犬とあなたと珈琲と。vol.104 WANderLAND めぐ

聞逃し配信中(音楽は全てダミーです)
収録:レディオ湘南
宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送
湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ『TAKARA CAFÉ』。オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の17歳、愛犬の“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。
今回のお客様は湘南国際村めぐりの森にあるドッグラン『WANderLAND』のめぐさんです。5.500㎡の敷地からなる自然豊かなドッグラン。神奈川県有地のため規制が多く、駐車場からは遠足並みで、トイレなし、屋根なし、人用の飲食物の持ち込みは禁止!だけど、辿り着けばそこはまさに『ワンダーランド』。なぜ、森の中にドッグランを?いったいどうやって?それも一人で!これまたワンダー。「犬たちに喜んでもらいたい。その気持ちだけで頑張ってきたら心の柔らかい飼い主さんが沢山来てくれるようになりました」。愛とパワーに満ち溢れるドッグランと笑顔のめぐさんにmeetすれば、ファンが増え続ける理由がすぐにわかるはず。ゴールデンウイークはワンコと一緒に『ワンダーランド』にレッツらゴー!

―こんにちは。めぐさん、ようこそ。お待ちしておりました。
めぐさん(以下:めぐ):祐子さん、こんにちは。お邪魔します。うり店長もこんにちはー
―こんにちわんこ。今日もわんちゃんと一緒…マルチーズとチワワのMIXで「マルチワ?」「チワマル」って呼ばれる子ですね。かわいいー
めぐ:ありがとうございます。6歳の女の子のあんずです。他のワンコが苦手な時もあるんけど、うり店長はずっと寝転がっているから(笑)大丈夫ですね。
目次
里親募集犬は
無料開放🐾

―めぐさんは、葉山と横須賀のちょうど境目くらいですよね…、湘南国際村の中にある自然豊かなドッグラン『WANderLAND 南葉山ドッグラン』を運営されていらして、オープンしたのが2022年ですか…
めぐ:そうですね。2022年の10月にオープンしました。
―「ずっとの家族募集中」の保護犬たちは無料で利用ができるドッグランがある。そういう話は周りからずっと聞いていたんですけど、なかなか伺うタイミングがなくて…。そんな時ですね、私が実行委員長で、この店の常連客でもあるゆきちゃんが実行委員を務める譲渡会イベント『お寺でわんにゃん縁結び』のスポンサーを募集したところ『WANderLAND』さんがご協力くださいました。ありがとうございます。それで改めて調べさせていただきましたら、なんと!めぐさんが一人で運営されていると知って「これはもう変態だな!」って(笑)
めぐ:いやぁ…変態ありがとうございます!自覚はないんですけどよく言われます!
―だよねー(笑)もう色々な視点から伺いたいコトだらけです。そもそも自然環境の保全に関わる仕事をされていらっしゃったんですよね。
めぐ:そうですね。管理の手から離れた田畑や里山を伝統的な方法で再生したり、保全をする『NPO法人三浦半島生物多様性保全』で子供たちに自然の中で原体験をしてもらう仕事などをしていました。それで、そこにいつも、あんずを連れて行って、自然の中を走らせていたんです。
夢生まれる。
自然を走る犬たちの姿

―いいですね。わんこはあんずちゃんだけ?
めぐ:いえ、その時、実は町田にある保護団体から10歳のトイプードルの預かりをしていたので、その子も連れて行っていました。
―へー!預かりさんをしていたんですね。それはどういうきっかけだったんですか?
めぐ:あんずは私がお迎えしたはじめての犬なんです。犬を飼おうと決めたとき、保護犬は成犬が多いのでちゃんとしつけができるか自信がなかったんです…。それで、あんずはペットショップから迎えたんですけど、もう、とにかく可愛くて、可愛くて仕方がなくて…。でも、こんなに可愛い子たちが、どこかで苦しい思いをしているかもしれないって思うと、保護犬を迎えられなかった後悔みたいなものもあって…。それで、何か保護犬たちのためにお手伝いをしたいと思って『小さな命を守る会』という団体の預かりさんをしました。
―女神様じゃない。預かりっこちゃんはどうでしたか?
めぐ:繁殖引退犬でもうボロボロでした。でも、自然の中に連れて行くと、不器用にも楽しそうに走ってくれるんです。足腰も弱いんで転んだりしちゃうんですけど…。その姿をみて「自然の中にドッグランを作りたい!」って、思いました。
―なるほど!自然の中で走る犬の姿…それも、走ったこともないであろう過酷な環境にいたワンコが転びながらも一生懸命走る…想像しただけで涙が出てきます…。
自然保護の観点から
森を守る一環として開拓

