犬とあなたと珈琲と。Vol.66 小見山友子
宝製菓presents radio café『犬とあなたと珈琲と。』FM83.1MHz レディオ湘南(第1.第3土曜 16:00~16:29)放送
湘南の海を見下ろす、小さなコーヒーショップ「TAKARA CAFÉ」。オーナーは心理士でドッグカウンセラーのしらたゆうこ。店長はカフェオレ色の17歳。愛犬の“うり”。美味しい珈琲を飲みながら、お客様との会話に耳を傾けてみませんか。
今回のお客様は朝日新聞デジタル『sippo』の編集などを手がけるフリーランス編集者でライターの小見山友子さんです。愛犬のモカちゃんと一緒にいる時間を増やしたくて「在宅ワークができる職業に就きたいと考えていたら、ライターや編集の仕事にハマったという感じです」と話す小見山さん。今ではさまざまな媒体でペット・ファッション・旅などをテーマに執筆や編集をされ注目されています。自分の好きなものや新しく見つけたことを伝えるのが好き。そんな理想の仕事までの道のりや昨年17歳で亡くなった柴犬のモカちゃんのことなど、ほんわか、じんわり伺いました。
―――こんにちは、友子さん。ようこそお越しくださいました 。
小見山 祐子さん、こんにちは。いいお店ですね。あっ、うり店長もこんにちは。
――こんにちわんわん。友子さんのワンコ、柴犬のモカちゃんよりもちょっと大きいでしょ?
小見山 そうですね。想像よりちょっとずっしり感がありますね(笑)
目次
編集経験を活かして
サイトを主宰
―――友子さん。小見山友子さんはフリーライター、そしてフリーの編集者でもいらして、私がはじめて友子さんの記事を目にしたのは、朝日新聞社が運営するペットの情報サイト『sippo』でした。愛犬モカちゃんについて書かれた記事でしたが、もともとライティングのお仕事をされていたんですか。
小見山 いえ。本格的に書いて伝えることは、2014年に『INUTONEKOTO(イヌトネコト)』というWEBマガジンを主宰してからです。それまでも、短い文章は編集業務で書いていたんですけど、いつからライターに?と聞かれると、そこが始まりです。
――『INUTONEKOTO(イヌトネコト)』。その名通り、犬と猫のお話しが中心?
小見山 そうですね。保護犬や保護猫と暮らす人々にインタビューをして、犬や猫と暮らす素晴らしさを伝える。そして、犬猫の殺処分が多いという現実から、自分で取材して「書いてみよう」と思ったのがきっかけですね。
――例えば、どのような方にインタビューをされてきたんですか。
小見山 イラストレーターの平澤まりこさん、インテリアデザイナーの小林マナさんなどのクリエイター。インスタで人気の「猫のぐっぴー」や「くまお」の飼い主さん。それから『ほぼ日』の糸井重里さんや映画監督の山田あかねさん。その他にも相撲の荒汐(あらしお)部屋などにも行きました。
――わぁ、錚々たる顔ぶれですね。今、本格的に書く前は編集業務で…と仰っていましたね。
小見山 はい。アパレルブランドでグラフィックデザイナーをしていたんですけど、新規事業を立ち上げる時に、そこのメディアディレクターに抜擢されたんです。根本からアイディア出しができるので、もうすごく楽しくてのめり込みました。
――いいですねー。
保護動物だって
ファッション的視点は大切!
――メディアディレクターのお仕事はご自身でウェブマガジンを立ち上げるきっかけにもなりましたか?
小見山 そうですね。すごく後押しというか、背中を押してくれたなと思います。
それと、ファッション的なアプローチというか、『INUTONEKOTO』では保護犬や保護猫を選択するのは「かっこいい」と思ってもらえるように、「きれい」だったり「おしゃれ」という見せ方にこだわっていたので、私のアパレルブランドでの経験は大きかったと思います。
――ファッション的なアプローチ。いいですね。その言葉だけを切り抜かれちゃうと批判的な意見がでてしまうこともありますけど、全体的に見るととても大切なことですよね。
小見山 「不幸な子」「可哀想な子」という側面だけで取り上げてしまうと、うまく先に進まないこともあると思うんですね。犬猫を紹介する写真一枚をとっても「きれい」「かわいい」「ハッピー」の要素を取り入れることは、犬猫とヒト、そして社会にとっても、大切なことだと思います。
――その『INUTONEKOTO』は3年ほどで更新が止まっていますが、それは『sippo』の仕事へと繋がっていったからですか。
小見山 いえ、その前に私はメンズファッションの『AERA STYLE MAGAZINE』編集部にいたんです。その時に、たまたまsippoを立ち上げた人と知り合いまして、すぐにsippoにも記事を出すことが決まったんです。その後は、いろんなタイミングが重なって、今はあのsippo編集部の仕事をしています。
――より読者が増えていくわけですね。
小見山 媒体は『sippo』が多いですけれども、他にも『AERA STYLE MAGAZINE』とか『マリ・クレール』、あとは朝日新聞デジタルが運営する『&Travel』など、ファッションや旅に関する執筆や編集をしています。
――AERA STYLE MAGAZINEには、そのままフリーとして関わっているんですね。すごい、理想的!友子さんの仕事ぶりとお人柄の賜物なんでしょうね。最高!羨ましい(笑)
小見山 ありがとうございます。もともとは、愛犬のモカと一緒にいる時間を増やしたくて「在宅ワークができる職業」に就きたいとずっと考えていたんです。それでライターや編集の仕事がハマったという感じなんです。
――すごい。理想的(笑)
小見山 そうそう、ずっと気になっていたんですけど。このお店は『TAKARA CAFÉ』って言うんですよね、どういう意味ですか?
