犬とあなたと珈琲と。Vol.102 マヤノカヌレ 高橋マヤ

聞逃し配信中(音楽は全てダミーです)
収録:レディオ湘南
宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送
湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ『TAKARA CAFÉ』。オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の17歳、愛犬の“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。
今回のお客様は北鎌倉にある米粉のカヌレ専門店『マヤノカヌレ』と姉妹店『SORANO BAKEHOUSE』の高橋マヤさん。大好きなカヌレが食べたい!米国から帰国後に小麦粉アレルギーを発症したマヤさんの一言に、シェフのご主人が外はカリっと中はトロっの完璧なカヌレを焼き上げました。マヤさんのカヌレ。だから店名は『マヤノカヌレ』。「米国では、宗教上やアレルギーなどの理由で食べられないものがある友人は沢山いました。でも、みんなそれをサラッと言うんです。なのに、日本だとなんだか申し訳ない気持ちになってしまうのがちょっと悲しい…」「グルテンフリーが特別なのではなく、美味しいカヌレが食べられる、でも意味のあるお店の一つとして長くあり続けたいです」。美味しくて、可愛いカヌレを食べながら、マヤさんの話に深く共感するわたしなのでした。

―こんにちは。マヤさん、お待ちしておりました。
髙橋マヤさん(以下:マヤ):祐子さん、こんにちは。お邪魔します。本当にワンちゃんがいるんですねー。うり店長こんにちは
―こんにちワンコ!今日は息子君の空君は一緒じゃないんですね
マヤ:そうですね。今日は図書館に行っております。
―あら!鉄道の本を見てるのかしら…
マヤ:見てますね。早速手に取ってました(笑)
目次
オープンから丸3年
米粉のカヌレ専門店

―マヤさん。高橋マヤさんは、ご主人の高橋浩介さんと一緒に北鎌倉駅の西口から歩いて30秒?フランス・ボルドー地区が発祥と言われている焼き菓子、カヌレの専門店『マヤノカヌレ』を開店されて3年ほどでしょうか…
マヤ:はい。2021年5月3日のオープンなので、ちょうど来月で4年目を迎えます。
―丸3年達成ですね。中学・高校なら卒業です。おめでとうございます。
マヤ:ありがとうございます。
―『マヤノカヌレ』さんは、ちょっと検索すれば、いくつもの取材記事などが出てくるので、色々な情報を得られちゃうんですけど、でも「やっぱりこれは外せない!」「どうしても聞かずにはいられない」って言う大きな特徴が二つあって、一つはグルテンフリー「米粉のカヌレ」であること。もう一つは、食べられるお花“エディブルフラワー”をトッピングした「お花のカヌレ」であること。
マヤ:はい。お調べいただいてありがとうございます。
―調べ魔なんです(笑)まずは、なんと言ってもグルテンフリーへのこだわりです。誕生秘話にはマヤさんの小麦アレルギーが関係していると…。
マヤ:そうですね。私が小麦粉アレルギーになって食べられるものが限られてしまって。クッキーとかマフィンは世の中にあったんですけど、ふと、「大好きなカヌレがないな」「カヌレ食べたいな」っていう相談を主人の浩介にしたら、米粉で作ってくれたというのが始まりです。私が食べたかったカヌレで、マヤのカヌレ。
―マヤさんのカヌレで『マヤノカヌレ』。全部カタカナにしてお店の名前になっているんですよね。私もカヌレは大好きです。マヤさんのカヌレ愛はいつ頃からだったんですか?
マヤ:私の出会いはもう高校生くらい、25~6年前の話なんですけでども、東京代官山の『シェ・リュイ』さんっていうパン屋さんがあって、そこで出会ったカヌレが「あーなんだこの食べ物は…」って…そこから大好きになりました。
―『シェ・リュイ』さんは古くからある有名なお店ですよね。マヤさんとカヌレの歴史も長くて驚きです。
アメリカでの食生活も
起因?小麦粉アレルギー

