ブログ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. ラジオカフェ
  4. 犬とあなたと珈琲と。Vol.115 犬を待たせる。「マテ」について
 

犬とあなたと珈琲と。Vol.115 犬を待たせる。「マテ」について

聞逃し配信中(音楽は全てダミーです)
収録:レディオ湘南 

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の17歳、愛犬のうり。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

10月18日のお客様は常連客のゆきさん(株式会社イヌと暮らす代表取締役)。今日のテーマは「マテ」。マテができるかできないかは、飼い主と愛犬、人と犬の関係にとても大きく関わってきます。「マテ」は動きをとめるだけではなく、内面にも訴えかける大切なコマンド。なので、犬が本来持つ「待つ」能力をうまく活かしてあげると、日常生活がより快適で安定していくはず。今回も保護活動をしながらトリミングサロンを経営しているゆきさんと、人と犬の関わりを探究しているドッグカウンセラーの白田祐子がそれぞれの視点で考えていきます。


祐子 こんにちは。ゆきちゃん。いつもありがとうございます。

ゆき 祐子さん、こんにちは。今日はねぇ、新人サブロー君と来ましたー。うりちゃん、うるるよろしくねー

祐子 THE柴犬のサブロー君…はじめまして…。ヘイヘイホーのサブちゃん(笑)

ゆき はい。サブちゃんは、もうお見合いも決まってるですけど、サブちゃんの話しをちょっと聞いてほしくて連れてきました…(サブローの写真は本文最後)

繁殖場の後始末。
保護団体がやるのが当り前?

祐子 サブちゃんどうした?

ゆき サブちゃんは繁殖場からのレスキューなんですけど、最近多い、繁殖場の廃業とか縮小とかで置き去りにされたり、餓死寸前からの引き取りです…なんてタイプのところから来ました。

祐子 そうか…。繁殖場ね…。犬はひたすら出産だけを繰り返させられて、生れた子犬は市場を介してペットショップに並ぶ。一時期のように犬は売れなくなっているし、動物関連業者に対する法律も厳しくなってきた。ブームの時から繁殖やっている人達もだんだん高齢化してきて繫殖場を畳む。「畳む」っていえば、正当な手順を踏んでいるように聞こえるけど、実際は全然違うからね。

ゆき そうなんです。全然違うんですよね。まぁ、そもそもの状態も悪いですからね…。それで、最近は繁殖場がどうかなったら「保護団体が引き取ればいい」「保護団体の出番だ」っていう風に、世間は当たり前になってきちゃっている気がするんですけど、どうですか?

祐子 確かに、最後の後片付けをしてくれるのが保護団体だ。みたいな、偏った印象付けはされているかもしれないね。TVの影響とかもあるのあなぁ…。保護犬って言っても、引き取った経緯は色々あって、その中に元繁殖犬もいるのは事実だけど、その流れって当たり前のことではないからね。「世の中にこんなにかわいそうな犬猫がいるんだ」ってことを知ることは、未来に向けたステップアップにはなると思うけど、かわいそうだけの感情論と上澄みだけの情報をすくって「行き場のなくなった犬猫は保護団体が引き取る」っていうことに、違和感や疑問を感じなくなってしまったら、それはとっても恐ろしいことだと思う。

ゆき そうですね。だから、そもそも「繁殖犬とはなんぞや」ということを考えてほしいかな

祐子 ブリーダーとはまた違うからね。

ゆき そうなんですよ。現実、繁殖場と呼ばれるところから、レスキューする犬たちの多くは健康管理をきちんとされていないから、感染症や慢性疾患を抱えていたり、お腹に虫がいたり、皮膚はただれ放題、爪は伸び放題、栄養状態が悪くて、健康な歯が何本も残っていないとか。辛い状況で何年も過ごしてきている子もいる。だから、レスキューをしてから、快復を待つのは人手もお金も時間もかかるし、そのまま保護団体で面倒を見続けるケースも実は沢山あるんですよね。サブちゃんは私が所属する保護団体「PAK」に来る前にいったん、別の場所でしっかりご飯をたべさせてもらったから餓死も免れたし、自由に運動をするスペースも充分にあったから、筋肉もついてきてます。

祐子 今は健康そうで良かった。これは「たまたまラッキーだった」としか言いようがないよね。サブちゃんお見合い頑張ろうね…

ゆき 頑張ろうね!繁殖場からの引き取りが増えていて、色々話したいこと実はあるんですけど…さぶちゃんの話しの続きは、また聞いてもらってもいいですか?