――『TAKARA CAFÉ 』はここで宝物の話をしたら、失くした宝物が見つかったり、新しい宝物に出会えたりする。そういう場所になるといいなと思って付けた名前なんです。
小見山 へー、宝物ね…。私もあります、宝物。
――ですよね!もしよかったら、友子さんも宝物の話、聞かせてください。
大好きなファッションや
理想の暮らしぶりを夢見て
――友子さんの宝物はなんですか。
小見山 子供の頃はリカちゃん人形やバービー人形ですね。それから、絵を描くことも好きでした。
――リカちゃんやバービー!今はバービーがすっかり大人になって映画で動いていますが(笑)お人形遊びが好きだったんですか?
小見山 洋服を着せ替えたり、髪の毛を切って雰囲気を変えたりとか。そういう遊びが好きでした。とにかく、お人形さんたちがキラキラ光っているように感じていました。
――やっぱりお洋服やファッション。お仕事に選ぶくらいですものね。大好きなんですね。
小見山 そうなんです。描いていた絵もお姫様とか、かわいい服を着た人ばかり描いていました。あとは理想の暮らしぶりとかも描いていましたね。
――理想の暮らしぶり?例えばどんなのがあったんですか。
小見山 子供のころよく描いていたのはハンモックだったんです。そのハンモックは木陰にあって、私だったり、家族だったり、動物たちがリラックスして楽しんでいる様子をよく描いていました。
――ハンモックの周りに好きな人達が集まる。すごく想像がつきます…
好きなものを
みんなに伝えたい
――今は子供の頃のそういう理想の暮らしぶりが叶っているんじゃないですか?大好きなファッションもそうですけど、ペットとか旅とか好きなことを実際に体験して、自分自身の五感を通してから再構築して世に送り返す仕事をされていますよね。
小見山 言われてみれば、そうですね。新しいコトとか新しいモノ、新たに発見したモノなんかをみんなに伝えるのがすごく好きなんです。ペット、旅、サーフィンはもう私の生きがいですね。
でも、もちろん楽しいことだけではなくて、例えば、老犬介護のように情報が少ないものに関しても、私の実体験をシェアすることで、誰かの助けになれたらいいなと思いながら発信していました。
――「生きがい」って言葉すごく力強いですね。
小見山 ありがとうございます。夫や家族、モカや友人、あとは長く仕事でお世話になっている方とか、今の私があるのはみんなのおかげだと思っています。なので、周りの人達も大切な宝物ですね。
――そう、去年結婚されたんですよね。まだ新婚さんですね、おめでとうございます。
小見山 ありがとうございます。
憧れの暮らしを
叶えるために愛犬と湘南へ
――今は伊豆での新生活がスタートしたばかりなんですよね。でも、2020年頃ですか湘南に引っ越ししてきたのは?海に呼ばれましたか。
小見山 呼ばれましたね(笑)。海のそばに住むのが長年の夢だったんです。
それで、どうしてもモカがいるときにその夢を叶えたかったんです。モカは15歳という高齢で「動物病院はどうしよう」「私の仕事は大丈夫かな」と、そういった心配もありましたが思い切って引っ越しをしました。
――モカちゃんも喜んでいましたか。犬友達を作ったりとか。
小見山 ノビノビしていました。ただ…祐子さんもご存じの通り、モカは去年の7月に17歳で亡くなったんですけど、モカはもともと根っからの柴犬気質だったので、私以外の人や犬には懐きませんでしたねー。
――わかります。独立心旺盛ね。和犬の特長でもありますよね。そこも魅力の一つだと思います。
小見山 でも、15歳頃から、介助とか介護が始まった頃ですね。どんどん赤ちゃんのようになっていって、私に頼ったり、抱っこも受け入れてくれるようになって、愛おしさが増しました。
モカのことは今でも毎日ずーっと大好きですし、私の人生を支えてくれて、生き方を変えてくれた、かっこいい存在だと思っています。
――あーいいお話し。そうかぁ…「どんどん赤ちゃんのようになっていく」っていうのは、ハイシニアのワンコを介助とか介護しているものにとっては、ほっこりするワードですよね。
愛犬の介護生活から
最期までを伝えきる
――sippoに掲載された、モカちゃんの介護の記事は反響が大きかったそうですね。
そうですね。そこで紹介した書籍がAmazonランク1位になったり、編集部に応援のお便りや感想のメールが来て。もう、本当に感動して涙しました。
――はぁ。そっかぁ…。友子さんが書いた介護記事にはタイムスケジュールも記載されていて、あれを見てとても共感しました。それと、高齢犬の飼い主の間では「グル活」って呼びますが、徘徊行動をアシストする車椅子ですよね、それにのってグルグル廻る。モカちゃんはそれを「モカゴーランド」って呼んでいて、ナイスネーミングって思いました。
小見山 ねっ(笑)。ピンクの可愛い車椅子で頑張っていましたねー。
