ブログ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. ラジオカフェ
  4. 犬とあなたと珈琲と。Vol.29 山田 庸子
 

犬とあなたと珈琲と。Vol.29 山田 庸子

聞逃し配信中
ミキサー:レディオ湘南 高橋優佳

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(毎週金曜 16:00~16:29)放送中

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。ここで“宝物”の話をすると探し物が見つかるとか?…オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の愛犬“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様は『東商舶備株式会社』取締役の山田庸子さん。東商舶備は船内外で必要な様々な品物を船に納品する商社です。シーツ一枚から医療用メス、機関部品や人命救助用品まで食べ物以外のほとんどのリクエストに応えます。「船は動く一つの国。1隻の船を動かすには、ものすごく多くの人たちが関わっているの。そして貨物船がなければ身の回りのあらゆる物が存在しないかもしれない。だから、みんなにもっと船の重要性を知ってもらいたいと思ってる」。虹の橋に旅立った愛犬ちょこマロンとの思い出や、大好きだったモノづくりを再開するために必要な感覚など、明るくて面白くて、そしてちょっとしんみりとした会話の数々。元気をたっぷりいただきました。


――こんにちは!庸子さん、いらっしゃいませ。

山田庸子さん(以下 庸子): 超忙しくてやっと来れたよー。うりや調子はどうだい?ぼちぼち頑張ろうねー。

貨物船で必要なものを
納品する会社


――庸子さんは、今、お父様の会社『東商舶備株式会社』にお勤めで、東商舶備は船の部品や船内外で必要な様々な品物を船に納品する商社ですよね。とにかく興味深いです。船が外国籍だと輸出になるのかしら。

庸子:そうです。輸出です。世界には沢山の船が航行しているよね。長い距離を移動するから、その間に機関部品の整備をしたり、船員さんは船の中で生活をするために必要なものが足りなくなったりする。そういう必要なものが発生すると、だいたい3か月に1回、船を管理してくれている会社にリクエストするのね。「これこれが欲しいです」って。

そして、船の管理会社がうちのような会社に機関部品や船用品のリクエストを回してくるの。私たちは、それぞれのリクエスト商品をメーカーから取り寄せたりして船が停泊している、例えば、最近であれば鹿児島の谷山港だとかに送って、船に沢山の物を納品する。簡単に説明するとそういう感じかな。近場なら直接納品に行く。大黒ふ頭とか近くに入港した場合は直接商品を持って行ったりもするんだよね。

――大黒ふ頭ならいけるものね。でもそれは外国船ですよね。

庸子:そうだね。だから手続きは必要だよ。外国に入るわけだから。私はバラ積み船が担当。パナマ船籍の船を4隻担当していて、クルーのほとんどはフィリピン人。私は英語が喋れないから、妹にプレゼントしてもらった翻訳機の「ポケトーク」っていうのがあるんだけど、めちゃめちゃ役立っています。でも、なんかニヤニヤされるけどね。多分意味は通じてると思う。大丈夫(笑)。優れものだよ。

――ニヤニヤはされるんだね。ちょっと面白い訳にはなっているのかもしれないね。
庸子:多分、そう思う(笑)

毎回300超えの
リクエストアイテム‼


――会社では当然在庫を持たないから、必要とするものを確実に船まで届ける。どこかで間違いがあると大変ですね。

庸子:船用品の場合はーつまり生活に必要なものだけどーこれはリクエストの量がアイテム数で300は超えるんだよね。だから、どうしてもヒューマンミスが起きてしまう。機関部品の場合はリクエストがほぼ確かなので、間違うことはほぼない。でも、船用品の場合、クルーがカタログ注文みたいに商品番号とリクエストアイテムの名前をリストにしてリクエストしてくるのね。だから、その番号とリクエストアイテムの名前が違っていたり、カタログに欲しいものがない事もあったりするから、とにかく量が多いだけに間違っていることが多々ある。だから、船への納品日は常に超ドッキドキです。次、いつ日本に来るかわからないし全力対応だよ。もう一生懸命。

――停泊期間はどのくらい?
庸子:通常だと2-3日で、石炭だとかは1週間くらいだよね。

――2-3日か。それは短いね。

隠れたベストセラー⁈
IMPA本


――因みにどんなオーダーが入ってくるんですか?
庸子:部門別にいうと「デッキ」「エンジン」「パーサー」「メディカル」「スチュワード」とか。

――スチュワードはアテンダントだから日用品ですね。
庸子:そう。すごいね、よくわかるね。シーツとか箸とかスプーンとか色々あるよ。

――食料品以外は、ほぼ何から何まで
庸子:そうだね。船は「動く一つの国」だからね。だから人を助けるもの、例えば、点火灯とか発煙筒みたいなものはワールドワイドで決まっていて、もし、船に検査が入って基準を満たしていないものを使っていた場合は、出航できないんだよ。SOLAS(ソーラス)っていう基準があるからね。

