犬とあなたと珈琲と。vol.84 大岡紱子
聞逃し配信中(音楽は全てダミーです)
収録:レディオ湘南
宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送
湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ『TAKARA CAFÉ』。オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の17歳、愛犬の“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。
今回のお客様は地図編集者で地図デザイナーの大岡紱子(ゆうこ)さん。旅行雑誌を中心に地図のデザイン・編集をされ、最近は総合的な学習の時間を利用した小学生とのガイドブック作りやポスターサイズの学習地図も手掛けられています。地図を通した学びについて伺いました。大好きな旅はもちろん、日常生活でも地図を利活用する地図の伝道師大岡さんと常に道に迷う子羊(オーナーしらたゆうこ)の雑談をぜひどうぞ。
―こんにちは。紱子(ゆうこ)さん。ようこそお越しくださいました。
大岡紱子さん(以下大岡):またまたお邪魔します。祐子さんもうりちゃんも久しぶり。うりちゃんの色白っぷりは、夏でも変わらないね~。
―目指したい美白ここにあり!いつぶりでしたっけ?ほぼ毎日チャットはしてるけど、会うのは結構、間が空いてるよね。いちご狩りぶりか…
大岡:いやいや。人混みを恐れず新宿御苑へ桜を見に行ったのに、なぜか人目を避けてバドミントン楽しんだじゃん。全然ラリーが繋がらなくて、あまりの“へっぽこ”っぷりに笑うしかなかったし~。
―そうだったー。恐ろしいくらい続かないのね。多分、年齢的なことだけじゃないんだよね。もともとの素質がね…
大岡:そう、素質の素の字もなかった。
目次
電動アシスト自転車で
新天地をGO!
―さて、紱子(ゆうこ)さん。地図デザイナー・地図編集者で旅好きの大岡紱子さん。最近はどうですか。
大岡:最近そうですね…もうすぐ引っ越して1年になるんだけど、新しい環境にもすっかり慣れて、一応都内だけど「ほとんど埼玉県民」っていう郊外生活を楽しんでるよ。家から歩いて15分くらいのところに大きな公園があるから、晴れた日にふらっと散歩したり、引っ越しを機に電動アシスト自転車を買ったから、遠出のサイクリングにも出かけるようになったりね。
―電動アシスト付き?自転車が車並みの活躍で「思ったら即動く!」がパワーアップした印象。
大岡:おとなしく家にいるっていうのが苦手だから。天気のいい日は出かける理由を探してでも外に出ちゃう。
―最近はお買い得品狙いのスーパーマニアにもなってきてるし。情報収集癖と凝り性が日常生活に最高に活かされているよね。
大岡:スーパーのチラシチェックしたりして、ひとりもんなのに完全に主婦化してきたよね。引っ越しで日常生活は一変したんだけど、相変わらず旅には月1ペースで行ってるかなぁ。最近は比較的近場の旅が増えたけどね。
―ふらっと小江戸川越「蔵の街」とかね。当然、部屋はもう片付いた?
