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ワンコのグループ散歩にモヤモヤ

茶段ボール箱の中から上半身を出すブラックタンのダックスフントの子犬

心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組、宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』に寄せられたお便りにお答えします。

配慮なく
我が物顔で通り過ぎる

今回のお便り:ホワイティさんからいただきました。
祐子さん、うり店長こんにちは。先月、我が家にワンコがやってきました。私も家族も始めて飼う元保護犬の雑種で1歳位のシロちゃんです。最近、ようやく落ち着いてお散歩できるようになりましたが、散歩の途中で大型犬のグループに会います。いつも4-5人で散歩をしていて、シロはその群れを見ると怖がります。シロが尻尾を下げているのに、近づいてきた犬を止めることなく通り過ぎていきます。

 見かけたら道を逸れたいのですが、それも嫌味な感じだし、シロも最初のうちは少し興味を示す雰囲気があって、でも、みんなが来ると怖がるという感じです。祐子さんは集団で我が物顔で歩く人達をどう思いますか。仲間内で盛り上がっていて、なんだか仲間外れにされているような錯覚さえ覚えてしまいます。

怖くて当然
まずは落ち着いて

ホワイティさんありがとうございます。グループでお散歩をする人達に対するモヤモヤですね。これは、色々な側面から考える必要のある、とても奥深いご相談だと思います。

さて、シロちゃん。1歳位の雑種犬。可愛いのでしょうね。他のワンちゃんにも興味を示していて、とてもいいですね。ただ、大きな子がゾロゾロと来ちゃうと怖くなっちゃう。これは、まだ仕方ないのかなぁって思います。

こっちは、まだまだ周辺の環境も把握していない、不慣れな丸腰の1頭。そして、まだまだ「以心伝心」「あうんの呼吸」がとれない新米ママさん。しかも、相手はチームワークも良さそうで堂々としている。これは人間でも、びびちゃうかもしれません。

でも、今現在、どちらかが吠えかかったりすることもないようですので、いい感じなのではないでしょうか。これからも悪い方に向かないように、まずは早急にお伝えしたいことがあります。

それは、ホワイティさんの力が必要だということ。

ネガティブな気持ちを
愛犬に伝播させない

どんな力が必要かと言えば、まずは精神力。「あー、またあの人達が来た。嫌だな」って思わないポジティブな気持ちです。

犬は私たちが思う以上に、人の感情に敏感です。特に、飼い主の感情はそのまま犬に伝播(伝染)することが、多くの研究で明らかにされています。なので、ホワイティさんがネガティブな感情を抱けば、シロちゃんも同じ感情を持ってしまう。そうすると結果、吠えたり、吠えられたりする可能性が高まってしまいます。そうなると、楽しいお散歩も台無しになりますよね。

ただ、「ちょっと嫌だな」って感じるのは、自分の正直な感情ですから、それをコントロールすることが、一番難しいところだとも思います。

思い切って
声をかけてみよう

これからもずっと出会う人達ですから、ここは今後のためにも、一度、心を決めて声をかけてみませんか。声を掛けるときは、「犬たちを愛する先輩である」と信頼してみること。性善説ですね。

例えば、こんな感じ。
「まだ、お散歩の練習中で沢山で来られると怖がっちゃうんです。でもお友達を作りたいので、少しずつ、挨拶ができるようになればいいなって…」って、こちらの要望を伝えながらも、好意的であること、協力を求めているコトが伝わる感じはどうでしょう。

そうすると、相手は悪い気はしないものですよね。気持ちが伝われば、次からはグループの飼い主さん同士が声を掛け合って、ケアしてくれるようになると思います。ぜひ実行してみてください。

グループでも一人でも
周囲への配慮を忘れずに

ホワイティさんが指摘されているグループの方たちが、実際にどのように歩いているのかは見ていませんので、一般論になってしまいますが、当然、必要なのは「通行人への配慮は忘れずに」ということ。

犬が苦手な人もいますから、周囲の人の様子や表情を気にかけながら、立ち止まったり、時には、脇に寄るなどして、譲り合う気持ちは大事ですよね。

犬と人の関係はプライベートからパブリックへと広がっています。特に災害が起きた時は、地域の人達との連携が大切で、犬連れの私達がスムーズに受け入れられるかどうかは、犬たちが地域から愛されているかどうかがとても大きなポイントになってきます。犬たちが愛されるには「犬を飼っている人はマナーがいい」と認められていることが必要。

グループで歩いていると、うっかり場所を大きく占領してしまったり、威圧感を与えてしまったりすることもあるかもしれません。気を付けないといけない点ですよね。私も気をつけなくてはと、改めて思いました。

犬の集まりは
最高の勉強の場

一方で周囲をケアしながら、マナーをちゃんと守っていれば、グループでのお散歩はいいことも沢山あります。特に若い犬には最高の勉強の場となります。いつもの繰り返しになりますが、犬は群れで暮らす社会的な動物です。犬は群れを平和に保つために、ルールやマナーに厳しいですし、無駄な争いを起こさないためにボディランゲージで気持ちを伝えます。

グループ活動はルールやマナー、ボディランゲージを身に着ける実践の場になるんですね。一緒に歩くと仲間意識はより高まるので、グループ内に穏やかな犬がいれば、どんなトレーナーよりも最高の先生になってくれるはずです。

それから、歳をとって社会的な交流が減っても、幼馴染に合うと嬉しそうにする犬の様子を見てみると、若い頃に仲間と過ごした時間の貴重さを理解できると思います。長い距離をゾロゾロ歩く必要はありません。同じペースの顔見知りの犬と偶然あったら、ちょっと一緒に歩く。それで充分です。

マナーを守りながら、仲間と楽しく散歩する。そういう環境が近くにあると素敵ですよね。

どうでしょう。ホワイティさん。
少しは参考になったでしょうか。お便りの最後に「なんだか仲間外れにされている錯覚さえおこす」と書かれていました。いつも会うグループの方と笑顔で挨拶を交わすことができれば、きっとそんなモヤモヤは吹き飛んでしまうと思います。これからのドッグライフ、ぜひ楽しんでください。応援しています。

この記事はFM831レディオ湘南:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(第1.第3土曜16:00~16:29放送)2023年12月16日と2024年1月6日放送分を加筆修正しました。

本記事は「こちら」「こちら」から視聴可能。
レディオ湘南は世界中どこからでもワンクリックで視聴可能です。
番組サイトにもぜひ遊びにきてください『犬とあなたと珈琲と。』

◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。

文:白田祐子(しらたゆうこ)

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白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。

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