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犬とあなたと珈琲と。Vol.114 菊田 奈々

聞逃し配信中(音楽は全てダミーです)
収録:レディオ湘南 

宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送

湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の17歳、愛犬のうり。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。

10月4日のお客様は『結び屋虹園』水引アーティストの菊田奈々さん。これまで「水引」で結んだアクセサリーなどを百貨店や国内外の会場で展示販売されてきた奈々さんですが、今は雑貨や小物だけではなく「アート」としてのむすびに情熱を注いでいます。アートの世界に没入したきっかけとは。日本の文化とことばを愛し、大切にする奈々さんに『言語となる作品』たちの話しを伺いました。


――いらっしゃいませ。こんにちは。奈々さん、お待ちしておりました。

菊田奈々さん(以下 奈々):こんにちは。おじゃまします。うり店長も元気だ~。あれもう一匹いる!

――そうなんです。うり店長、今はお空組なんですけど『TAKARA CAFÉ』だけには姿を現すんです。きっと、後任のうるるが心配でおちおち休んでいられないんだと思う(笑)

奈々:あはは!頼りになるなー!うり店長にもうるるにも会えるなんてラッキー!

アートの世界へ
導かれた2023

日本各地、いろいろな場所で出店している『結び屋虹園』


――奈々さんが、前回タカラカフェに遊びに来てくださったのは2022年でした。ですので、あれから3年以上が経過していて…。その間に何度か…顔を見る程度ですが、お会いする機会はあったんですが、ゆっくりお話しをするのは本当に久しぶりです。楽しみにしていました。

奈々:ほんとですよねー!私も楽しみにしてました!

――嬉しい!ありがとうございます。さて、奈々さんは屋号『結び屋 虹園(こうえん)』として、水引を使った日用品やアクセサリーなどを制作・販売されています。これまで、メディアに取り上げられる機会も多くて、「水引アーティスト」って紹介されますし、私もそう呼んでいるんですけど、どうですか?以前「水引アーティスト」って呼ばれるのは、自分的にあまりしっくりこないって話していました。でも、最近はアート作品も多いので、アーティストっていう言葉も馴染んできたのではないでしょうか…

奈々:その話を憶えていてくれたことに驚きなんですが…それが未だにしっくりこないですね。「水引」って付いてしまうと、その「紐」に意味を持ってしまうんですけど、私の場合、紐そのものもですが「結び方」にも鍵があると思っているので、「むすびアーティスト」っていう方がいいのかな?でも、それだと聞き慣れないだろうから、普通に「アーティスト」ならいいのかなって。そうなると「じゃあ、なんのアーティストですか?」って聞かれるだろうし…なんかいい呼び名はないでしょうかね?その辺は今も試行錯誤でなにかあれば教えてください!募集中です!(笑)

――募集中!今も前と変わらずデパートなどのポップアップもされているので、奈々さんの作品を日常に取り入れることができて、とっても嬉しいです。ただ、最近はインテリアの一部としてのアート作品に目が行くというか、そこにパワーを感じているんですけど、この変革というか、日常を突き破ったきっかけみたいのは、どういうものだったんですか?

奈々:これが不思議な話で…2年前の1月に銀座三越の催事場に出店していたんですけど、まだコロナの余韻みたいのもあって、9階の催事場に来る人はあまりいなかったんですよ。それで、結構、時間を持て余しつつ、最終日の閉店間際「もう誰も来ないだろう」って、早めの片付けに取り掛かっていたら、一人のお姉さんがやって来たんです。9階まで来るなんて…まぁ冷やかしかなって思っていたんだけど(笑)、「友人に贈り物を探している」って仰るので、こちらも真剣に相談に乗りながら、いつものように水引の文化やそれに纏わる話をして、お会計をしにレジに行っていただいて。そうしたら戻ってきてくれたんですよ。で、そのお姉さんが「自分は大阪に住んでいて、ギャラリーをやっているんです」って言うんですよ(ご本人のモノマネ)。それで「このスペースじゃあ、あなたの想いは乗り切らない。乗り切っていない。もうはみ出してますぅ。個展とか興味ありませんか?」って‥‥

――へー!スカウトされたんですね!

奈々:そうなんですよ。その前の月の12月は毎年恒例の大船ルミネさんの前で出店させてもらっていて、その時に「来年は個展とかしてみたいなぁ」って思っていたところだったから、すぐに「やります!」って(笑)

――即答だよね!気持ちがいい!そこは奈々ちゃんらしい。

奈々:実は、この1月の時点ですでに「アート作らなきゃ」って追われている気持ちもあったから、勢いもあったのかもしれないですね。

ルーブル美術館の
イベントスペースに出店

出展作品の「フラクタル(左)」と「混沌」


――他にも出品の予定があったとか?

奈々:そう。2018年にパリの『JAPAN EXPO』 に出店してるですけど、その時と同じイベンターさんが声をかけてくれて、ルーブルの地下に広いイベントスペースがあるんですけど、そこで開催される展示販売会に作品を出す予定が入ってたの。2018年のときは商品を販売する形で私も一緒に行っていたんだけど、2023年のその時は20号のキャンバス2枚が私の持ち分で「キャンバス作品を造る」というのがお題。それで「絵と合わせるのもなぁ」「ドット絵を描くのもなぁ」って。6月が締切だったから「来年は挑む年だ!」って思っていたところに、またアートのきっかけがやってきたって感じですかね。今までの脳みそから離れて、ちょっと作り方のルートが変わるような時期でした。

――二つ大きなものが重なっちゃうから「どちらかを選ぼう」とか「ちょっと待って…」とは、ならないのよね。パッションで行く!っていうね

奈々:そうなんですよね。やりたい気持ちだけで、時期のことまで考えてないんですよね(笑)。「やります」って言う気持ちの方が勝っちゃうから、「やる」っていう選択肢しかない。いましか見えない。パッションだけなんです!

――前回フランスに行った時もパッションだけで行ったって言ってたもんね。芸術世界から呼ばれて、脳みそも作るルートも変わって、2023年に新生奈々ちゃんが生まれたのね。実は『TAKARA CAFE』で夢を話すと実現している人が沢山いて、奈々ちゃん2022年に来たとき「これからは、アートとして還元できる「むすび」の作品をつくってみたいです」って答えていたの。すごいよね。

奈々:え!私そんなこと答えてたんですね!やばい!言った通りになってたんだ…言ってみとくもんですね。本当に叶うねこれ!

――これは奈々ちゃんのパワーだと思うんだけど。結局、そのフランスのルーブルの地下のキャンバスの方はどういう作品になったんですか。タイトルは?

奈々:二つで対の作品だったんだけど、一つは20号の全面に結んだ「フラクタル」というタイトルのものでピンクの作品。もう一つは水引を結ぶ前の状態、紐の状態も美しく見せたいっていうのがあって、水引を渦巻状に貼り付けた「混沌」という作品になりました。水が排水溝を流れる時に渦ができるでしょ、そういうイメージ。

――フラクタルね…「自己相似性」。全体と部分が同じ形をしているって意味かな…作品にピッタリのタイトルだね。いいタイトル。ピンクやブルー、グリーンとカラフルな水引が隙間なく縞模様のように結ばれているやつだよね。SNSのスケジュールのお知らせの時の背景にもなっている作品だよね。奈々ちゃんのアイコン的な感じになってるいる。

奈々:まさに、そうなりつつあって、私の『言語』となるような作品になったんだと思います。

――「言語」となるような作品…。かっこいい。

はじめての個展は大阪。
大好きな場所

第1回個展 メインアート「天御柱」


――大阪の初の個展では?

奈々:ギャラリーを下見に行ったんですけど、丸いテーブルが真ん中に置いてあって、それを見てすぐに「ここに柱を作りたい」って思ったんです。私の作品の大半は「あわじむすび」っていう基本の結びでできているんだけど、「あ」が「天」で「わ」が「地」という意味があって、天と地を繋ぐ「天御柱」を作ろうって、その時にバッとインスピレーションが湧いた

――「天御柱!」そうでした。空洞の円柱みたいな感じでしたね…

奈々:天井から降りてくるというか…銀色で一色。さっきのカラフルじゃなくて、銀の一色で金属みたいに見えるようにつくりました。それも連綿と隣同士を「あわじむすび」で繋いで…。そうなると、いろんな細かい、チマチマしたどうでもいいこと、本当にどうでもいいなぁって感じてきて、隣同士の結び目支え合って天に昇っていく柱をつくっていくように、人と人もお互いに手を取り合って優しい気持ちになればいいのに、って。純粋にそれしか思えなくなって、祈っているような状態になったんですよね。ああ、だから人々は祈るときに結ぶのか…とか、「むすぶ」という行為から魂の中にある、記憶にない記憶を揺すり起されるような、掴めそうで掴めないような…何かに触れるような感覚になったんですよね。

――そうかぁ。約束するときもね、小指と小指を「むすぶ」もんね。相変わらず哲学…。奈々ちゃんはあわじむすびの話しだけで、2-3時間、経っちゃうね…


音楽:Adele『Someone Like You』(楽曲はYouTubeにリンクされています)

結びの世界を
螺旋階段のように昇
って

親分・子分の子分たち。まるで金属のように見えるアクセサリーは人気商品


――今日は結び屋『虹園』、水引アーティストの奈々さんが遊びにきてくださっています。以前「水引の世界に没入して、人生180度変わって、こんなに何かに没頭したことはない」って話していたけど、180度変わった人生もそこそこ長くなってきて、また変化を感じていますか?

奈々:感じてる。本当に。またさらに180度変わりました。それならまた元に戻っちゃうって話だから、螺旋階段みたいにワンフロアあがった感じ。今度は突然変わったというよりは、ジワジワと一段一段、あがるように変わっていった感じかな。特に去年、大切な友達が旅立ってしまって、その友達とは色々なことが重なって久しぶりに再会して、わーっていう時に、それからすぐにお別れがきてしまったので、私の中で本当に未消化。「どうして」って思いがいっぱいで、ひたすら結んで…結んで…目の前のことを…。そうしたらね、なんか「むすぶ」っていう行為自体で、なんていうんでしょうかね…本質を問うというか、内観する時間になっていったんですよね。

――想いがどんどん溢れてきたら、作品も大きくなるのかな…想いとともに。どうなんでしょう。素人考えですけど…。

奈々:うん。そうかもね。その通りだと思います。いよいよ、親分が姿を現したなって。今まで結びを通して調べてきたこととか、ストーリーは大きな作品になり得る、エッセンスになるって思っていたけど、親分ができたら、それが素になってアクセサリー作品はエッセンスとして、あり方も変わりましたね。

――親分と子分のような?さっきの「フラクタル」みたいな感じだね。

奈々:そう。本当にそう、親分と子分って感じですね。大きな作品はコンセプトやストーリーをしっかり立てて作るから、その子分の説明もしやすくなった。それで、それまで伝えきれなかった作品への想いをせっかくだからと思って一冊の本にしたんですね。お話は一人一人にはできないから。それで、アート作品はその時しか見られないしお持ち帰りはできないけれど、もし作品やコンセプトを気に入ってくれたら、是非、読んでもらえたらいいなと思って…70ページくらいになっちゃって、小冊子(笑)

―70ページはもはや小冊子じゃないね(笑)

宝物は沢山集めたので
これからは差し出していく

むすびを繙く随想録ー個展むすびアートブックー


――『TAKARA CAFE』ではいつも「宝物」について伺っていて、覚えているかな…。前回、最後に「今、探している宝物はありますか?」って聞いたら、「好きって気持ちって、なろうとしてなれるものじゃないので、好きだぁ!って思える気持ちが沸き起こるモノ全部を宝物にして、死ぬまでいっぱい集めてホクホクした気持ちでいたい」って答えていたんだけどね。最高!って思ったのを記憶しているんだけど

奈々:いいこと言ってますね!(笑)

――ね。今、聞いてどうですか?     

奈々:もうその宝物はいっぱい集まったんで、これからはそれを必要としている人がいたらあげたいな。私がホクホクするものが、他の人もホクホクするかどうかわからないけど、技術や知識も含めて「私、これ持ってるけどいる?」「あげるよ」って感じ。で、今は私、朝目覚めて「あー息してる」ってことがありがたいって感じているから、明日死んでも大丈夫で。全部ある。なにかもあるからもう十分。

――奈々ちゃんすごいわ!哲学する結び職人。もう達観してるね。まだまだ生き生きとしている奈々さん。そう、イキイキと言えば、お花を活ける「花器」も素敵な作品の一つ。あれはペットボトルを中に入れられるカバーのようなものなんですよね。花を活ける水と水引って両極端のものが融合していて、危うい「美」を感じるすごく色っぽい作品だと思いました。

奈々: 危うい「美」!そう見ていただいたんですね!なんかめっちゃ嬉しいです。そうですね、これもやはり両義性を表現した作品で、花器を肉体として花を魂としてみているんですね。そういうコンセプトの話は私のnoteにがっつり書いてたりします。いろっぽいですか。なんかめちゃくちゃうれしいですね。

――さて、話は尽きないんだけど、ここで何か1曲おかけしましょうか。

奈々:じゃあですね、はじめて個展を開いた大阪のギャラリー『sun sun(スンスン)』さんのオーナーが私の作品のイメージに合うってかけてくださった曲から1曲。haruka nakamuraさんの「haru」(楽曲はYouTubeにリンクしてます)

神社仏閣と
ご縁が多いのも意味ありげ


――さぁ、次回、奈々さんにいつ会えますか…

奈々: 10月は13日に藤沢の龍口寺、18日が葉山の仙光院、11/1が逗子の亀岡神社、11/5~18は新横浜の有隣堂。鎌倉での個展は来年1月になります。作品のせいなのか、寺・寺・神社・本屋と続いていくので、なんか意味ありげですよね。

――素敵です。今日はまだ時間はありますか?楽しい会話のお礼に私から…もう1杯いかがでしょうか

奈々:ありがとうございます。じゃあゆっくりしてっちゃおかなー

――もう少し話しましょうか…

奈々:はい。ぜひ!

アート作品「ミラーボール」

菊田奈々さんのnoteは「こちら」
菊田奈々さんのInstagramは「こちら」

番組サイト『犬とあなたと珈琲と。』 
うり店長のInstagram  
ル・ブラン湘南のInstagram 

放送構成と文:白田祐子(しらたゆうこ)


白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬のカウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは沖永良部島出身で雑種の女の子。名前はうるる(うりはお空組2005-2023)。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の社会心理学が専門。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に共感される。

里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合う。講師、専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1MHzレディオ湘南に出演中。神奈川県三浦郡葉山町にて『お寺でわんにゃん縁結び』を主催

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