――SOLASはタイタニック号の海難事故をきっかけに作られた国際条例だった?…。映画の最後にテロップが出てくる気がしたんだけど…海上人命安全条約だったかな。そういう絶対に基準を満たさないといけないものもあるし、それ以外はカタログとかから注文をする。

庸子:そうだね。『IMPA(インパ)本』。正確に言うと『MARINE STORE GUIDE』って言う本があって。私は実は隠れたベストセラー本だと思っていて、フォーク1本にしてもサイズは色々違うから、そういうものが全部が番号で記されているんだよね。

――この本?すごく分厚いね。

処方箋薬も手配し
英訳をつける


――さっきメディカルもあるって言っていたけど、薬、簡単に手に入れられないモノもあるでしょ?

庸子:薬の場合はお医者さんに行くとわかるけど、処方箋出してもらわないと出ない薬もあるよね。処方箋薬の場合は処方箋の書類があって、それにキャプテンのサインをもらって医薬品を手配する。そして、必ず英訳をつける必要があるから、船舶専門の薬品商社にお願いするんだよ。この間は“メス”のリクエストがあった。ちょっとびっくりする。WHOの規定で常に船には常備しておかないといけない薬、器具があって、それが不足したり、期限切れになっていてはダメなんだよね。例えば、酔い止め薬3箱、痛み止め2箱、サロンパスとかね。細かくオーダーが入るんだよ。

――へー。そういう船での暮らしに必要な細々したものを、1個づつの単位で細々と注文してくる。どんなに慎重にしていても、どこかでヒューマンエラーは起こりそうだよね。
庸子:そうなんだよ、そうなんだよ。

――それも担当船ごとだから、一人でやっているんだよね。庸子ちゃんが
庸子:そうなのよー


庸子:ところでさー、なんでTAKARA CAFÉっていう名前にしたの?

――TAKARA CAFÉはここで宝物の話をしたら、失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする、そんな場所になるといいなと思って付けた名前なんです。
庸子:んー、いいね。素敵だね。

――ありがとうございます。もしよかったら庸子さんも宝物の話きかせてください。

多くの人が関わり動く船。
今の仕事が宝物


――庸子さんの宝物はなんですか。
庸子:今はね、自分の仕事だね。船に携わる仕事をしている事が今の宝物かな。

――お父さんも喜ぶ言葉ですね。本当に楽しそうだし、私も興味津々で楽しそうだなって感じます。入社してどのくらい?

庸子:7年かな。まだまだ覚えたい事や知りたい事も沢山あるし、今よりも1.5倍位、業務を拡大したいって思っている。目標もあるからやっぱり楽しいよね。船の重要性をみんなにもっと知ってほしいと思っていて、例えば、船がないと「これも、これも」ないかもしれないんだよね!

――はー…そうか、原料を運べないから…。
庸子:うん、そう。そして1隻の船を動かすにはものすごく多くの人たちが関わっているんだよ。例えば、東京湾に入港して荷下ろしもしくは荷物を積むってなると、入出港を担う代理店にパイロットの手配や着桟や荷下ろしの許可とかを貰って、いつなら大丈夫とか、スケジュールを調整してもらって、そうしたら水先案内人、つまりパイロットって呼ばれる人が船に乗り込んで東京湾から荷下ろしをする場所まで着桟させるんだよ。係船する人、荷役する人とか、着桟している間に色々な人が関わっていく。本当にすごいなって思う。

――本当だよね。大勢の裏方さんがいて、それもみんなプロフェッショナルで、私なんかはその仕事の一つ一つの人に話を聞いて歩きたいくらい!

ハマり症で
コーヒーマスターも取得


――庸子さんも興味を持つとハマるタイプでしょ。前職のコーヒーショップもハマっていたでしょ?

庸子:そうそう。それまで珈琲なんてどれも同じって思っていたけど、しっかり飲み比べると「こんなに違うものなのか!」って。豆の品種に摘み方、焙煎方法、淹れ方とかももちろん奥が深くて、完璧ハマったよね。ハマり過ぎて社内資格なんだけど「コーヒーマスター」も取得したし、接客も本当に楽しかった。お客さんの名前も覚えたり、だんだん友達になっていく感じとか本当楽しかった。でも、ここの珈琲も美味しいよ。

――わぁ!ありがとうございます!今日は私が一番好きなスマトラの豆なんです。
庸子:やっぱり!私も一番好き!

