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犬とあなたと珈琲と。Vol.116 井上 佳

聞逃し配信中(音楽は全てダミーです)
収録:レディオ湘南  

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ『TAKARA CAFÉ』。オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の17歳、愛犬の“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様は、世界各国の美しい布を使った可愛い首輪やリードなど、わんこのお散歩用品を開発・製作・販売している『ZASH』の井上佳さん。3年前にお空組になった保護犬のくりぼうとの出会いがきっかけで作り始めた首輪やリードは、すぐにお散歩仲間の間で評判になりました。でも、かわいいだけではダメ!力の強い、わんぱく犬が相棒だったからこそ、安全性にはこだわり抜いています。さらに、研究好きが興じて、人にも犬にも優しいリードの開発も!1本のリードには沢山の物語が詰まっていました。


――こんにちは。佳さん、お待ちしておりました。

井上佳さん(以下 井上):こんにちは。祐子さん。おじゃまします。あら!うるるちゃん、うりちゃんもこんにちはー。どっちも「お寺でわんにゃん」で会いましたね。穏やかで優しいオーラ忘れてませんよ〜。

――ありがとうございます!たぶん、うりとはお会いしたことがなくて…

 井上:あっ!りうちゃん!

――そうなんですよ。覚えてくれてありがとうございます(笑)葉山で開催している「お寺でわんにゃん縁結び」。いつも、ご出店ありがとうございます。先月は第7回目だったんですけど、初回からずっと出店くださっていて感謝します(注:本当は2回目からの出店でした)。

井上:こちらこそ。私もとっても楽しみにしているイベントなんです。

先代犬用の首輪が
広く愛されて

晩年のくりぼう君


――さて、佳さん。井上佳さんは『ZASH』という屋号で犬の首輪やリードなど、犬とお散歩を楽しむアイテムを製作・販売されています。犬グッズは小型犬ものが多いなか、太くてしっかりした大型犬用もあるところにまず目を惹くんですけど、首輪やリードを製作するきっかけになったのが、今はお空組になってしまった、わんちゃんとの出会いだったそうですね。

井上:はい。2022年の3月ですから…3年前になりますね…14歳でお空組になった「くりぼう」、くりちゃんって呼んでいたんですけど、くりちゃんとの出会いがきっかけです。くりちゃんは野犬出身で子犬の時に茨城県の保護団体から譲渡してもらったんですけど、瞬く間に大きくなって、30㌔を超える大型サイズになったんです。見た目もオオカミみたいだったので、少しでもかわいく見えるようにって思って、かわいい首輪を探してたんですけどなかなか無くて…。大型犬用って少ないんですよね。それで、くりちゃん用に自分で作っていたら、お散歩中に犬仲間やトレーニングしている人に「それどこに売ってるの?」「それ欲しい!」なんて言われて、作るようになりました。

――確かに、小型犬に比べると大型犬は選択肢がぐっと減ってしまいますよね。しかも、可愛いっていうよりも、アウトドア用っぽいものが多くなっちゃいますよね。そこから、他の人にも作ってあげて…という感じですか?

井上:そうですね。ただ、その時は趣味程度だったので「売る」なんてことは考えてもいなかったんです。でも、東日本大震災が起きて「売上金を寄付できたらいいな」って思うようになって、そして、自分が作ったものにお金を出してでも欲しいって仰っていただける方がいるってことが自信になって、作り始めました。なので2011年からということですね。 ―そう。本格的に…なんですよね。多分、最初の一つから「ちょっと趣味で作ってます」っていうレベルを超えていたんだろうなっていうのは想像できます。

かわいいだけじゃ
ダメですよ

使用する糸も金具も丈夫さにこだわっています


――趣味以上だろうと想像できる…と、いうのも、すごいミシンをお持ちですよね。あれは足踏みの職業用ミシンですか?

井上:そうです。JUKIの足踏みミシンでもう35年くらい使っているんですけど、壊れないんですよ。シンプルなマシンなので手入れをすれば頑張ってくれるし、電子部品ではないのでメンテナンスも受け入れてもらえるのも大きいです。それで、可愛いものを作るのは当たり前で、安全なもの、しっかりしたものを作るっていうのが、私的に一番大切にしているところなんですけど、このミシンは深く、強く、引き締めながら縫ってくれるんです。

――強く…深く…引き締めながら縫ってくれる。安全でしっかりしたもの。全ての犬に共通して言えますが、特に力の強い犬にとってリードは生命線でもありますものね。

井上:そうですね。リードって小さな子供と手を繋ぐのと一緒で、その子を安全に導くためのものなので、壊れちゃ絶対ダメなんです。なので、大切なのは、いい材料でしっかりと縫製すること。可愛い布も沢山集めていますけど、可愛いだけじゃダメですね。そこが私的に一番ちゃんとやらないとってこだわっている部分です。研究好きなので色々試しながらやってます。

研究好きが興じて
リードテープを開発!