―小麦粉アレルギーになったのはいつ頃なんですか?
マヤ:10年位前ですね…
―きっかけとか、何か思い当たることはありますか?
マヤ:アメリカの大学に行っていて、帰ってきてから発症したという感じなんですけど、アメリカの時は「ピザ」「パスタ」が大好きでよく食べていました。帰ってきてから働いていた時…お花屋さんに勤めていたんですが、隣がパン屋さんで、そこのパンが美味しかったので毎日、朝昼晩と3食たべていたっていうくらいで…。ちょっと食べ過ぎちゃったっていうことかな…。
―私もパン好きなのでわかります!…大人になってからの食品アレルギーは「コップがいっぱいになって溢れちゃった状態」ってよく言いますものね、私も食品アレルギーがあるんです、許容量越えというか…食べ過ぎですね(笑)普段の食生活はどんな感じですか?
マヤ:和食だったら大丈夫ですし、あとはアジア料理全般です。私はお醤油がダメなほどの重度ではないので…お醤油にも小麦が入っているんですよ。重度の方は和食でもお醤油なしで、大変だったりするんですが、私はそこまでではないんです。なので、中華に行って餃子とかは食べれないけど、麻婆豆腐は大丈夫とか。そういう感じで選んで食べています。あと、お家で作るのなら、米粉で作れるものを代用品として、たこ焼きをしたり、唐揚げをしたり。美味しく食べさせてもらってます。
―店内にはカヌレの他にもクッキーやパウンドケーキなども並んでいて、全てご主人の浩介さんが担当。浩介さんも10年間ニューヨークでアメリカン・イタリアンのシェフをされていたと聞いて、「わぉー!」と思いました。マヤさんのカヌレを食べると他のカヌレとの違いがすぐにわかります。外側はしっかりもちもちで、中はしっとりを超えて絶妙なトロっと感。この味わいと食感を出すために、米粉にはこだわっているそうですね。
マヤ:はい。カヌレは、もともと溝のカタチをしたものを「カヌレ」と呼ぶので、あのカタチだとカヌレと呼べてしまうんですね。そうするとパンみたいな食感のものやコンビニに並んでいるのも全部カヌレ。でも、私が食べたかった本当のカヌレは、外はカリっと中はトロっと。そういう風になるような米粉を探して…というところですね。米粉って製法とかで質が変わってくるので、農家さん選びから始まって…。あと、元々レシピがないので、試行錯誤しながら今のカヌレができあがりました。
―農家さんも途中で変えたんですよ…なんてお話もありましたものね…

音楽:Macy Gray『Beauty In The World』(楽曲はYouTubeにリンクしています)
大好きなお花を
カヌレにも添えて

―今日のおやつは『マヤノカヌレ』さんのお花のカヌレをいただいています。私はいつもプレーンオンリーで実はお花は初めてなんです…。今日のお花はなんですか?
マヤ:今日は定番のプレーンに「ビオラ」のお花がのっています。あとは今の時期は桜のお味と、『SORANO(姉妹店:後述)』では、ゆずのお味をご案内しています。あとはチョコのお味と4種のご案内です。
―かわいい。これは桜の塩漬け?はホワイトチョコレートものっていて、見た目は富士山みたいですね。ゆずの上のお花は?
マヤ:バーベナです。
―バーベナは美白効果があって若返り効果があるから、私はこれをいただきます。ん…お花の味がする訳ではないんですね。
マヤ:そうですね。よく聞かれるんですよ。「お花のいい香がするんですか?」とか。定番のビオラもそんなにお花の香がする訳ではないんですが、以外とポリフェノールが豊富だったりとお花を食べることでもいい効果があるようです。
―やっぱりこの箱を開けたときにお花が並んでいると「わぁー!かわいい」って思います。お花が苦手な人でも特に”お花の味”があるわけではないので、いただけちゃいますね。
マヤ:よかったです。
―今度からお花のカヌレにします
マヤ:ぜひぜひ(笑)
― 特徴2つ目がこのお花。先程、帰国してから「お花屋さんで働いていた」っていうお話もありましたが、お花が好きなんですね。
マヤ:好きですね…。多分、母の影響だと思います。子供の頃から「これ持っていきなさい」ってお花を持たされたりとか…。お花屋さんはみんなお花が好きな人が多くて「おススメはなんですか?」って話しをながら接客をしたりとか。やっぱり、お花好きのお客様ってすごくハッピーな方も多いですし、すごく楽しい仕事でありましたね。
―で、カヌレにものっけちゃおうと…
マヤ:はい。カヌレはどうしても地味なんですよ。茶色で、中の生地のお味を変えても焼き色の部分は茶色くて。なので、貰って「わぁ!」ってなるには何かないかな?ってところで、お花をのせてみました。
―でも、それが唯一無二のカヌレになったんですね。お花繋がり…。好きなものはずっと変わらないんですね。
マヤ:そうですね。考えると…繋がっていって…今に至っているって感じがします。
―このお店『TAKARA CAFÉ 』は、ここで「宝物」の話をすると失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする…そんなお店になるといいなって思って名付けたんです。それで、みなさん自分自身の宝探しを始めるととっても楽しそうなんです。もしよかったら、マヤさんも「宝物」の話を聞かせてください。
NYの街に立ち
絶対にここに帰ってくるぞ!と

―マヤさんの宝物はなんですか…
マヤ:難しいですね。今まで考えてことがなかった気がしていて…。
―そうかぁー。「お花」はマヤさんの人生からは外せない存在ですよね
マヤ:そうですね。お花は「宝物」の一つですね…
―マヤさんはどうしてアメリカに行かれたんですか。大学の進学と同時に?
マヤ:そうですね。もともと最初は父の仕事の関係で小学生の時…お休みの時に訪ねて行ったんですね。で、町のパワーにすごく惹かれたのと、ブロードウェイを観に行ってすごく感銘を受けたというか…。気にいってしまいました。あと、町で出会う人たちは、色んな人種の人がいて、話かけてきてくれて…なんかすごく好きになってしまって「絶対帰ってきたい!」って思って進学をしました。
―大学を卒業してからはどうされたんですか?
マヤ:大学では、コミュニケーションアーツを卒業しましたので、ブランディングとかマーケティングに携わる仕事で、洋服屋さんの立ち上げにも関わって仕事させてもらっていました。
―それを聞くと、なんか色々納得です。マヤさんは「只者じゃない」っていうのがわかりました(笑)
マヤ:そう…こうやって、お話しをしていると、やっぱり人との出会いとか…宝物って…「旅」がすごくしっくりくるかなと思っています。ニューヨークの街に行って「ここに帰ってくる」って思ったことだとか、そこで出会った人、新しい文化に触れるということ。それを他の人にも伝えたい。そういうとこで、今のお店とかが作られている気がしますね。
アレルギー体質も
個性の一つ!多様性の時代

