直接聞いた記者の話は面白く、アフターコロナのコーヒーブームや気候変動によってアラビカ種の栽培敵地が半減すると予想される“2050年問題”など、大好きなコーヒーの話を楽しく真剣に伺いました。
―こんにちは、松鷹さん、ようこそお越しくださいました。
松鷹俊彰さん(以下 松鷹):こんにちは。うりちゃんも看板犬してるんですね。
―そうなんです。お母様はお元気ですか?
松鷹:お陰様で元気で過ごしています。
―シェルティーのリッキー君(後半に写真あり)とは犬友さんだったんですけど、10月に引っ越しをされたので寂しい思いをしています。
鷹:母が本当にお世話になりありがとうございました。母も、白田さんとうりちゃんと会えなくなって寂しがっているかと思います。
―遊びにきた時にはぜひ声をかけてください。
松鷹:はい。分かりました。
目次
業界紙と一般紙の違い
―松鷹さんは業界紙の記者さんですよね。世の中にはありとあらゆる業界の新聞が存在していて、ちょっと調べるだけで数百単位ですか。その中で『株式会社食品新聞社』にお勤めでいらっしゃる。
松鷹:加工食品を取材対象とした業界専門紙です。食品関連の業界紙は私が知る限り、他にも10社くらいはあります。お酒に強い会社であったり、得意分野がコーヒであったり、流通に強い会社などもあって特徴もさまざまです。
―その中で食品新聞さんの得意分野は?
松鷹:飲料やコーヒーなどでしょうか。あと、昔から塩や砂糖など、他社があまり踏み入れないところも幾つかあります。
―今はもうありませんが作家の藤沢周平が『日本加工食品新聞』で編集長を勤めていたという話を読んだことがあります。今「専門紙って面白い!」って盛り上がりもありますし、ネットで見ることもできて、私もよく見ています。独特の雰囲気がありますが一般紙との違いはなんでしょう。
松鷹:WEBでは紙面の一部が無料閲覧できます。違いについては、一般紙は一般の方に向けて幅広く書かれているのに対して、業界紙はその業界の人向けに書かれています。例えば、メーカーや流通だったり、流通というのは身近なところではスーパーやコンビニやドラッグストアーですね。あと、普段暮らしていてあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、中間流通の卸売りもあります。そういう方々に定期購入していただいております。普通にどこかで売っているという類のものではないので普通の方は知らないと思います。
取材対象は「食」。
だから誰が読んでも面白い
―ターゲットが消費者と業界。記事をまとめる時の視点が違うんですね。
松鷹:そうなんです。商品が売れるための戦略的なお話が紙面のメインになります。よく「食品新聞」って言われて勘違いされますが、グルメ雑誌とかではないので「味わい」とか「これがこういう味付けで美味しい」とか、そういうところはあまりは深く突っ込まないんです。ただ、取材対象が身近な「食」というところにフォーカスしているため、業界以外の方が読まれても、「何が書いてあるか分からない」ということはないと思います。
―だから読んでいて他とは違う感じがあるんですね。
松鷹:そうですね。あとは業界紙が一般紙と異なるのは、記者の部署間の異動が少ない点かなと思います。おそらく、うちの会社だけではなく他の業界紙全体としてそういう傾向にあるのではと思いますね
―異動が少ない。
松鷹:はい。長く務めていますと、例えば、過去の経緯や歴史を踏まえて取材にのぞめるのが強みじゃないかなと思いますね。なぁなぁの関係になってはいけないとは思うんですけど、取材される側も“普段知っている顏の人”の方が、もしかすると話しやすいというのはあるかもしれませんよね。
―なるほど…松鷹さんはどのくらい今の部署を担当されているんですか?
松鷹:私は入社14年目なんですが、最初に入って担当したのがコーヒーと清涼飲料で、ずっとそれ一筋でやらせていただいています。一つの担当になるとずっと続く傾向にありますので、業界紙の記者はみんな顔見知りだったりして、時と場合によっては社員よりも良く会う機会が多いですね。
拡大中。
家庭用レギュラーコーヒー
―withコロナでは自宅でコーヒーを楽しむ人が増えたようですね。
松鷹:「おうちカフェ」などと呼ばれて、コロナで家庭用のレギュラーコーヒーがすごく拡大しました。喫茶店やカフェなど外で飲むことが習慣づいている人が、外で飲んでいるレベルのコーヒーを「家で飲みたい」という需要が家庭内の中で結構発生しましたね。自ら珈琲豆を挽いたりする方も増えて、レギュラーコーヒー市場はコロナになった時の4月5月をピークに金額ベースで拡大しました。ちょっと総需要の落ち着きはみせたものの、現在も高い推移で維持していると思います。
―コーヒー好きが増えた?
松鷹:確実に増えていると思いますね。コーヒー組合など、幾つかの団体があるんですけど、そこ主催で「コーヒー検定」というのをやっています。それは主に喫茶店の方や飲食店で働いている従業員向け、プロ向けのものなんですけど、一般の方の受験がかなり増えてきています。あと、個人事業主ですね。新たに焙煎などを始めて「ワゴンカフェ」などを始めてみたい人が、急拡大しているという話を聞きました。
気候変動による
珈琲豆栽培敵地の危機
―最近はコーヒーも値上がりしてきました。
松鷹:結構、業界の中では大変なことになっていますね『2050年問題』と呼ばれているんですけど、2050年には、アラビカ種の栽培適地が15年比で50%にまで減少するということも言われています。今まで獲れていたところの気温が上昇することで、実入りが悪くなったりなどします。例えばですけど、そういう事にも左右されていて、気候変動は結構大きな問題ですね。
松鷹:ところで、話は変わりますが「シャンメリー」ってご存じですか?
―シャンパンのおもちゃ版みたいのですね?
松鷹:そうです。シャンパンの「シャン」とメリークリスマスの「メリー」からとって、「シャンメリー」っていう名前なんですね。名前って結構「へー」って思う事がありますよね。この『TAKARA CAFE』はどういう経緯で名前がつけられたんですか?
―『TAKARA CAFÉ』はここで宝物の話をしたら、失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする、そんな場所になるといいなと思って付けたんです。
松鷹:そうなんですね…。自分にとっての「宝物」って考えることってあまりないので、いい機会ですね。
―ありがとうございます。もしよかったら松鷹さんも宝物の話きかせてください。
宝物は
仕事を通じた出会い
―松鷹さんの宝物は何ですか。
松鷹:家族の支えがあっての「仕事を通じた出会い」かなと思います
―仕事を通じた出会い。
松鷹:取材対象との出会いが多いですね。私なんかは大変微力ではあるんですが、取材や記事を通じて喜んでもらえるのが嬉しいなと思います。そういう、人も含めて一連のやりとりが宝物だと思います。
―取材をして記事にして、それを読んでいただいて喜んでもらう。いいですね。
松鷹:今はコロナで控えめな印象ではあるんですけど、プロモーションとして各社いろいろなイベントを催しますので、その中には結構面白いものが多いんです。たまに出張や取材会で遠方を訪れることもあって、そういう時は「これはいったい遊んでいるのか、仕事をしているのか」ってわからなくなることが多々ありますね(笑)。
―それは記者冥利につきますねー
現地で体験するから
価値を知る
―コーヒー豆の産地に行かれたこともあるんですか?
松鷹:ありがたいことに、海外の産地には一度だけ取材機会に恵まれました。そこで、赤い実のコーヒーチェリーの収穫体験もさせていただいて、コーヒーの価値を知ることができました。一杯のコーヒーを飲む分を収穫しようとすると、大袈裟に言うと、大きなカゴが満杯になるまで赤いコーヒーの実を集めなくてはいけないんです。収穫されたコーヒー豆は赤い実の中にコーヒーの豆が入っていますから、製造過程に移ると赤い実からコーヒー豆を取る「脱穀」からはじまり、「精製」「乾燥」「選別」と続きます。
その後「カッピング」と言って、一回試しで淹れて品質検査をするんですね。人の五感を通じてです。その厳密な審査を経てから麻袋に詰めて港に運ばれるんです。選別体験もしたんですが、これも大変で、豆を瞬時にパパパパッと良し悪しを見極めなくてはいけないんです(写真下:生豆の選別風景)。こういうのはやっぱり現場に行かないと、わからないことではありましたね。
国産の希少コーヒーを
味わいたい!
