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犬とあなたと珈琲と。Vol.123 同じ仕草に見えても気持ちは真逆?⁉

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の17歳、愛犬のうり。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

2月21日のお客様は常連客のゆきさん(株式会社イヌと暮らす代表取締役)。今日のテーマは「同じに見える仕草も、実は気持ちは真逆⁉」。あくびや伏せ、大人しく動かなくなるなど、私たちがつい「リラックスしている」「いい子だね」と受け取りがちな仕草の中に、実は緊張や不安や我慢など、 “安心しようとしている”途中のメッセージが隠れていることがあります。「何をしているか」だけを見るのではなく、「何を我慢しているか」に目を向けることも大切。その行動の前に何があったのか。体の硬さや視線、呼吸、環境まで含めて、犬の静かなおしゃべりに気づけたとき、人と犬の関係は、もっと安全でやさしいものになっていく。――そんな気づきが詰まった回です。今回も保護活動をしながらトリミングサロンを経営しているゆきさんと人と犬の関わりを探究しているドッグカウンセラーの白田祐子がそれぞれの視点で考えていきます。


祐子 こんにちは。ゆきちゃん。いらっしゃいませ。いつもありがとうございます。

ゆき 祐子さん、こんにちはー。今日はジェラくんと来ましたー(写真は文末にあります)

祐子 ジェラくーん。あれれ、固まっちゃったかな…動かない(笑)

ゆき そうなんですよー。ジェラくんは繁殖場レスキューのマルチーズで、お外を歩くのもお出かけも、中型犬も!初めてづくしなのでお勉強のためにお邪魔させて下さい。うりちゃん、うるるちゃん、よろしくねー

祐子 よろしくわんこ。可愛いねー

ゆき 可愛いでしょ。ありがたいことに、もうトライアルのお申し込みはいただいてるんです。だから、ワクチンと避妊手術を終えて、あとはトライアルまでにお外を歩けるようになるといいなぁって。

祐子 ね。自分で歩いたら世界は変わるよー。お外は広いんだぞー!あっ、うるる、突撃したらダメだよ

ゆき あーでも、なんか平気そうですね。安心した。じゃあ、いつものカフェオレお願いしまーす。

祐子 はい、かしこまりました。ありがとうございます。うるるがお尻にクンクンしに行ったね。 でも、うるるは嗅がせない。自分のお尻は死守(笑)

ゆき でも、ジェラ君のことをイヤがってる訳じゃないんですよね。

祐子 ね。お尻がイヤなだけで、「その子のことが嫌い」とか「あー嫌われた」とか…そういうのではないんだよね。こういう、犬の行動の読み間違いって案外多いよね。実際、見分けにくい行動も多いし…。遊んでるときにワンワン吠えちゃって、でも、それは怒ってる訳じゃなくて嬉しいときとかね。

ゆき そうそう。保護現場でもサロンでもありますね。同じような行動でも、実は意味が全然違うっていうやつ。

祐子 ね。 “犬をよく見ている人”ほど、そこに気づきやすいんだと思う。犬の気持ちは案外、人に誤解されやすいからね。見た目で人間的解釈が入り込みやすい行動が多いっていうのも原因だと思うけど。

ゆき なるほど。

〇〇かと思ったら〇〇だった!
見分けにくい行動…


▽あくびは優しい主張

ゆき じゃあ「〇〇かと思ったら〇〇だったー」みたいな話。聞きたいです。

祐子 いいね!同じように見えるのに、実は真逆の心理背景があって、それを間違うと落とし穴!的なの(笑)。そう考えると、トリミングって『拘束×非日常×身体接触』って、犬にとって、ちょっとストレスがかかりやすいのかなって思うんだけど、どう?

