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犬とあなたと珈琲と。Vol.129 犬コミュニティ#2 その経験、本当に“正解”ですか?

聞逃し配信中(音楽は著作権の関係で全てダミーです)
収録:レディオ湘南 

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。2代目店長はカフェオレ色の愛犬うるる。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

5月16日のお客様は常連客のゆきさん(株式会社イヌと暮らす代表取締役)。トークテーマは「その経験談、本当に“正解”ですか?」――前回は、“犬コミュニティ”の独特な構造や距離感の代表でもある、「経験のヒエラルキー」について話ました。今回はその続編。なぜ私たちは、知らないうちに「わかった気」や「権威者」になってしまうのか。その心理背景や覚えておきたい言葉の大切さとともに、犬友達との心地よい距離感について考えていきます。犬友達は、支え合い、笑い合える大切な存在。でも、だからこそ難しいこともある――。犬を愛する人なら「うわ、それある…」となる、ちょっと深くてクセになる犬談義。今回も保護活動をしながらトリミングサロンを経営しているゆきさんと、人と犬の関わりを探究しているドッグカウンセラーの白田祐子がそれぞれの視点でお届けします。


祐子 こんにちは。ゆきちゃん。いらっしゃいませ。いつもありがとうございます。

ゆき 祐子さん、こんにちはー。今日は祐子さんも大好きなブルマちゃんと来ましたー。うるるもよろしくねー(トイプードルのブルマの写真は文末にあります)

祐子 ブルマちゃん~。可愛い可愛いぶるぶるブルマ(笑)。うるるはあまり一緒に遊ばないんんだよね。

ゆき 遊び相手にはならないのかなぁ

祐子 ね。ブルマはめっちゃ人慣れ、外慣れ、社会慣れしているよね。

ゆき そうなんです。繁殖場のレスキューって言われて来たけんですけど、お布団の中にも潜ってくるし、うたた寝してたら隣にくるし、なんだか人に飼われていたように思いますね。ちょっと太り過ぎで、お尻もぷりぷりしてるけど、お散歩もとっても上手だし、トイレも完璧。レスキューって、回り回って「過去のことは分からない」っていうケースも多いんですよね…。

祐子 そうだよね。保護犬を迎える時、この子はどこから来たの?どんな暮らしをしていたの?って、とっても気になるけど、「昔のことはわかりませーん。今はうちの子!幸せです」って、吹っ切ることも大事だしね。
ゆき そうそう。今が楽しいってことで!

*中山ゆきさんが所属する保護団体の譲渡会の情報は「PAK」(Paws Adoption かながわ)

コミュニティリテラシーって?
犬友さんにも関係あり?


祐子 ゴールデンウイークは忙しかった?

ゆき うーん…そうですね。世の中がお休みの時はホテルが繁忙期になるので気を張りました。みなさん、いつもご利用ありがとうございます(笑)そうそう、今日は前回の話しの続きがしたいです。社会学的にも複雑な構造だと言われている「犬コミュニティ」。心理学が満載で面白かったです…「経験のヒエラルキー」とか、善意だからこそ影響力を持ってしまうこともあるとか…。なんとなく感じていることも、科学的に整理していくとなるほどーの話しでした。

祐子 ね。犬友さんの言葉から危機感が薄れて、愛犬の病気の予兆に向き合うことが遅れてしまったというお便りから、社会学・コミュニティ学・心理学を交えながら「犬のコミュニティ」について、考えていたんだよね。復習になるけど「犬コミュニティ」の特徴は「犬を飼っている」という共通点だけで急接近すること。基本的に専門性のある集まりではないので「経験」が「価値」になること。だから、「経験者」ほど「権威者」になりえること。しかも、権威者の「経験談」は徐々に「一般論」に変換されやすくて、でも、そこに悪意はないから周囲は「信じやすい」

