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犬に芸は必要?

今回も心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこがパーソナリティを務めるラジオ番組“宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』に寄せられたお便りのご相談にお答えします。

芸をする犬は頭がいい?

ご相談内容:芸達者な犬たちの動画を見ているととても面白いです。芸を覚える犬は頭がいいのでしょうか。芸はさせた方がいいのでしょうか。何か覚えさせたいと言う気持ちもあります。

くう(柴犬の雄1歳)のママより

くうちゃんママさん、ありがとうございます。犬の芸についてですね。

まず「芸はさせた方がいいのか」の質問は無理に覚えさせる必要はないと思います。
自分の犬にも「何か芸を身につけさせなくちゃ」という気持ちが強くなってしまうと、犬に無理をさせてしまったり「どうして覚えられないの!」とネガティブな気持ちを持ってしまったりする可能性もありますよね。

芸に限らず、毎日同じコトを繰り返していれば、物覚えの良し悪しに個体差はありますが、良くも悪くも犬は自然にその行動を身につけていくもの。そのため、特定の行動を覚えてもらうには、“犬の資質”よりも、飼い主が同じ行動をどれだけ繰り返せるかが大事になります。

当たり前も芸になる

無理なく覚えたものが「楽しい芸」に見える。それが理想的ですよね。

例えば、毎日お散歩から帰ってきて同じ順に足を拭いていると、何も言わなくても「右手、左手、クルっと回って右足、左足」を出すようになったりしますよね。日常の一部だと「当たり前」のようにに思えてきますが、これを違う場面でやってみたらどうでしょう。 右手左手(お手おかわり)をして、ここまでなら普通に「いい子だねー」で終わるところ。ですけど、続いて右足左足も出してくる。知らない人は案外意表を突かれて笑えますよね。「お手おかわりだけじゃないんだー!」って。そうやって、いつもの足ふき行動も見せ方で「芸」に見えたりします。

犬の性格や習性に合わせた芸

定番芸に指鉄砲を作って「バーン」と言うと仰向けになるというのがあります。
これは犬の愛情表現・服従ポーズの変形です。日常的に甘えん坊ですり寄ってきて「お腹を撫でてーっ」って引っくり返る犬であれば、お腹を撫でる前に指鉄砲と声を合わせていれば、いずれ、その指のカタチと声を聞くだけで積極的に引っくり返るようになります。そういう性格と見合った芸もあります。

両手で輪を作ったらマズルを差し込んでくる、親指と人差し指で「V」の字を作ったら顎を乗せてくる。このような最近流行りの芸は犬の本能が活かされています
狼は穴の中に住む小動物を狩ったり食べ残しを土の中に埋めたりします。そのため“穴っぽいもの”はいいことの始まりで中を確認してみたくなるんですね。本当は穴じゃないのに“輪っか”を作られたら鼻先を入れちゃう、輪っかでさえないのについついやっちゃう。

飼い主が笑って喜ぶからまたやってみせる。
そもそも本能的な行動だから誰がチャレンジしても割とすんなりできるんですね。結果、“やってみた動画”が沢山出回ってバズるのです。

人間のアイデアが“可愛い”を生んだ、全く罪のない最高に素晴らしい芸だと思います。

得意な行動を見つけてあげよう!

犬の習性や個性にちょっとしたアイデアをプラスすることで芸に見える。
それであれば犬にストレスはないですし、見ている側もひっかかる気持ちもなく素直にクスっと笑うことができますよね。

くうちゃんママさん、どうでしょう。くうちゃんの行動をよく観察して、こういう癖があるよね、こういう行動は得意だよねという視点から、これなら出来そうというものを見つけてみてはどうでしょう。いつも近くにいる家族だから気付けることもあると思います。そして出来たらうんと褒めてあげるとくうちゃんも嬉しくて、もっとやりたいって思うかもしれませんよね。 参考になったでしょうか。またのお便りをお待ちしております。

この記事はラジオ番組:radio café『犬とあなたと珈琲と。』(毎週金曜16:00~16:29/FM83.1Mhzレディオ湘南)の2022年5月13日放送分の内容を一部修正したものです。

本記事は「こちら」から視聴可能。後半部分にお便りのコーナーがあります。
レディオ湘南は世界中どこからでもワンクリックで視聴可能です。
番組サイトにもぜひ遊びにきてください→『犬とあなたと珈琲と。』

◎『With a Dog』は犬の認知行動療法と飼い主のコーチングという“心理学を軸”としたドッグトレーニングを行う立場から、ヒトと犬の心と行動の関係についてお伝えしています。

文:白田祐子(しらたゆうこ)

Instagram:@doggy_uri
      @ル・ブラン湘南

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中、2022年4月(毎週金曜16:00~16:30)から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。

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