―そこで「ドッグランを作りたい」という夢が生まれたんですね。とはいえ、普通は土地探しという大きな壁があると思うんですね。でも、めぐさんは自然保護のお仕事をしていたことと、時代がいい具合に噛み合ったそうですね。
めぐ:そうなんです…。私が務めていたNPOでは湘南国際村にある「めぐりの森」の一部の管理をしているんです。めぐりの森は神奈川県有地で大楠山ハイキングコースになっている横須賀市道を除いたすべてが立ち入り禁止になっています。なんですけど、コロナ禍に不法侵入・不法投棄が続いて、神奈川県は予防策を講じられなかったんです。そこで「人目を置くこと」と企画提案したのが「人と犬が自然を体験できる」この事業でした。
―なるほど!森は人の手が加わらないと荒れた森になってしまう。さらに、人の目も加わらないと時に不届き者による環境破壊もある。その目としてめぐさんが立候補して、整備・開拓をしていったんですね。
めぐ:その通りです。開拓も友達に手伝ってもらったりもしたんですけど、ほぼ一人でやりました。茅が多いので、オープンの2年くらい前から草刈の日々で大変でした。茅は茎が太くて強いので、切り口が土から出ていると犬は足の裏をケガしちゃうんですよ。なので、とにかく切って、弱くしていきながらカタチを作っていきました。
―長い年月と労力と…聞いただけでリスペクトです…

音楽:Dan+Shay, Justin Bieber『10,000 Hours』(楽曲はYouTubeにリンクしています)
自然そのまま
5つのエリアが大人気

―今日は『WANderLAND 南葉山ドッグラン』のめぐさんとお話をしています。そう、このお店『TAKARA CAFÉ 』は、ここで「宝物」の話をすると、失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする…そんなお店になるといいなって思って名付けたんですけど、みなさん宝探しを始めるととっても楽しそうなんです。もしよかったら、めぐさんも「宝物」の話を聞かせてください。
めぐ:面白そう!
―めぐさんの宝物はなんですか…
めぐ:それはもう、絶対にあの場所です。
―あの場所。そうですよね。『WANderLAND』。オープンしてみて、どうですか
めぐ:最初は地元の人がお散歩のついでにフワッと寄ってくれる感じだと思っていたんですけど、ありがたいことに、今では都内やうりさんの住む湘南地方からも毎週来てくださる方がいて、想像よりも来場者が増えていて、ちょっと怖いくらいです。でも、あたたかい飼い主さんたちに囲んでもらって何とかやってこれてます。整備のお手伝いをしてもらったり、娘のように可愛がってもらったり…本当に助かっています。
―めぐちゃんは娘キャラだよね(笑)敷地面積が約5.500㎡。ドッグランは、5つのエリアで区切られているんですよね。「小型犬エリア」「大型犬エリア」「ワイルドエリア」「アジリティエリア」。そして、ドッグランが初めてのわんちゃんも安心の「イエローリボンエリア」
めぐ:はい。県有地なので色々な規制があるんですけど、その中でできることをって考えて、伐採した木でブランコやハードルなどのアジリティを作ったり、山の傾斜をそのまま活かした「ワイルドエリア」はとても人気のエリアになりました。あと、駐車場から20分くらい歩かないとつかないんですけど、100%のパワーでドッグランに放すより、この20分の距離がいい感じのウォーミングアップになるのか、「他のドッグランよりわんこ同士のケンカが少ない」って言ってもらえることもあります。そういう、あとから気付くメリットもたくさんありました。
―20分歩くの逆にいいなって私も思いました。そういう規制の中で知恵を絞りだして…、だからいいアイデアが生まれるということはありますよね。
心の柔らかな
飼い主さんに支えられて

―ただ、それだけではないんでしょうね…。
めぐ:そうですね。規制があるので出来ないことも多く、来場してくださる方に理解を得られないこともあります…
―たとえば、どんなことがありますか?
めぐ:たとえば、人間の飲食物の持ち込みは禁止なんです。キッチンカ―があるのでそこで購入してもらった飲み物とワンコはおやつとか大丈夫なんですけど、「あり得ない」って言われることもあります。それから、トイレもないし、屋根を付けることもできないので雨の問題もある。日除けがないので基本的に5月末から10月末までは夏休みになってます。
―なんだよねー。通常月の営業も金土日祝のみですから、『WANderLAND』ファンは開業している時期は、めちゃくちゃハードユーザーになるんじゃないですか
めぐ:本当にその通りで、来てくれる方は本当にたくさん来てくれます。「犬が喜ぶ」ことを目的にリピートしてくれる飼い主さん、向き合ってくれる飼い主さんがすごく増えたことは本当にありがたいです。実はドッグランもネットで囲っているだけなので柵があまり強くないんです。そこも、みなさんにお願いしているところなので、来てくれる犬はみんなお利口さんばっかりです。
―お利口さんばっかり!