ゆき 経験談って聞いてて面白いんですよねえ。だからこそ、のめり込んじゃわずに「経験談は参考程度、専門的な話は専門家に」っていう話でしたね。情報の線引きと踏み込むべき距離感が大切。ただ、知識量が増えていくと「犬コミュニティ」のそういう特殊な構造にちょっとモヤモヤしはじめて、それが「コミュニティリテラシーが上がった」状態…って言ってましたが、ちょっと難しかったーーー今日はその話からですね。

前回の放送は「こちら」から

祐子 ね。犬と長く関わっている人ほど、ある瞬間こう思うようになるはずなの。あれ…?「それ本当に正しい?」「ただの体験談では?」って。この違和感。これを感じ始めた人はコミュニティリテラシーが上がった状態。「コミュニティリテラシー」って、言いにくいんだよね(笑)こないだゆきちゃんと「コミュニティ」って日本語でなんだろ?って言ってたじゃない。で、調べてみたら『共通の関心ごとや目的・価値観を持つ人々たちの集まり』で、『相互に関係性を築く集団や場』なんだって…。それは日本語にはないかもね…

ゆき うまく言えなくてかみかみで笑いましたね。やっぱりピッタリの日本語なかったんですね。割と新しい人との関係性なんですかねえ。

祐子 あー!まさにそうだよね。日本は「外」と「内」そして、その間にあるのが「世間」だもんね。「井戸端会議」的な集まりが近いのかもしれないね。で、「リテラシー」は必要な情報を引き出して、活用する能力や応用力のこと。

ゆき おー。じゃあ、正しい知識をたくさん身に付けた方が、犬コミュニティを上手く活用できるってことですね。互いに関係性を築きながら、応用力もあげていくって、いいですね。ただ、明日は我が身ですね。気を付けないと知らず知らずのうちに、自分が“権威”を振りかざして、誰かを悩ませちゃうかもしれない。それを避ける方法も知っておかなくちゃ。

祐子 本当だね。どんな時でも「自分も危ない」って自覚している人が一番安全って言われているから、そう考えるゆきちゃんは大丈夫だと思うけど…

ゆき いやいや、私もうっかり権威者になってしまっているかも…って感じますね。本当、明日は我が身ー。逆にすごーーーーく影響されちゃって、無駄にショック引きずることもあるし…。

相手に負の影響を与えない
言葉選び


祐子 そうね。なので、意識すべき点は3つ

犬は個体差が大きいことを
忘れない

祐子 まず、一つ目は「一般論」と「個体の話」を混ぜないこと。例えば、犬の特性って大切だけど、それはあくまでも「傾向」であって、実際は個体差が存在するよね。でも、聞いた側は自分の犬の答えとして受け取ってしまうことがある。だから、「柴犬って●●だよね」とか、十把一絡げ(じっぱひとからげ)にして言い切らないこと。

ゆき 確かに。聞いた方はそれが「正解」と思いこんでしまうかぁ。あくまでも「そういう傾向」だってこと。言い切るのって危険ですね

うちの犬の場合は…。
この範囲が大切

祐子 二つ目は「自分の経験」を万能にしないこと。経験はすごく大事。でも一般の飼い主さんの場合、サンプル数は少ないよね。例えば「10頭」。飼い犬の数だとしたらすごく大きな数字だけど、専門性から見ると少ない。だから、経験を話すときは一般論や正解と混同されないよう「うちの犬の場合は」、この枠を意識すること、この言い方だと聞いた人も冷静に受け取れるんじゃないかな。

ゆき うん、確かに。自分の経験談って、誰かに聞いてもらいたい!みんなに話したい!っていう気持ちが強くなるから、だからこそ「うちの犬の場合は…」の前置きが必要。聞く方の印象は変わりますね。