祐子 もちろん。色々教えてください。そして、もやもやしたものは吐き出しちゃおう!

*中山ゆきさんが所属する保護団体の譲渡会の情報は「PAK」(Paws Adoption かながわ)

落ち着いた犬がもつ
セロトニンとは


ゆき 祐子さん、前回の話しの続きいいですか。前回は「マットトレーニング」の話しをしました。

祐子 そうでした。

ゆき「マット」を柵のない安全地帯とすれば、外出先や動物病院でも安心していられるし便利。ただ、ケージにしろ、マットにしろ、設置場所を間違うとホルモンに影響する…って、ここすごく大切な話だったんですけど、ちょっとさらっと通り過ぎてしまったので、もう一度、お願いします…

祐子 確かに。ケージやベッドの置き場所についてだよね。例えば、それがリビングの真ん中とか人工的な刺激の多い場所だとすると…。家族としては一家団欒の雰囲気かもしれないけど、犬にとってはちょっと違うかもしれない。目を閉じていても、脳は交感神経が優位になっていて、リラックスできていない可能性もある。そうすると、リラックスホルモンって呼ばれるセロトニンの分泌が少なくなってしまう。

 セロトニンの分泌量が少ないと、イライラしたりピリピリして攻撃性が高まったり、過活動になったりする傾向が高まることは科学的に証明されている。だから、セロトニンがしっかり分泌されれば、犬は落ち着いた、言い換えればしつけのしやすい犬になって、人も犬も、もっとハッピーになれる。ギラギラした場所だとセロトニン量が少なくなってしまうよー。っていう話でした。

ゆき おもしろーーーい。セロトニンと落ち着きの関係。日々の生活の中でリラックスホルモンのセロトニンはたくさん分泌したいですね。落ち着いた犬は問題行動と呼ばれることを起こしにくい。なるほど。落ち着き…大切です。

祐子 しかも、セロトニンをしっかり分泌して、リラックス状態が「楽だな」「気持ちいい」「安らぐ」って、脳や身体が覚えれば、リラックス状態を好むようになって、今ピリピリしている犬もだんだん落ち着いてくる。「そんな程度のことで?」って思うかもしれないけど、しつけ相談でカウンセリングに行ったお宅で、しっかり安息の地を作ってあげたら、変化が現れたりもするから、軽んじないで真剣に向き合ってみる案件。

ゆき なるほど。セロトニンが分泌できる安息の地ですね。うちのリビングでも3箇所にマットとケージを置いてあるけど、ちゃんと自分たちで居心地のいい場所を選んでますね。そういうときは、見ていても犬たちが落ち着いていくのがわかります。

祐子 それで、その安息の場所になるように「マットトレーニング」をするのもいいよねって話から、マットトレーニングをするにも、そもそも「マテ」ができない子は難しいねって

ゆき はい。そこで話が終わりました。


音楽:『Autumn Goodbye』Britney Spears(楽曲はYouTubeにリンクしています)

色々な「マテ」で
犬を落ち着かせよう


祐子 「マテ」ね‥。「マテ」って、シチュエーションで意味合いが変わってくるというか、色々な意味合いの「マテ」があるよね。動きを瞬時に停める「ストップ」のような「マテ!」や、おやつをあげるときとか飛びつきや興奮を一旦抑えるための「マテ」。それから「ちょっと待っててねー」の「マテ」とか…。「マテ」のコマンド、ゆきちゃんはどんな時に使う?

ゆき うーん…「マテ」。今、祐子さんの話しを聞いてたら、いつだって使ってるなって思いましたね。「ちょっと待ってねー」「あとでねー」「順番ねー」「今行くよー」「いい子にしててねー」って。結局全部「マテ」。「ちょっとコンビニ行ってくるから待っててー」「危ないから止まって」って。その積み重ねかな。犬たちはどう思っているんですかね。

祐子 ねぇ。「マテ」って興奮をスンって沈めて欲しいときにも使うから、動きを止めるだけじゃなくて、内面にも訴えかけるコマンドだよね。私はうるるには「マテ」と「いい子で待っててー」、うりには「順番」っていうのも使うかな。うりが早く散歩に出たくてアワアワしているとき、お散歩バッグ持ったり、靴履いたりしながら「順番でしょ順番」ってね。犬には難しい文脈だけど、言い続けたら理解するよね。

