犬とあなたと珈琲と。Vol.13 駒月 愛
宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1Mhz レディオ湘南(毎週金曜 16:00~16:29)放送中
湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。ここで“宝物”の話をすると探し物が見つかるとか?…オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の愛犬“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。
今回のお客様はキャンドルアーティスト~空と海のキャンドル~“Lani & Kai Mood”の駒月愛さん。子供の頃の宝物は「本と宇宙」。親が厳しく、ちょっと引っ込み思案で海外の児童文学が大好きだった駒月さん。イギリス留学で自由時間を手に入れ実際に本の世界を巡ることで人生が鮮やかに変化していったそうです。キャンドルを作るきっかけは2匹の愛犬の死。そしてハーブやアロマと出会うきっかけも愛犬たち。「お月さまのような優しい灯りで癒しの時間を届けたい。」そういう祈りを込めて作るキャンドルやハーブアイテム、愛犬の話などを伺いました。
――愛ちゃん。ようこそお越しくださいました。今日は愛犬“なるちゃん”も一緒にきてくれたんですね。
駒月愛さん(以下 駒月):はい。やんちゃ坊主も一緒にお邪魔してます。
――いま、お友達へのプレゼントにキャンドルはどうかなって考えていたんです。愛さんの作るキャンドルは「海」とか「空」を思わせる色使いでシェル型のもあるので、ハワイ好きなんだけどこの2年行っていない友達にちょうどいいかなって。
駒月:いいですね。屋号が「Lani & Kai Mood(ラニカイムード)」って言うんですけれども、ハワイ語でまさしく「Lani」が空で「Kai」が海なんです。いつも身近に海や空はありますのでそういう感じで「毎日の生活に寄り添って、肩の力を抜いてゆったりした時間を過ごしていただけるように」という想いを込めてキャンドルやアロマ、ハーブクラフトなどを作っています。
目次
愛犬との別れが
新たな扉を開く
――キャンドルを作ろうと思ったきっかけは、少し悲しい出来事だと聞きました。
駒月:実は屋号の“らに”と“かい”という、2匹のワンコの死がきっかけなんです。学生時代から私はTUBEファンということもあって、湘南に住みたいってずっと憧れていたんですね。それで、2019年にひょんなことから念願が叶い片瀬海岸で暮らし始めることができたんです。ところが住み始めてすぐに“かい”の病気が発覚。年齢も15歳だったので手術ができなくて、毎日病院とお散歩だけして暮らしていましたが8か月位で旅立ってしまって…。前年には“らに”も亡くなっていたので喪失感がひどくて「もう死にたいなぁ」って考えていたぐらいなんです。
でも、このまま死んじゃって、あの子たちに向こうで会えても「ママ、何やってんの」「そっちの世界でなにやってきたの」って怒られちゃうんじゃないかなって、突然そういう考えが降ってわいてきたんです。振り返ってみたら「主婦以外何もしていないな」って思って。何かできることで「この子たちの名前を残したい」と思って、気づいたらキャンドルを始めるための道具をネットショップでポチッってして、you tubeを見ながら見様見真似で作りはじめていました。
――キャンドル作りに集中することで、心は少し安定していきましたか
駒月:溶かして固めるのがもともと好きだったんですよ。お菓子を作ったり、石鹸を作ったりとか。なので、単純作業というか“無”になれて、色を作ったりするのでもすごく癒されていたんだと思います。
――心の中で存在のカタチが少しづつ変わって、落ち着いていくって感じですよね…
駒月:そうですね。その時はおもてに出て、江ノ島を見るだけでも泣けてきちゃったので、家の中に籠って作業できるっていうのもちょっと良かったのかもしれないです。
――YouTubeから初まって、そこから技術を高めたり、オリジナリティを持たせたりしていった···。
駒月:はい。そこそこはできても、やっぱり肝心なことってYouTubeは教えてくれないんですよ。スクールを探して、海系のキャンドルを作ってる素敵な先生がいらっしゃったのでお願いして、初歩的なところからアーティストコース、インストラクターコースという感じで、どんどんすごい速さで進ませていただいたというか、無理やりやっちゃったというか(笑)