ゆき トリミング中によく見かける仕草の一つに“あくび”がありますね。これって、「気持ち良くてて眠くなったのかな?」って、思われがちなんですけど、実は緊張しているんですよ…みたいな

祐子 確かに、代表例。もちろん犬も眠いときに、あくびは出るけど、あくびは“カーミングシグナル”の一つでもあるもんね。カーミングシグナルは“相手を落ち着かせる”とか“自分を落ち着かせる”ための行動。だから、「眠い」というより「今ちょっと緊張してます」って。頑張って落ち着こうとしている可能性も結構高い。犬らしい優しい気遣いっていうのかな(笑)

ゆき なるほど、優しい主張ですね「穏やかにやり過ごしたい」っていうメッセージ。

▽しっぽは感情の強さのメーター

ゆき あとは、騒ぐ。騒ぐっていうのは“尻尾の振りすぎ”とかハイテンションな感じ。尻尾を振るは「嬉しい」ことが多いけど、興奮マックス、てんかんもちの子とかは倒れる場合があるので、テンションを上げないように、落ち着いた態度で相手をする必要がありますね。あの、激しい尻尾振りはどんな心理なんですかね…。

祐子 そうか。一緒に「いえーい!」はダメな子もいるよね。注意が必要。確かに“しっぽ振り”も誤解されやすいよね。大切なのは、尻尾は「喜び」のメーターじゃなくて、「感情の強さ」のメーターだってこと。嬉しさも、怖さも、警戒も、全部“強ければ”しっぽは動く。たとえば、お尻ごと左右に大きく揺れている尻尾は、本当に嬉しいことが多いけど、身体が硬いのに、尻尾だけが高速でビビビって動いている場合は、喜びじゃなくて警戒や興奮のピークのこともある。

ゆき なるほど。感情の強さのメーターなんですね。たしかに、ピンと立てて速く振ってる子って、ちょっと怖い時ありますね。

祐子 目つきとか口元に緊張感があってね。毛が逆立っていたら、さすがにわかりやすいんだけど…

ゆき  はい。「尻尾振ってるから大丈夫」って手を出して、実は一番危ない瞬間だった。なんてことは避けたいですね。

▽伏せして待つはいい子orロックオン

祐子 あと、知らない人に撫でられているときとか、他の犬にニオイを嗅がれているとき、“ジーっと動きを止めたとき”も、逆に注意が必要なときもあるよね。好きなようにやられて「おとなしー!」って思ったら、実は 「頑張って耐えているサイン」だったりして。

ゆき そうかぁ、「ギリギリだよ」ってね…。暴れない=平気とは限らないし“動かなくなった”も、注意が必要なときっていうことですね。それでいうと“伏せ”もそうじゃないですか?例えば、お散歩中に前からワンコが歩いてきて、伏せする子いますよね。落ち着いて待ってるのかと思ったら、次の瞬間、飛び出したりして。

祐子 うんうん。伏せは一見とても落ち着いて見えるから、「あら、待ってるのー偉いわねー」って言われること多いし。実際「争いたくない」「刺激を与えたくない」っていう、穏やかなカーミングシグナルの時もあるんだけど、完全に狙いを定めている時もある。ロックオン!

ゆき はい(笑)「待ってて偉いわねー!」とは、完全に真逆ですね…。難しいー。これ、浦君がそうでしたね。耳を立てて、胸を張って、伏せしてても「いつでも行きまっせ」って聞こえて来て、ゾッとしたことある。聞こえたのは勘違いかな(笑)

祐子 いや、聞こえる聞こえる(笑)うりの場合は小さい犬が来ると伏せて、「大丈夫だよ」だったけど、うるるは、最近ロックオンが多いから「行きまっせ」って聞こえる(笑)。伏せからのロケット発射。発射してからは落ち着いて挨拶できるのに、最初は狩猟本能をどうしても抑えられないみたいで…。体が相手に対して一直線で、筋肉も緊張して顔の向きが固定されていたら、ロックオン。これは、視界を遮断したり、集中を削いでいくしかない。

ゆき なるほど。同じに見えて気持ちは全く違う行動。特に、カーミングシグナルに似てるっていうのが難しい。穏やかな合図かと思いきや…。

祐子 思いきや…。『同じに見えて気持ちは真逆』。他にもなにかありそうだよね…。


音楽:『Strawberry Wine』Deana Carter(楽曲はYouTubeにリンクしています)

何をしているかより
何を我慢しているかを見る


ゆき 祐子さん。似ていて非なり。うっかり間違いそうなシグナル。他になにがありますか?