ゆき 理解しますね。そういう細かい文脈も理解してくれている感じがします。だから「待っててくれて、ありがとう」っていう思いを伝えきれないくらい、犬はいつも待っててくれているんだなって思いますね。

祐子 本当だね。わんことお別れした後に必ず「待たせてばかりだった」とか「急かしてばかりだった」って、そういう思いがぶわーって溢れちゃうんだよね。なんだか泣いちゃいそう…

ゆき そうそう。その思い…後悔っていうか感謝もありますね…。本当にいつも待っててくれて、ありがとう!

分離不安の予防と解消に
マテのポジティブ体験


祐子 「待っててね」の時間間隔も色々だけど、長時間のお留守番のときが「いい子で待っててね」で、私はほぼカフェイン中毒だから、コンビニに繋いで「ちょっと待っててね」は日常化しているかもしれない。

ゆき うん。長い時間のものから、短い時間のものまでありますね。

祐子 ただ、この話をすると批判する人もいると思うのね。なんだろ「犬を繋いでおくな問題」っていうのかな…。ちょっとコンビニ行くときに「どういう状況で待たせているか」っていう部分を割愛しちゃうと「犬を店先に繋ぐなんて言語道断!」ってね…。これは一時、小型犬の窃盗被害が横行して注目されたっていう経緯もあるんだけど、かわいそうとか、危険とか、色々な理由があるのはわかるけどね……

ゆき 私もゼブラがいる時までは、正直、私もどの代の子も普通にやってました。買い物に行く時に「一緒行こうぜ」ってあえて誘って、一緒に行って外に繋いで待たせて。でもこれって、信頼関係が出来ていて「待つ」って言うことを知ってるからこそ、できるのであって、はたから見て「かわいそう」っていうのは、ちょっと違うのかなぁ…

祐子 リラックスしてのんびり待ってる子もいるし、背筋シャキッとして店舗の入り口にひたすら注目して「今、ちょっと忙しいんで」って感じの子もいるじゃない。そんな姿を見ると、ほのぼのとしたり、偉いねーって思って、私はネガティブな気持ちにはならないんだけどね。まぁ、ただね…悲痛な子も確かにいて、あれどうしたの?かわいそうにってのは、あるかな…
ゆき はい。ずーっと吠えてたり…ブルブルしていたりね。

祐子 あれー飼い主どうしたってね。

ゆき むかーし昔は、お酒を呑みに行ったお父さんにつき合せれて、店先で待たされていたワンコもいたこともあったような(笑)でも、本当、あんまり吠えていたり、ソワソワしたりするワンコは怖いことになるから、信頼関係がしっかりできていないとダメですね。待たせてても「帰ってくるから大丈夫」って、思ってもらえる信頼関係があるかどうか…。それがあれば、「リードから離れていなくなっちゃうかも」っていう、ドキドキの生活にはならないですね。

祐子 そうお互いにね。犬は待つことのできる動物で「待つ」そのものを楽しむこともできる動物だから、うまくその能力も活かしてあげられるといいよね。ただ、どんなこともリスクはつきものだから、「ここなら繋げておいても安心」っていう場所を選ぶこと。時間帯とか環境とか。もし条件的に心配ならやめた方がいいよね。そういう場所は犬だって不安な場所だから。

ゆき なるほど。そうですね。人通りや車通りが激しいとか、日向で暑いとか…。そして、繋がれているのを見た時は「あなた偉いわねえー」「おかあさん待ってるのね」って遠巻きに微笑む。「待つ」を邪魔しないように。

祐子 うん。絶対に近づきすぎないこと。待つことに慣れれば、分離不安からも開放されるしね。「いやいや分離不安だから待てないんでしょ!」って、ソッコー突っ込まれそうだけど、「マテ」「待っててね」のポジティブ体験をさせていなかったから、分離不安傾向になってしまうわけで。もっと「待っててね」を上手に日常に取入れてほしい。

ゆき そうかぁ!日常に!「マテ」「待ってて」のポジティブ体験!これが日常の安定感につながるポイントですね。

祐子 そういうことだね。

マテの練習は
スモールステップ


祐子 マットトレーニングの「マテ」から、話は逸れちゃったけど、「マテ」はどう教えてる?