「大丈夫だよ」の言葉に
責任を持てるか

祐子 最後は 「不安な人に断言しない」こと。これ大事。例えば、病気や困った行動などで悩んでるとき…。このとき「大丈夫だよ」って言われると安心するよね。前回のお便りもまさにこれでした。不安を取り除いてあげるのはいいことだけど、安心させ過ぎないことも大事。「心配なら専門家に相談してみたら」って、背中を押してあげる言葉をチョイスするのがベストだと思う。

ゆき なるほどー。確かに。不安な人には、たとえそれが“優しい言葉”であっても、断言しないこと。あっそうだ!祐子さん、こういうのも「権威者」って言うのかわからないんですけど、ちょっと気になってることがあって、それに関するセミナーに参加したんですよ。そのとき、講師の説明で分からない点があったから色々質問してみたんですけど、他の参加者からは「なんでそんなことわからないんだ」みたいな顔をされて。私としては、色々な情報がインプットされると同時に疑問も湧いた。ただ、それだけなんですね。それなのに、強い言葉で「それでいいの!」みたいな。なーんか、複雑な気持ちになりましたね。学んでいる間って過渡期っていうのか…勉強し始めの人たちって、あーなるもんなんですかね…

祐子 うわ。その話、すごく面白いかも!実はそれにも心理的な背景があって、これ知ると結構「あるある」で「うわ、それだ…」ってなると思うー


音楽:オリヴィア・ディーン『DIVE』(楽曲はYouTubeにリンクしています)

その知識のレベルって?
ダイニング=クルーガー効果とは


ゆき 祐子さん、勉強し始めの人たちのあるある?過渡期あるある?って、どんなのですか?

祐子 これ、「ダニング=クルーガー効果」って呼ばれるものなのね。難しそうな名前だけど、意味はとてもシンプルで、ざっくり言うと“知識が低い人ほど、自分を過大評価しやすい”という現象。認知バイアスだよね。最初は、何も知らないから「難しそう…」って思う。でも次に、少し知ると「わかった!」ってなる。知らないことを理解するってテンションあがるじゃない、だから「全部わかった!」くらい盛り上がりやすくて、一番、ペラペラみんなに話たくなるのがこの段階。あとさっきの「なんでそんなこともわからないのー」っていうのもこの段階。でも、そこで「もっと学ぼう!」って踏み込むと「え…全然わかってないかも…」って気づいて、さらに学んでいくと「まだまだ、わからないことだらけだー」ってなる。
ゆき はい。わかる!私もなったことありますね。ちゃんと名前がついている現象なんですね!

祐子 そうなんです。私もそういう時期あった。これって、ほぼ全員が一度この段階を通るらしいから、結構「あるある」なんじゃないかな。「あの時は若かったー。浅かったー恥ずかしい」って(笑)。ちょっと勉強しはじめて、わかった風になると、ここが自信MAX。山のてっぺんね。“お山の大将”ってよく言ったもんだわ。でも、そこに留まらず、学び続けると自信の山を少しづつ下っていく。山を越えると、“謙虚の森”みたいのがあって、静かな森には沢山の賢者が住んでいることに気づく。もし、自分が権威っぽくなりそうなとき、一番いいブレーキは「賢者の森を見たか」って言い聞かせることなのかもしれないね。

ゆき お山の大将!(笑)“謙虚の森”まで行くと、同じことに興味のある人たちに出会えたり、とてつもない賢者に出会ったりして、より深みも増すし、いいブレーキになりますね。「山のてっぺんから、下っていけるか」が、ひとつのポイントになりそう。

祐子 大きなポイントだね。

権威者にならないように。
でも、犬界隈は難しい!


祐子 ただ、ここまで聞くと結構「当たり前のことじゃん」とか「よし!気を付けよう!」っ思うかもだけど、これが実際「犬界隈」になると難しいことがわかっていて。なかなかスムーズにいかないらしい。だから、研究として面白いんだけども。

ゆき んん??「よし気をつけよう!」って思っても、気を付けることさえ難しい?