―そうね。小麦アレルギーだって「多様性!」って話していましたものね。
マヤ:そうなんですよー!なんか、アレルギーであることが「ダメ」みたいなところがあって、それがすごく悲しいですね。「ピザ食べに行こう」「お好み焼き食べに行こう」って言われると、私は行けなくて(それはもう慣れたんですけど)、それが周りの人に気を遣わせてしまっているんじゃないか…って、ちょっと申し訳ない感じがしてしまうんです。
でも、海外だと「自分はビーガンだから」とか「宗教で豚は食べられない」とか、すごく普通に主張するんですね。それが特別過ぎるコトではなく、その人の個性として出せるっていうのがいい文化だなって思っていました。日本ではちょっと「ビーガン」とか言うと、「えっ、大丈夫かな…何を一緒に食べに行こうかな」とか、って敷居が上がってしまうというか…。そういうのを、普通のことにしたいなって思うんです。今のお店とか、グルテンフリーのお菓子を世の中に広めたいっていうのかな…そういう気持ちがあります。
―私も食品アレルギーがあるから、お店側から「何か食べられないものありませんか」って聞いてもらえると伝えるけど、色々なメニューがあるときは出たとこ勝負。でも、友達とシェアができないときもあるから、申し訳ない気持ちになっちゃいます。いやーすみません…じゃあ来るなって思ってるんじゃないかなってね…
マヤ:そうそう。自分から言うと気を遣わせてしまうんじゃないかなって…。もうちょっと、そういう部分もウエルカムなお店が増えてくれると嬉しいなと思います。
―まさにその通り…。じゃあ、ここで一息。なにかお好きな曲をおかけしましょうか
マヤ:では、留学中は英語もわからず行ったんですが、テレビを観たり、音楽から英語を学んだところがありました。当時、良く聞いた曲をお願いします。 Des’reeの『You Gotta Be』
『SORANO BAKEHOUSE』で
ブランチはじめます

―マヤさん。これからの目標はなんですか
マヤ:お店を続けていくことです。アレルギーがある人にも美味しいものはいっぱいあること。外食もお買い物もできるっていうことを知ってもらいたいです。アレルギーのない方にも選択肢の一つとして、意味のあるお店として、続けていきたいなと思っています。
―私も陰ながら応援させてください。『マヤノカヌレ』には姉妹店があって、江ノ電江の島駅を降りたらすぐ見えるところにある『SORANO BAKEHOUSE(ソラ—ノ ベイクハウス)』。私はいつもこちらにお邪魔させていただいています。こちらは月曜、火曜が定休日で、どちらの店舗もテイクアウトもイートインも可能。グルテンフリーのアイスサンドは大好きで、こちらは『SORANO』さん限定。今は、少し営業形態を変えようと計画中だとか…。
マヤ:そうなんです。北鎌倉の『マヤノカヌレ』はカヌレの専門店としてオープンしましたが、カヌレだけではなく違う商品もご提供したくて『SORANO BAKEHOUSE』をオープンしました。でも、スタッフの卒業などもありまして、主人の浩介が『SORANO』に立つようになったんです。主人はもともとお料理を提供していたので、彼のお料理でブランチなどをを始めたいと予定しています。
―楽しみ!浩介さんのお料理を食べられる!本当に楽しみです。もうフライングで友達にも話しちゃっていて(笑)お店に立つ浩介さんを待ちに待っています。
マヤ:ぜひ、楽しみにしてください。ワンちゃんもウエルカムです。テラス席がありますし、主人も実家でパグを飼っていてワンコ好きですので
―うん。それはいい情報です。今度はシェフ浩介さんにもじっくりお話をお聞きしたいです。マヤさんの『マヤノカヌレ』、息子君の空君から『SORANO BAKEHOUSE』、3店舗目ができるとしたら…
マヤ:SUKENO(スケ—ノ)・・・(笑)
―SUKENO BAR?
マヤ:スナック?
―スナックだね(笑)今日は楽しい会話をありがとうございました。お時間は大丈夫ですか。私から…もう1杯いかがでしょうか
マヤ:ありがとうございます。遠慮なくいただきます。

関連リンク
『マヤノカヌレ』
『SORANO BAKEHOUSE』
番組サイト『犬とあなたと珈琲と』
インタビュー・構成・文:白田祐子(しらたゆうこ)
うり店長のInstagram
ル・ブラン湘南のInstagram

白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。パートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”(2023年お空組)。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の社会心理学と犬の心の成長が専門。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
保護犬猫の譲渡会開催や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆を行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート