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犬とあなたと珈琲と。Vol.98 福室貴雅

聞逃し配信中(音楽は全てダミーです)
収録:レディオ湘南  レディオ湘南をリンク⇒https://www.radioshonan.co.jp/

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ『TAKARA CAFÉ』。オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の17歳、愛犬の“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

今回のお客様は『NPO法人尽力車』のガイドヘルパー福室貴雅さん。ガイドヘルパーは「移動支援従事者」のことで、身体障害や精神・知的障害、視覚障害など、一人では外出が難しい人の外出をサポートする仕事です。「ガイドヘルパーは生身の人間の1対1の関係。ベタっとしたリアルさがある。だから面白い」。そう話すのは、アートを通じて障害者を支援する法人の代表でもあるから。障害福祉の世界を人生最後の仕事として燃え尽きたい!と、宣言する福室さんにガイドヘルパーのお仕事やこれからの目標を伺いました。


―こんにちは。福ちゃん、お待ちしておりました

福室貴雅さん(以下:福室):こんにちは!うり店長も今年もよろしくお願いします。

―よろしくお願いしますわん。福ちゃんとは先月もちょっと会ったけど、その前が…去年11月24日に開催したワンコと一緒に参加するビーチクリーンを開催した時にカメラマンをお願いして…

福室:そうそう、西浜でやったワンコとビーリクリーンね。あれは毎回カメラマンのお手伝いをさせてもらってます。

―いつも色々お願いしちゃってすみません…

福室:いえいえ…

ガイドヘルパーって
どんな仕事?


―そう「ガイドヘルパー」。聞いた瞬間「あっ!それ福ちゃんに向いていそう」って思ったんだけど、実のところ仕事内容はハッキリわかっていないので、今日はその話も聞きたいと思っていました。

福室:自分が移動支援の事業所を経営している訳じゃなく、久しぶりに「雇われる側」として働いているので、話せる範囲はちょっと限られてきちゃうんだけど、何かの参考になったり、興味を持ったりもらえると嬉しいので。あと犬山さんも福祉関係は縁がない訳じゃないと思うから、僕でよければ喜んでお話しさせていただきます。

―今日はガイドヘルパーの福ちゃんとして

福室:よろしくお願いします。

―そもそも、ガイドヘルパーってなんぞやっていうところからだよね。その言葉を知らない人の方が多いかもしれない。日本語で言った方がわかりやすいかな…

福室:確かにそうかもしれないね。「ガイドヘルパー」っていうと、もしかしたら“観光案内”をする人のイメージ持つ人の方が多いかもしれないけど、日本語でいうと「移動支援従事者」。「移動」っていうのが、おそらく多くの方がイメージする“高齢者のヘルパー”との大きな違いで、1人じゃ外出が難しい人の外出をサポートする仕事です。仕事の内容は利用者の抱える障害特性によって違うんだけど、自分は知的障害がある人や精神障害者のある人を対象とした外出の支援をしています。

―ガイドヘルパーにも色々種類があるのね?

福室:そう。ガイドヘルパーの資格にもいろいろあって、他には身体障害者を対象とした資格。その他には視覚障害者を対象とした「同行援護」って呼ばれる資格もあります。今ちょうど、同行援護の資格を取ろうと思って勉強しているところです。

―視覚障害者であれば、またヘルプすべきところが違うものね

一緒に楽しむ
レクリエーション要素も大切

福室さんが代表を務める『一般社団法人ソーシャルアートラボ』が毎夏主催する
「湘南バリアフリービーチat西浜」にて


―ガイドヘルパーとして、どこかに遊びに行ったりすることもありますか?

福室:それはよく聞かれるんだけど…僕もこの仕事始める前はそういうイメージだったんだけど…「一緒にディズニーランド行くの?」とか「ライブ一緒に行くの?」とか。そういう支援をしている人も、もちろんいっぱいいるんだけど、私は支援級の通学や障害福祉施設の通所に付き添ったり、グループホームに住んでいる人のお買い物や散歩に同行することが多いです。自分も沢山の人を担当している訳ではないけど、施設の送り迎えやその帰りに一緒に散歩するみたいなことが多いかな

―一緒にお散歩をして気分転換するみたいな感じ…

福室:そう。あと、利用者さんの親御さんも働いていたりするので、施設から帰ってくる時間にはまだ親御さんが家に居ない場合も多いから、それまで商業施設で時間を潰したりとかもしています。そうやって一緒にいるときに、たまには排泄の介助とか食事の介助とかをやったりすることもあるんだけど、他の介護職に比べると身体的な介助は少ないのが、ガイドヘルパーの特徴かもしれないね。

―身体的介助もある程度はするということは、担当するのは男性の方が多い?