祐子 そうなのよ。でも、聞くとちょっと納得かも。権威者にならないよう、気を付けたくても、気を付けられない理由、大きく2つ考えられているんだけど、一つは「犬は家族だから」。人は家族に対する“自分の理解”を信じたいよね。たとえば「うちの子はこういう子」。この認識がアイデンティティにもなっていく。しかも、うちの子との時間は誰よりも濃いから、たとえ、犬との暮らしがその1頭であっても、その子との経験は真実だし、より強いものになる。だから、うちの子の経験談に関しての自信は強い。そうなると…

ゆき あーなるほどー。どうしても、言いきっちゃいますね。よく聞くのは「あの病院はダメだ」とか「体調不良のときは〇〇がいい」とか…。家族のことって誰になんと言われようと…ってところありますよね。

祐子 あるよね。それはその人にとっての真実だからね。でも、他のみんなに当てはまる訳ではないってこと。もう一つの理由は「犬は反論しない」から。これ、当たり前であり、冷酷な言葉でもあるんだけど、すごく重要。例えば、人間相手だと、相手がフィードバックを返すけど、犬は言葉で「その方法間違ってる」って理論を指摘したりしない。だから、人は成功も失敗も自分で解釈できてしまう。これって犬のトレーニングでは、すごく当てはまるから私も注意してる。なので、まとめると、「“犬は家族”だから、自分の経験に自信がある」そして「犬は反論しない」。この二つが重なると「自信の増幅装置」みたいになって、なかなか「あっ、自分、いま権威者になってるかも」って気づきにくいらしい…という話。

ゆき なるほど。たしかに、“強めの自分解釈”が経験談になってしまうんですね。

祐子 うわ、それ名言じゃん!良いも悪いも、経験は解釈次第!

音楽:Hauskey 『Somewhere』(楽曲はYouTubeにリンクしています)

それでも、
犬友コミュニティは楽しい!


祐子 今日は常連客で保護犬猫シェルター付きトリミングサロン『イヌと暮らす』のオーナーのゆきちゃんと「犬コミュニティ」で権威者にならないために…コミュニティでの注意点について話してきました

ゆき はい。犬コミュニティって、うちの子の経験を話すことで共感しあったり、知らない情報を得て勉強になったり、一緒に楽しんだりする存在。でも、楽しく続けていくためにも、権威者と受け身、みたいなヒエラルキーが強くなりすぎないように、言葉選びも意識していきたいなぁって感じました。だって、このコミュニティは楽しいので!

祐子 楽しいよね!「犬友グループ」みたいのって、苦っていう人もいると思うけど、犬もなじみの顔で群れることで落ち着きを覚えるし、私たちもただただ「そうそう!」「だよねー」って笑いあって、日常生活の気分転換にもなる、気軽な存在だよね。だからそこ、断言しない・境界線を作る・責任を考えること。犬だって人だって、なにごとも状況次第!あと魔法の言葉を忘れずに。

ゆき うんうん。「これは私の経験だけど」って大切ワード!

祐子大切ワード!さて、時間は大丈夫かな?今日も楽しい犬談義のお礼に私からもう一杯

ゆき ありがとうございます。いただきまーす

祐子 ブルマちゃんは何してる?

ゆき 見てー!このいい子っぷり。絶対にカフェの経験もあるんじゃないかなぁ。

祐子 あるねー(笑)過去のことがわからないから面白い!

ゆき それが保護犬です!


番組サイト『犬とあなたと珈琲と。』  
保護犬猫支援店/トリミングサロン『イヌと暮らす』 

放送構成と文:白田祐子(しらたゆうこ)

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白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬のカウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは沖永良部島出身で雑種の女の子。名前はうるる(うりはお空組2005-2023)。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の社会心理学が専門。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に共感される。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合う。講師、専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1MHzレディオ湘南に出演中。神奈川県三浦郡葉山町にて『お寺でわんにゃん縁結び』を主催

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