犬に優しい庭づくりが
ハーブに興味を
――キャンドルは柔らかな香りも特徴ですよね。ペットも安心して使える香りのラインナップもあって、もともとアロマやハーブも学んでいらしたそうですが、そのきっかけもワンコ達だったんですよね。
駒月:一軒家を建てて自分なりにガーデニングを始めた時に“かい”と“らに”を飼い始めたので、どうせなら2匹と一緒に安全に過ごせる庭づくりをしたいと思って、ハーブとかアロマテラピーに興味を持って検定を受けはじめました。
――私も犬のカウンセリングで状況によってはアロマなど自然療法を補助的にすすめることもあります。ただ、犬は嗅覚が鋭く香りは時に害を及ぼすこともあるので、とても慎重に扱わないといけない分野ですよね。
駒月:はい。代謝の仕方が人とはまるで違うので、そこが一番大事なんです。ワンコは雑食なのでまだいいですが、猫ちゃんは完全肉食ですので、植物系のモノの代謝は非常にしづらいので気を付けてくださいとお客様に話しています。
――少なくても香のあるものを選ぶときは、ペットに安心かどうか確認してから使う事が大切。
駒月:本当にそれはお願したいですよね。
看板犬“なる君”のいる
自宅アトリエ
――今はご自宅にアトリエも構えて、今日も一緒の“なる君”とドッグライフ中ですね。
駒月:”かい”が死んじゃって動けなかった時期に友人から「売れ残ってるコーギーがいるの。見てられない」って連絡がきました。「いやいや、なんでそれ今のわたしに言うの」って…。次の子迎えるのって後ろめたくて「いやーっ」て思っていたんですけど、こっそり主人が見に行っていて「いい犬だったよ」って言うので、そのままうちの子になっちゃいました。今はうちのアトリエで看板犬として立派に活躍というか、昼寝してくれています。
――なるちゃんがんばってくださいね。
駒月:TAKARA CAFÉって“すごくいい名前だな”って思うんですけど、なんでこの名前なんですか?
――TAKARA CAFÉは、ここで宝物の話をしたら失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする、そんなことが起きるといいなと思ってつけたんです。
駒月:わぁすごい素敵!まさに今の私に必要なカフェですね。
――もしよかったら愛さんも宝物の話きかせてください。
子供の頃は
本と宇宙に没頭
――愛さんの宝物はなんですか。
駒月:子どもの頃の宝物は本と空っていうか宇宙ですね。本は外国の児童文学がすごい好きで、未だに本棚に残っているものもあります。子供時代って私、どちらかというと今と違って引っ込み思案でひとり時間が多かったんです。一人っ子なので。両親も結構厳しくてテレビも観ることはなく、その代わり本はいくらでも与えてもらえました。
――どのような作品を読んでいたんですか
駒月:結構本の虫だったので目の前にあるものはなんでも読んでいました。なかでも『くまのプーさん』とか『不思議な国のアリス』『川辺にそよ風』『危険を逃れて』。『ドリトル先生シリーズ』『シートン動物記』とか、動物が出てくるものがすごく好きでした。
――岩波少年文庫!
駒月:それそれそれ、ズラーっとあった!それから、すごく小さい頃、3~4歳頃に『宇宙戦艦ヤマト』にハマった時期があって、そこから『1000年女王』『銀河鉄道999』とか、松本零士さんの作品に没頭して宇宙にすっごい興味を持ちはじめたんです。
――3、4歳って早熟ですよね
駒月:その頃、映画が流行ったんですよ。
――確かに。子供の頃の宝物の「空」には「宇宙」もあるのは、そういう所からなんですね。
駒月:そうですね。
――愛さんのキャンドルにも「月」をイメージさせる作品はたくさんありますね。
駒月:学生時代、先生に「昼にも月は見えるんだよ」って言われたときにハッとして。それ以来、お月さまを探して空を見上げることが増えて大好きになったんです。お月さまのような優しい灯りで癒しの時間を届けたいなっていう祈りを込めていつもキャンドルを制作しています。
感動!
本の世界が広がる地へ
――少し引っ込み思案で夜空が好きな文学少女が、明るくパワフルなTUBEやハワイを好きになる。何か転期となる事があったんですか。
駒月:多分、引っ込み思案の自分にないものへの憧れがきっかけだとは思うんですけど、最大のターニングポイントは大学3年の時に1年間留学したイギリスでの生活だと思います。
――留学をしたことで自信がついた?