大岡:片付けのことは聞かないで欲しかった…。もう1年も経つのに、まだクローゼットにしまいっぱなしの段ボールとかある。捨てられない性格だから、なかなか片付けきれないの。日々の生活に必要ないものは今のところほったらかしです。
―不便でないのなら、それでいいような気もするけど、スペースがもったいないよね。
大岡:ねー、出かけるのやめて片付ければいいのにって自分でも思うんだけど、出かけたい衝動が止められない。かといって出かけないで家に居る時は仕事に没頭して時間を忘れちゃうから、結局片付かないの。
―追々とだね…
大岡:追々とね…
―そのうちね…
大岡:そのうちね
―そして
大岡:永遠に片付かない。
学習教材用ポスター地図も
楽しく!わかりやすく
―仕事と言えば、最近、面白い仕事の連続っぽいよね。こども向けの仕事が多い印象。
大岡:そうそう。最近になって子ども向けの仕事が増えたんだけど、いろんな発見があって面白いの。壁に貼って学習するポスター教材って昔からあるでしょ?ひらがなや英語、九九の一覧表とかのポスターをトイレとか子ども部屋の壁とかに貼って覚えるやつ。それの地図版で日本地図や世界地図のポスター制作に関わったの(写真上)。
―あの大きめのポスターサイズのやつだよね。小学生のころ、ボロボロになっても壁に貼られたままの家ってあったよね。もはや壁紙です的な。
大岡:ポスター剥がすとそこだけ壁がきれいなままだったりして。それがね、最近は水だけで繰り返し貼って剥がせる「ユポ紙」っていうのが、ポスターの素材に使われてて、防水かつ耐水の紙だからお風呂の壁にも貼れるの。お風呂に浸かってる時に見ながら学習できる日本地図や世界地図なんだよ。
高学年用は中学受験にも役立つ内容で、小学生なのにハイクラスな勉強してるんだなって感心したよ。学習教材だけど、子どもが関心を持って自然と見たくなるような「楽しげでわかりやすい地図を作ろう」って思って作ったから、たくさんの子どもが地図を好きになってもらえると嬉しいなぁ。
―あーいいねー。「ハイクラスな勉強ができて」って、それはどういう感じ?色々なデータが書き込まれているとか?
大岡:そうすると地図自体がごちゃごちゃしちゃうから、地図は基本的なものなんだけど、地図まわりに学習内容がまとめられてるんだよね。高学年用の世界地図のポスターでは「国連のしくみ」とか「主な農産物の生産国」とか。時差を示した地図や、丸い地球を切り開いた図なんかもあったりしてね。世界地図そのものは、国名と場所を覚えるためにシンプルでわかりやすく。すっきり明るい印象にしたんだよ。
―必要な情報をどう見せるか。すっきり明るく。その見せ方こそがデザイナーの仕事だもんね。その地図、ちょっと欲しいかもしれない。眺めていたら絶対に面白い発見がありそうだし。
大岡:カリブ海に面した国々に挟まれた、こんな小さな島がフランス領なんだなぁ~、とかね。
―「カリブ海に面した国々に挟まれた小さな島…」ちょっと、地図見せてほしい!もうちょっとわかりやすい発見はなかったの?全然使えない情報ないかもしれない(笑)
音楽:Neil Sedaka『Laughter In The Rain』(楽曲はYouTubeにリンクしています)
まっぷると学校がコラボ?
初の試みに参加!
―それから、藤沢の小学校もやってほしいなぁって思ったのが、旅行ガイドでおなじみ『昭文社』の「まっぷる」と、横浜市立戸部小学校3年1組のみんなが「総合的な学習の時間」を利用してコラボした、ガイドブック作り。情報合ってた?
大岡:合ってる。正解!こどもたち自身によるガイドブック制作に昭文社が協力して、1年がかりで取り組んだ「まっぷる 戸部」っていう冊子が、今年の3月に完成したの(写真上)。
―すごいよね。表紙も私たちが見知っている、あの「まっぷる」なのが面白いし、単に地域の紹介ってことじゃなくて、マップを作るまでの過程が奥深いんだよね。普段なら、なかなか経験することのないことにチャレンジしていて、この経験は子供達、絶対に大人になっても活かされていくと思う。