介護をしてきたことを色々綴って来たんですけど、最後にモカが亡くなったことを綴った記事は私も泣きながら書きあげたという感じなんです。でも、読者に伝えようと思いながら書くことで、気持ちの整理ができましたし、おかげで一区切りできたように思います。
――そうだったんですね…。私も経験していますのでとってもわかります。
小見山 はい。モカは永遠の宝物です。
そこにいる。
超絶ヘブンリー体験
――その後、生活の変化はどうですか?大好きな旅も復活してきましたよね。そう、プーケットに行っていましたよね。それもトランジットを有効利用しながら。
小見山 そうなんです。去年の11月ですね。完全プライベートの癒し旅でした。
取材で海外へ行く時はどうしても忙しいので、一日中プールで遊んだり、レストランでゆっくり食事をしたり、ハッピーアワーを利用したり、気がすむまでゴロゴロして超絶ヘブンリ―してきました(笑)。
――いいなー(笑)
小見山 その時ですね。スパでリラックスしていたときに、モカが見守ってくれている感じがして、「包み込んでくれている感」って、こういうことかな…っていう体験もしました。帰りはあえて長いトランジットのある便を選んで、シンガポールに寄ってきたんです。滞在時間は30時間でした!
――滞在時間30時間!うーん…長いのか短いのか、なんかぼんやりとして想像がつかないです(笑)
小見山 うん(笑)。でもちゃんと、有名どころも抑えてから、チャイナタウンやリトルインディアを歩いてみたり、下調べなしで入ったレストランで美味しいシンガポールラクサとマンゴーサラダを食べたり、すごく広いチャンギ空港を見て回ったり、とっても楽しめました!でも、まぁ、次行くなら、下調べして美味しいレストランに行きたいですね(笑)
――そうですね。下調べあるなし。どっちも楽しいと思います。次回の旅の報告も楽しみにしています。さて、じゃあ、何か旅に出たくなるような曲でもおかけしましょうか。
小見山 はい。じゃあ、夕方の海でのんびりと過ごしたい気分なので、Jack Johnsonの『Breakdown』にしょうかなぁ(楽曲はYouTubeにリンクしています)
ここ最高!と思える場所を
たくさん探したい
――今探している宝物はなんですか。
小見山 ここ最高!と思える場所です。
住む家や住む場所に限らず、旅先やレストラン、ビーチ。なんでもいいので、「最高!」って思える場所をたくさん探していきたいです。そこにいられると楽しいんですよね。
――うん。「最高!」って思える場所探し。究極の宝探しだと思います。なんだか聞いているだけで元気がでてきました。
せっかくなので最後に一つ!プロに質問!「文章を書くのが苦手」という方に、なにかアドバイスをするとしたら? どういうことがありますか。
小見山 そうですね。書き終えたら時間をおいて読み返してみることでしょうか。読む人に伝わるかどうかを考えてみる。
お礼や挨拶など、自分の気持ちを表現したり、なにか意見を書くときには、誰かの言葉の使い回しではなく、できるだけ自分の言葉を使うようにするといいと思います。
――はい!常に頭に入れておきたいと思います。今日はお話しを聞かせていただいたお礼にもう一杯いかがでしょうか。
小見山 いいんですか!ありがとうございます。遠慮なくいただきます。
――はい。ごゆっくりお過ごしくださいませ。
小見山 はい。のんびりしていきます。
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番組サイト『犬とあなたと珈琲と。』
インタビューと文:白田祐子(しらたゆうこ)
うり店長のInstagramは『こちら』
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白田祐子(しらたゆうこ)
プロフィール:日本心理学会認定心理士。ヒトと犬の心と行動カウンセリングラボ「ル・ブラン湘南」代表/ドッグカウンセラー。
1990年代から犬の行動や心理を独学し、保護施設などでしつけのボランティア活動を開始。現在のパートナーは2005年生まれの雑種の女の子で名前は“うり”。
大学で心理学を専門的に学び、人と犬の関係や犬の心の成長の研究を行い独自のメソッドを確立する。2013年にパーソナルドッグカウンセリングを開始。人と犬のパーソナリティを重視したコーチングは特に多くの女性に支持されている。
里親制度の普及や地域行政と連携した“犬のしつけ”相談業務など、教育、行政、法律と多方面で人と犬の問題に向き合い、犬専門雑誌の監修や執筆も行う。
愛玩動物飼養管理士、ホリスティックケア・カウンセラー、ペット災害危機管理士、小動物防災アドバイザー、猫防災アドバイザー、他、ペット関連資格多数。湘南ビジョン大学講師。2014年より神奈川県動物愛護推進員。2019年よりFM83.1MHzレディオ湘南に出演中。