駒月:そうですね。自立とまではいきませんが、朝から晩まで自分一人で責任もって暮らしていくことの楽しさに目覚めたという感じです。
――責任を持たなくてはいけないけど、自由や開放感を感じた?
駒月:やりたい放題って言えばそうなんですけど、やはり親の目がなくて、なんだかんだ言われない環境で自分のやりたいことをやりたいだけやる。当時の私にとってはとても新鮮で毎日が輝いていましたね。
――留学期間中はどうでしたか。
駒月:イギリス国内だけではなくパリまで足を延ばして、色々な小説の舞台を旅してきました。
――例えばどんな場所に
駒月:よく覚えているのが小雨ですごく寒いなか、嵐が丘まで2時間以上かけてハイキングして、すごいきつかったんですけどやっぱり清々しい気分でした。大好きなプーさんのハートフィールドでは、あの世界がそのまま残っているのを見た時は大興奮しました。あとは、ベタだけどピーターラビットが今にも飛び出してきそうなニアソーリーに行ったり、そこから2時間位かけてケズウィックっていう町まで足を伸ばしたのも大正解!散歩していると野生のハリネズミが出てきたり、鏡のような湖にもう震えるほど感動して何度か行っちゃいました。すごくよかったです。
子供の頃にたくさんの本と出会っていたから、そういう経験ができたと思います。そういう貴重な思い出とか経験がずっと心の中で輝く宝物になっています。
手作りハーブの
虫よけスプレー
――そろそろ蚊の季節です。うりみたいに黒っぽい犬はとにかく蚊がまとわりつくので気を付けたいです。何かいい虫よけの方法とか教えてもらえますか。
駒月:蚊は黒い毛のワンチャンに寄ってきますもんね。うちもトライカラーの“らに”を一番守っていました。先程も話しましたが代謝の問題で猫さんにはおススメし兼ねますがワンコちゃんはお散歩も行きますので、その時の虫よけスプレーは結構効果的だと思います。
作り方はとっても簡単。まず精油をご用意ください。虫よけ効果があるのが「レモングラス」「ペパーミント」「シトロネラ」「ティーツリー」。なかでも「レモングラス」が一番虫よけに効果があると言われています。次に無水エタノールを5ml。そこに精油を5滴ほど、お好きな香りを選んでよく混ぜてください。そこに精製水を45ml。これをよく混ぜたら出来上がりです。
――簡単!
駒月:でしょ。精油やアルコールの濃さはワンちゃんがパピーだったり、小型犬から大型犬とか、若い子から老犬などで代謝が変わってくるので、薄めから始めてちょっと様子をみながら作っていただくといいかなって思います。アルコールが苦手な子はかけた時に“くしゃみ”をしたりもするので、背中とか鼻からなるべく遠いところにかけてあげて様子をみてあげてください。
教えて!
おススメのキャンドル
――リラックスタイムにワンコも一緒に気持ちが和らぐ、おすすめのキャンドルを教えてください。
駒月:キャンドルの炎自体に滝とか森林よりも多くのマイナスイオンが含まれているので、基本キャンドルはリラックスにはピッタリです。なかでも「ラベンダー」や「ベルガモット」など“フランキンセンス”などの香りがついていると、よりリラックスにはピッタリだと思います。
――ワンチャンにも大丈夫なんですね。
駒月:はい。飼い主さんがリラックスするとワンちゃんも一緒にリラックスできますよね。
――それを買うには、常設店はご自宅のアトリエと…。
駒月:鵠沼海岸の商店街にある「SUN湘南ギフト」さん、鎌倉の小町通にある「鎌倉八座」さんにも私の作品を置いていただいていますので、ご覧になっていただけると嬉しいです。
――ぜひ伺います。では、ここでリラックスできるお好きな曲があれば、おかけしましょうか。
駒月:この屋号にしたかったなぁ…。今の屋号に決めて、だいぶ経ってから出会った曲なんです。私のテーマソングになっている曲でMango Seasonの『Lanikai Moon』(楽曲はYouTubeにリンクされています)。
お月さまを見ながら
こころに余裕を…
――今探している宝物はなんですか。
駒月:いろんな意味での『余裕』です。なんだか毎日やりたいことが沢山あって、わちゃわちゃしているので、そんな中でも“なる”とのんびり散歩したり、庭でハーブを手入れしたり、ゆっくりお月さまを見ながらお酒を飲んだりとか。そんな心と時間の余裕を忘れずにそこで得たインスピレーションを作品にも活かせていけたらなと思っています。
――昼間の月を探せるくらい、のんびりと空を見上げることができるといいですね。
駒月:そうですよねー。
――今日はお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか。
駒月:わぁ嬉しい、美味しいカフェオレもう1杯いただきたいです。
――ごゆっくりお過ごしくださいませ。なるちゃんも付き合ってくださいね。
駒月:ありがとうございます。もう寝ちゃってますね、ここで。
駒月さんの番外編!