福室:多分、一般的に「同性介助」と思っている人が多いと思うけど、実は異性の介助もあって…もちろん、異性介助の時は時間が短いから、おトイレの必要がないっていうのがあるんだけど、ガイドヘルパーって利用者のレクリエーション的な部分もあるから、お出かけの時は異性の方が心もウキウキしたりするじゃない

―たしかに!

福室:でしょ。そういう気持ちを持つことは、幾つになってもあることだと思うし、大事なことかもしれないね。

―絶対にそう思います。

心が通じたと
感じた瞬間が一番の喜び

カメラマンとしての活動も多い福室さん。レンズ越しに人の表情を捉える


―ガイドヘルパーをやっていて「楽しいな」とか「やりがい」を感じるときはどんな時ですか

福室:まず「心が通じたな」って思えた瞬間。僕が担当しているのは知的障害の人だから、もちろん障害の程度にもよるんだけど、なかなかコミュニケーションが難しいときもあります。犬山さんなら分かると思うんだけど、声に出して何か伝えたいんだけど、なかなか伝えられないとか、同じフレーズを何回も繰り返すとかね。そういうのあるでしょ?

―私が以前会った子は「ラーメン!」「かつ丼!」ってずっと言っていて、はじめは「どうした、どうした」って思ったけど、きっと好きな食べ物を言ってるんだな…ってことは、ハッピーな感じなんだろうなぁって思って、なんだかこっちも嬉しくなってきたり。そういう経験がある

福室:そうやってね、会話は成立していないんだけど「心が通じる瞬間」って必ずあって。それはね、表情だったり、目を見たりしているとわかるんだよね。

―ちゃんと向き合っている証拠だね。「ありがとう」って言葉はなくても、喜びを共有することはできるものね。

福室:そういうことだよね。あとね、自分が代表理事を務める『一般社団法人ソーシャルアートラボ』では、障害のある人の作品をNFTにして売ったり、フィジカル…いわゆる現物作品を売ったりとか、メタバースで売ってたりとか、そんなことを自分なりのスキームで支援をしているんだけど、でもね、それって作品を介しての付き合いっていうのかな…。ある意味、限定的でもあるんだよね。もちろん絵が売れれば本人は喜んでくれるし、親御さんも喜んでくれることも多いんだけど、ガイドヘルパーって生身の人間の1対1の関係なんだよね。ベタっとしたリアルさがあって、それはそれでね、自分が好きでやってます。

―1対1のベタッとしたリアルさ…

福室:日常生活の中で喜んでもらえるお手伝いができるのっていいじゃない。たとえば「富士山が見たい」って言われればさ「見せてあげたい」って思うでしょ。今日もガイドヘルパーの仕事の帰りなんだけど「富士山見たい」って言うから見せてきました。

福ちゃんはもともと優しいんだよね。しかも料理上手で。料理も「美味しい」って言ってくれる人がいるから、言ってもらえると嬉しいからって、まめに作っていた時期があったもんね。

福室:だから、もう今はやってないでしょ。

―奥さんに逃げられて、食べてくれる人いなくなったから…

福室:違う!お母ちゃんが死んじゃったからやってないだけです。嫁さんは一回もいたことないんで!

―そうでした。お母さん(天国で)元気にしているかなぁ…。絶賛、彼女募集中は変わらずなんだよね

福室:yes!


音楽:Bobby McFerrin『Don’t Worry, Be Happy』(楽曲はYouTubeにリンクしています)

国家資格を目指して
始動開始


―ガイドヘルパーの福ちゃん。大変なことも多いでしょ。福ちゃん心配性だし

福室:そう、心配性なのよ。だからどうしても、現場には早めに着いていないと心配でついつい早めに着いちゃう。あと、最初は土地観のない所にも行ったりするから、当然、自宅や施設とかも土地観のない所にあったり。場合によっては、利用者さんが突然走り出しちゃうこともあるかもしれない。そういうところは体力勝負の部分があるから、対応していくのも年齢とともに段々厳しくなってくるかなぁって、そんなことも考えている。だから今後のことも考えていかないといけないかな…とは思っています。

―考えていくっていうのは福祉業界の中で?