ゆき さっきみたいに外で待っててもらう時は「ここに居れば大丈夫よ」の気持ちで、「待っててね」って声をかけるだけです。それがいいのかわかりませんが…。ただ、短い時間から待ってもらって、再会のときは笑顔で褒める。その繰り返しですね。

祐子 うん。それあるのみ。とにかく待ってもらう。そして、すぐに姿を見せる。もうすでに分離不安気味なら室内から練習するといいよね。「ちょっと待っててね」って言って、違う部屋に行く、トイレに行く、その時にリビングのドアは閉めて行く。そして戻ってくる。家の中なら、後追いばかりする子でも、鳴かずに待っていられるようになるはず。

ゆき なるほど。まずは安心できるスペース「家の中」からですね。

祐子 そう、スモールステップで進むこと。マットトレーニングみたいに、オフリードの状態でその場に止まっててもらうには、そこで座ることができるかどうかがカギになるかな。立ったままだと、動きたくなるから。座ったり、伏せることができれば、あとはその距離や時間を延ばしていくのみ。

ゆき はい。「お座り」ですね。で、気持ちを落ち着かせること。

音楽:『NEXT TIME (I FALL)』· BOBBY CALDWELL

安心して待てるのは。
人の犬の温かな関係があるから


祐子 今日は常連客で保護犬猫シェルター付きのトリミングサロン「イヌと暮らす」のオーナーのゆきちゃんと「マテ」について話しています。私的には一番大切なコマンドだと思う「マテ」。マテができるかできないかは、飼い主と愛犬、人と犬の関係にとても大きく関わっていくと思うの。そう、先月、ヒト2人、イヌ2頭でちょっと遠出して、途中で高速道路のSAを満喫してきたんだけど、その時にお互いに「犬を見ててね」って言って、お買い物したりするわけじゃない。その時も「待つこと」を知っていれば、知らない場所でも安心して待っててくれるから、一緒に美味しいものを沢山食べたりできる。

ゆき 私たちは本当に「マテ」「待っててね」って言うことが多いですよね。だから、犬がお空に旅立ったとき、それを後悔さえすることもあるけれど、今、話を聞いていて、「待つ」という行為を通して、落ち着いた気持ちを持つことができたり、温かい関係を築けていたのかなって。そう思うと救われますね。祐子さんの言うように一番大切なコマンドなんだなって思いました。

祐子 いいこと言うー!ね。だから、飼い主さんを待っている犬の姿を見て「かわいそう」ではなくて、なんとなく「温かな気持ち」になるのって、そういうことなのかもしれないね…。そういう関係を作れることは素晴らしいことだと思います。さて…時間は大丈夫?

ゆき はい。大丈夫です。最近、レスキュー案件がちょっと増えていて「イヌと暮らす」も、わんこにゃんこが増えているんですけど、ちょっと休憩していきます。

祐子 そうだったね。でも、あれだ!なんとなんとこの店の常連でもある兄貴浦君がトライアル中なんだよねー。このまま「ずっとの家族」で決まりそう?

ゆき はい。そうなんです!先住の子がうまくリードしてくれてるように思います。浦はいい子だから大丈夫です。

祐子 じゃあ、浦君のお祝いも兼ねて、今日も楽しい犬談義のお礼に私からもう1杯…
ゆき ありがとうございまーす。遠慮なくいただきまーす。

祐子 さぶちゃんは?
ゆき 外を一生懸命見てますね(笑)初めてがたくさん…


番組サイト『犬とあなたと珈琲と。』  
保護犬猫支援店/トリミングサロン『イヌと暮らす』 

放送構成と文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagram  
ル・ブラン湘南のInstagram 


白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬のカウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは沖永良部島出身で雑種の女の子。名前はうるる(うりはお空組2005-2023)。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の社会心理学が専門。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に共感される。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合う。講師、専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1MHzレディオ湘南に出演中。神奈川県三浦郡葉山町にて『お寺でわんにゃん縁結び』を主催

関連記事

カテゴリー

  • ラジオカフェ
  • 犬の心理
  • 講演・イベントレポート
  • お悩み相談
  • 犬と暮らす
  • 日々のあれこれ
  • うりパイセンの独り言
  • 湘南しっぽラジオ
  • お知らせ
//サムネイルを取得 //ここから構造化データの記述