リードPro


――研究好き、研究熱心なのがわかるお話しの一つというか、商品の一つに「リードPro」というのがありますね。これ本当、伸びる感じなんですけど、リードテープを佳さんが開発したということなんですよね。

井上:そうなんです。リードを作るきっかけになった「くりぼう」は、本当にパワーもすごかったし、最初の頃はまっすぐなんて歩けなくて、本当に大変だったんです。それで、トレーナーさんに助けていただいて、お散歩の練習をしていたんですけど、その時「最近は、いいラバーリードが手に入らなくなってきちゃった」っていうのを聞いて、ずっとそれが気になってたんですよね。

 で、10年くらい経っちゃったんですけど、いつもリード用のテープをお願いしている静岡県のテープ工場にお邪魔したとき、担当さんに相談したら「それできるかも…」って言ってくださって。それで、トレーナーさんにもアドバイスをもらいながら、担当さんと何度も何度もやり取りをして、工場も諦めずに細かやな工夫をずっと重ねてくださって、3年かけてやっと出来上がったのが「リードPro」です。

――3年かけて!ラバーリードっていうのは、リード用のテープにゴム繊維が縫い込まれいるんですよね。だから犬がぎゅんって飛びだしたり、引っ張ったりしても、ガツンと腕とか手にあまり衝撃がないっていうのが特徴ですよね。確かに、最近は見かけなにですよね。手が込みすぎているからテープ自体製造しているところが少ないんでしょうか…。

井上そうかもしれませんね。需要も少ないので、大きなロットで発注するしかなくて、何百本もできちゃいました。このテープは特許申請をしていないので、みなさんに使ってもらいえればいいなって思っています

――生産が増えればコストも少し下がりますよね。ちょうど今、うるる用に買った「リードPro」が手元にありますが、ラバーが織り込まれているって聞いたら、少し重いのかなって思ったんですけど、全く逆でむしろ軽いですね…。

井上:そうなんですよ。暴れん坊をちゃんと引き留められるように、表裏に合計8本のラバーをギッチリ編み込んでいて、滑りにくいっていうのも特徴なんですけど、みなさんに「すごく軽い」って言ってもらってます。それから、テープ全体にクッション繊維が織り込まれているので、女性の手にも優しくて、きっちり握ることができます。あと、夜道のお散歩とか、なさる方多いと思うんですけど、そういうときも安全なように、両面の真ん中に反射リボンも織り込んでいて、そこは車のライトで光るって感じです。

 金具もちょっと大きめで元気のいいワンコを想定して、頑丈なナスカンを使用しています。だいぶ欲張ってます。実はこれは想定外だったんですが、ゴムが引っかかって私のミシンでも縫えなくて、織ってくださった工場で縫ってくださるところを見つけてくださったんです。こういうことも、やってみないとわからないことばかりなので、本当にいい勉強になりました。

――初めてのことにはハプニングがつきものですけど…それもまた勉強…ですね。ラバーリードの「リードPro」。本当にこれおススメ。そう、このお店「タカラカフェ」では、いつもみなさんに「宝物」について、伺っているんですね。

井上:「宝物」ですか…。あまり考えたことなかったですけどね、宝物ねー…。


音楽:Maroon 5 『Sunday Morning』(音楽はYouTubeにリンクされています)

好きなことが多すぎて
時間が足りない!

「ネームタグ付き鑑札ホルダー」もさまざまなきっかけとなった初期の作品

――今日は「愛犬のために、世界でひとつの首輪を葉山から」世界各国の美しい布を使った可愛い首輪やリードなど、わんこのお散歩用品を開発・製作・販売もしている「ZASH」の井上佳さんとお話しをしています。ではでは、伺います。佳さんの「宝物」はなんですか。はい。宝物です。佳さんの「宝物」はなんですか。

井上:色々考えたんですけど「時間」かな。私は小さい頃からお人形のお洋服を作ったり、「つくること」が大好きで、今でも何かを作っているときが一番幸せでウキウキするし、手を動かしているときは本当に落ち着くひと時なんですけど、それ以外にも好きなことが多いので時間が足りない!

――好きなこと。どんなものがありますか。

井上:映画、音楽、本、美術館、お酒(笑)。ワンコはもちろんですけどね。それから、着物も好きなので、自分で作ったり、着たりもします。そうやって、一人でコツコツやることも好きなんですけど、これまで色々な仕事をしているので、その時々で出会った友達が今もずっと続いていて、一緒に出かけたりもしています。

―――はい。イメージ湧きます。佳さんの明るくて楽しくて心に壁のない感じ。

遠い南の島で
ミシンの魅力を実感

フィジーにて。様々な手仕事と子供たちの笑顔

――そう最初に気になっていたんですけど職業用ミシンを買う人って、なかなかいないと思うんですけど、今、佳さんが仰っていた「色々な仕事」をされてきたことと関係はありますか?

井上:実は若い頃、2年位、青年海外協力隊という国の事業でフィジーという南の国に行っていたんですね。そちらで、女性問題省というところに所属して、村や女性のグループを回って家庭生活を豊かにするお手伝いとか幼児教育、栄養教育なんかをしていたのですけど、それは手回しのミシンなんですね。横にハンドルがついているミシンがあって、そういうのをもって、なんでも直したり、作ったりして、生活を楽しんでいるように見えたんですね。それで「いいなー」って思ってフィジーから帰ってきてからすぐにミシンを買いました。助けに行ったというより、助けられて帰って来た感じですね。

――わー、いい言葉ですね。そういうマインド持てる人大好きです。そして、突然びっくり話しが飛び込んできたんですけど、青年海外協力隊にはどうしていかれたんですか?