祐子 他には、目をそらすとか、テヘペロ?とかあるよね。こういう「実はカーミングシグナルです」っていう仕草を連続して出ている犬に対して、しつこくしたり、距離を詰めたりすると…。

ゆき すると…

祐子 吠えられるよねー。ついつい、撫でようとして手なんか出そうものなら噛まれることもある。犬に噛まれる人で、案外、犬好きな人が多いのってこれだよね。カーミングシグナルは「もうこれ以上は無理ですよ」の前段階だから。「自分犬好きだし」「この子可愛いし」ってなると…

ゆき 実は黄色信号かぁ

祐子 黄色信号―。それを無視し続けると、犬は最後に“赤信号”として、唸る・吠える・噛む、を出すしかなくなる。

ゆき それで「急に噛んだ」って言われちゃうんですよねー

祐子 でも実際は、犬は何度も伝えているんだよね。カーミングシグナルは「安心してます」より「安心しようとしてます」のサイン。あるいは、周りが「緊張状態にあるよ」って教えてくれている。

ゆき うん。カーミングシグナルは「安心してます」ではなく、「安心しようとしてます」「落ち着いて!」ですね

祐子 ね。保護犬はどう?過去に“我慢することで生き延びてきた”経験のある子が多いと思うから、感情を出すより、感情を抑える方を覚えたんじゃないかなって、印象があるけど

ゆき なるほど確かに…保護犬は人があんまり好きじゃない子が多いから、目を逸らしたり、知らんぷりとか、はぐらかしたり。あと、あちこち匂い嗅ぎをするとか。一見、お利口で問題なさそうに見えるけど、これも見た目の行動と気持ちは違ったりするのかなぁ

祐子 うんうん。こういう“静かなサイン”だと“いい子”に見えたりするけど、内側ではストレスが溜まっていたり、緊張している可能性も高いよね。目を逸らすのも、 体が横向きだったり、動きがゆっくりの時は「敵意がない」っていう合図だけど、筋肉が固い時なんかは、ロックオンの伏せと同じで、次の瞬間に飛び出す可能性もある。典型的な“嵐の前の静けさ”。

ゆき はい。ちゃんと判断しないと、大人しくしてるからって、逆に褒めちゃったりもありそう。「お利口だね」って手を出して…でも裏では犬が必死に自分を抑えていることもある。これはみんなに知ってもらいたいことですね。

祐子 ね。「いい子だったのに、ある時から、突然乱暴になりました」っていう相談を受けることも多いのね。でも、これまでの生活習慣や接し方をヒアリングすると、犬はずっと我慢してきたんだろうなって、想像できるときもある。“突然”じゃなくて、長年ため込んだ結果かなって。だから、特に、保護犬を見るときは「何をしてるか」より「何を我慢してるか」を見るといいかもしれない。「何をしているか」だと、困った行動に対して注意をしたくなるでしょ。でも、「何を我慢しているか」を見たら、本当にすべきことが見えてくるはず。

ゆき 沁みますねー。これは保護犬に限らず、犬を迎えるときの心得ですね。「何をしてるか」より「何を我慢しているか」。犬の気持ちをみる!忘れないようにします。

カーミングシグナルは
心の黄色信号でもある


▽舐める

ゆき カーミングシグナルには、さっき祐子さんが言ってた、テヘペロみたいに、「可愛い仕草」の中に、実はストレスサインが混ざっているってことがありますよね。手とか顔とかペロペロ舐めてくるっていうのもそうかな…

祐子 ね。舐めるって 服従・安心・甘えとか愛情の時もあるけど、 緊張や不安の自己調整でもあるから、微笑ましくだけ思っていると、ストレスを見逃してしまう。

ゆき 愛情だと思ってた行動が…。「いつもより多くないか?」とか「なにか状況が変わってないか?」とか、もう少し変化を見ることで、ストレスからくる事故を避けられるかもしれない…

▽ブルブル震える

祐子 他にも、体をブルブル震わせるのもそうかな。怖いだけじゃなくて、 気持ちの切り替えやリセットするためのポジティブな要素もあるよね。状況が変わっても続くとか、自宅でもブルブルし続けるとかは、心の状態チェックが必須だけど。