大岡:「総合的な学習の時間」って私は初めて聞いたんだけど、子どもたちが自発的に探求する課題を通して、個々の資質や能力を身に着けることを目指す時間なんだって。その時間に戸部小3年1組のみんなで取り組んだのが「ガイドブック制作」。その課題を達成するために、子どもたちが昭文社へ「本格的なガイドブックを作りたい!」っていう依頼をしたことがきっかけでコラボ実現へと動き出したんだって。
―その時点ですごいよね
大岡:でしょ。まずは昭文社が協力した特別授業っていうのがあって、子どもたちにガイドブックの作り方なんかを学んでもらって、具体的にどんなスポットを紹介すればいいか。グループ単位で「おでかけプラン」を作成するワークショップに取り組んでもらうところからスタート。
―完全に一からの作業を専門家のアドバイスを受けながらスタートできたんだね。
大岡:そう。そうやって子どもたちがガイドブックの内容を話し合って、取材するお店や施設を決めて、直接取材したんだよ。それを基に書かれた紹介文や写真が子どもたちから提出されると、昭文社で冊子制作に着手。そしてここでようやく私の出番です。
いろんな大人が関わったけど、私は地図を作って子どもたちの成果を形にする協力をさせてもらったんだ。子どもたちは、そうやってガイドブックが作られる工程を勉強しつつ、大人たちが冊子を完成させたというわけ。最後に子どもたちが、自ら取材したお店や施設の方に出来上がった冊子を渡しつつ完成報告をして、「総合的な学習の時間」の課題達成となりました。
―すごい壮大な学習時間。取材先へ出来上がったもの、成果品を持ってお礼にいく。完璧なフィニッシュ!その中で大岡さんが協力したのが…
大岡:子どもたちがグループ単位で取材した5つの地域、それぞれの取材店舗や施設が載っている地図のデザインと制作をさせてもらいました。戸部小学校とその周辺環境をイラストを交えて表現したり、誌面と地図のデザインをリンクさせて、記事の店舗や施設を見つけやすい工夫をしたり。
地図屋なのでイラストを描くのは得意じゃないけど、中には私が描いたイラストもあるんだよね。恥ずかしいからどれがそうなのかは言わないけど…。
―戸部小学校は近くに野毛山動物園があるからそれがヒント。いやぁ、面白いー。出来上がりも素晴らしいから、子供達の「宝物」としてずっと手元に残っていくんだろうね。そこに加われるなんて、編集者冥利につきるね。
大岡:そうだね。昭文社では今回の協力が初のテストケースだったらしいんだけど、編集担当者に声がけしてもらって嬉しかったし、地図屋として子どもたちのチャレンジを形にするお手伝いができて本当に楽しかったよ。
地図布教師?
日常生活でも上手に活用
ー地図の専門家。そのちょっと変わった面白い仕事と地図師らしい最近のお遊び事情。お散歩だよね。出不精の私は話を聞いて写真を見ているだけで、自分が行った気になれるんだよね。いいのか悪いのか…
大岡:いいわけないでしょ。散歩コースはいつも地図を見て決めてるんだけど、春口におもしろい発見をして、慣れない引っ越し先でも桜並木が美しい場所を散歩することが出来たんだよね。
―うんうん。めっちゃ桜を見まくっていたもんね
大岡:ねっ。都心に住んでた時は、近所に緑のある場所が少なかったから、近所の公園探したり緑地探したりするのにグーグルマップの航空写真をよく見てたけど、都内郊外に引っ越したから緑には困らない。ただ、桜の時期に桜並木がないかって川沿いにアタリをつけて航空写真を見たら、ピンク色の木々が映っててびっくりしたの。ちょうど、うちの近所を撮影したのが桜の時期だったんだろうね。
―地図って航空写真の方を見るんだね。確かに、あれだと撮影時期によって風景がかわるもんね。桜の時期に撮影したとは粋だね。偶然だと思うけど素敵な偶然。
大岡:うん、たまたまだったと思うから「全国で使える」ってわけじゃないんだけど、うっすらとピンクに染まる木々を見つけて散歩に出かけたら、見事な桜並木が待ってたよ。
―散歩の前に地図を見よう!地図師からの地図の「普及」ならぬ「布教」だよね!