―今、日本でもコーヒー豆が栽培されていると聞きました。
松鷹:そうですね。徳之島、沖縄、小笠原諸島などで栽培されています。本州でも冬場は厳しい寒さとして知られている鳥取県でハウス栽培に成功していたりします。ただ、国産の数量は限られていますので、活路としては、ブランディングの一環で“希少コーヒー”として高い値段で買っていただく戦略でしょうか。例えば「沖縄コーヒー」が飲みたかったら沖縄に行って、自ら収穫体験をして飲ましてもらう。そういう一連の作業ができるような、観光を目玉としての活用が見込まれていたりしますね。
―面白いですね。その希少コーヒーぜひ味わってみたいです。
松鷹:はい、ぜひ味わってみてください。
心が洗れ身体をリセット。
剣道との出会い
―松鷹さんと言うと、近所では剣道っていうイメージがあると思うんですね。
松鷹:そうですか?
―胴着のままで歩いているから…
松鷹:最初は息子の付き添いで見学をしていただけなんだけど、剣道の先生方とか一緒に同伴されている父兄の方々と話す機会がありまして、そのうち「やってみないか」って話になって…本格的というか、胴着を着て稽古するようになって、3-4年位経ちますね。
―続いていますね。何かの魅力に憑りつかれた?
松鷹:私はまだ素人というか、入ったばかりなので剣道の奥深さは知り得ないんですけど、私の場合”心が洗われた体験”が大きいです。ある日、仕事ですごく疲れきってしまったときがあって、ちょっと無理して道場に行ったんですね。でも、大きな声を出して汗をかいて、稽古を終えて面を取ったときに心がスーッと洗われたような感じがしたんです。それと共に体が軽くなったことを体験してから、行けないときの方が多いんですけど、なるべく行くように心がけています。
―心と身体のバランスがとれるんでしょうかね…。一種のカタルシスを得るような、浄化されていく感じなのでしょうかね。
松鷹:おそらく、そんな感じなんじゃないでしょうか。
―さて、ここで一息、なにか1曲おかけしましょうか。
松鷹:じゃあ、お願いできますか。他界した父が好んでいた曲です。父は加山雄三が好きでしたが、今日はエルビスでお願いします。『My Way』(楽曲はYouTubeにリンクされています)。
当たり前の毎日に
感謝を忘れず
―今探してる宝物はなんですか
松鷹:当たり前のように過ごしている毎日ですね。この昨今のウクライナでの戦争やコロナのことなどを考えると、一層そう思うんですけど、身の危険を感じることなく散歩できたり、ごはんやお菓子をおいしくいただける。向上心を持ちながらも、そのような日常が過ごせることへの感謝を忘れず、1日1日を大切にしていきたいです。
―ずっと雑誌や新聞の世界にいらして、どちらも縮小気味と言われています。でも、私は紙に書かれた文字を読むのが大好きです。これからも取材に剣道にと頑張ってください。今日はお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか。
松鷹:いいんですか?いただきます
―ごゆっくりお過ごしくださいませ。
松鷹:ありがとうございます。
株式会社食品新聞社のHPは「こちら」
犬とあなたとスイートX‘mas。
只今、TAKARA CAFÉ ではクリスマス企画を実施中です。番組宛にメッセージをいただいた方の中から抽選で5名様に、宝製菓さんからお菓子の詰め合わせBOXが届きます。お名前・ご住所・電話番号・「クリスマスプレゼント希望」と明記の上ドシドシご応募ください。〆切は12月23日放送終了まで。ご応募は下記のメールアドレスです(番組サイトにもリンクがございます)。コーヒーにも合う人気商品の詰め合わせ!沢山のご応募お持ちしております。
番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』
インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)
うり店長のInstagramは『こちら』
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白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1MHzレディオ湘南に出演中。