ー2年営業する中でお客さんも淘汰されていくというか…、自分と愛犬がその条件に向いているのかどうかをSNSなどの情報から知ることもできますしね。
めぐ:そうですね。その他の点でも色々な考え方があることは本当に理解しています。なので、犬たちに喜んでもらいたい、その気持ちだけで頑張ってきたら、だんだん心が柔らかい飼い主さんが多く来てくれるようになりました。
―めぐちゃんの性格もあると思う!
めぐ:いやいやー…ドッグランではフリマも開いていて、利用者さんが不要になった未使用品を持ち込んで、それを私が並べて500円から販売しているんですけど、その売り上げと募金箱の募金で2年間で50万円!100%募金というカタチでこれまで復興支援や11の保護団体に支援ができました。これは私だけの力ではなくて、みなさんの協力があったからできたことって本当に感謝しています。
―本当にワンダーランド!だね。森までは車で入ることができないのから「譲渡会」などのイベントはなかなか開催が難しいと思います。でも、ドッグランを利用する保護犬たちが、ワンダーランドで縁が結ばれたりするといいですね。
めぐ:そうなんです。それって一つの夢なんです。「この子とお見合いしたいです」って、その場で言ってもらえる。そんな瞬間をいつか作れたらいいなって思っています。
―本当その時に立ち会いたい!
夏休みは
愛犬と北海道一周

―ところで、めぐさんはドッグランの運営が専業だって聞いて驚いたんだけども、長い夏休みの間は何をされているんですか?
めぐ:その期間は友達の飲食店のお手伝いをしたりもするんですけど、去年と一昨年はあんずと車で北海道一周をしてきました。
―北海道一周!大洗からフェリー?
めぐ:いえ、大間から函館です。1回目は2週間だったかな、函館から左周りをして、最後、襟裳岬までは行けなくて、終わっちゃったんで、去年はたっぷり1か月かけて、反対周りで文字通り一周しました。
―内陸には入らなかったの?
めぐ:納沙布岬から内陸にも行きました。もともとメロンが食べられなかったんですけど…
―アレルギーとか? 嫌いで?
めぐ:そう…美味しくないって思っていて…。でも、富良野でメロンが出ていたんで、ちょっと食べてみたらすっごい美味しくて、もうびっくり!大好きになりました(笑)
―メロン以外は?
めぐ:帯広の豚丼!びっくりしました!美味しくて
―美味しくて(笑)北海道は「肉」って言ったら豚なのよね。あんまり牛はあまり食べないから…美味しいよね。宿泊はどうしていたの?
めぐ:車中泊可能な「道の駅」があるので車中泊かあんずとキャンプをしてました。
―キャンプ!時々は日帰り温泉に入って…
めぐ:いやー毎日温泉です!
―毎日だよね(笑)北海道は沢山あるもんね。最高の思い出作り。では、ここで一息。なにかお好きな曲をおかけしましょうか
めぐ:はい。ありがとうございます。一人でやっていると色々と本当に辛いときもあるんですけど、この曲を聴くと『WANderLAND』に来てくれるワンコたちの顔が一頭一頭思い浮かぶんです…。私の背中を押してくれる大好きな曲です。いきものがかりの『笑顔』(楽曲はYouTubeにリンクしています)
パックウォークで
全国を飛び回りたい!

―めぐさん。これからの夢はなんですか
めぐ:夢の夢ですけれども…全国を飛び回りたいです。犬の勉強をして資格をとって、実績を積んで、夏休みの間に全国各地でパックウォークなんかを開催しながらお金を作る。それが一番の夢です。移動中は車の中で『TAKARA CAFÉ 』の会話を聴いているんです。なので、これからも色々教えてください
―こちらこそ。私でよければ、いつでも一緒に勉強しましょう。犬たちの桃源郷のような場所を長く続けられますように。ずっと応援しています。今日は楽しい会話のお礼に私から…もう1杯いかがでしょうか…
めぐ:ありがとうございます。遠慮なくいただきます。
めぐさんの番外編

―めぐさんが「内勤よりもフィールドが好き」「カラダを動かしている方が好き」っていうのは、お会いしてみたらすぐに納得しました。やっぱり、子どもの時からそうだったんですか?スポーツとか…
めぐ:はい。カラダを動かすのが好きでしたね。スポーツは部活でバレーボールをやっていて高校生の頃は横須賀選抜の選手にも選ばれました。それ以前は5歳から11歳までレスリングと水泳をしていました。
―バレーボールをしてそう感はすごくあります(笑)そして、レスリングと水泳!めぐさんは横須賀出身でしたよね。レスリング教室が横須賀にあって?
めぐ:そうです。兄がいるんですけど、兄が暴れん坊だったのでエネルギーの発散にって親がレスリングを始めさせて、私もそれにくっついて行っていたら、やらされるみたいな…。それで兄は中学に入って部活を始めたので一緒にやめたって感じです。
―そうか。お兄ちゃんはちょうど小学校の6年間。兄妹あるあるですね。今ならワンコとペアを組んでアジリティの大会に出ると、練習場もあるし、体力もあるし、世界大会まで行けるかもしれない(笑)
めぐ:あんずも運動神経がいいのでそれもありかも!
―ありだよね(笑)

関連サイト
めぐさんの『WANderLAND』
番組サイト『犬とあなたと珈琲と。』(過去のお客様が一覧で見られます)
インタビュー・構成・文:白田祐子(しらたゆうこ)
うり店長のInstagram
ル・ブラン湘南のInstagram

白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。パートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”(2023年お空組)。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の社会心理学と犬の心の成長が専門。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
保護犬猫の譲渡会開催や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合う。講師、犬専門雑誌の監修や執筆を行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。神奈川県三浦郡葉山町にて『お寺でわんにゃん縁結び』を主催