ゆき うん。確かに。サロンで飼い主さんがワンコを抱っこしていて、ワンコが震えだすと、みんな「怖がってる」って言うんですけど、スイッチを切り替えてあげられるように、飼い主さんの手から離れてもらって、サッと室内を見せたりすると、落ち着いたり、楽しげに部屋を探検する方が多いですね。こうやって見ていくと、犬の行動を人間的な心理に当てはめて判断するのって、本当に気持ちのすれ違いとか、危険なことありますね。

祐子 本当にそう。犬の気持ちが置き去りにされちゃうこともあるよね。犬は言葉を使えない分、行動には“理由”と“前後の文脈”が必ずあるから、ぼーっとしてたら、誰かに怒られちゃうよ!ちょっと古いか(笑)
ゆき はい!怒られるのも怒るのも嫌ですね。

▽私たちにできること

ゆき じゃあ、私たちができることは…?

祐子 その行動だけじゃなくて、体の硬さや視線や呼吸、その時の環境や状況。あと、直前に何があったかとか、そこまで含めて“その子の立場で気持ち”を読むこと…かな。って、難しすぎて答えになってないけど(笑)自分の考えを疑ってみることかなぁ…

ゆき 犬を知っているつもりでも、まだまだ奥が深いですね。でも、こうやって“違い”に気づける人が増えるほど、犬はもっと安心して人と暮らせるようになっていくんですよね。

祐子 その通り!名言だね。犬のちょっとした行動の違いに気づける人が増えますように。そして、今、隣にいるワンコが「何をしているか」ではなく「何を我慢しているか」の目線も大切。

音楽:『I Lived』OneRepublic(楽曲はYouTubeにリンクしています)

犬のお喋りにもっと
注目しよう!


祐子 今日は常連客で保護犬猫のシェルター付きトリミングサロン「イヌと暮らす」のオーナーのゆきちゃんと「同じ行動に見えても、気持ちは真逆?について話をしています。

ゆき いやー、面白かったですね。“あくびをする”は「眠くなっちゃったねー」じゃなくて、「ちょっと落ち着いて!」って、私たちへの主張かもしれない!そう思うと、全然違う(笑)。あと“伏せして待つ”は「いい子ねー」じゃなくて、獲物ロックオンだったり!大人しく見える行動が実は黄色信号だったり…。勘違いしやすい行動や仕草、出てきましたねー

祐子 もう少し考えたら、まだまだありそうだよね。犬の行動は必ず“理由”と“前後の流れ”があるから、その瞬間だけを見て決めつけないこと。今回は「犬のことをもっと、人が気づいてあげる」っていう話でもあったね。私もこういう、違う向からの視点をもっと大事にしなくちゃ…

ゆき 犬はずっとサインというおしゃべりをしてくれているんですかね

祐子 おー。犬は案外、おしゃべり(笑)でも、その声は静かで穏やか。だから、何度も伝えてくれている。まずは、同じ行動でも“気持ちは一つじゃない”そこを知ってもらえたら。

ゆき そうですね。思い込みで見ないように気をつけるってことですね

祐子 ね。さて、時間は大丈夫かな?
ゆき はい、大丈夫です。

祐子 では、今日も楽しい犬談義のお礼に私からもう一杯。
ゆき
いただきまーす

祐子 あれ、ジェラ君ははなにしてるかな?
ゆき んー…。丸まってはいるけど、寝れてそうで寝れてないですねぁ。これ飲んだら、もう帰ろうか?


<関連サイト>
番組サイト『犬とあなたと珈琲と。』  
保護犬猫支援店/トリミングサロン『イヌと暮らす』 

うり店長のInstagram  
ル・ブラン湘南のInstagram 

放送構成と文:白田祐子(しらたゆうこ)


白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬のカウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは沖永良部島出身で雑種の女の子。名前はうるる(うりはお空組2005-2023)。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の社会心理学が専門。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性から共感される。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合う。講師、専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1MHzレディオ湘南に出演。神奈川県三浦郡葉山町にて『お寺でわんにゃん縁結び』を主催

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