井上:実は、大学を卒業後はすぐに小学校の先生をしていたんです。

――イメージあります

井上:そう?(笑)小学校に先生って、実は鬼のように忙しくって、その上、私は子供たちの日記とかに一言添えるっていう作業も毎度時間がかかってしまうタイプなので、なんでもサラっとやれる…そういう人じゃないとなかなかね…。「私には無理―」っていう、そういう時に募集があったので、正当な理由って感じで逃げるようにフィジーに行きました。その後は外務省の事業の一つにある、海外に日本を紹介したり若者を受け入れたりする、海外交流プログラム、友情計画などを運営する協会で働いて、結婚してから葉山に住み始めたって感じですね。

――国際的だったんですね!英語は得意だったんですか?

井上:いえいえ、学生が話すレベル位ですね。で、旅や生活はできるくらい。全然ちゃんとした英語を…というタイプではないです。

――すごい。新たな一面を発見。

保護犬くりぼうの
恩返し


――保護犬くりぼうを迎えて、東日本大震災に寄付ができればってリードや首輪を製造販売されるようになって、今は、保護団体からも商品の受注が入るようになって、ぐるっと犬が結んだ縁ができましたね。

井上:函館の保護団体さんから、首輪とハーネスを繋ぐ安全なリードが見つからないってご相談を受けて、オリジナルで製作したら10本を年に3回くらい注文してくださって、とても喜んで使ってくださっているみたいです。

――くりちゃんの恩返しですね…。

井上:ありがたいですね。きっとお空で笑ってみてくれていると思います。

――本当にそう!首輪やリードはリクエストにも応えてくれそうですね

井上:布を持ち込んで「これで作ってください」という方もいらっしゃいます

――どんなのが人気ですか?

井上:秋冬はゴブラン織りのシリーズが人気なんですけど、新色のターコイズブルーとかショッキングピンクのベースをつかったもの。こういうのも明るく人気です。

――私も大好きです。色鮮やかで、絶対に目につきますね。「かわいい!」って言われること間違いなしです

ショッキングピンクのリードをつけたお友達。右は森が大好きな愛犬ハナちゃん


井上:自分でもできあがった時「かわいいー!」とか言っちゃってます(笑)

――さて、さて、話は尽きないんですが、ここで何か1曲おかけしましょうか。

井上:いいんですか!じゃあ、ビートルズの『Martha My Dear』をお願いします。この曲は「僕のことずっと忘れないで」って歌っていて、ずっとそれって女の子のことを唄っていると思っていたんですけど、実はポールが愛犬のことを唄っているって知って、より好きになった曲なんです。

自分らしくいても許される
60代は心地よい

工房では毎月1回「@ZASH月イチ」を開催し展示販売している


――佳さん。今、探している宝物はなんですか。

井上:「体力」ですかね。私は新しいことを思いつくとすぐにやりたくなって、手近に材料も揃っているので、すぐに「ちょっと作ってみよう」ってなるんですけど、どんなことでも、新しいことに挑戦するには体力って大切ですよね。今60を過ぎてちょっと経つんですけど、なんだか居心地がいいんです。自分らしくしていても許されるって感じですかね。だから今を大切に、犬に散歩をさせてもらいながら、健康を維持して、細く長く健康に作り続けていたいですね。

――そういうお話を聞くと、これから60歳を迎える私も含めみんな楽しい待ち遠しくなると思います。自分っぽくいられる、居心地のいい60歳。いいですね。まだお時間大丈夫ですか?

井上 もちろんです。ゆったりくつろげる空間で長居しちゃいそうですね。

――では、楽しい会話のお礼に私から…もう1杯いかがでしょうか
井上:わぁー嬉しい

――そうだ。ハナちゃんは今日お留守番?

井上:そうなんです。くりぼうと同じ穴で生まれて、もしかしてくりぼうの妹なのかな?っていう、ハナちゃんなんですが、もう11歳になりました。でも、相変わらず怖がりで、全然看板犬にもならないハナちゃん。今日はお留守番なんですよ。

――では次回はぜひ一緒に遊びに来てくださいね。

井上:ここだったら、うり店長やうるるちゃんと一緒に寛げるかもしれませんね。

くりぼう君と子犬のハナちゃん


井上佳さんのZASHは「こちら」

番組サイト『犬とあなたと珈琲と。』 
⇒⇒過去のお客様が一覧で見られます

インタビュー・構成・文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagram 
ル・ブラン湘南のInstagram


白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。

1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは沖永良部島出身、雑種の女の子で名前は“うるる”(うり店長は2023年お空組)。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の社会心理学と犬の心の成長が専門。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に喜ばれています。

保護犬猫の譲渡会開催や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、セミナー講師、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。神奈川県三浦郡葉山町にて『お寺でわんにゃん縁結び』を主催

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