――わぁ、嬉しい。どっしりと大地のような味わいだよね。
庸子:うん。スマトラはね、摘んでから出荷するまでの間の生成方法がスマトラ式って言われている。だから大地のような味わいに感じるのかもしれない。話し出すと止まらないから、また今度にするわ(笑)

犬を通じて友達もできた。
犬たちに感謝!


――庸子さんとは犬が繋いでくれた縁で、うりは12月で17歳。庸子さんのちょこマロンは幼馴染だから、大型犬にしてはすごく頑張ったよね。

庸子:そうだね。6月29日に17歳と7か月で虹の橋を渡って、この2-3週間でやっと頭の「ここ」に出て来なくなって仕事に集中できるようになったかなぁ。ちょこの前もずっと猫がいたからね。動物のいない生活は初めてで、なんとか少しずつ慣れてはきたけど「早く帰らなきゃ」っていうのがないから、余計仕事ばっかりになったね。散歩にも出ないから、息抜きもないよね。

――どんなに忙しくても、絶対に行く犬のお散歩は「面倒だな」って思っていても、結局息抜きになるんだよね。集中から一旦離れることでアイデアが閃いたり、誰かと会って話したり笑ったり、大切な時間だったよね。

庸子:うん。本当に動物に感謝。犬を通じて友達もできたしさ、犬って本当にすごいよね。

爽やかな風が
細胞をすり抜けていく感覚


――犬と過ごしていた時間を仕事以外に回したりはしないの?

庸子:それがね、”ちょこ”がいなくなって世話をする時間がなくなったら、ふと、私ってもともと絵を書いたり、モノを作ったりするのが好きだったってことを思い出したんだよね。

――平面も立体も両方?
庸子:
そう。昔、東急ハンズの公募コンテストに『のっぽ山の秘密』って作品を出して入選したよなって思い出したんだよね。だから、そろそろやり始めるんじゃないかなって思ってる。ただね、そのためには、重要な感覚を取り戻さないといけなくて、なんていうか…春や秋の気持ちのいい季節にふと外に出たら、細胞の中を気持ちのいい風が“ひゅー”とすり抜けていく。そんな感覚。そんな感覚がとっても大事で、その感覚が戻ったら、きっと「ちょこが近くにいる」って感じられるようになるなって思うし、そういう感覚が本当に…こないだちょっと感じ始めたよ。

――そうだね…。またすごい集中力で『のっぽ山の秘密2023』とか作ってください。
庸子:どんなのか分かってないくせに!(笑)

――「こんな感じかな」ってインスピレーション沸いています(笑)ではでは、思い出しついでに、何か思い出の曲をおかけしましょうか。

庸子:じゃあね、私が最初にー私の人生の中でねー最初に好きになったガールズグループにしようかな。TLCの『Water fall』(楽曲はYouTubeにリンクされています)。

業務拡大と
モノづくりの感覚を取り戻す!


――今探してる宝物はなんですか
庸子:仕事とプライベートの充実。もっと今の仕事を突き詰めたいし、もうちょっと業務を拡大したいと思っています。それと、さっき話したモノづくりをする感覚を取り戻しながら、作品作りをして現実世界を生きていけたらなって思っています。

――犬がくれた縁。みんなが虹の橋に旅立っても、これからもずっと私と仲良くしてください。

庸子:もちろんだよ!うりはもうすぐ17歳と言っても、毎日散歩してるから本当にすごいよ!スーパーばぁちゃんだよね。そうだ、TLCで思い出したけどさ、アイドルって、若い子じゃなくてもいいと思うんだよね。

――アイドルってなんとか48みたいな?
庸子:そうそう、なんとかフィフティーオーバー。

――それ年齢になっちゃってる(笑)遊行寺?
庸子:おーナイス!遊行寺フィフティーオーバー!うりママも踊るんだからね。

――私は運動神経がないのでボーカル担当でお願いします。
庸子:ダメダメ!全員が歌って踊れるアイドルだから。遊行寺フィフティーオーバー!

――もー(笑)わかりました(笑)。今日はもう少し時間ありますか。
庸子:はい。

――楽しいお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか
庸子:やった!いただきます。さっきのクッキーももう1個ください。

番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』

インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)

うり店長のInstagramは『こちら』
ル・ブラン湘南のInstagramは『こちら』

白田祐子(しらたゆうこ)

プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合っている。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。2014年より神奈川県動物愛護推進員。湘南ビジョン大学講師。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演中。

関連記事

カテゴリー

  • ラジオカフェ
  • 犬の心理
  • 講演・イベントレポート
  • お悩み相談
  • 犬と暮らす
  • 日々のあれこれ
  • うりパイセンの独り言
  • 湘南しっぽラジオ
//サムネイルを取得 //ここから構造化データの記述