大岡:なにそれ。地図師って人を怪しい教祖みたいに言わないで…(笑)
散歩や旅のルートも地図保存。
歩くまっぷる
―あと、あれも面白いよね。散歩コースを地図でなぞるやつ。とんでもない運動量だけど「スタバ寄ってんじゃん」って、だから消費カロリーは「プラマイゼロだな」とかってわかるやつ…
大岡:それはSNSでルートや距離感をみんなに判ってもらいやすいようにね。最近は自転車で行動範囲が広がったから、地図が小さくなりすぎてルートが追えなくなってきてるんだけど。
―競輪選手並みだもんね…。さっき「まっぷる」の話をしたけど、普段のお仕事から「まっぷる」は担当していて、これまで担当した地域が…なんだっけ。
大岡:もうこの仕事始めて四半世紀越えてるから、多すぎて挙げられないけど…。出身地の静岡に関わる地域は長年担当してるね。
―もう「歩くまっぷる」だね。
大岡:「歩くまっぷる」ではない。
ー引っ越しを機に「旅は少しずつ抑えるようにする」って言っていたけど、結局、あちこち行ってる。
大岡:そうね。実際は全然抑えられてないんだけど。今年はすでに大阪・群馬・長野の白馬。箱根は気に入ったホテルができたから冬と春で2回・軽井沢・滋賀のついでに奈良、あとは神戸。やっぱり月1越えてる。
大岡:聞いてるだけで目が回る…。そして来週は沖縄でダイビングとパラセーリングしてくるよ。
―聞いてるだけで目が回るー。来週かぁ、沖縄。陸・海・空と楽しんできてください。
大岡:ゆうこさんもこの間、フェリーで札幌に行っていたでしょ。
―そうなの。あっ、思い出した。お土産があるの…多分全部好きなものだよ…
大岡:ありがとう!いいねー。これ欲しかったんだよね。
―今回は用事があっての帰省で、飛行機ではなく、大洗と苫小牧間フェリーの旅。片道19時間。出航の1時間以上前には乗船しているし、港についてすぐ下船はできないから、実際は20時間以上は船の上。快適で「また乗りたい!」って思ったけど、大洗と藤沢間が遠かったー
大岡:何時間くらいかかるの?
―SAで休憩したり、のんびりしたペースで3時間くらい。うりが保護されたのも大洗なんだよねー。遠くから来ました、うりちゃん。そう、でね、今回は人間だけの旅だったんだけど、フェリーにはペットと一緒に泊まれる部屋もあるし、ペットと人は別の場合も展望デッキに「ドッグラン」があって一緒に過ごすことができるの。
大岡:そうなんだ。船の上にドッグランがあるんだ。凄い。
―ねっ。出航時間やフェリー会社によって違いはあるけど、ペット連れで陸路でいけないところは「船の旅」、おススメだと思います。
大岡:そうだね。船だと長旅だけど、乗船中はわんこと一緒で安心だね。
―そう。時代は進んだ。
―あーでも、来月札幌に行くんだよね?
大岡:うん。8月末だからぎりぎり夏?札幌はもう何回行ったのかわからないくらい、好きな旅先のひとつだよ。
―そう考えたら、お土産いらないね。
大岡:いやいや、欲しい欲しい!
ーさてさて、ここで一息。なにかお好きな曲をおかけしましょう。
大岡:じゃあ、最近耳にして気に入ったサブリナ・カーペンターの『Espresso』(楽曲はYouTubeにリンクしています)
真夏は散歩がてら
早朝のハイキング
―もう暑いから、お散歩もそんなできないんじゃない?自転車乗り回すとか。
大岡:暑い時は明るくなり始めた早朝が狙い目かな。暗くなるとテンション下がるから、夜の散歩とかは苦手だしね。自転車での真夏は未経験だけど、ビークの時間じゃなきゃ問題ないかな。そこそこ暑いのは嫌いじゃないし。真夏の早朝に高尾山へ散歩がてらハイキングに出かけるくらいだからね。
―私が起きたときは下山してたよね(笑)。私は夕暮れ時や夜の散歩が好きだし、暑いのは苦手。こんなに真逆なのに仲良くなれているのが不思議だよ…
大岡:ね。でも、私と一緒に旅したら「半日で帰る」って言いだしそう…
―「一人で行って」って言うよ。さてさて、今日も楽しいお話を聞かせて頂いたお礼に、もう一杯いかがでしょうか
大岡:じゃあ、ついでに『塩バタかまんレモン』も、もう一つくださ~い。
大岡さんのホームページ⇒「こちら」
番組サイト⇒『犬とあなたと珈琲と。』
インタビュー・構成・文:白田祐子(しらたゆうこ)
うり店長のInstagram
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白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラ「ル・ブラン湘南」代表・ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。パートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1Mhzレディオ湘南にレギュラー出演、2022年4月から新番組『radio cafe犬とあなたと珈琲と。』がスタート。