福室:そう。たとえばさ、介護職でこの先を考えていくっていっても、俺は椎間板ヘルニアを持っていたり、膝の半月板も壊れていたりするので、福祉のゼネラリスト的な「社会福祉士」の資格は取ろうかなと考えています。

―社会福祉士ね。でもあれは国家試験だから、受験資格自体がけっこう制限されているでしょ

福室:そうなのよ。僕は大学は出ているんだけど福祉系の大学じゃないから受験資格がないのよ。だから、専門学校で勉強しようかなって思っています。

―わぁ、それはすごい!本気で勉強しないとだね

福室:もう大変よ!お酒が好きだからさ、ちょっとお酒控えて勉強する時間をとらなくちゃと思っていますよ…

―絶対にそれ必須(笑)

「和え物」のような
世の中が理想的

ガイドヘルパーの資格取得の日


―今は障害を持つ人の社会参加も増えてきて、外出時の支援が必要な人は増加傾向にあるって聞いたコトがあります。一方で、支援する側の数はまだまだ足りていないとも。そんな実感はありますか?

福室:あるある。本当に人手不足だと思う。でも、ガイドヘルパーはだいたい誰でも講習を受ければ資格を取得できるので、自分の場合は3日間だったかな…それで資格取れました。だから、資格取得するだけでも興味があればチャレンジしてほしいなと思います。

 今『NPO法人尽力車』っていう事業所の登録ヘルパーとして働かせてもらっているんだけど、ガイドヘルパーに興味を持ってくれる人がいたら、ぜひ『尽力車』まで問い合わせをしてくれるとありがたいです。このお店『TAKARA CAFÉ』にもチラシを置かせてもらってもいいかな。


―もちろん!あそこの掲示板に貼っておこうか。在宅支援も外出支援もまかせて安心『NPO法人尽力車』。福ちゃんに出会ったときには、今の福ちゃんは全然想像できなかったけど、なんだか不思議としっくりくるよね。若い時「アパレル業界でパリコレ目指していました!」って言う方がもはや違和感でてきた。

福室:うん。あれも思い返すと双子のお兄さんだったのかな…って、一人っ子なんだけどさ(笑)今となっては意外かもしれない。

―本当にそう。想像できなくなってきちゃった。そう…違和感といえば、福祉に限らずだけど、今は流行り言葉のように「多様性」って言うでしょ。それってちょっと私的に違和感…

福室:うんうん、なんか言ってることわかる。逆差別みたいなね。なんでも混ぜこぜに…ぐちゃぐちゃに混ぜればいいって思っていなくて、必要な時に声を出せるとか、逆に支援する人が自然に手を差し伸べられるようになればいいとは思うね。

―福ちゃんいいこと言う。さすが!「混ざれ混ざれ」って強要されるのも辛いよね

福室:そうだね。本人の意思が一番重要だと思うし。ほら、日本料理の「和え物」ってあるじゃない。あれってさ、それぞれの食材の良さが際立って、でも個性が残っていて、お互い邪魔しなくて美味しいでしょ。そういう世の中になると一番いいんじゃないかな。

― “和え物みたいな世の中”。名言だね。私、ほうれん草の白和えは大好物です。

福室:じゃあ今度作ってください

―そっち?作ってください!さて、ここで一息、なにかお好きな曲をおかけしましょうか

福室:はい。今日はガイドヘルパーとしてのお話をさせてもらっていて、そうしたら外出や旅に出ることもある。それで、若い頃によく聴いたオアシスが再結成してツアーに出るみたいなので「新たに旅に出る」ということで、オアシスの『Don’t Look Back In Anger』お願いします。

音楽:Oasis『Don’t Look Back In Anger』(楽曲はYouTubeにリンクしています)

最期は障害福祉の世界で
燃え尽きたい!


―さて、福室貴雅さん。福ちゃんのこれからの未来予想図は?

福室:ソーシャルアートラボもなんとかしたいとは本当に思っています。でもね、それで飯が食えていれば今の仕事はやってなかったと思うし、実際やってみると楽しいし…楽しんでやっています。だから障害福祉の仕事が人生最後の仕事と思っているので、福祉のことを突き詰めて、より専門的に学んでいこうと思っています。これまで色んな仕事をしてきたけど、最期は障害福祉の世界で燃え尽きたいと思います。

―燃え尽きてください!

福室:OK!

―私も近い将来、足腰悪くなって車いすになる予感がするから、その時はガイドヘルパーよろしくお願いします。

福室:その時は相談に乗るけどさ、まだ犬山さん若いから頑張って!

―頑張ります…。今日はまだ時間は大丈夫ですか?

福室:大丈夫よ

―では。今日も楽しいお話のお礼にもう1杯どうぞ

福室:遠慮なくいただきます


番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』
『NPO法人尽力車』⇒「こちら」
『一般社団法人ソーシャルアートラボ』⇒「こちら」


インタビュー・構成・文:白田祐子(しらたゆうこ)

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白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。

1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。パートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”(2023年お空組)。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。

保護犬猫の譲渡会開催や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート

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