ナイス!『Lani Kai Moon』
――素敵なリクエストありがとうございます。いい曲ですね。
駒月:そうですよね。私も最近知ったんです。本当は屋号を決めるときに『Lani&Kai Moon』にしようかなと思ったんです。でも、それだと夜にばかり意識がいっちゃうな、アロマとかちょっと薄くなっちゃうなって思って「moon」を「Mood」にしたんですけど、やっぱりいい響きですよね。
「Mood」は“かい”と“らに”と一緒にいた時間全ての幸せなムードを形にしたいなって思ってつけました。
蚊よけサシェもいいよね
駒月:先ほどご紹介した虫よけスプレー。アルコールやスプレーが苦手な子には、ペパーミントのドライハーブを細かい粉にして、背中や首筋にパラパラとかけてあげてもいいと思いますよ。
――サシェのように袋に詰めて首に巻いてもいいのかな。
うん。とってもいいと思います。うちは2匹で取り合いしちゃったんで諦めたんですけど。うり店長は大丈夫(笑)。
いい精油を使おう
――精油って品質も色々ありますよね。上手に選ぶポイントは?
駒月:一番のポイントは期限ですね。精油は抽出した時から劣化するので、なるべく“使用期限”が長いモノを選んでください。あとは信頼できるメーカーかどうか。「アロマオイル」というのは精油ではないので注意してくださいね。精油を売っているショップに行って“店員がしっかり説明してくれる”っていうのが一番のバロメーターかなと思います。
ワンコも足浴ですっきり!
――これからの暑さ対策など、いい方法ありますか。
駒月:散歩から帰ってきたら、たらいなどに水を汲んで、そこに「ペパーミント」「ローズマリー」「レモンバーム」などのフレッシュのハーブがあれば入れて“足浴”させてあげるとクールダウンにいいです。お庭に植えておいたのをひょっと抜いたりしてね。
犬と暮らす人の
夏あるある
――これからは愛犬のためにクーラーギンギンの室内で震えながら過ごす人も多いと思います。
駒月:夏の“冷え性”多いですよね。冷えは万病の元ですから気を付けたいです。「ジンジャー」や「オレンジピール」のハーブティーで体の中から温めてあげるのはおすすめです。エアコンの効いた室内だと温かいものでも飲めますから、もちろんホットでね。ジンジャーのハーブをわざわざ買わなくても、しょうがをすりおろしたものを使ってももちろんOKです。
それからエアコンを使うと乾燥して喉がカサカサになりがち。そういうときは「マシュマロウ」や「コモンマロウ(ウスベニアオイ)」などのティーもおススメです。粘液質があるので粘膜保護になりますよ。どちらのハーブティーにも「ローズヒップ」を足すとビタミンC補給になってベストです。
日焼けした後は「ハイビスカス」と「ローズヒップ」のティーが最強!これは作っておいて冷やして飲んでもいいですね。酸味があるのでスッキリと飲めると思います。肌によくて『女子力アップティー』と私は呼んでいます。
――色々ありがとうございました。
駒月:いえいえ。ハーブの話になると止まらなくて(笑)
Lani&Kai Moodのホームページは「こちら」
番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』
インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)
Instagram:@doggy_uri
@ル・ブラン湘南
白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員、湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中。